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教育係レオ

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第三騎士団に入団してから一ヶ月。
だんだんと仕事も覚えてきて、最近は一人での仕事も任されるようになってきた。
それもこれも、教育係であるレオさんが熱心に教えてくれたからである。

レオさんは凄い人だ。二十歳という若さで団長候補になってしまうほどの実力者。
それだけではない。皆に平等に優しくて、物凄く慕われている。もちろん、僕もレオさんを慕っている内の一人だ。



でも、流石にこれはないと思う。


「好きだハヤト。どうか、俺に答えてくれ」
「お、おい。レオ? 何言ってんだ。冗談はよせよ」
「冗談なんかじゃない。俺は本気なんだ」

流石に、上司が王子のことを口説いている現場を見せられて、平常心を保っていられる人は少ないと思う。

なんで、レオさんがハヤト王子を......?

最近では同性婚も増えてきて、そのことに対して偏見などは一つもない。だけど、ここは職場だ。それは流石にやっちゃいけないだろう……

もし誰かに見られたらとか考えないのだろうか。

僕が考えを巡らせている間にも、レオさんはハヤト王子を口説いている。

「なぁハヤト。俺を選んでくれ」
「レオ......」
「良いだろ? 俺、ずっと待ってたんだよ。これ以上は無理だ。我慢できない」
「レオッ」
「ハヤト。俺と付き合ってくれ」

ハヤト王子は少し考えた後、何かを決めたような顔をして、こくりと頷いた。

「ハヤトッ、愛してる」
「......俺も、愛してる」

レオさんはハヤト王子をグッと引き寄せ、強く抱きしめた。

ヤバい。これ以上見てしまったら何かに目覚めてしまう気がする。

僕はその場に響くリップ音を聞きながら、ゆっくりとその場を後にした。


ーーーー


数時間後

「リク、ちょっと良いか?」
「なんですか?」

食堂で夕食を食べていると、レオさんから声が掛かった。
昼間のこともあって気まずいが、重要な話かもしれないのでレオさんに着いていく。

「リク、お前最近優秀らしいな。団長が褒めてたぞ?」
「そ、そうですか? なんだか照れるなぁ」
「後、明日の仕事だがミカゲが病気らしいから一人でしてもらう。それでも良いか?」
「はい! 大丈夫です」

昼間の件で印象が変わってしまったが、レオさんはレオさんだ。
いつも通り優しい。

昼間の件は早く忘れて今まで通り普通に接しよう。

「それと......」
「? なんですか?」
「ハヤトは俺のだから、覚えとけよ?」

レオさんはそう言い残して去っていった。

......気づかれてた。しかも、牽制までされた。

レオさんって、僕が思ってたような人じゃない、かも。
独占欲が強くて、腹黒い。


そんなレオさんに愛されるって、ハヤト王子も大変だな。

僕はどこか他人事のようにそう思った。


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