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第12話 大切な家族

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男はタロと約束をすると残りの家族を探しに行く
タロを探しに行く前に妻マリラと子供達とここに居るようにと会話をしていた為居場所は既に分かっている
危険な事態に陥っていなければそこに居るはずだ

【(待ってろよ…マリラ…ララ、ノマ、ルカ…)】

ーその時男は心の中で必ずマリラ達を迎えに行くと誓ったー

~10分後~

【(マリラー!)】

〈……貴方!!良かった、無事だったんだね…〉

〔父ちゃん!!タロは?!無事なの?!〕

【あぁタロは無事だ、ララ、少しは父ちゃんの心配もしてくれないか】

〔えぇ…父ちゃんは強いから大丈夫でしょ?〕

〈こら…2人とも〉

【アッハハ…すまんすまん、あっそれよりも、良い隠れ場所を見つけたんだ、今すぐにそこに移動しよう】

〈あら、そうなの?それじゃあそこに移動しましょう、ノマ歩ける?歩けれなかったら父ちゃんにおんぶしてもらいなさい〉
〈母ちゃんはルカをおんぶしなきゃいけないから…〉

{ん…わかった}

〈良い子だね…〉

マリラはまだ4歳の息子ノマが返事をした瞬間頭を撫でた

〈(戦争なんか早く終われば良いのに…)〉

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
~移動中の会話~


〔ねぇ父ちゃん?〕

【ん?なんだ?ララ】

〔どうして戦争なんかするの?もう100年間も戦争してるんでしょ?先生が言ってたよ、戦争のせいで友達が…〕

ララは途中まで話すと目に涙を浮かばせた
彼女はまだ7歳で産まれた頃から戦争が起きていた
せっかく友達になれたとしても皆戦争によってこの世を去っている

【ん…そうだな…】

その娘の質問に父親はどう答えれば良いか分からなかった
兵士さんは平和の為に戦っているんだ!、俺らサンリ族は神にお許しを貰う為に戦っている!という様々な言葉が男の頭を駆け巡った
平和の為に戦っている?それは今生きている関係のない人達を犠牲にしても良いと思っているのだろうか
神にお許しを貰うのだって何非現実的な事を言っているのだろうか、神が怒っているかも分からないのに

【分からないな…父ちゃんにも分からない…なんで戦争なんかするんだろうな…】

〔………話し合いで解決出来れば良いのにね…〕

【……残念ながらそれは無理だろうな…】

〔え?なんで…?〕

【話し合いで解決できなかったから皆手を汚しているんだ、出来れば最初からこんな状況にはならなかったさ…】

〔……そうなんだ、、〕

【あぁ……悲しいな、いつになったら夜が明けるのだろうか…】

〈………〉

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
~到着後~

「ワンワン!!(ごしゅじんさまたちかえってきた!!)」

〔タローー!!会いたかったよ!!〕

「ワンワンワン!!(ララちゃん!ぼくもだよーー!!だいすき!)」

{タロ}

「ワンワン!!(ノマくんもおかえりー!!だいすき!!)」

2人の子供は1匹の子犬と再開した直後に2人同時にタロを抱きしめた

〈……これからどうするの?ここに居たっていつかはバレるし…〉
〈サンリ安全避難場所に行った方が安全じゃない?〉

【なにを言ってるんだ!、マリラ、お前も見ただろう!!】
【15ヶ所ある内の8ヶ所がアンゲロス族のスパイ達によって破壊されたって】
【全員皆殺しにされたんだぞ!!そんな場所に行ったら次は俺達が殺される対象になるかもしれないんだぞ!!】
【もう少し頭を使え!!子供達を守れるのは俺達だけなんだぞ!!】

〈……そうね、ごめんなさい…〉

【………】

2人の大人達は黙り込む
言い方はキツかったがイーサン(男)の言っている事は正しい
この悲惨な状況で他人と助け合うのは困難だ
''自分が生き残る為なら他人を犠牲にしてでも自分を守る者が多い''
この言葉を見て貴方はどう思っただろうか
''最低だ''とか''よくそんな事が出来るな''などと思う者が多いはずだ
しかし、その選択は間違ってはいない
自分を犠牲にして他人を助けたら貰える言葉はなんだろうか
良い言葉を貰える事もあるが時には残酷な言葉を投げかけられる事もある
他人を助けなくてもそうだ
''お前は正しい選択をした''とか''クズ野郎''とか沢山の賛否両論の言葉を浴びせられるだろう
どちらを選択しても賞賛され批判される
現実は残酷だ、自分の思い通りになる空想世界ではない
生きたいと思うならば生き、助けたいと思うならば助ける
生き残れた人達に伝えるものはなんだろうか
精神的に殺す言葉か?肉体的に殺す暴力か?
いや、どれも違う
まずは生き残れた事に祝福をするべきではないだろうか

「ワンっ!ワンっ!(ごしゅじんさまとママなにしてるの~?)」

1匹の子犬は2人の大人達と1人の赤ん坊に駆け寄る

【あぁ、タロ…ごめんな、もう少しララ達の相手をしてやってくれ…】

「ワンっ!(うん、分かったよ、ごしゅじんさま!!)」

タロはイーサンにそう言われると再びララ達の元へと帰っていった

〔タロー!!〕

{タロ…}

「ワンワン!!(ララちゃーん!ノマくーん!!)」

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