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第12話 10年ぶりの再会
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「久しぶりだな、エリザベート」
「えっと、うん。久しぶりね、アレクサンダー」
目の前にアレクサンダーが座っている。言葉の通り、彼と会うのは10年ぶりぐらいだろうか。彼が久しぶりに会いたいと言ってきたので、場所を用意した。
彼は大臣たちにも黙って、護衛を一人だけ連れて秘密裏に会いに来たらしい。その護衛も、遠く離れた場所で待機している。私も、あまり表立って国王と会いたいとは思わないので、こうやって隠れて会うことにした。だから今日は、ルーセント商会が管理している極秘の建物を利用させてもらっている。
ほんの一握りの人しか知らない、正式ではない会談である。
「君は、とてもキレイになったね」
「ありがとう。そういうアレクサンダーも、王としての貫禄が出てきてると思うよ」
いきなり褒められた。そのお返しに、私も彼を褒める。正直に言うと、私が覚えているアレクサンダーと大きく変わっていたので、何と言うべきか少し悩んだ。
10年という月日で、色々あったみたい。アレクサンダーの頭には白髪が混じり、顔にはシワが刻み込まれていた。かなりの苦労が見える。下手すると、老人のように見えるほど老けていた。
「君は今、幸せか?」
「え? いきなり、どうしたのよ」
急に幸せかどうか聞かれて戸惑う。忙しそうなのに、こんな無駄話みたいなことをしていてもいいのかしら。そう思ったが彼の瞳は真剣そのもので、答えを求められていた。
「聞かせてほしい」
念を押される。だから私は、本気で答えた。
「幸せよ。とっても」
ウィルフレッドと結婚して、あの後も彼は活躍してルーセント商会を成長させていった。その間、私たちの関係も順風満帆。強い絆で結ばれていると思っている。これ以上の幸せはないと、心から感じていた。
そう答えると、彼は辛そうな表情を浮かべる。どうやら彼は今、幸せじゃないみたい。まるで、私の幸せが彼の不幸の原因であるかのよう。でも、国王としての評判は良いと聞いている。ちゃんと結果を出している。
「アレクサンダーも、順調そうだけど?」
そう切り出すと、アレクサンダーは苦笑いを浮かべた。
「そんなことは、ない」
王になると言って婚約を破棄した時、きっと大変なことになると思った。だけど、彼は本当に王になって、我が王国を前よりも豊かにした。近隣国と比べても、王国が一番栄えている。
その栄光をもたらした賢王と呼ばれて称えられているアレクサンダー。けれど本人は、順調じゃないと答える。
暗殺とか粛清とか、後ろ暗いことも色々とやっていると聞く。仕事も休めないほど大量にあるらしい。アレクサンダーの顔を見たらわかる。とんでもない苦労を抱えているのが。
アレクサンダーは深いため息をついた。肩を落として、俯いてしまう。
「もう、俺だけではダメなんだ」
その言葉には、深い絶望が滲んでいた。
「アレクサンダーには、支えてくれる人たちが居るでしょ? 一人じゃないでしょ」
大臣とか貴族とか。頼れる人は多くいると思う。だからこそ、これまで王国を栄えさせてきたのでしょう。
「それでも、ダメなんだ。もう誰も信用できない。だから、君に協力してほしい」
「え、嫌よ」
協力を求められて、私は即拒否した。不敬かしら。でも、これが私の本気の気持ちだから。そんな私の答えを聞いて、ショックな表情を浮かべるアレクサンダー。彼は私を勧誘しに来た、ということかしら。でも、いまさら? もう10年も経っているけれど。
「えっと、うん。久しぶりね、アレクサンダー」
目の前にアレクサンダーが座っている。言葉の通り、彼と会うのは10年ぶりぐらいだろうか。彼が久しぶりに会いたいと言ってきたので、場所を用意した。
彼は大臣たちにも黙って、護衛を一人だけ連れて秘密裏に会いに来たらしい。その護衛も、遠く離れた場所で待機している。私も、あまり表立って国王と会いたいとは思わないので、こうやって隠れて会うことにした。だから今日は、ルーセント商会が管理している極秘の建物を利用させてもらっている。
ほんの一握りの人しか知らない、正式ではない会談である。
「君は、とてもキレイになったね」
「ありがとう。そういうアレクサンダーも、王としての貫禄が出てきてると思うよ」
いきなり褒められた。そのお返しに、私も彼を褒める。正直に言うと、私が覚えているアレクサンダーと大きく変わっていたので、何と言うべきか少し悩んだ。
10年という月日で、色々あったみたい。アレクサンダーの頭には白髪が混じり、顔にはシワが刻み込まれていた。かなりの苦労が見える。下手すると、老人のように見えるほど老けていた。
「君は今、幸せか?」
「え? いきなり、どうしたのよ」
急に幸せかどうか聞かれて戸惑う。忙しそうなのに、こんな無駄話みたいなことをしていてもいいのかしら。そう思ったが彼の瞳は真剣そのもので、答えを求められていた。
「聞かせてほしい」
念を押される。だから私は、本気で答えた。
「幸せよ。とっても」
ウィルフレッドと結婚して、あの後も彼は活躍してルーセント商会を成長させていった。その間、私たちの関係も順風満帆。強い絆で結ばれていると思っている。これ以上の幸せはないと、心から感じていた。
そう答えると、彼は辛そうな表情を浮かべる。どうやら彼は今、幸せじゃないみたい。まるで、私の幸せが彼の不幸の原因であるかのよう。でも、国王としての評判は良いと聞いている。ちゃんと結果を出している。
「アレクサンダーも、順調そうだけど?」
そう切り出すと、アレクサンダーは苦笑いを浮かべた。
「そんなことは、ない」
王になると言って婚約を破棄した時、きっと大変なことになると思った。だけど、彼は本当に王になって、我が王国を前よりも豊かにした。近隣国と比べても、王国が一番栄えている。
その栄光をもたらした賢王と呼ばれて称えられているアレクサンダー。けれど本人は、順調じゃないと答える。
暗殺とか粛清とか、後ろ暗いことも色々とやっていると聞く。仕事も休めないほど大量にあるらしい。アレクサンダーの顔を見たらわかる。とんでもない苦労を抱えているのが。
アレクサンダーは深いため息をついた。肩を落として、俯いてしまう。
「もう、俺だけではダメなんだ」
その言葉には、深い絶望が滲んでいた。
「アレクサンダーには、支えてくれる人たちが居るでしょ? 一人じゃないでしょ」
大臣とか貴族とか。頼れる人は多くいると思う。だからこそ、これまで王国を栄えさせてきたのでしょう。
「それでも、ダメなんだ。もう誰も信用できない。だから、君に協力してほしい」
「え、嫌よ」
協力を求められて、私は即拒否した。不敬かしら。でも、これが私の本気の気持ちだから。そんな私の答えを聞いて、ショックな表情を浮かべるアレクサンダー。彼は私を勧誘しに来た、ということかしら。でも、いまさら? もう10年も経っているけれど。
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