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第15話 褒美
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情報を提供した褒美に何を貰うのか。あまり高価なものは受け取りにくいが、断るのも難しい。だから、できれば手軽なものでお願いしたいところ。だが、その願いは叶わなかった
「カナリニッジ侯爵家は、跡継ぎの問題で悩んでいるそうだな。そこで、我が家から新しい婚約相手を出すというのはどうだろうか?」
「えっと、それは……」
突然の提案に、私は戸惑う。確かに、カナリニッジ侯爵家の跡継ぎ問題は深刻だ。候補となる相手が居ないから。けれど急に、そんな人生を変えてしまうような提案をされても困るというのが正直な感想だった。
「遠慮することはない。我が家には1人、変わった息子がいるんだ。もちろん、先程話した息子とは別の子だぞ。女性ながら貴族の当主を務めているシャロット殿とは、気が合うと思う。どうだろうか?」
「その。私は、情報を提供しただけです。それだけで大事な縁談の話を決めるというのは……」
ノルイン公爵閣下は、楽しそうに語る。私は角が立たないように、やんわりとお断りしようとする。だが。
「もしかして、婚約に乗り気ではないのか? ライトナム侯爵家の息子とよりを戻す予定でも?」
「いえ! それはありえませんが」
ノルイン公爵閣下の言葉に、私は強く否定しながら首を横に振った。デーヴィスとの関係を修復する予定なんてない。他に候補もいない。だけど、公爵家の子息と結婚するなんて恐れ多い。
最初に候補から外した存在。侯爵家の私では釣り合わないと思っていた存在。それがまさか、こんな形で新たな候補として浮上してくるなんて。
「最近のカナリニッジ侯爵家領が著しく発展していることは、私も知っている。それを成し遂げているのは、シャロット殿の類まれな手腕があってこそなのだろう。そんな優秀な貴女を、我々は非常に評価しているんだ」
「そこまで評価してくださるのは、とてもありがたいです。でも、公爵と侯爵では位が……」
「前向きに考えてほしい」
そこまで言ってくれるノルイン公爵閣下の話を、私は真剣に考える。
私と閣下の息子を婚約させる。何が目的なのか。カナリニッジ侯爵家にとって、あまりにも上手い話すぎる。もしかしたら今日は、こちらの話が本命だったのかしら。情報が欲しいと言いながら、実はカナリニッジ侯爵家の領地を狙っていたとか。
わざわざ公爵家の当主本人が話し合いの場に出てきて、こんな話を持ちかけてきたのだから。
あの女に関する話を聞きに来たのは、用事のついで。本当の目的は、婚約する相手を褒美として提示することだった。その可能性が非常に高いと思った。
この話を受けたら、公爵家に取り込ませてしまう可能性がある。だけど、上手くやれば今よりも高い地位と権力を手に出来るかもしれない。公爵家との繋がりを持てるのは、とても魅力的だった。跡継ぎ問題も解決できる。メリットは多くある。賭けてみる価値がある。それなら。
「話は、これで終わりだ。婚約の件どうするのか、返事はいつでも構わない」
「いえ。ここで、お返事します。婚約、お受けいたしますわ」
「本当か?」
「はい」
考えてみた結果、褒美を受け取ることにした。もう少し慎重に考えた方がいいかなと思ったが、受けるべきだと直感で思ったのだ。それなら、答えを出すのは早いほうが良いだろう。
言ってしまったのだから、もう覚悟を決めるしかない。
「これからよろしく頼む。シャロット殿」
「こちらこそ、よろしくお願いします。ノルイン公爵閣下」
こうして私は、例の女に関する情報を差し出したお礼として、ノルイン公爵閣下のご子息と婚約することが決まった。
「カナリニッジ侯爵家は、跡継ぎの問題で悩んでいるそうだな。そこで、我が家から新しい婚約相手を出すというのはどうだろうか?」
「えっと、それは……」
突然の提案に、私は戸惑う。確かに、カナリニッジ侯爵家の跡継ぎ問題は深刻だ。候補となる相手が居ないから。けれど急に、そんな人生を変えてしまうような提案をされても困るというのが正直な感想だった。
「遠慮することはない。我が家には1人、変わった息子がいるんだ。もちろん、先程話した息子とは別の子だぞ。女性ながら貴族の当主を務めているシャロット殿とは、気が合うと思う。どうだろうか?」
「その。私は、情報を提供しただけです。それだけで大事な縁談の話を決めるというのは……」
ノルイン公爵閣下は、楽しそうに語る。私は角が立たないように、やんわりとお断りしようとする。だが。
「もしかして、婚約に乗り気ではないのか? ライトナム侯爵家の息子とよりを戻す予定でも?」
「いえ! それはありえませんが」
ノルイン公爵閣下の言葉に、私は強く否定しながら首を横に振った。デーヴィスとの関係を修復する予定なんてない。他に候補もいない。だけど、公爵家の子息と結婚するなんて恐れ多い。
最初に候補から外した存在。侯爵家の私では釣り合わないと思っていた存在。それがまさか、こんな形で新たな候補として浮上してくるなんて。
「最近のカナリニッジ侯爵家領が著しく発展していることは、私も知っている。それを成し遂げているのは、シャロット殿の類まれな手腕があってこそなのだろう。そんな優秀な貴女を、我々は非常に評価しているんだ」
「そこまで評価してくださるのは、とてもありがたいです。でも、公爵と侯爵では位が……」
「前向きに考えてほしい」
そこまで言ってくれるノルイン公爵閣下の話を、私は真剣に考える。
私と閣下の息子を婚約させる。何が目的なのか。カナリニッジ侯爵家にとって、あまりにも上手い話すぎる。もしかしたら今日は、こちらの話が本命だったのかしら。情報が欲しいと言いながら、実はカナリニッジ侯爵家の領地を狙っていたとか。
わざわざ公爵家の当主本人が話し合いの場に出てきて、こんな話を持ちかけてきたのだから。
あの女に関する話を聞きに来たのは、用事のついで。本当の目的は、婚約する相手を褒美として提示することだった。その可能性が非常に高いと思った。
この話を受けたら、公爵家に取り込ませてしまう可能性がある。だけど、上手くやれば今よりも高い地位と権力を手に出来るかもしれない。公爵家との繋がりを持てるのは、とても魅力的だった。跡継ぎ問題も解決できる。メリットは多くある。賭けてみる価値がある。それなら。
「話は、これで終わりだ。婚約の件どうするのか、返事はいつでも構わない」
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「本当か?」
「はい」
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言ってしまったのだから、もう覚悟を決めるしかない。
「これからよろしく頼む。シャロット殿」
「こちらこそ、よろしくお願いします。ノルイン公爵閣下」
こうして私は、例の女に関する情報を差し出したお礼として、ノルイン公爵閣下のご子息と婚約することが決まった。
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