17 / 25
第17話 噂話 ※第三者視点
しおりを挟む
シルヴェーヌが婚約を破棄されて、セドリック王子がプロポーズを拒否された話は各所で話題になっていた。
「ねぇねぇ、あの話は聞いた?」
「もちろん! あの投げ飛ばされて気絶した方の話よね?」
貴族の令嬢達が、周囲を気にしつつ小声で噂話に花を咲かせて盛り上がっている。
「まさか、婚約を破棄されるなんて」
「酷い話よね」
令嬢達は、婚約破棄を告げられたシルヴェーヌに同情的だった。
「昔から、お二人の関係は悪かったもの。いつか、こうなるんじゃないかなって私は思ってたわよ」
「パーティーでは、いつも一人で放置されて可哀想だった。でも、あの方は一人でも堂々としていた。凛々しく振る舞っていたのよ」
「私も、あの方のように勇敢に振る舞えるようになりたいと思っていたわ」
「わかる! 私も、あの方を尊敬していたのよ」
「居なくなってしまわれて、本当に残念」
とある令嬢の意見に、皆が同意する。
誰に対しても冷たい態度で接するシルヴェーヌだったが、意外と周りの令嬢たちはシルヴェーヌの姿に憧れていた。憧れの視線を向けられていた本人は、何も気付いていなかったが。
「でも、婚約を破棄してすぐ別の女にプロポーズするなんて」
「それも、失敗したのよ! どうして、あんな事をしたのかしら」
「わからないけど。きっと自分の立場の上に、あぐらをかいていたんでしょう?」
「えぇー? それが本当なら、最悪じゃない」
令嬢達の会話は、盛り上がる一方だ。
「ただ断られただけじゃなくて、逆上して女性に手を上げようとしたらしいわよ」
「自分の思い通りにならないからって、暴力を振るうなんて最低ね」
「それで、逆に投げ飛ばされたらしいのよ。しかも、気絶までしたらしいわ」
「その話って本当なの? 本当だとしたら、男なのに貧弱すぎないかしら?」
「顔は良いのに。少し幻滅よね」
「あの方が、次の王になるなんて不安になってくるわ」
セドリック王子に対して、ネガティブな意見が続出する。彼に対する印象は、最悪だった。そんな中、一人の令嬢が注意する。
「それ以上は、止めておきなさい。反逆罪で捕まるかもしれないわよ」
「そうね。気を付けるわ」
どこで誰が聞いているか分からない。誰かに聞かれたらマズイ内容だった。慌てて口を閉じた令嬢達。それで、あの日の話は終わった。
その後、話題を切り替えて全く別の話で令嬢達は盛り上がった。
こんな噂話がされた数日後、セドリック王子が王位継承順位を降格させられることが発表されて、皆が知るところとなる。
そして、その話もまた色々な場所で話題となった。
「ねぇねぇ、あの話は聞いた?」
「もちろん! あの投げ飛ばされて気絶した方の話よね?」
貴族の令嬢達が、周囲を気にしつつ小声で噂話に花を咲かせて盛り上がっている。
「まさか、婚約を破棄されるなんて」
「酷い話よね」
令嬢達は、婚約破棄を告げられたシルヴェーヌに同情的だった。
「昔から、お二人の関係は悪かったもの。いつか、こうなるんじゃないかなって私は思ってたわよ」
「パーティーでは、いつも一人で放置されて可哀想だった。でも、あの方は一人でも堂々としていた。凛々しく振る舞っていたのよ」
「私も、あの方のように勇敢に振る舞えるようになりたいと思っていたわ」
「わかる! 私も、あの方を尊敬していたのよ」
「居なくなってしまわれて、本当に残念」
とある令嬢の意見に、皆が同意する。
誰に対しても冷たい態度で接するシルヴェーヌだったが、意外と周りの令嬢たちはシルヴェーヌの姿に憧れていた。憧れの視線を向けられていた本人は、何も気付いていなかったが。
「でも、婚約を破棄してすぐ別の女にプロポーズするなんて」
「それも、失敗したのよ! どうして、あんな事をしたのかしら」
「わからないけど。きっと自分の立場の上に、あぐらをかいていたんでしょう?」
「えぇー? それが本当なら、最悪じゃない」
令嬢達の会話は、盛り上がる一方だ。
「ただ断られただけじゃなくて、逆上して女性に手を上げようとしたらしいわよ」
「自分の思い通りにならないからって、暴力を振るうなんて最低ね」
「それで、逆に投げ飛ばされたらしいのよ。しかも、気絶までしたらしいわ」
「その話って本当なの? 本当だとしたら、男なのに貧弱すぎないかしら?」
「顔は良いのに。少し幻滅よね」
「あの方が、次の王になるなんて不安になってくるわ」
セドリック王子に対して、ネガティブな意見が続出する。彼に対する印象は、最悪だった。そんな中、一人の令嬢が注意する。
「それ以上は、止めておきなさい。反逆罪で捕まるかもしれないわよ」
「そうね。気を付けるわ」
どこで誰が聞いているか分からない。誰かに聞かれたらマズイ内容だった。慌てて口を閉じた令嬢達。それで、あの日の話は終わった。
その後、話題を切り替えて全く別の話で令嬢達は盛り上がった。
こんな噂話がされた数日後、セドリック王子が王位継承順位を降格させられることが発表されて、皆が知るところとなる。
そして、その話もまた色々な場所で話題となった。
27
お気に入りに追加
1,216
あなたにおすすめの小説
妹に醜くなったと婚約者を押し付けられたのに、今さら返せと言われても
亜綺羅もも
恋愛
クリスティーナ・デロリアスは妹のエルリーン・デロリアスに辛い目に遭わされ続けてきた。
両親もエルリーンに同調し、クリスティーナをぞんざいな扱いをしてきた。
ある日、エルリーンの婚約者であるヴァンニール・ルズウェアーが大火傷を負い、醜い姿となってしまったらしく、エルリーンはその事実に彼を捨てることを決める。
代わりにクリスティーナを押し付ける形で婚約を無かったことにしようとする。
そしてクリスティーナとヴァンニールは出逢い、お互いに惹かれていくのであった。
ざまぁを回避したい王子は婚約者を溺愛しています
宇水涼麻
恋愛
春の学生食堂で、可愛らしい女の子とその取り巻きたちは、一つのテーブルに向かった。
そこには、ファリアリス公爵令嬢がいた。
「ファリアリス様、ディック様との婚約を破棄してください!」
いきなりの横暴な要求に、ファリアリスは訝しみながらも、淑女として、可憐に凛々しく対応していく。
婚約者と親友に裏切られたので、大声で叫んでみました
鈴宮(すずみや)
恋愛
公爵令嬢ポラリスはある日、婚約者である王太子シリウスと、親友スピカの浮気現場を目撃してしまう。信じていた二人からの裏切りにショックを受け、その場から逃げ出すポラリス。思いの丈を叫んでいると、その現場をクラスメイトで留学生のバベルに目撃されてしまった。
その後、開き直ったように、人前でイチャイチャするようになったシリウスとスピカ。当然、婚約は破棄されるものと思っていたポラリスだったが、シリウスが口にしたのはあまりにも身勝手な要求だった――――。
家出した伯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。
番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています
6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております
お姉様は嘘つきです! ~信じてくれない毒親に期待するのをやめて、私は新しい場所で生きていく! と思ったら、黒の王太子様がお呼びです?
朱音ゆうひ
恋愛
男爵家の令嬢アリシアは、姉ルーミアに「悪魔憑き」のレッテルをはられて家を追い出されようとしていた。
何を言っても信じてくれない毒親には、もう期待しない。私は家族のいない新しい場所で生きていく!
と思ったら、黒の王太子様からの招待状が届いたのだけど?
別サイトにも投稿してます(https://ncode.syosetu.com/n0606ip/)
【短編完結】地味眼鏡令嬢はとっても普通にざまぁする。
鏑木 うりこ
恋愛
クリスティア・ノッカー!お前のようなブスは侯爵家に相応しくない!お前との婚約は破棄させてもらう!
茶色の長い髪をお下げに編んだ私、クリスティアは瓶底メガネをクイっと上げて了承致しました。
ええ、良いですよ。ただ、私の物は私の物。そこら辺はきちんとさせていただきますね?
(´・ω・`)普通……。
でも書いたから見てくれたらとても嬉しいです。次はもっと特徴だしたの書きたいです。
【完結】妹が欲しがるならなんでもあげて令嬢生活を満喫します。それが婚約者の王子でもいいですよ。だって…
西東友一
恋愛
私の妹は昔から私の物をなんでも欲しがった。
最初は私もムカつきました。
でも、この頃私は、なんでもあげるんです。
だって・・・ね
目を覚ました気弱な彼女は腹黒令嬢になり復讐する
音爽(ネソウ)
恋愛
家族と婚約者に虐げられてきた伯爵令嬢ジーン・ベンスは日々のストレスが重なり、高熱を出して寝込んだ。彼女は悪夢にうなされ続けた、夢の中でまで冷遇される理不尽さに激怒する。そして、目覚めた時彼女は気弱な自分を払拭して復讐に燃えるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる