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第59話 温泉旅館
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動物園を見学した後、予約している温泉旅館へ向かった。
旅館の前に車が停車すると、旅館のスタッフらしき女性達が出迎えてくれた。その人達は、助手席に座る僕の顔を見ると満面の笑みを浮かべて頭を深々と下げた。
停車した車から、僕と母さんが降りる。
「ようこそ、いらっしゃいました」
スタッフの女性が一歩前に出て笑顔で挨拶してくれたので、僕は軽く会釈をした。
「お待ちしておりました、七沢様。お荷物は私達が、お運びいたしますね」
「あ、お願いします」
僕達は、着替えなどが入ったバッグを車から下ろして、スタッフに運んでもらう。それから母さんは、車の鍵も渡した。僕達が乗ってきた車は、駐車場まで移動をしてもらうようだ。
旅館の中に入ると、女将さんと思われる女性が微笑んで頭を下げてきた。その後ろには、着物姿の女性達がズラリと並んでいる。
僕達、かなり手厚く歓迎されているようだ。
「お部屋まで、案内させていただきます」
そう言ってくれた女将さんの後に、僕達はついていく。
ロビーには大きな池があって、鯉が何匹も泳いでいた。床にも綺麗な模様の入った石が敷かれていて、豪華な雰囲気を感じる。しばらく歩くと、長い廊下に出た。その廊下の左右には竹林が広がっている。
どうやら、この奥にある建物全体が客室になっているらしい。部屋に入る前から、かなり広そうな予感がする。こんなに高級そうな部屋を借りたのか。
「こちらが、本日ご宿泊されるお部屋になります」
「うわ、広い」
廊下の奥の部屋に着くと、女将さんが立ち止まって言う。そして、僕達は畳敷きの部屋に通された。
やっぱり、かなり広い部屋だった。窓から立派な庭園が見える。それから、部屋の真ん中には大きなテーブルがあった。2人だけで泊まるような広さの部屋ではないと思うんだけど。広すぎると思う。
部屋を見回していた僕の後ろで、母さんが女将さんと話していた。
「部屋の前にある廊下は、他の宿泊客が近づくのを禁止しております。ご同行者様は、こちらの証明証を必ず見えるようにしてから、廊下を通ってください。万が一、他のお客様と接触してしまった場合には、すぐにフロントまで連絡してください」
「はい、わかりました」
母さんが、女将から社員証のようなものを受け取ると、首からぶら下げる。それを下げていないと、部屋の前の通路を通ることができないらしい。
それは、おそらく男性である僕を守るための対策なんだろう。もしも他の女性客が部屋に近寄ってきたらフロントに通報して、対応してもらえるらしい。
そこまで厳重に警戒してくれるなんて、ちょっと大げさじゃないかと思うけどな。でもまあ、仕方ないのか。僕が、男だからだろう。家の周りにある監視カメラなどのセキュリティを考えると、これぐらいの警戒なんかは普通なのかもしれない。
守ってくれるというのなら、ありがたく守ってもらおうかな。
だけど、あまり旅館内を動き回らないほうが良さそうかな。他の人に迷惑をかけてしまうかもしれないから。サービスエリアの出来事もあったから。宿泊中は、部屋で大人しくしておくのが一番良いかもね。
「お食事は、19時頃にお持ちいたします。お風呂は、24時間いつでも入ることが出来るので、ご自由に使って下さい。また御用がありましたら、お気軽に内線電話をお使いください。それでは、失礼致します」
「ありがとうございます」
母さんが旅館の説明を聞き、その説明が終わると女将は一礼してから立ち去った。僕は女将を見送った後、窓際に座って外を見る。
夕暮れ時、ここから見える景色は絶景だった。庭園の奥の風景に川が流れていて、その川の向こう側には山が広がっている。徐々に暗くなっていく、そんな自然の風景を楽しむことができるのだ。
しばらくの間、僕は外の美しい景色を楽しんだ。
この部屋は、男性客と付き添いの人しか宿泊することが出来ない特別な部屋なのだという。つまり僅かな人しか、ここから見える美しい景色を眺めることが出来ないのかな。
そう思うと、とても贅沢な気分になる。こんなに素晴らしい景色を見ながら食事をするのも最高だろう。それから、朝の明るい時間帯にも見てみたいな。
この部屋には、温泉も付いているみたいだ。しかも、露天らしい。そこから見える景色も、きっと素晴らしいんだろうなぁ。
夕食の時間まで、まだ少しあるみたいだから先にお風呂に入っておくか。
旅館の前に車が停車すると、旅館のスタッフらしき女性達が出迎えてくれた。その人達は、助手席に座る僕の顔を見ると満面の笑みを浮かべて頭を深々と下げた。
停車した車から、僕と母さんが降りる。
「ようこそ、いらっしゃいました」
スタッフの女性が一歩前に出て笑顔で挨拶してくれたので、僕は軽く会釈をした。
「お待ちしておりました、七沢様。お荷物は私達が、お運びいたしますね」
「あ、お願いします」
僕達は、着替えなどが入ったバッグを車から下ろして、スタッフに運んでもらう。それから母さんは、車の鍵も渡した。僕達が乗ってきた車は、駐車場まで移動をしてもらうようだ。
旅館の中に入ると、女将さんと思われる女性が微笑んで頭を下げてきた。その後ろには、着物姿の女性達がズラリと並んでいる。
僕達、かなり手厚く歓迎されているようだ。
「お部屋まで、案内させていただきます」
そう言ってくれた女将さんの後に、僕達はついていく。
ロビーには大きな池があって、鯉が何匹も泳いでいた。床にも綺麗な模様の入った石が敷かれていて、豪華な雰囲気を感じる。しばらく歩くと、長い廊下に出た。その廊下の左右には竹林が広がっている。
どうやら、この奥にある建物全体が客室になっているらしい。部屋に入る前から、かなり広そうな予感がする。こんなに高級そうな部屋を借りたのか。
「こちらが、本日ご宿泊されるお部屋になります」
「うわ、広い」
廊下の奥の部屋に着くと、女将さんが立ち止まって言う。そして、僕達は畳敷きの部屋に通された。
やっぱり、かなり広い部屋だった。窓から立派な庭園が見える。それから、部屋の真ん中には大きなテーブルがあった。2人だけで泊まるような広さの部屋ではないと思うんだけど。広すぎると思う。
部屋を見回していた僕の後ろで、母さんが女将さんと話していた。
「部屋の前にある廊下は、他の宿泊客が近づくのを禁止しております。ご同行者様は、こちらの証明証を必ず見えるようにしてから、廊下を通ってください。万が一、他のお客様と接触してしまった場合には、すぐにフロントまで連絡してください」
「はい、わかりました」
母さんが、女将から社員証のようなものを受け取ると、首からぶら下げる。それを下げていないと、部屋の前の通路を通ることができないらしい。
それは、おそらく男性である僕を守るための対策なんだろう。もしも他の女性客が部屋に近寄ってきたらフロントに通報して、対応してもらえるらしい。
そこまで厳重に警戒してくれるなんて、ちょっと大げさじゃないかと思うけどな。でもまあ、仕方ないのか。僕が、男だからだろう。家の周りにある監視カメラなどのセキュリティを考えると、これぐらいの警戒なんかは普通なのかもしれない。
守ってくれるというのなら、ありがたく守ってもらおうかな。
だけど、あまり旅館内を動き回らないほうが良さそうかな。他の人に迷惑をかけてしまうかもしれないから。サービスエリアの出来事もあったから。宿泊中は、部屋で大人しくしておくのが一番良いかもね。
「お食事は、19時頃にお持ちいたします。お風呂は、24時間いつでも入ることが出来るので、ご自由に使って下さい。また御用がありましたら、お気軽に内線電話をお使いください。それでは、失礼致します」
「ありがとうございます」
母さんが旅館の説明を聞き、その説明が終わると女将は一礼してから立ち去った。僕は女将を見送った後、窓際に座って外を見る。
夕暮れ時、ここから見える景色は絶景だった。庭園の奥の風景に川が流れていて、その川の向こう側には山が広がっている。徐々に暗くなっていく、そんな自然の風景を楽しむことができるのだ。
しばらくの間、僕は外の美しい景色を楽しんだ。
この部屋は、男性客と付き添いの人しか宿泊することが出来ない特別な部屋なのだという。つまり僅かな人しか、ここから見える美しい景色を眺めることが出来ないのかな。
そう思うと、とても贅沢な気分になる。こんなに素晴らしい景色を見ながら食事をするのも最高だろう。それから、朝の明るい時間帯にも見てみたいな。
この部屋には、温泉も付いているみたいだ。しかも、露天らしい。そこから見える景色も、きっと素晴らしいんだろうなぁ。
夕食の時間まで、まだ少しあるみたいだから先にお風呂に入っておくか。
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