21 / 154
カエルとヤクザ
しおりを挟む
法螺貝の音と、開始の号令の声と共に俺は走り出した。
問題の毒霧は……
確かに空気がぼんやりと薄紫っぽいような気もする。
深呼吸をしてみるが……うん、息苦しさとかの違和感は全くない。
これは……毒耐性レベルを強制的に上げてくれたクソ忍者師弟に感謝すべきなのか?
んっ?いやいやいや、そもそもアイツらのせいでこんな事になってるんじゃないか!
危ない危ない……ちょっと洗脳され始めている。
1階はモンスターは居らず、ほぼまっすぐ200mで下へと降りる階段がある。
ほぼというのは、途中三叉路に別れているからだ。ただそれらは全て明らかにされており、迷う事はない為だ。
階段をそのままの勢いで降りて行く……
っと、途中で足を止めた。
なぜなら階段下のすぐそこまで、三目で灰色の犬が隙間なく埋まっていたのだから。
「ヒッ」
自然発光する洞窟壁の光の中、所狭しと黒い目があったのだ、思わず悲鳴を上げてしまったのも無理はないと思う。
「何を立ち止まっておる……ほう、これはこれは……今年はまた多いのう」
あぁ、多いのね。
それなのになぜこのハゲヤクザは楽しそうなのか?
まぁ、でも言う通りに立ち止まっていても仕方ない。
予定通りの方法で行こうか。
よく夏とかに、海や巨大プールにゴールとなる島が浮かべられ、そこまでを飛び石や浮き石、丸太などの上を飛び移りながら目指すのがあると思う。
テレビで芸能人が水着でキャッキャ騒ぎながら四苦八苦する番組だ。
大抵の見ている人たちは、その無様に海や水の中に落ちる姿を、笑いながら見ていると思う。
かくいう俺も、ナイスバディな女性芸能人のその姿を、何か素敵なハプニングが起こらないかと、前のめりで前屈みになって夢中で見ていたりした。
いつか可愛い彼女と、そんな施設に行って、楽しくイチャつきながら出来たらな~なんて可愛い夢を見ていたりもした。
それがまさか、イカついハゲのおっさんと2人で、ダンジョン内で行うとは思いもしなかったよ……
しかも落ちたら、死にはしないが大変な事になるわけだし。
……サラバ俺の可愛い夢。
穏やかだった、つい3週間前が愛おしい。
なんで夏のテレビの風物詩ともいえる光景を思い出していたか?
それは現在俺は、ウヨウヨといるモンスターたちを浮き石や丸太代わりとして、壁を固定された飛び石として、ぴょんぴょんと戦う事なく走り続けているからだ。
「ふははははははははっ」
時折後方から、ハゲヤクザの謎の笑い声が聞こえてくるのが、俺の恐怖を更に煽って来るけれど、振り向いている余裕などない。
もし落ちたら、大幅な時間ロスだし、体力も大きく削られるだろうからね。
今は階段だけが、小休憩場所だ。
現在20階層、あと半分。
思ったよりもキツイ感じがする……
足場が不安定だと、ここまでキツイものなんだね、途中ちょっと足首ぐにってなったし。
……このまま行けるのか?
ここまでのモンスターは、三目犬と俺の腰までほどの背丈しかない犬頭の人型モンスターであるコボルトだ。
これが10階層までは続き、11階層~30階層まではこれにゴブリンが追加される。
そこまではまだいい、ある程度の高さを維持して跳んで行く事ができれば、何とかなるはずだ。
問題はそれ以降だ、魔法を使う個体が紛れ込んでいるらしいので、かなり危険となる。
更に最下層である40階層には、赤鬼とお供に河童2体がいる。赤鬼は身長2mほどで立派な体躯であり、所謂トゲのついた金棒を持っている。河童は、頭の上にはお皿と背中には甲羅、嘴に水掻きといった妖怪そのものの見た目だ。戦い方は甲羅を盾に使い、水魔法を放ってくるのが特徴とされる。
赤鬼、河童と全て妖怪というか昔話から飛び出て来たような存在だが、鑑定されたところ、そのものの名前らしい。
それ故に、31階層までに時間稼ぎもしなければならない。現在の時間経過は約11時間だから、2時間の貯金だが……スピードアップしないとまずい。
でもここらで1度休憩だ。
喉は乾いてるし、小腹も減った。
「おう、小僧休憩か?」
「あっ、はい。山岡さんも水と食糧いりますか?」
「たかが1日2日、何もなくとも大丈夫だ」
さすがだ……ってか本当に人間かよ!
途中、転びかけた時にチラッと後ろを見たら、満面の笑みでまるで口笛でも吹くかのようにぴょんぴょん飛び跳ねていたし。
少し息切れして、座りこんでいる俺と違って、汗一つ掻いていないように見える。
正体はモンスターだって、もし打ち明けられたとしても、今なら普通に受け入れる事が出来る気がするよ。
やはり魔王信長の部下という事か……
「まさか全部飛び跳ねてここまで来るとはのぉー初めてだ」
えっ?
みんな倒しながらも、このスピードで来てるって事?
やはりピクニック気分という事か……化け物だらけの組織かよ。
「遅くてすみません」
「……あぁ、気にするな」
呆れた表情されたよ……
謝るくらいなら、もっとスピード出して走れよって事ですよね。
はぁ、キムに愚鈍な生産者とか前言ってたけど、俺も愚鈍だったみたいだ。
なんか素敵なスキル生えてないかな~
もう40階層へ一気に跳べちゃう、転移とか、飛行とか……とか……とか……
NINJAなんだから、そんな夢スキルがあってもいいと思うんだ、うん。
とりあえず見てみよう。
頼む!!
「ステータス表示、スキル表示」
◆
横川一太 Age16
job―[NlNJA Lv2]
体力―CC
魔力―C
力 ―D
知力―D
器用―DDD
敏捷―CCC
精神―CCC
◆
固有スキル―火遁(Lv1)・闇遁(Lv1)・口寄せ(Lv1)・分身(Lv1)・刀剣術(Lv5)・手裏剣術(Lv3)・跳躍(Lv6)・毒耐性(Lv8)・麻痺耐性(Lv5)
◆
火遁(Lv1)……火球(Lv3)―火の玉を前方に3つ同時に放出できる。
闇遁(Lv1)……影潜り(Lv4)―120分間影の中に入る事ができる。対象が動いた場合は自動的に動く。中から外の様子を見聞きできるが他の行動は出来ない。
口寄せ(Lv1)……鼠(Lv2)―鼠を2匹魔力によって召喚できる。鼠は魔力で出来ている為に死んでも再度の召喚が可能。念話により意思疎通が可能。攻撃は不可能。存在時間は2時間。
分身(Lv2)……分身(Lv2)―魔力で出来た分身を2体作る事が可能。本体と全く同じ動きをする。存在時間は2時間
刀剣術(Lv5)……忍刀を扱う事が出来る(80cm未満)。2本装備可能。
手裏剣術(Lv3)……手裏剣を投げる事が出来る。
跳躍(Lv6)……身体能力+6mの高さまで跳躍距離が伸びる。
空歩(Lv1)……跳躍時に空中で1歩歩ける。
毒耐性(Lv8)……毒に耐性がある。
麻痺耐性(Lv5)……麻痺に耐性がある。
九字印術(Lv1)……九字印をきる事で、集中力を高める。
◆
おおっ!
敏捷と跳躍Lvも上がってる。
そして待望の新スキルがあるけど……空歩か。まぁ転移とか飛行とは違うけど、確かに有用かも。
そして九字印術は、集中力を高める?
もしかして、スキルにまで「お前落ち着きなさすぎ、もっと余裕持てよ」とか言われているのだろうか……
「なんだ?なんか面白いスキルでも生えたか?すごい顔をしているが」
また顔に出ていたのか。
「あっ、見ます?」
「おう、若に先日までのものは見せて頂いたが、実際にこの目で見てみたいの」
「では、ステータス開示、スキル開示」
「ふははははははははっ!これは面白いなっ!毒耐性が上がっておるし、跳躍や敏捷も上がっておる……まぁこんだけぴょんぴょんとカエルのように飛び跳ねておればのう。で、空歩?九字印?」
クソー!
カエルとか言うんじゃないよっ!何となく自分でも思ってたんだからさっ。
空歩と九字印のスキル説明をすると、またハゲヤクザは笑いだした。
「あれだな、本当に外国人の考えるNINJAそのものだな。きっとそのうち身代わりの術とか、変化の術とか出てくるぞ」
「そんな気はしています……」
「出たらすぐ教えてくれな、身代わりの術のあの丸太がどこから出てくるのか知りたいでな。まぁそれも、ここを乗り切らねば叶わんが」
確かにあの丸太はどこから出てくるんだろうね。
都会のビル街で戦っているのに、何故か丸太が服を着て身代わりになる不思議。
それと、ハゲヤクザの言う通りに、まずはここを乗り切らねば。
「ついでに九字印をやってみたらどうだ?……と言っても手印なぞ知らんか」
それが出来るんだな~
ちょっと若かりし頃に……と言っても数年前だけど、漫画で見て憧れて練習した事はあるから。
まぁ健全な男子なら誰でも1度は罹患する、巷で厨二病とか言われているやつだ。
今思えば恥ずかしい、黒歴史だが……だが……こんな所で生かされるとは。
世の中何がタメになるか、わからないもんだね。
「それが出来るんですよ」
「ほう、若いのに珍しい。さすがは若の弟子」
まさか素直に褒められるとは……
恥ずかしい、恥ずかしすぎる。
行こう、早くこの場から抜け出たい。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」
踏むべき場所が、何となくわかる気がする。
「行きます」
………………
…………
……
その集中力で見えた道らしきものは、5分程で終わりました。
そのせいで1度完全にゴブリンの頭を踏み外し大きく転びかけたけど、空歩のおかげでギリギリ何とか持ち直せた。
何とか危うくも、30階層を終えた。
キツイ……
ダルい……
えっ?既に18時間経ってるよ。
同じスピードで来たつもりだったけど、疲れでスピードが落ちているのか。
貯金はもう使い果したらしい、思ったよりもマズイ状況だ。
だが、わかってはいるのだが、キツイ。
興奮状態にあるために、全く眠たさは感じないが、足が、腹筋が、背中が重い。
だが、余裕はない。
あと10階層とボス部屋だ。
切腹はしたくない、生きていたい。
まだあんな事やこんな事、何にもせずになんて悲しすぎる!
最期の想い出が、ハゲヤクザとのダンジョン探索とか最悪だ。
俺は生きて、いつか如月先輩とイチャイチャするんだっ!
問題の毒霧は……
確かに空気がぼんやりと薄紫っぽいような気もする。
深呼吸をしてみるが……うん、息苦しさとかの違和感は全くない。
これは……毒耐性レベルを強制的に上げてくれたクソ忍者師弟に感謝すべきなのか?
んっ?いやいやいや、そもそもアイツらのせいでこんな事になってるんじゃないか!
危ない危ない……ちょっと洗脳され始めている。
1階はモンスターは居らず、ほぼまっすぐ200mで下へと降りる階段がある。
ほぼというのは、途中三叉路に別れているからだ。ただそれらは全て明らかにされており、迷う事はない為だ。
階段をそのままの勢いで降りて行く……
っと、途中で足を止めた。
なぜなら階段下のすぐそこまで、三目で灰色の犬が隙間なく埋まっていたのだから。
「ヒッ」
自然発光する洞窟壁の光の中、所狭しと黒い目があったのだ、思わず悲鳴を上げてしまったのも無理はないと思う。
「何を立ち止まっておる……ほう、これはこれは……今年はまた多いのう」
あぁ、多いのね。
それなのになぜこのハゲヤクザは楽しそうなのか?
まぁ、でも言う通りに立ち止まっていても仕方ない。
予定通りの方法で行こうか。
よく夏とかに、海や巨大プールにゴールとなる島が浮かべられ、そこまでを飛び石や浮き石、丸太などの上を飛び移りながら目指すのがあると思う。
テレビで芸能人が水着でキャッキャ騒ぎながら四苦八苦する番組だ。
大抵の見ている人たちは、その無様に海や水の中に落ちる姿を、笑いながら見ていると思う。
かくいう俺も、ナイスバディな女性芸能人のその姿を、何か素敵なハプニングが起こらないかと、前のめりで前屈みになって夢中で見ていたりした。
いつか可愛い彼女と、そんな施設に行って、楽しくイチャつきながら出来たらな~なんて可愛い夢を見ていたりもした。
それがまさか、イカついハゲのおっさんと2人で、ダンジョン内で行うとは思いもしなかったよ……
しかも落ちたら、死にはしないが大変な事になるわけだし。
……サラバ俺の可愛い夢。
穏やかだった、つい3週間前が愛おしい。
なんで夏のテレビの風物詩ともいえる光景を思い出していたか?
それは現在俺は、ウヨウヨといるモンスターたちを浮き石や丸太代わりとして、壁を固定された飛び石として、ぴょんぴょんと戦う事なく走り続けているからだ。
「ふははははははははっ」
時折後方から、ハゲヤクザの謎の笑い声が聞こえてくるのが、俺の恐怖を更に煽って来るけれど、振り向いている余裕などない。
もし落ちたら、大幅な時間ロスだし、体力も大きく削られるだろうからね。
今は階段だけが、小休憩場所だ。
現在20階層、あと半分。
思ったよりもキツイ感じがする……
足場が不安定だと、ここまでキツイものなんだね、途中ちょっと足首ぐにってなったし。
……このまま行けるのか?
ここまでのモンスターは、三目犬と俺の腰までほどの背丈しかない犬頭の人型モンスターであるコボルトだ。
これが10階層までは続き、11階層~30階層まではこれにゴブリンが追加される。
そこまではまだいい、ある程度の高さを維持して跳んで行く事ができれば、何とかなるはずだ。
問題はそれ以降だ、魔法を使う個体が紛れ込んでいるらしいので、かなり危険となる。
更に最下層である40階層には、赤鬼とお供に河童2体がいる。赤鬼は身長2mほどで立派な体躯であり、所謂トゲのついた金棒を持っている。河童は、頭の上にはお皿と背中には甲羅、嘴に水掻きといった妖怪そのものの見た目だ。戦い方は甲羅を盾に使い、水魔法を放ってくるのが特徴とされる。
赤鬼、河童と全て妖怪というか昔話から飛び出て来たような存在だが、鑑定されたところ、そのものの名前らしい。
それ故に、31階層までに時間稼ぎもしなければならない。現在の時間経過は約11時間だから、2時間の貯金だが……スピードアップしないとまずい。
でもここらで1度休憩だ。
喉は乾いてるし、小腹も減った。
「おう、小僧休憩か?」
「あっ、はい。山岡さんも水と食糧いりますか?」
「たかが1日2日、何もなくとも大丈夫だ」
さすがだ……ってか本当に人間かよ!
途中、転びかけた時にチラッと後ろを見たら、満面の笑みでまるで口笛でも吹くかのようにぴょんぴょん飛び跳ねていたし。
少し息切れして、座りこんでいる俺と違って、汗一つ掻いていないように見える。
正体はモンスターだって、もし打ち明けられたとしても、今なら普通に受け入れる事が出来る気がするよ。
やはり魔王信長の部下という事か……
「まさか全部飛び跳ねてここまで来るとはのぉー初めてだ」
えっ?
みんな倒しながらも、このスピードで来てるって事?
やはりピクニック気分という事か……化け物だらけの組織かよ。
「遅くてすみません」
「……あぁ、気にするな」
呆れた表情されたよ……
謝るくらいなら、もっとスピード出して走れよって事ですよね。
はぁ、キムに愚鈍な生産者とか前言ってたけど、俺も愚鈍だったみたいだ。
なんか素敵なスキル生えてないかな~
もう40階層へ一気に跳べちゃう、転移とか、飛行とか……とか……とか……
NINJAなんだから、そんな夢スキルがあってもいいと思うんだ、うん。
とりあえず見てみよう。
頼む!!
「ステータス表示、スキル表示」
◆
横川一太 Age16
job―[NlNJA Lv2]
体力―CC
魔力―C
力 ―D
知力―D
器用―DDD
敏捷―CCC
精神―CCC
◆
固有スキル―火遁(Lv1)・闇遁(Lv1)・口寄せ(Lv1)・分身(Lv1)・刀剣術(Lv5)・手裏剣術(Lv3)・跳躍(Lv6)・毒耐性(Lv8)・麻痺耐性(Lv5)
◆
火遁(Lv1)……火球(Lv3)―火の玉を前方に3つ同時に放出できる。
闇遁(Lv1)……影潜り(Lv4)―120分間影の中に入る事ができる。対象が動いた場合は自動的に動く。中から外の様子を見聞きできるが他の行動は出来ない。
口寄せ(Lv1)……鼠(Lv2)―鼠を2匹魔力によって召喚できる。鼠は魔力で出来ている為に死んでも再度の召喚が可能。念話により意思疎通が可能。攻撃は不可能。存在時間は2時間。
分身(Lv2)……分身(Lv2)―魔力で出来た分身を2体作る事が可能。本体と全く同じ動きをする。存在時間は2時間
刀剣術(Lv5)……忍刀を扱う事が出来る(80cm未満)。2本装備可能。
手裏剣術(Lv3)……手裏剣を投げる事が出来る。
跳躍(Lv6)……身体能力+6mの高さまで跳躍距離が伸びる。
空歩(Lv1)……跳躍時に空中で1歩歩ける。
毒耐性(Lv8)……毒に耐性がある。
麻痺耐性(Lv5)……麻痺に耐性がある。
九字印術(Lv1)……九字印をきる事で、集中力を高める。
◆
おおっ!
敏捷と跳躍Lvも上がってる。
そして待望の新スキルがあるけど……空歩か。まぁ転移とか飛行とは違うけど、確かに有用かも。
そして九字印術は、集中力を高める?
もしかして、スキルにまで「お前落ち着きなさすぎ、もっと余裕持てよ」とか言われているのだろうか……
「なんだ?なんか面白いスキルでも生えたか?すごい顔をしているが」
また顔に出ていたのか。
「あっ、見ます?」
「おう、若に先日までのものは見せて頂いたが、実際にこの目で見てみたいの」
「では、ステータス開示、スキル開示」
「ふははははははははっ!これは面白いなっ!毒耐性が上がっておるし、跳躍や敏捷も上がっておる……まぁこんだけぴょんぴょんとカエルのように飛び跳ねておればのう。で、空歩?九字印?」
クソー!
カエルとか言うんじゃないよっ!何となく自分でも思ってたんだからさっ。
空歩と九字印のスキル説明をすると、またハゲヤクザは笑いだした。
「あれだな、本当に外国人の考えるNINJAそのものだな。きっとそのうち身代わりの術とか、変化の術とか出てくるぞ」
「そんな気はしています……」
「出たらすぐ教えてくれな、身代わりの術のあの丸太がどこから出てくるのか知りたいでな。まぁそれも、ここを乗り切らねば叶わんが」
確かにあの丸太はどこから出てくるんだろうね。
都会のビル街で戦っているのに、何故か丸太が服を着て身代わりになる不思議。
それと、ハゲヤクザの言う通りに、まずはここを乗り切らねば。
「ついでに九字印をやってみたらどうだ?……と言っても手印なぞ知らんか」
それが出来るんだな~
ちょっと若かりし頃に……と言っても数年前だけど、漫画で見て憧れて練習した事はあるから。
まぁ健全な男子なら誰でも1度は罹患する、巷で厨二病とか言われているやつだ。
今思えば恥ずかしい、黒歴史だが……だが……こんな所で生かされるとは。
世の中何がタメになるか、わからないもんだね。
「それが出来るんですよ」
「ほう、若いのに珍しい。さすがは若の弟子」
まさか素直に褒められるとは……
恥ずかしい、恥ずかしすぎる。
行こう、早くこの場から抜け出たい。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」
踏むべき場所が、何となくわかる気がする。
「行きます」
………………
…………
……
その集中力で見えた道らしきものは、5分程で終わりました。
そのせいで1度完全にゴブリンの頭を踏み外し大きく転びかけたけど、空歩のおかげでギリギリ何とか持ち直せた。
何とか危うくも、30階層を終えた。
キツイ……
ダルい……
えっ?既に18時間経ってるよ。
同じスピードで来たつもりだったけど、疲れでスピードが落ちているのか。
貯金はもう使い果したらしい、思ったよりもマズイ状況だ。
だが、わかってはいるのだが、キツイ。
興奮状態にあるために、全く眠たさは感じないが、足が、腹筋が、背中が重い。
だが、余裕はない。
あと10階層とボス部屋だ。
切腹はしたくない、生きていたい。
まだあんな事やこんな事、何にもせずになんて悲しすぎる!
最期の想い出が、ハゲヤクザとのダンジョン探索とか最悪だ。
俺は生きて、いつか如月先輩とイチャイチャするんだっ!
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
強制無人島生活
デンヒロ
ファンタジー
主人公の名前は高松 真。
修学旅行中に乗っていたクルーズ船が事故に遭い、
救命いかだで脱出するも無人島に漂着してしまう。
更に一緒に流れ着いた者たちに追放された挙げ句に取り残されてしまった。
だが、助けた女の子たちと共に無人島でスローライフな日々を過ごすことに……
果たして彼は無事に日本へ帰ることができるのか?
注意
この作品は作者のモチベーション維持のために少しずつ投稿します。
1話あたり300~1000文字くらいです。
ご了承のほどよろしくお願いします。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
俺のギフト【草】は草を食うほど強くなるようです ~クズギフトの息子はいらないと追放された先が樹海で助かった~
草乃葉オウル
ファンタジー
★お気に入り登録お願いします!★
男性向けHOTランキングトップ10入り感謝!
王国騎士団長の父に自慢の息子として育てられた少年ウォルト。
だが、彼は14歳の時に行われる儀式で【草】という謎のギフトを授かってしまう。
周囲の人間はウォルトを嘲笑し、強力なギフトを求めていた父は大激怒。
そんな父を「顔真っ赤で草」と煽った結果、ウォルトは最果ての樹海へ追放されてしまう。
しかし、【草】には草が持つ効能を増幅する力があった。
そこらへんの薬草でも、ウォルトが食べれば伝説級の薬草と同じ効果を発揮する。
しかも樹海には高額で取引される薬草や、絶滅したはずの幻の草もそこら中に生えていた。
あらゆる草を食べまくり最強の力を手に入れたウォルトが樹海を旅立つ時、王国は思い知ることになる。
自分たちがとんでもない人間を解き放ってしまったことを。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
修行マニアの高校生 異世界で最強になったのでスローライフを志す
佐原
ファンタジー
毎日修行を勤しむ高校生西郷努は柔道、ボクシング、レスリング、剣道、など日本の武術以外にも海外の武術を極め、世界王者を陰ながらぶっ倒した。その後、しばらくの間目標がなくなるが、努は「次は神でも倒すか」と志すが、どうやって神に会うか考えた末に死ねば良いと考え、自殺し見事転生するこができた。その世界ではステータスや魔法などが存在するゲームのような世界で、努は次に魔法を極めた末に最高神をぶっ倒し、やることがなくなったので「だらだらしながら定住先を見つけよう」ついでに伴侶も見つかるといいなとか思いながらスローライフを目指す。
誤字脱字や話のおかしな点について何か有れば教えて下さい。また感想待ってます。返信できるかわかりませんが、極力返します。
また今まで感想を却下してしまった皆さんすいません。
僕は豆腐メンタルなのでマイナスのことの感想は控えて頂きたいです。
不定期投稿になります、週に一回は投稿したいと思います。お待たせして申し訳ございません。
他作品はストックもかなり有りますので、そちらで回したいと思います
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる