18 / 28
第18話 主催者に挨拶を
しおりを挟む
ライリー公爵との歓談を終えて次は、今回のパーティーに招いてくれた主催者であるフィリベール王子に挨拶しに行く。失礼がないよう慎重に。面倒が起きないように細心の注意を払って。
王子である彼の周りには、挨拶する人が殺到していた。なので、順番を待ってから声をかけることに。かなり忙しそうだから、一言二言だけ話してすぐに離れたほうが良さそうかしら。
ブレイク様と相談しながら私は、フィリベール王子との過去について思い出していた。
元婚約者であるフィリベール王子。婚約を破棄すると告げられて、そのまま別れることになった相手。まさか、このような形で再会することになるとは予想外だった。
あの時、見知らぬ令嬢をイジメたという疑いをかけられた。その時の事については、ブレイク様にも話してある。誤解である事も説明した。フィリベール王子が何か言ってくるかもしれないけど、事実じゃないから気にする必要はない。
しばらく時間が経ったので、誤解も解けているかも。わざわざパーティーに招いたので、その辺りの事情は解決したのかも。触れるような内容じゃないでしょうから、私から話題には出さないようにしましょう。
フィリベール王子に対して思うところはある。でも今は、ある意味感謝していた。ブレイク様と出会えたキッカケだから。
婚約を破棄してもらって、辺境に送ってくれたことでブレイク様と出会えたから。あの出来事がなければ、彼とは出会えなかった。だから、本当に感謝している。今の私達があるのは、間違いなくフィリベール王子のおかげ。
私達の順番が来た。ブレイク様と一緒に前へ出ると、フィリベール王子がこちらに気づいて、驚いた顔をする。
「初めまして、フィリベール殿下。本日は、お招きいただきありがとうございます」
「え、あ、うん。よく来てくれた」
ブレイク様が挨拶するが、気のない返事をするフィリベール王子。彼はチラチラと私の方に視線を向けてきた。どうやら、私の事が気になるみたい。
さっさと挨拶を済ませて、立ち去ったほうが良さそう。ミリアンも忠告してくれたから。
「お久しぶりです、フィリベール殿下」
「お、おう。久しぶりだなレティシア。えっと、元気だったか?」
私が声をかけると、フィリベール王子は少し戸惑った様子だった。ぎこちない笑顔で話しかけてくる。でも、私のことを気にしている様子もある。
婚約破棄を告げられた時のような険悪さは感じられない。なので、普通に答える。
「はい、元気に過ごしています。今日は、このような素晴らしいパーティーにお招きいただき光栄です」
「そ、そうか。それなら良かったよ」
私の言葉に、嬉しそうに頷くフィリベール王子。これぐらいで、彼との会話は十分かしら。ブレイク様とお話する様子もないので、早々に退散しようと思う。
「それでは私達は、これで失礼しますね」
「ま、待て! せっかく来たんだ。もう少し話そうじゃないか。君に話したいことがあるんだ」
このまま立ち去ろうとしたら、慌てて呼び止めるフィリベール王子。これじゃあ、立ち止まるしかない。すぐに別れたかったけど、離してくれたなかった。面倒かも。でも、邪険に扱うわけにもいかないわね。
「はい、何でしょうか?」
私はパートナーであるブレイク様の横に立ち、フィリベール王子の話を聞くことになった。さて、どうしましょう。
王子である彼の周りには、挨拶する人が殺到していた。なので、順番を待ってから声をかけることに。かなり忙しそうだから、一言二言だけ話してすぐに離れたほうが良さそうかしら。
ブレイク様と相談しながら私は、フィリベール王子との過去について思い出していた。
元婚約者であるフィリベール王子。婚約を破棄すると告げられて、そのまま別れることになった相手。まさか、このような形で再会することになるとは予想外だった。
あの時、見知らぬ令嬢をイジメたという疑いをかけられた。その時の事については、ブレイク様にも話してある。誤解である事も説明した。フィリベール王子が何か言ってくるかもしれないけど、事実じゃないから気にする必要はない。
しばらく時間が経ったので、誤解も解けているかも。わざわざパーティーに招いたので、その辺りの事情は解決したのかも。触れるような内容じゃないでしょうから、私から話題には出さないようにしましょう。
フィリベール王子に対して思うところはある。でも今は、ある意味感謝していた。ブレイク様と出会えたキッカケだから。
婚約を破棄してもらって、辺境に送ってくれたことでブレイク様と出会えたから。あの出来事がなければ、彼とは出会えなかった。だから、本当に感謝している。今の私達があるのは、間違いなくフィリベール王子のおかげ。
私達の順番が来た。ブレイク様と一緒に前へ出ると、フィリベール王子がこちらに気づいて、驚いた顔をする。
「初めまして、フィリベール殿下。本日は、お招きいただきありがとうございます」
「え、あ、うん。よく来てくれた」
ブレイク様が挨拶するが、気のない返事をするフィリベール王子。彼はチラチラと私の方に視線を向けてきた。どうやら、私の事が気になるみたい。
さっさと挨拶を済ませて、立ち去ったほうが良さそう。ミリアンも忠告してくれたから。
「お久しぶりです、フィリベール殿下」
「お、おう。久しぶりだなレティシア。えっと、元気だったか?」
私が声をかけると、フィリベール王子は少し戸惑った様子だった。ぎこちない笑顔で話しかけてくる。でも、私のことを気にしている様子もある。
婚約破棄を告げられた時のような険悪さは感じられない。なので、普通に答える。
「はい、元気に過ごしています。今日は、このような素晴らしいパーティーにお招きいただき光栄です」
「そ、そうか。それなら良かったよ」
私の言葉に、嬉しそうに頷くフィリベール王子。これぐらいで、彼との会話は十分かしら。ブレイク様とお話する様子もないので、早々に退散しようと思う。
「それでは私達は、これで失礼しますね」
「ま、待て! せっかく来たんだ。もう少し話そうじゃないか。君に話したいことがあるんだ」
このまま立ち去ろうとしたら、慌てて呼び止めるフィリベール王子。これじゃあ、立ち止まるしかない。すぐに別れたかったけど、離してくれたなかった。面倒かも。でも、邪険に扱うわけにもいかないわね。
「はい、何でしょうか?」
私はパートナーであるブレイク様の横に立ち、フィリベール王子の話を聞くことになった。さて、どうしましょう。
104
お気に入りに追加
1,686
あなたにおすすめの小説

婚約者の態度が悪いので婚約破棄を申し出たら、えらいことになりました
神村 月子
恋愛
貴族令嬢アリスの婚約者は、毒舌家のラウル。
彼と会うたびに、冷たい言葉を投げつけられるし、自分よりも妹のソフィといるほうが楽しそうな様子を見て、アリスはとうとう心が折れてしまう。
「それならば、自分と妹が婚約者を変わればいいのよ」と思い付いたところから、えらいことになってしまうお話です。
登場人物たちの不可解な言動の裏に何があるのか、謎解き感覚でお付き合いください。
※当作品は、「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています

【完結】次期聖女として育てられてきましたが、異父妹の出現で全てが終わりました。史上最高の聖女を追放した代償は高くつきます!
林 真帆
恋愛
マリアは聖女の血を受け継ぐ家系に生まれ、次期聖女として大切に育てられてきた。
マリア自身も、自分が聖女になり、全てを国と民に捧げるものと信じて疑わなかった。
そんなマリアの前に、異父妹のカタリナが突然現れる。
そして、カタリナが現れたことで、マリアの生活は一変する。
どうやら現聖女である母親のエリザベートが、マリアを追い出し、カタリナを次期聖女にしようと企んでいるようで……。
2022.6.22 第一章完結しました。
2022.7.5 第二章完結しました。
第一章は、主人公が理不尽な目に遭い、追放されるまでのお話です。
第二章は、主人公が国を追放された後の生活。まだまだ不幸は続きます。
第三章から徐々に主人公が報われる展開となる予定です。


コルセットがきつすぎて食べられずにいたら婚約破棄されました
おこめ
恋愛
親が決めた婚約者に婚約を破棄して欲しいと言われたクリス。
理由は『食べなくなった』から。
そんな理由で納得出来るかーーー!とキレつつも婚約破棄自体は嬉しい。
しかしいつものように平民街の食堂で食事をしているとそこに何故か元婚約者が!?
しかも何故かクリスを口説いてくる!?
そんなお話です。

姉の物を奪いたい妹と、等価交換の法則に従って行動する姉
マーサ
恋愛
年齢不相応に大人びた子供だった姉イレーナと無邪気に甘える妹ハンナ。どちらを両親が可愛がるかは火を見るより明らかだった。
甘やかされて育ったハンナは「姉の物は自分の物」とイレーナの物を奪っていくが、早くから社会経験を積んだイレーナは「世の中の真理は等価交換」だと信じ、ハンナの持ち物から等価値の物と交換していた。
物を奪っても上手くいかないハンナは、イレーナの悔しがる顔見たさに婚約者を奪い取る。
「私には婚約者がおりませんから、お姉様お得意の等価交換とやらもできませんわね」
王家主催のパーティで告げるも、イレーナは満面の笑顔で「婚約破棄、承知いたしました」と了承し……。
★コメディです
★設定はユルユルです
★本編10話+おまけ3話(執筆済み)
★ざまぁはおまけ程度

不憫な貴方を幸せにします
紅子
恋愛
絶世の美女と男からチヤホヤされるけど、全然嬉しくない。だって、私の好みは正反対なんだもん!ああ、前世なんて思い出さなければよかった。美醜逆転したこの世界で私のタイプは超醜男。競争率0のはずなのに、周りはみんな違う意味で敵ばっかり。もう!私にかまわないで!!!
毎日00:00に更新します。
完結済み
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

【完結】転生したぐうたら令嬢は王太子妃になんかになりたくない
金峯蓮華
恋愛
子供の頃から休みなく忙しくしていた貴子は公認会計士として独立するために会社を辞めた日に事故に遭い、死の間際に生まれ変わったらぐうたらしたい!と願った。気がついたら中世ヨーロッパのような世界の子供、ヴィヴィアンヌになっていた。何もしないお姫様のようなぐうたらライフを満喫していたが、突然、王太子に求婚された。王太子妃になんかなったらぐうたらできないじゃない!!ヴィヴィアンヌピンチ!
小説家になろうにも書いてます。

【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!
りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。
食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。
だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。
食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。
パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。
そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。
王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。
そんなの自分でしろ!!!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる