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第41話 本心
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ラインヴァルトの家族達と挨拶を済ませて、私はファルスノ帝国に滞在することになった。
ここまで連れてきてくれた、執事のゲオルグと御者のタデウス。旅の間、お世話をしてくれたメイドのマイユ、ケーテの2人も引き続き一緒に居ることになった。
ここでお別れするという選択肢もあったが、彼らは全員、私と一緒に居ると言ってくれたので嬉しかった。
私はラインヴァルトにお願いして、お世話係にしてもらった。彼らも、私と一緒に守ってもらう。
ファルスノ帝国での生活は、とても穏やかだった。だけど小さな不安が常にある。守ってくれると言われて、とても心強い。私が何も聞いたりしなければ、この関係がずっと続くと思う。それでも、ラインヴァルトに聞いてみたかった。
ある日、彼と2人で話す機会が訪れた。私は、単刀直入に聞く。
「あの、ラインヴァルト様」
「どうした?」
ラインヴァルトは、心配するような顔で私を見る。覚悟を決めて、私は聞いた。
「もしも私が、幸運の女神の加護を得た者じゃなければ助けてくれなかった?」
「そんなことはない」
彼は、即座に力強く否定した。そして、その理由を語ってくれた。
「俺が君と出会えたのは、幸運の女神の加護がキッカケかもしれない。だけど、もしその前に出会って一緒に過ごしたら、絶対に好きになっていたと思う」
「どうして?」
ラインヴァルトは真剣だった。嘘を言っているような表情じゃない。彼の言葉は、信じられる。だけど、なぜだろう。
「カトリーヌと一緒に旅した日々は、とても楽しかった。これから先も、ずっと君と一緒に居たと思ったんだ」
「私も! 私も、ラインヴァルト様と一緒に居たいと思いましたッ!」
彼も、同じ気持ちだったことが嬉しかった。旅の道中は色々と大変だったけれど、楽しい思い出もいっぱいあった。その時、ラインヴァルトとずっと一緒に居たいなと思っていた。
私は、素直な気持ちを彼に伝える。恥ずかしかったけれど、本心を。
「心配させたみたいで、ごめん」
「いえ! 私が勝手に不安に思っていただけで……」
彼の本心を知ることが出来て本当に良かった。だけど、ラインヴァルトを謝らせてしまった。とても申し訳ない気持ちになる。彼には、笑って欲しい。
「でも、良かった。結婚前に本心を伝えることが出来て」
「え? 結婚……?」
ラインヴァルトが突然、結婚と言い出した。一体、誰と誰の結婚かしら。話の流れから考えると、私と彼の結婚のように思える。だけど、そんな話は無かったはず。
「え?」
そんな事を考えていると、彼もキョトンとした顔をしていた。しばらくしてから、ラインヴァルトが頭をガシガシとかく。しまった、というような表情で。
「すまない。これも、ちゃんと言葉にして伝えておくべきだったね。あの時に、俺は君に伝えて受け入れてもらったと勘違いしていた。言葉足らずだ」
「えっと……」
「君を守ると誓った。あれは、結婚して欲しいという気持ちで伝えたんだ。だから、改めて言うよ。カトリーヌ、俺と結婚して欲しい」
「ッ!?」
真っ直ぐな目で、ラインヴァルトに見つめられた。なんと言われたのか、私は頭の中で再確認する。私は、プロポーズされたのね。顔が、とても熱くなっていた。
ここまで連れてきてくれた、執事のゲオルグと御者のタデウス。旅の間、お世話をしてくれたメイドのマイユ、ケーテの2人も引き続き一緒に居ることになった。
ここでお別れするという選択肢もあったが、彼らは全員、私と一緒に居ると言ってくれたので嬉しかった。
私はラインヴァルトにお願いして、お世話係にしてもらった。彼らも、私と一緒に守ってもらう。
ファルスノ帝国での生活は、とても穏やかだった。だけど小さな不安が常にある。守ってくれると言われて、とても心強い。私が何も聞いたりしなければ、この関係がずっと続くと思う。それでも、ラインヴァルトに聞いてみたかった。
ある日、彼と2人で話す機会が訪れた。私は、単刀直入に聞く。
「あの、ラインヴァルト様」
「どうした?」
ラインヴァルトは、心配するような顔で私を見る。覚悟を決めて、私は聞いた。
「もしも私が、幸運の女神の加護を得た者じゃなければ助けてくれなかった?」
「そんなことはない」
彼は、即座に力強く否定した。そして、その理由を語ってくれた。
「俺が君と出会えたのは、幸運の女神の加護がキッカケかもしれない。だけど、もしその前に出会って一緒に過ごしたら、絶対に好きになっていたと思う」
「どうして?」
ラインヴァルトは真剣だった。嘘を言っているような表情じゃない。彼の言葉は、信じられる。だけど、なぜだろう。
「カトリーヌと一緒に旅した日々は、とても楽しかった。これから先も、ずっと君と一緒に居たと思ったんだ」
「私も! 私も、ラインヴァルト様と一緒に居たいと思いましたッ!」
彼も、同じ気持ちだったことが嬉しかった。旅の道中は色々と大変だったけれど、楽しい思い出もいっぱいあった。その時、ラインヴァルトとずっと一緒に居たいなと思っていた。
私は、素直な気持ちを彼に伝える。恥ずかしかったけれど、本心を。
「心配させたみたいで、ごめん」
「いえ! 私が勝手に不安に思っていただけで……」
彼の本心を知ることが出来て本当に良かった。だけど、ラインヴァルトを謝らせてしまった。とても申し訳ない気持ちになる。彼には、笑って欲しい。
「でも、良かった。結婚前に本心を伝えることが出来て」
「え? 結婚……?」
ラインヴァルトが突然、結婚と言い出した。一体、誰と誰の結婚かしら。話の流れから考えると、私と彼の結婚のように思える。だけど、そんな話は無かったはず。
「え?」
そんな事を考えていると、彼もキョトンとした顔をしていた。しばらくしてから、ラインヴァルトが頭をガシガシとかく。しまった、というような表情で。
「すまない。これも、ちゃんと言葉にして伝えておくべきだったね。あの時に、俺は君に伝えて受け入れてもらったと勘違いしていた。言葉足らずだ」
「えっと……」
「君を守ると誓った。あれは、結婚して欲しいという気持ちで伝えたんだ。だから、改めて言うよ。カトリーヌ、俺と結婚して欲しい」
「ッ!?」
真っ直ぐな目で、ラインヴァルトに見つめられた。なんと言われたのか、私は頭の中で再確認する。私は、プロポーズされたのね。顔が、とても熱くなっていた。
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