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第20話 不意の悲報 ※ラフォン家当主視点
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「な、なに!? 我が領地でも反乱が発生しただとッ!」
ゲオルグの後継者として、筆頭執事に任命したバジル。彼の報告を聞いて激怒したのは、ラフォン家の当主であるクレマンスである。その報告は、全くの予想外であり致命的だったから八つ当たりのように、報告しにきたバジルに当たる。
クレマンスの怒りに文句を言いたかったバジルは、口には出さずに我慢して文句を飲み込んだ。こうなったのはラクログダム王国の情勢が悪いからで、自分の責任じゃない。
屋敷の執務室で、そんな二人が話し合いをしていた。
「数日前に、反乱は起きないと報告したではないか! あれは、嘘だったのか!?」
「い、いえ。そ、それは……じょ、状況が変わって……」
最近、ラクログダム王国で反乱が多発していることをクレマンスは把握していた。その事について不安に思ったので、少し前に確認もしていた。うちの領地では反乱が起きる可能性はあるのかどうか、ということを。
状況を聞かれた筆頭執事のバジルは、自信満々で大丈夫だと答えた。ここ数年間、ラフォン領で反乱は起きていない。だから、心配することはないと。
それを聞いて、クレマンスは安心した。それなのに、反乱は起きてしまったのか。つまり、不運に見舞われたということ。もしかして、これは娘の影響なのか……。
とりあえず今は、被害状況を確認しておくべきか。この後の対応を考えるために、情報を求めるクレマンスは、部下に尋ねた。
「それで領の被害は? どれぐらいなのだ?」
「それが、まだ鎮圧は完了していなくて。被害が増加している状況なので……」
「なんだとッ! 領兵は何をしていた?」
「えっと、対応にあたっていますが、手こずっているようで」
「クソッ! こんな時のために、高い賃金を支払っているというのに。肝心な時に、役に立たない奴らめッ!」
バジルの報告を聞くたびに、クレマンスの怒りが膨れ上がっていく。けれど突然、クレマンスは怒りの表情をスッと消した。
「報告は分かった。なら、お前が対処しておけ」
「え? で、ですが私は屋敷の筆頭執事です。管轄が違うんじゃ……」
「言い訳をするなッ! 前任者のゲオルグは、どんな問題でも対処していたんだぞ! 今は、お前が筆頭執事だ。だからお前が、なんとかしろ」
「そ、そんな……」
そしてクレマンスは、バジルの言葉を全て無視して執務室から追い出した。
筆頭執事に任命したばかりだというのに、クレマンスは先行きが不安になる。奴を任命して、本当に大丈夫だったのか。既に、後悔し始めていた。
今からでも、筆頭執事は別の誰かに変えるべきか。いや、今はそれよりも。
クレマンスは思考を切り替えて、別の問題で悩み始める。
「ただでさえ、金が無いというのに……!」
マティルドという娘をレナルド王子の新しい婚約相手に薦めるために、資産を投入していた。更に、税金の徴収額が減ってしまったらラフォン家は破綻してしまう。
どうにかしなければ。クレマンスは、必死に考え込んだ。
ゲオルグの後継者として、筆頭執事に任命したバジル。彼の報告を聞いて激怒したのは、ラフォン家の当主であるクレマンスである。その報告は、全くの予想外であり致命的だったから八つ当たりのように、報告しにきたバジルに当たる。
クレマンスの怒りに文句を言いたかったバジルは、口には出さずに我慢して文句を飲み込んだ。こうなったのはラクログダム王国の情勢が悪いからで、自分の責任じゃない。
屋敷の執務室で、そんな二人が話し合いをしていた。
「数日前に、反乱は起きないと報告したではないか! あれは、嘘だったのか!?」
「い、いえ。そ、それは……じょ、状況が変わって……」
最近、ラクログダム王国で反乱が多発していることをクレマンスは把握していた。その事について不安に思ったので、少し前に確認もしていた。うちの領地では反乱が起きる可能性はあるのかどうか、ということを。
状況を聞かれた筆頭執事のバジルは、自信満々で大丈夫だと答えた。ここ数年間、ラフォン領で反乱は起きていない。だから、心配することはないと。
それを聞いて、クレマンスは安心した。それなのに、反乱は起きてしまったのか。つまり、不運に見舞われたということ。もしかして、これは娘の影響なのか……。
とりあえず今は、被害状況を確認しておくべきか。この後の対応を考えるために、情報を求めるクレマンスは、部下に尋ねた。
「それで領の被害は? どれぐらいなのだ?」
「それが、まだ鎮圧は完了していなくて。被害が増加している状況なので……」
「なんだとッ! 領兵は何をしていた?」
「えっと、対応にあたっていますが、手こずっているようで」
「クソッ! こんな時のために、高い賃金を支払っているというのに。肝心な時に、役に立たない奴らめッ!」
バジルの報告を聞くたびに、クレマンスの怒りが膨れ上がっていく。けれど突然、クレマンスは怒りの表情をスッと消した。
「報告は分かった。なら、お前が対処しておけ」
「え? で、ですが私は屋敷の筆頭執事です。管轄が違うんじゃ……」
「言い訳をするなッ! 前任者のゲオルグは、どんな問題でも対処していたんだぞ! 今は、お前が筆頭執事だ。だからお前が、なんとかしろ」
「そ、そんな……」
そしてクレマンスは、バジルの言葉を全て無視して執務室から追い出した。
筆頭執事に任命したばかりだというのに、クレマンスは先行きが不安になる。奴を任命して、本当に大丈夫だったのか。既に、後悔し始めていた。
今からでも、筆頭執事は別の誰かに変えるべきか。いや、今はそれよりも。
クレマンスは思考を切り替えて、別の問題で悩み始める。
「ただでさえ、金が無いというのに……!」
マティルドという娘をレナルド王子の新しい婚約相手に薦めるために、資産を投入していた。更に、税金の徴収額が減ってしまったらラフォン家は破綻してしまう。
どうにかしなければ。クレマンスは、必死に考え込んだ。
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