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第8話 酷く醜いやり取り ※とある使用人視点
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貴族の子息と、その関係者の女をライトナム侯爵家の屋敷に送り届けるという任務を与えられた俺たち。少し面倒な仕事だと事前に説明を受けたのだが、本当に面倒な仕事だった。
これでシャロット様からお給料をもらっている。だからやらないといけない。だが、断れるのなら絶対に断っている。それぐらい面倒だと思うものだった。
「貴方のせいよ! なぜもっと、ちゃんと詳しい事情を教えてくれなかったのよ!」
「なんだと! 君が、シャロットに婚約破棄を受け入れろ、なんて言い出さなければ、こんな面倒な事にはならなかったんだ!」
シャロット様の婚約相手だったデーヴィスという貴族の子息と、その男に寄生している幼馴染らしいローレインという傲慢な女が、馬車内で揉めている。俺たちは、その様子を黙って見ていた。巻き込まれないように。
本当なら、奴らに黙れと言ってやりたい。そうすると面倒なのはわかっているので、口には出さない。
早くライトナム侯爵家の屋敷に到着しないかな。騒がしい2人を目的地に届けて、とっとと帰りたいと思いながら。
「私は、貴方のためを思って行動したのに! なんで、褒めてくれないのよッ!」
「俺のため? そんなこと頼んでいないのに君は、余計な行動をしてくれた。それで、カナリニッジ侯爵家の次期当主になるはずだった地位が失われてしまったんだ! 君のせいだ!」
「そんなの最初から無理だったのよ! あの女の話を聞いてなかったの? アイツは最初から次期当主の座を譲るつもりは一切なかったのよッ!」
「それは仮定の話だよ。この先どうなるかなんて、わからなかったのに。上手くやれば、次期当主の座は俺が」
「無理よ!」
お互いに罵倒して、責任を押し付け合う2人。しかも、シャロット様を貶すような言葉も聞こえてくる。
自分たちが乗っている馬車が、カナリニッジ侯爵家の馬車だと認識していないのか。俺たちがカナリニッジ侯爵家の使用人であることを、2人は理解していないのかな。醜いやり取りを、今も見られている状態なのに。
ここであった話は、もちろん後でシャロット様に全て報告する。元婚約相手が、次期当主の座を狙っていたことを。
しかし、シャロット様がこんな愚かな男と結婚しなくて良かったと、俺は思っていた。他の使用人たちも、同じ気持ちだろう。
貴族ってのは本当に大変だよな。家柄や血筋、他の家との関係を守るために、結婚する相手を自分で選ぶことが出来ない。家の利益のために結婚する相手を決めいないといけない。それが、どんなに愚かな男だったとしても。
後継者の問題やライトナム侯爵家との関係で、デーヴィスという貴族の子息と婚約していたシャロット様。デーヴィスという貴族の子息は、色々と問題のある人物だった。
婚約相手の屋敷に愛人を一緒に連れてくるなんて、あまり聞かないような話。本人たちは、ただの幼馴染だからと説明していた。しかし、そんな馬鹿な話を信じる者は居ない。それでも、シャロット様は、そんな男と結婚する予定を進めていた。色々と事情があったから。
使用人の多くが反対していたけれど、その意見を言うことは出来ない。俺たちは所詮、使用人だから。貴族の世界は大変だと、見守ることしか出来ない。シャロット様はカナリニッジ侯爵家の存続ために婚約破棄は出来ないと、健気にも行動されていた。
だが今回の件で、シャロット様がデーヴィスと結婚する必要がなくなった。彼らの愚かな行為によって、破談になった。俺たちが望んでいた展開である。
シャロット様には幸せになってほしい。デーヴィスみたいな愚かな男と、結婚なんてしてほしくない。この婚約が破談になったことに、使用人たちは安堵していた。
後継者問題で頭を悩ましているシャロット様には都合の悪い展開かもしれないが、それでも婚約が破談になったことは喜ばしい。
「ライトナム侯爵家に戻されたら、俺はどうすればいいだよ……」
「知らないわよ、そんなこと! それより、私はどうなるの。もちろん、ライトナム侯爵家に私の居場所はあるのよね?」
「それこそ、知らないよ」
「ほんと、頼りにならない男ね。楽しかった、カナリニッジ侯爵家での生活に戻りたいわ」
すぐに、この2人をライトナム侯爵家に突き返してやろう。そして俺たちは、さっさと戻る。それで、この面倒な仕事は終わりだな。
これでシャロット様からお給料をもらっている。だからやらないといけない。だが、断れるのなら絶対に断っている。それぐらい面倒だと思うものだった。
「貴方のせいよ! なぜもっと、ちゃんと詳しい事情を教えてくれなかったのよ!」
「なんだと! 君が、シャロットに婚約破棄を受け入れろ、なんて言い出さなければ、こんな面倒な事にはならなかったんだ!」
シャロット様の婚約相手だったデーヴィスという貴族の子息と、その男に寄生している幼馴染らしいローレインという傲慢な女が、馬車内で揉めている。俺たちは、その様子を黙って見ていた。巻き込まれないように。
本当なら、奴らに黙れと言ってやりたい。そうすると面倒なのはわかっているので、口には出さない。
早くライトナム侯爵家の屋敷に到着しないかな。騒がしい2人を目的地に届けて、とっとと帰りたいと思いながら。
「私は、貴方のためを思って行動したのに! なんで、褒めてくれないのよッ!」
「俺のため? そんなこと頼んでいないのに君は、余計な行動をしてくれた。それで、カナリニッジ侯爵家の次期当主になるはずだった地位が失われてしまったんだ! 君のせいだ!」
「そんなの最初から無理だったのよ! あの女の話を聞いてなかったの? アイツは最初から次期当主の座を譲るつもりは一切なかったのよッ!」
「それは仮定の話だよ。この先どうなるかなんて、わからなかったのに。上手くやれば、次期当主の座は俺が」
「無理よ!」
お互いに罵倒して、責任を押し付け合う2人。しかも、シャロット様を貶すような言葉も聞こえてくる。
自分たちが乗っている馬車が、カナリニッジ侯爵家の馬車だと認識していないのか。俺たちがカナリニッジ侯爵家の使用人であることを、2人は理解していないのかな。醜いやり取りを、今も見られている状態なのに。
ここであった話は、もちろん後でシャロット様に全て報告する。元婚約相手が、次期当主の座を狙っていたことを。
しかし、シャロット様がこんな愚かな男と結婚しなくて良かったと、俺は思っていた。他の使用人たちも、同じ気持ちだろう。
貴族ってのは本当に大変だよな。家柄や血筋、他の家との関係を守るために、結婚する相手を自分で選ぶことが出来ない。家の利益のために結婚する相手を決めいないといけない。それが、どんなに愚かな男だったとしても。
後継者の問題やライトナム侯爵家との関係で、デーヴィスという貴族の子息と婚約していたシャロット様。デーヴィスという貴族の子息は、色々と問題のある人物だった。
婚約相手の屋敷に愛人を一緒に連れてくるなんて、あまり聞かないような話。本人たちは、ただの幼馴染だからと説明していた。しかし、そんな馬鹿な話を信じる者は居ない。それでも、シャロット様は、そんな男と結婚する予定を進めていた。色々と事情があったから。
使用人の多くが反対していたけれど、その意見を言うことは出来ない。俺たちは所詮、使用人だから。貴族の世界は大変だと、見守ることしか出来ない。シャロット様はカナリニッジ侯爵家の存続ために婚約破棄は出来ないと、健気にも行動されていた。
だが今回の件で、シャロット様がデーヴィスと結婚する必要がなくなった。彼らの愚かな行為によって、破談になった。俺たちが望んでいた展開である。
シャロット様には幸せになってほしい。デーヴィスみたいな愚かな男と、結婚なんてしてほしくない。この婚約が破談になったことに、使用人たちは安堵していた。
後継者問題で頭を悩ましているシャロット様には都合の悪い展開かもしれないが、それでも婚約が破談になったことは喜ばしい。
「ライトナム侯爵家に戻されたら、俺はどうすればいいだよ……」
「知らないわよ、そんなこと! それより、私はどうなるの。もちろん、ライトナム侯爵家に私の居場所はあるのよね?」
「それこそ、知らないよ」
「ほんと、頼りにならない男ね。楽しかった、カナリニッジ侯爵家での生活に戻りたいわ」
すぐに、この2人をライトナム侯爵家に突き返してやろう。そして俺たちは、さっさと戻る。それで、この面倒な仕事は終わりだな。
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