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41 ※R18
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「じゃあ、その前にセーフワードを決めましょうね」
「ん…」
押し倒され、さわさわと肌を撫でられる感触に吐息混じりの声が漏れる。
何気なく交わされる会話や触れ合い一つ一つが、ルノーと性交する為の前戯だと思うと、すべてが恥ずかしくて、でも気持ち良くて、頭がクラクラした。
「どんな言葉がいいですか?」
「…私が決めるのか?」
「基本的にはSubが決めますね。難しいですか?」
「…どんな言葉にすればいいのか、よく分からないんだが…」
「じゃあ、僕が決めてもいいでしょうか?」
「…そうだな。お願いしたい」
「分かりました。では、そうですね……『ルノー』にしましょう」
「『ルノー』?」
ルノーが提案した単語に、パチリと目を瞬いた。
「ルゥくんの、名前だと思うんだが…」
「ええ、そうです」
「名前をセーフワードにしていいんだろうか…?」
「普通はしませんが、ベルは僕のことをメリアくん、ルゥくんとしか呼ばないでしょう? 意識しない限り、ルノーと呼ぶことはないはずです」
「それは…そうだね」
「セーフワードは、意識しない限り口にしない単語であればなんでもいいんです。なので、セーフワードは『ルノー』にしましょう。プレイ中、怖くてなってしまったら、僕の名前を呼んで下さい」
言葉と共に指先に口づけを受け、ピクリと肩が揺れる。
(『ルノー』…)
静止を求める言葉すら、彼を象る響きであることに、なぜか無性にときめいている自分がいる。
落ち着かなさから、無意識の内に視線を逸らせば、それを咎めるように濡れた舌先がちろりと指先を舐めた。
「っ…」
「ベル、お返事は?」
「は、はい」
「良い子」
満足気に微笑むルノーの綺麗な顔が、目の前いっぱいに広がり、反射的に目を瞑れば、唇がゆっくりと重なった。
「ん…」
穏やかで深い口づけ。口の中いっぱいにルノーの舌が満ちているようなキスは気持ち良くて、四肢からゆるゆると力が抜けていく。
咥内でくちゅりと響く水音に、もじりと足を擦り寄せたその時、胸元がはだけ、ルノーの手が直に素肌に触れた。
「んぅ…!」
突然の接触に驚きから目を見開けば、こちらを見つめる金色に射抜かれ、ゾクリとしたものが背筋を走った。
「ふはっ…、あっ…ルゥくん…っ」
離れた舌先から唾液が垂れる。露わになった胸元は、見慣れた自分の体のはずなのに、ルノーに見られていると思うだけで恥ずかしくて、体温がぐんぐん上昇していく。
「ふ…っ」
「ベル、一応セーフワードは決めましたが、今日はいじめるつもりはありませんから、安心して下さい」
「え…?」
「初めてのセックスで、いきなり『命令』したりしませんよ」
「…そうなのか?」
「ガッカリしましたか?」
「そっ、そうじゃない、けど…」
全部が初めての体験につい聞き返してしまい、クスクスと笑うルノーに慌てる。
「ただ、無意識の内にいじめてしまうかもしれません。なのでもし途中で怖くなったり、これ以上は無理だと思ったら、セーフワードを言って下さい。そしたら、今日はそこで終わりにします」
「…分かった」
自分の不安を解消する為だろう。丁寧にこれから行うことの説明をするルノーは穏やかで、そこに性急さは微塵もない。
それなのに、ギラついている瞳は獰猛な獣のようで、初体験への僅かな恐れとそれに混じる淡い期待に、心臓が暴れ回った。
ドクドクと鼓動する胸の上をルノーの手が這い、徐々に徐々に突起に近づいていく。擽ったさを孕んだその動きにぞわぞわと肌が粟立ち、それに反応するように、乳首が芯を持ち始めた。
「乳首、立ってきましたね」
「や…っ、言わないでくれ…!」
ルノーの手の平が胸を撫で回す感触に、昨日の愛撫を思い出してしまい、まだ触れられてもいないのに乳首が疼き始める。
舐めて、弄って、いじめて───そう言わんばかりの小さな粒に、堪らず腰が揺れたその時、不意にルノーが身を屈め、胸元に唇を近づけた。
「あっ、まって! ルゥく…、あぁぁっ…!」
熱く柔らかな舌が粒を潰すように包み込み、唇がチュウ…と音を立てて乳輪に吸いついた。
突然の刺激に驚くも、昨日味わったばかりの舌の熱と感触は言葉にし難いほど気持ち良くて、吐く息はふるりと震えた。
「ん、ふ…っ」
そのままゆっくりと厚い舌で粒を転がされ、ゾクリとした快感の波が押し寄せる。
唾液で濡れた舌が、ぬるり、ぬるりと乳首を舐め回し、舌の上から逃れられない粒が、途切れない快感の中で喘いだ。
「あっ、やっ、だめ…! 弄っちゃ…んんっ」
ルノーの口の中、片側の乳首を舌先でチロチロと弾くように舐められながら、もう片側を指先で転がされる。触れているのはルノーなのに、彼の指の腹を伝って小さな肉の粒が固くなっているのが分かり、カァッと顔が熱くなった。
「…ひくび、コリコリしてまふね」
「やっ、喋らないで…!」
「ふ…、とってもおいひいれすよ」
「んぅ…っ」
乳首を口に含んだままルノーが喋り、その振動が芯を揺らす。ビリビリとした淡い痺れが胸の突起から腰に走り、体がぶるりと震えた。
(なんで、こんなに…っ)
乳首への愛撫はまだ三回目。にも関わらず、既に性器のように敏感になったそこに動揺が止まらない。
自分の体の変化に混乱するも、それもほんの一瞬のことで、僅かな躊躇いすら掻き消すような快感が、絶え間なく両胸から生まれ続けた。
「まって…っ、や、、ルゥくん…!」
コリコリとした肉の粒をルノーの口の中で遊ばれ、指先で弾かれ、ほんの少しも快楽を逃すことができない中、蓄積していく熱に体を捩る。
「ルゥくん…っ、ダメ…っ、もぅダメだ…!」
じわじわと上がり続ける熱に、体が絶頂を迎えようとしているのが分かる。
乳首だけで達してしまうことへの抵抗感から、反射的にルノーの肩に手を置くも、まるでそれを咎めるように口に含まれた粒を甘噛みされ、痛みが走った。
「いっ…、や、や…っ、ルゥくん…!」
お仕置きだと言わんばかりに、口の中で乱暴に乳首を舐られ、しゃぶられ、吸われて、体はあっという間に限界に達する。
「イッちゃ…っ、だめ、イッちゃぅ……ッ、ルゥく、んうぅぅ…っ!」
トドメに乳首を強く摘まれ、痛みと快感が同時に駆け抜けた瞬間、パチンッと視界が眩むような絶頂を迎えた。
「ッ……!! はぁっ、はぁっ、はぁ…」
上がる息と、全身に広がる心地良い疲労感。
胸で達してしまったことに対する戸惑いが残る中、乳首を舐めていた唇が離れ、頬にそっと口づけが落ちた。
「…ごめんなさい。痛くしてしまいました」
「う、うぅん…、大丈夫だ」
「本当に? 大丈夫?」
「うん…」
「良かった。…胸だけで上手にイけましたね。良い子ですよ、ベル」
「……ん」
褒められながら、頬や首筋に優しいキスの雨が降る。
乳首だけで達してしまった恥ずかしさは確かにあるのに、それよりもルノーに褒めてもらえる喜びに胸は高鳴り、あまつさえ『もっと褒めて』と主張するやうにじくじくと乳首が疼いた。
一体いつから自分はこんなにいやらしい体になってしまったのか…ルノーと恋人同士になってから、これまでのダイナミクス性に対する恐怖や戸惑い、拒絶反応はどんどん消え、それに比例するように、肉体は欲に染まっていく。
それがほんの少しだけ怖くて、柔く唇を喰めば、閉じたそこをルノーの指先がそっと撫でた。
「ん…」
「難しいお顔をして、どうしました?」
「…自分の体が……い、いやらしいのが、恥ずかしくて…」
「エッチでとても可愛いですよ」
「こ、こんな……はしたないだろう…っ」
「……ベルがはしたないと言うと、なんだかとってもいけないことをしている気分になりますね」
「え?」
「いえ、はしたなくてもいいじゃないですか。僕は、ベルがエッチでいやらしい子だと、とっても嬉しいですよ」
「っ…!」
言葉と共に口づけを受け、戸惑いや恥ずかしさが一瞬で霧散する。
「僕の為に、もっともっとエッチな子になって下さい、ベル」
「っ…」
「お返事は?」
「は、はい…」
「ふ…、それじゃあ今から、たくさんエッチなことしましょうね」
掠れた声に混じった男の欲。
『命令』とは異なるその響きは、きっとルノーの願望であり、本望だ。
ルノーのSubとして、そうなることを望まれている。恥ずかしくて堪らないのに、心の底では、彼の為に淫らになることを悦んでいる自分がいた。
そこからはルノーの手と唇で、延々と乳首を弄られた。
熱い舌が乳輪ごとねっとりと粒を舐め上げ、口の中でコロコロと優しく転がす。一度口に含まれた乳首はなかなか解放してもらえず、唾液まみれの咥内で、延々と舐られた。
かと思えば、音を立てながらピンと立った突起に啄むようなキスの雨が降り、吸いつくような快感に腰が揺れた。
反対側の乳首は円を描くように撫でられ、ルノーの指の下で恥ずかしい粒がコリコリと動き回った。
時たま爪の先でカリカリと引っ掻かれ、そのたびに走る痺れに体がビクつくも、それも一瞬のことで、すぐに優しい愛撫に変わる。
左右交互に、指と唇で代わる代わる乳首を可愛がられて早二時間───イキそうになる手前で熱を高められたまま、延々と続く愛撫に、いつからか瞳からは涙が零れ続けていた。
「もぉや…っ、ルゥくん、もぉやだ…!」
「嫌じゃないでしょう? ほら、気持ちいいって、ちゃんと言えるようになりましょうね」
「ひっ…、いぁ…きもち…、きもちいぃ…っ」
「ベル、どこが気持ちいいかちゃんと言わないと、ずっとイかせてあげませんよ」
「やっ、ち、乳首…乳首、気持ちいいです…っ」
「良い子。そのまま可愛く鳴いてなさい」
「あっ、やあぁ…っ、きもち、きもちぃ…っ」
いじめないって言ったのに───!
既に蕩けて余裕のなくなった頭の片隅でそんなことを思うも、彼の愛撫はひたすらに優しくて、「いじめないで」とは言えなかった。
決定的な刺激を与えられないまま、弱く甘い熱がじわじわと体を侵食し、いつしか最高潮まで高められた肉。
絶頂するには弱く、それでいて敏感になった体には強すぎる快感が延々と続き、解放されないままの熱が体内で渦巻く。
終わりが見えない快感に、全身から汗が吹き出し、こめかみを伝って流れた涙で、髪はぐしょぐしょに濡れていた。
それでもルノーの愛撫は止まらず、何度「やめて」と懇願してもやめてもらえず、「気持ちいい」と言うことを強要された。
「乳首ずっと気持ち良くて、嬉しいね、ベル」
「いゃ…、や…」
「嫌なの?」
「やっ…、ちが、ヤ…じゃない…」
「そうだよね。ベルはエッチな子だから、乳首気持ちいいの嬉しいよね」
「ひぅ…、う、嬉し…嬉しいで…っ、あぁぁっ」
「もっともっと、嬉しいことしてあげますね」
「や…っ、ルゥくん…、ルゥくん…!」
酷いことはされていない。痛いことも、辛いこともされていない。
ただ途切れることのない優しい快感を延々と与えられ続け、絶頂することも許されないもどかしさに、頭はパンク寸前だった。
二時間弄られ続けた乳首は、乳輪からぷくりと腫れ、赤く充血し、息を吹きかけられるだけで背が仰け反るほど気持ち良い。
「嫌」も「やめて」も言えなくて、でももうやめてほしくて、ひんひんと泣きながらルノーの名を呼ぶことしかできなくなっていた。
「ルゥく…っ、ルゥくん…!」
「ああ…ベルは本当に、なんて可愛らしいんでしょう。お顔を真っ赤してそんなに泣いて…もっといじめてと言っているようなものですよ」
「やっ、やだ…、やだ! いじめないで…! もういじめないでくれ…!」
「…流石に限界ですね。よく頑張りました。いっぱい乳首で気持ち良くなれて、偉かったですよ」
「んっ…」
ご褒美、と言うように唇を塞がれ、あやすような口づけを受ける。今日一日だけで、一体何回キスをしただろう。
胸を撫でられながらのキスは、信じられないほど気持ち良くて、甘い口づけに身を委ねると、ゆるりと目を閉じた。
「ん……んふっ!?」
とろりと溶けた思考の中、両胸の粒を両手でくりくりと転がされ、落ち着いていた熱が一気に甦る。
「んぅっ、んぅぅっ」
咄嗟に胸を撫で回す手に自身の手を重ねるも、指先の動きは止まらず、体が絶頂に向かっていく。
舌を絡め合わせたまま、思わず目を見開けば、至近距離で見つめたルノーの瞳がゆっくりと弧を描いた。
このままイけ───そう言っているようなDomのオーラを直に浴びた瞬間、背筋を一際大きな快感が一気に駆け上がり、ゾクゾクとした寒気にビクリと体が跳ねた。
「~~~ッッ!!」
嬌声はルノーに飲み込まれ、絶頂と口づけの息苦しさから頭がクラクラする。
ひくん、と喉が鳴るのと同時に、合わせていた唇が離れ、唇の端から飲み込めなかった唾液が垂れた。
「ふはっ…はぁっ、はぁっ…、はぁ…っ」
「…上手にイけました」
「は、ぁ…」
うっとりするほど美しい微笑みを浮かべたルノーに頬を撫でられ、幸福感がぶわりと溢れ出す。弄られ続けた乳首は未だにジンジンしているが、今はその僅かな刺激すら気持ち良い。
絶頂した余韻も相まって頭がふわふわする中、頬や目元、首筋にルノーのキスの雨が降り、唇が触れた箇所から優しい快感が生まれた。
(…気持ちいい…)
少しずつ整っていく呼吸に、思考も落ち着いていく。
ぽぅっとしている間も首筋から鎖骨、胸の間、腹、と少しずつ下部に向かっていく口づけに、ふるりと肌が震え───はたとあることに気づき、ギョッとした。
「っ!? 嘘っ、なんで…!?」
胸元だけはだけていたはずのガウンは、いつの間にか腰紐が解け、下半身まですべて丸見えの状態になっていた。
反射的に下げた視線の先、屹立したまま、先端からとろりと白濁を零す自身の性器が見え、心臓が痛いほど跳ねた。
「やっ…、いやっ、なんで!?」
「こら、隠さないの」
「や、や…っ、見ないでくれ…!」
「見ないでと言われても、もうずっと前から見えていましたよ?」
「そ…そんな…っ」
とんでもない事実に、落ち着き始めていた心臓は途端に暴れ始め、火が出そうなほど顔面が熱くなる。
恐らくは乳首への愛撫で身悶えている内に、腰紐が解け、体を捩るたびに脱げていったのだろう。
隠したくとも、伸ばそうとした手はルノーに捕まり、足を閉じても勃起したそれを隠せるはずもなく、泣きそうなほどの羞恥に襲われた。
「や…やぁ…っ」
「ベルのおちんちんは大きくて立派ですね。それなのに先っぽは可愛らしいピンク色で…」
「やだ! ルゥくん!」
「ピンク色の先っぽから、白いえっちなお汁が零れていて、とてもエッチですよ」
「ぃや…っ、やだ…、見ないで…!」
「ふふ、困った子。見ないとエッチなことできないでしょう?」
「…え?」
まるでこれから何かをするような発言に呆けた瞬間、ルノーの指が性器に絡み付き、突然のことに大袈裟なほど腰が跳ねた。
「ひっ!?」
自分の性器を誰かに触られるという初めての体験に、脳が羞恥と混乱でグツグツと煮え立つ。
ほっそりとした白い手が性器を包んだまま、ゆっくりと上下に動き出し、驚愕から飛んでいた感覚が戻ってくる。
「ダメ! まって、ルゥくん…!」
「乳首でイけても、射精はできていませんでしたからね。一度出して、スッキリしましょう」
「ひっ、やっ、いい! しなくていいから…!」
「ダメです。ずっと自慰もしていないのですから、溜まった精液を出してあげないと」
「ふゃっ、まって、アッ、そんなに強くしちゃ…!」
性器を扱くルノーの手の動きが徐々に速さを増し、その度にくちゅくちゅと粘着質な水音が響く。
乳首で達したばかりの体はまだ敏感で、勃起していた性器は、早くも吐精したくて堪らないと膨張し始めた。
「ああぁっ…!」
「先走りと精液で、おちんちんびちょびちょですね」
「やだ、やだっ、イッちゃう…っ!」
「うん、イッていいよ」
「いゃ…っ、いやぁ…!」
イキたい。でも、自分じゃない誰かの手で吐精するのが怖い。
恥ずかしくて、でも性器を包み込む手の体温には安心感があって、無理やり引き上げられた快感を止められなくて…いっぱいいっぱいになった頭は、ただひたすらにルノーの名を呼んだ。
「ルゥくんっ、ルゥくん…!」
「……本当に貴方は、信じられないくらい可愛いですね。ほら、手を繋いでましょう? そうしたら、怖くないでしょう」
「ん、んぅ!」
助けを求めるように伸ばした手を取られ、指先を絡めるように握り返せば、それだけで安堵が広がった。
「あっ、あっ、ダメ、イッちゃう…! ほんとにイッちゃぅ…!」
「イッて、ベル。ちゃんと射精するところも、見ててあげるからね」
「だめ、だめ、ルゥくん…、ルゥくっ、~~~ッッ!!」
「見ててあげる」という言葉に、羞恥が最高潮に達し、それを見透かしたかのように、性器を扱く手の強さが増した。
ぬちゅぬちゅと響く音と、腹の奥から湧き上がるような快感に耐えられなくなった瞬間、腰がぶるりと戦慄き、大量の白濁が尿道から勢いよく吹き出した。
「ひはっ、はっ、はっ、はっ…!」
強烈な絶頂と射精の快感に、目の前がチカチカする。
射精後もぴゅくり、ぴゅくりと自分の意思と関係なく先端から漏れる精液。とろとろと精液が漏れる感覚は、眩暈がしそうなほど気持ち良くて、全身から力が抜けていく。
「ベル、大丈夫ですか?」
「……ん…」
「気持ち良かった?」
「……ん」
「うん、良かった」
真っ白になった頭でコクンと頷けば、ルノーが嬉しそうに笑った。
彼の手で性器を扱かれ、目の前で射精してしまった恥ずかしさも、その微笑み一つで和らぐのだから、本当に不思議だ。
「体は辛くないですか? もし辛ければ、今日はここまでにしましょう」
頬に口づけながら、心配そうにこちらを見つめるルノー。
正直に言えば、乳首への長時間の愛撫と二度の絶頂で、体も頭も重い。性経験に乏しい自分に、これ以上の快感は辛いと思う。
(でも…)
ルノーは、エッチな子が好きだから───自然と湧いた『ルノーの為のSubになりたい』という願望から、彼の頬を両手で包むと、その唇に自ら口づけをした。
「…もっと、してほしい」
「───」
ポツリと呟いた一言に、ルノーの瞳が大きく見開きと、直後に愛らしい顔を喜色に染めた。
ああ、またいじめられてしまう…トクトクと脈打つ心臓は、これから与えられる快楽に怯えているのに、Subの本能は歓喜に震え、性器の先から新たな蜜を垂らした。
「ん…」
押し倒され、さわさわと肌を撫でられる感触に吐息混じりの声が漏れる。
何気なく交わされる会話や触れ合い一つ一つが、ルノーと性交する為の前戯だと思うと、すべてが恥ずかしくて、でも気持ち良くて、頭がクラクラした。
「どんな言葉がいいですか?」
「…私が決めるのか?」
「基本的にはSubが決めますね。難しいですか?」
「…どんな言葉にすればいいのか、よく分からないんだが…」
「じゃあ、僕が決めてもいいでしょうか?」
「…そうだな。お願いしたい」
「分かりました。では、そうですね……『ルノー』にしましょう」
「『ルノー』?」
ルノーが提案した単語に、パチリと目を瞬いた。
「ルゥくんの、名前だと思うんだが…」
「ええ、そうです」
「名前をセーフワードにしていいんだろうか…?」
「普通はしませんが、ベルは僕のことをメリアくん、ルゥくんとしか呼ばないでしょう? 意識しない限り、ルノーと呼ぶことはないはずです」
「それは…そうだね」
「セーフワードは、意識しない限り口にしない単語であればなんでもいいんです。なので、セーフワードは『ルノー』にしましょう。プレイ中、怖くてなってしまったら、僕の名前を呼んで下さい」
言葉と共に指先に口づけを受け、ピクリと肩が揺れる。
(『ルノー』…)
静止を求める言葉すら、彼を象る響きであることに、なぜか無性にときめいている自分がいる。
落ち着かなさから、無意識の内に視線を逸らせば、それを咎めるように濡れた舌先がちろりと指先を舐めた。
「っ…」
「ベル、お返事は?」
「は、はい」
「良い子」
満足気に微笑むルノーの綺麗な顔が、目の前いっぱいに広がり、反射的に目を瞑れば、唇がゆっくりと重なった。
「ん…」
穏やかで深い口づけ。口の中いっぱいにルノーの舌が満ちているようなキスは気持ち良くて、四肢からゆるゆると力が抜けていく。
咥内でくちゅりと響く水音に、もじりと足を擦り寄せたその時、胸元がはだけ、ルノーの手が直に素肌に触れた。
「んぅ…!」
突然の接触に驚きから目を見開けば、こちらを見つめる金色に射抜かれ、ゾクリとしたものが背筋を走った。
「ふはっ…、あっ…ルゥくん…っ」
離れた舌先から唾液が垂れる。露わになった胸元は、見慣れた自分の体のはずなのに、ルノーに見られていると思うだけで恥ずかしくて、体温がぐんぐん上昇していく。
「ふ…っ」
「ベル、一応セーフワードは決めましたが、今日はいじめるつもりはありませんから、安心して下さい」
「え…?」
「初めてのセックスで、いきなり『命令』したりしませんよ」
「…そうなのか?」
「ガッカリしましたか?」
「そっ、そうじゃない、けど…」
全部が初めての体験につい聞き返してしまい、クスクスと笑うルノーに慌てる。
「ただ、無意識の内にいじめてしまうかもしれません。なのでもし途中で怖くなったり、これ以上は無理だと思ったら、セーフワードを言って下さい。そしたら、今日はそこで終わりにします」
「…分かった」
自分の不安を解消する為だろう。丁寧にこれから行うことの説明をするルノーは穏やかで、そこに性急さは微塵もない。
それなのに、ギラついている瞳は獰猛な獣のようで、初体験への僅かな恐れとそれに混じる淡い期待に、心臓が暴れ回った。
ドクドクと鼓動する胸の上をルノーの手が這い、徐々に徐々に突起に近づいていく。擽ったさを孕んだその動きにぞわぞわと肌が粟立ち、それに反応するように、乳首が芯を持ち始めた。
「乳首、立ってきましたね」
「や…っ、言わないでくれ…!」
ルノーの手の平が胸を撫で回す感触に、昨日の愛撫を思い出してしまい、まだ触れられてもいないのに乳首が疼き始める。
舐めて、弄って、いじめて───そう言わんばかりの小さな粒に、堪らず腰が揺れたその時、不意にルノーが身を屈め、胸元に唇を近づけた。
「あっ、まって! ルゥく…、あぁぁっ…!」
熱く柔らかな舌が粒を潰すように包み込み、唇がチュウ…と音を立てて乳輪に吸いついた。
突然の刺激に驚くも、昨日味わったばかりの舌の熱と感触は言葉にし難いほど気持ち良くて、吐く息はふるりと震えた。
「ん、ふ…っ」
そのままゆっくりと厚い舌で粒を転がされ、ゾクリとした快感の波が押し寄せる。
唾液で濡れた舌が、ぬるり、ぬるりと乳首を舐め回し、舌の上から逃れられない粒が、途切れない快感の中で喘いだ。
「あっ、やっ、だめ…! 弄っちゃ…んんっ」
ルノーの口の中、片側の乳首を舌先でチロチロと弾くように舐められながら、もう片側を指先で転がされる。触れているのはルノーなのに、彼の指の腹を伝って小さな肉の粒が固くなっているのが分かり、カァッと顔が熱くなった。
「…ひくび、コリコリしてまふね」
「やっ、喋らないで…!」
「ふ…、とってもおいひいれすよ」
「んぅ…っ」
乳首を口に含んだままルノーが喋り、その振動が芯を揺らす。ビリビリとした淡い痺れが胸の突起から腰に走り、体がぶるりと震えた。
(なんで、こんなに…っ)
乳首への愛撫はまだ三回目。にも関わらず、既に性器のように敏感になったそこに動揺が止まらない。
自分の体の変化に混乱するも、それもほんの一瞬のことで、僅かな躊躇いすら掻き消すような快感が、絶え間なく両胸から生まれ続けた。
「まって…っ、や、、ルゥくん…!」
コリコリとした肉の粒をルノーの口の中で遊ばれ、指先で弾かれ、ほんの少しも快楽を逃すことができない中、蓄積していく熱に体を捩る。
「ルゥくん…っ、ダメ…っ、もぅダメだ…!」
じわじわと上がり続ける熱に、体が絶頂を迎えようとしているのが分かる。
乳首だけで達してしまうことへの抵抗感から、反射的にルノーの肩に手を置くも、まるでそれを咎めるように口に含まれた粒を甘噛みされ、痛みが走った。
「いっ…、や、や…っ、ルゥくん…!」
お仕置きだと言わんばかりに、口の中で乱暴に乳首を舐られ、しゃぶられ、吸われて、体はあっという間に限界に達する。
「イッちゃ…っ、だめ、イッちゃぅ……ッ、ルゥく、んうぅぅ…っ!」
トドメに乳首を強く摘まれ、痛みと快感が同時に駆け抜けた瞬間、パチンッと視界が眩むような絶頂を迎えた。
「ッ……!! はぁっ、はぁっ、はぁ…」
上がる息と、全身に広がる心地良い疲労感。
胸で達してしまったことに対する戸惑いが残る中、乳首を舐めていた唇が離れ、頬にそっと口づけが落ちた。
「…ごめんなさい。痛くしてしまいました」
「う、うぅん…、大丈夫だ」
「本当に? 大丈夫?」
「うん…」
「良かった。…胸だけで上手にイけましたね。良い子ですよ、ベル」
「……ん」
褒められながら、頬や首筋に優しいキスの雨が降る。
乳首だけで達してしまった恥ずかしさは確かにあるのに、それよりもルノーに褒めてもらえる喜びに胸は高鳴り、あまつさえ『もっと褒めて』と主張するやうにじくじくと乳首が疼いた。
一体いつから自分はこんなにいやらしい体になってしまったのか…ルノーと恋人同士になってから、これまでのダイナミクス性に対する恐怖や戸惑い、拒絶反応はどんどん消え、それに比例するように、肉体は欲に染まっていく。
それがほんの少しだけ怖くて、柔く唇を喰めば、閉じたそこをルノーの指先がそっと撫でた。
「ん…」
「難しいお顔をして、どうしました?」
「…自分の体が……い、いやらしいのが、恥ずかしくて…」
「エッチでとても可愛いですよ」
「こ、こんな……はしたないだろう…っ」
「……ベルがはしたないと言うと、なんだかとってもいけないことをしている気分になりますね」
「え?」
「いえ、はしたなくてもいいじゃないですか。僕は、ベルがエッチでいやらしい子だと、とっても嬉しいですよ」
「っ…!」
言葉と共に口づけを受け、戸惑いや恥ずかしさが一瞬で霧散する。
「僕の為に、もっともっとエッチな子になって下さい、ベル」
「っ…」
「お返事は?」
「は、はい…」
「ふ…、それじゃあ今から、たくさんエッチなことしましょうね」
掠れた声に混じった男の欲。
『命令』とは異なるその響きは、きっとルノーの願望であり、本望だ。
ルノーのSubとして、そうなることを望まれている。恥ずかしくて堪らないのに、心の底では、彼の為に淫らになることを悦んでいる自分がいた。
そこからはルノーの手と唇で、延々と乳首を弄られた。
熱い舌が乳輪ごとねっとりと粒を舐め上げ、口の中でコロコロと優しく転がす。一度口に含まれた乳首はなかなか解放してもらえず、唾液まみれの咥内で、延々と舐られた。
かと思えば、音を立てながらピンと立った突起に啄むようなキスの雨が降り、吸いつくような快感に腰が揺れた。
反対側の乳首は円を描くように撫でられ、ルノーの指の下で恥ずかしい粒がコリコリと動き回った。
時たま爪の先でカリカリと引っ掻かれ、そのたびに走る痺れに体がビクつくも、それも一瞬のことで、すぐに優しい愛撫に変わる。
左右交互に、指と唇で代わる代わる乳首を可愛がられて早二時間───イキそうになる手前で熱を高められたまま、延々と続く愛撫に、いつからか瞳からは涙が零れ続けていた。
「もぉや…っ、ルゥくん、もぉやだ…!」
「嫌じゃないでしょう? ほら、気持ちいいって、ちゃんと言えるようになりましょうね」
「ひっ…、いぁ…きもち…、きもちいぃ…っ」
「ベル、どこが気持ちいいかちゃんと言わないと、ずっとイかせてあげませんよ」
「やっ、ち、乳首…乳首、気持ちいいです…っ」
「良い子。そのまま可愛く鳴いてなさい」
「あっ、やあぁ…っ、きもち、きもちぃ…っ」
いじめないって言ったのに───!
既に蕩けて余裕のなくなった頭の片隅でそんなことを思うも、彼の愛撫はひたすらに優しくて、「いじめないで」とは言えなかった。
決定的な刺激を与えられないまま、弱く甘い熱がじわじわと体を侵食し、いつしか最高潮まで高められた肉。
絶頂するには弱く、それでいて敏感になった体には強すぎる快感が延々と続き、解放されないままの熱が体内で渦巻く。
終わりが見えない快感に、全身から汗が吹き出し、こめかみを伝って流れた涙で、髪はぐしょぐしょに濡れていた。
それでもルノーの愛撫は止まらず、何度「やめて」と懇願してもやめてもらえず、「気持ちいい」と言うことを強要された。
「乳首ずっと気持ち良くて、嬉しいね、ベル」
「いゃ…、や…」
「嫌なの?」
「やっ…、ちが、ヤ…じゃない…」
「そうだよね。ベルはエッチな子だから、乳首気持ちいいの嬉しいよね」
「ひぅ…、う、嬉し…嬉しいで…っ、あぁぁっ」
「もっともっと、嬉しいことしてあげますね」
「や…っ、ルゥくん…、ルゥくん…!」
酷いことはされていない。痛いことも、辛いこともされていない。
ただ途切れることのない優しい快感を延々と与えられ続け、絶頂することも許されないもどかしさに、頭はパンク寸前だった。
二時間弄られ続けた乳首は、乳輪からぷくりと腫れ、赤く充血し、息を吹きかけられるだけで背が仰け反るほど気持ち良い。
「嫌」も「やめて」も言えなくて、でももうやめてほしくて、ひんひんと泣きながらルノーの名を呼ぶことしかできなくなっていた。
「ルゥく…っ、ルゥくん…!」
「ああ…ベルは本当に、なんて可愛らしいんでしょう。お顔を真っ赤してそんなに泣いて…もっといじめてと言っているようなものですよ」
「やっ、やだ…、やだ! いじめないで…! もういじめないでくれ…!」
「…流石に限界ですね。よく頑張りました。いっぱい乳首で気持ち良くなれて、偉かったですよ」
「んっ…」
ご褒美、と言うように唇を塞がれ、あやすような口づけを受ける。今日一日だけで、一体何回キスをしただろう。
胸を撫でられながらのキスは、信じられないほど気持ち良くて、甘い口づけに身を委ねると、ゆるりと目を閉じた。
「ん……んふっ!?」
とろりと溶けた思考の中、両胸の粒を両手でくりくりと転がされ、落ち着いていた熱が一気に甦る。
「んぅっ、んぅぅっ」
咄嗟に胸を撫で回す手に自身の手を重ねるも、指先の動きは止まらず、体が絶頂に向かっていく。
舌を絡め合わせたまま、思わず目を見開けば、至近距離で見つめたルノーの瞳がゆっくりと弧を描いた。
このままイけ───そう言っているようなDomのオーラを直に浴びた瞬間、背筋を一際大きな快感が一気に駆け上がり、ゾクゾクとした寒気にビクリと体が跳ねた。
「~~~ッッ!!」
嬌声はルノーに飲み込まれ、絶頂と口づけの息苦しさから頭がクラクラする。
ひくん、と喉が鳴るのと同時に、合わせていた唇が離れ、唇の端から飲み込めなかった唾液が垂れた。
「ふはっ…はぁっ、はぁっ…、はぁ…っ」
「…上手にイけました」
「は、ぁ…」
うっとりするほど美しい微笑みを浮かべたルノーに頬を撫でられ、幸福感がぶわりと溢れ出す。弄られ続けた乳首は未だにジンジンしているが、今はその僅かな刺激すら気持ち良い。
絶頂した余韻も相まって頭がふわふわする中、頬や目元、首筋にルノーのキスの雨が降り、唇が触れた箇所から優しい快感が生まれた。
(…気持ちいい…)
少しずつ整っていく呼吸に、思考も落ち着いていく。
ぽぅっとしている間も首筋から鎖骨、胸の間、腹、と少しずつ下部に向かっていく口づけに、ふるりと肌が震え───はたとあることに気づき、ギョッとした。
「っ!? 嘘っ、なんで…!?」
胸元だけはだけていたはずのガウンは、いつの間にか腰紐が解け、下半身まですべて丸見えの状態になっていた。
反射的に下げた視線の先、屹立したまま、先端からとろりと白濁を零す自身の性器が見え、心臓が痛いほど跳ねた。
「やっ…、いやっ、なんで!?」
「こら、隠さないの」
「や、や…っ、見ないでくれ…!」
「見ないでと言われても、もうずっと前から見えていましたよ?」
「そ…そんな…っ」
とんでもない事実に、落ち着き始めていた心臓は途端に暴れ始め、火が出そうなほど顔面が熱くなる。
恐らくは乳首への愛撫で身悶えている内に、腰紐が解け、体を捩るたびに脱げていったのだろう。
隠したくとも、伸ばそうとした手はルノーに捕まり、足を閉じても勃起したそれを隠せるはずもなく、泣きそうなほどの羞恥に襲われた。
「や…やぁ…っ」
「ベルのおちんちんは大きくて立派ですね。それなのに先っぽは可愛らしいピンク色で…」
「やだ! ルゥくん!」
「ピンク色の先っぽから、白いえっちなお汁が零れていて、とてもエッチですよ」
「ぃや…っ、やだ…、見ないで…!」
「ふふ、困った子。見ないとエッチなことできないでしょう?」
「…え?」
まるでこれから何かをするような発言に呆けた瞬間、ルノーの指が性器に絡み付き、突然のことに大袈裟なほど腰が跳ねた。
「ひっ!?」
自分の性器を誰かに触られるという初めての体験に、脳が羞恥と混乱でグツグツと煮え立つ。
ほっそりとした白い手が性器を包んだまま、ゆっくりと上下に動き出し、驚愕から飛んでいた感覚が戻ってくる。
「ダメ! まって、ルゥくん…!」
「乳首でイけても、射精はできていませんでしたからね。一度出して、スッキリしましょう」
「ひっ、やっ、いい! しなくていいから…!」
「ダメです。ずっと自慰もしていないのですから、溜まった精液を出してあげないと」
「ふゃっ、まって、アッ、そんなに強くしちゃ…!」
性器を扱くルノーの手の動きが徐々に速さを増し、その度にくちゅくちゅと粘着質な水音が響く。
乳首で達したばかりの体はまだ敏感で、勃起していた性器は、早くも吐精したくて堪らないと膨張し始めた。
「ああぁっ…!」
「先走りと精液で、おちんちんびちょびちょですね」
「やだ、やだっ、イッちゃう…っ!」
「うん、イッていいよ」
「いゃ…っ、いやぁ…!」
イキたい。でも、自分じゃない誰かの手で吐精するのが怖い。
恥ずかしくて、でも性器を包み込む手の体温には安心感があって、無理やり引き上げられた快感を止められなくて…いっぱいいっぱいになった頭は、ただひたすらにルノーの名を呼んだ。
「ルゥくんっ、ルゥくん…!」
「……本当に貴方は、信じられないくらい可愛いですね。ほら、手を繋いでましょう? そうしたら、怖くないでしょう」
「ん、んぅ!」
助けを求めるように伸ばした手を取られ、指先を絡めるように握り返せば、それだけで安堵が広がった。
「あっ、あっ、ダメ、イッちゃう…! ほんとにイッちゃぅ…!」
「イッて、ベル。ちゃんと射精するところも、見ててあげるからね」
「だめ、だめ、ルゥくん…、ルゥくっ、~~~ッッ!!」
「見ててあげる」という言葉に、羞恥が最高潮に達し、それを見透かしたかのように、性器を扱く手の強さが増した。
ぬちゅぬちゅと響く音と、腹の奥から湧き上がるような快感に耐えられなくなった瞬間、腰がぶるりと戦慄き、大量の白濁が尿道から勢いよく吹き出した。
「ひはっ、はっ、はっ、はっ…!」
強烈な絶頂と射精の快感に、目の前がチカチカする。
射精後もぴゅくり、ぴゅくりと自分の意思と関係なく先端から漏れる精液。とろとろと精液が漏れる感覚は、眩暈がしそうなほど気持ち良くて、全身から力が抜けていく。
「ベル、大丈夫ですか?」
「……ん…」
「気持ち良かった?」
「……ん」
「うん、良かった」
真っ白になった頭でコクンと頷けば、ルノーが嬉しそうに笑った。
彼の手で性器を扱かれ、目の前で射精してしまった恥ずかしさも、その微笑み一つで和らぐのだから、本当に不思議だ。
「体は辛くないですか? もし辛ければ、今日はここまでにしましょう」
頬に口づけながら、心配そうにこちらを見つめるルノー。
正直に言えば、乳首への長時間の愛撫と二度の絶頂で、体も頭も重い。性経験に乏しい自分に、これ以上の快感は辛いと思う。
(でも…)
ルノーは、エッチな子が好きだから───自然と湧いた『ルノーの為のSubになりたい』という願望から、彼の頬を両手で包むと、その唇に自ら口づけをした。
「…もっと、してほしい」
「───」
ポツリと呟いた一言に、ルノーの瞳が大きく見開きと、直後に愛らしい顔を喜色に染めた。
ああ、またいじめられてしまう…トクトクと脈打つ心臓は、これから与えられる快楽に怯えているのに、Subの本能は歓喜に震え、性器の先から新たな蜜を垂らした。
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