Sub侯爵の愛しのDom様

東雲

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「ベルナールくんは、最近とても調子が良さそうだね」

終業時間を迎え、帰り支度をしていると、唐突にフラメルから声を掛けられた。

「そうでしょうか?」
「おや、自覚がないのかい?」
「あ、いえ…自覚はありますが、見て分かるほど、違いますでしょうか?」
「うん? まぁ、そうだねぇ」

普段と変わらぬ表情のフラメルは、感情も思考も読み取りづらい。それでいてどこか楽しげな様子に首を傾げていると、彼が言葉を続けた。

「服の好みも随分と変わって、最初は何事かと思ったけど、良い変化だったんだねぇ」
「えっ、あ、お…おかしい、でしょうか…?」
「いいや、よく似合ってるよ」

思わぬ切り口に、ドキリとする。動揺と羞恥から思わず赤面しそうになり、咄嗟に当たり障りのない言葉を口にすれば、なんともサラリとした返事が返ってきた。

「これまでの服も似合っていたけどね。今の服も、ベルナールくんにとても似合っているよ」
「…ありがとうございます」

思わぬ形で服装を褒められ、今ほどとは違う意味で頬に熱が集まった。
ルノーと初めてデートをしたあの日、彼から大量に贈られた衣服は、翌日には侯爵邸に届けられ、その次の日から毎日身に付けていた。
レースや刺繍をあしらった服は、自分には似合わないだろうと思いつつも、ルノーからの贈り物を身につけたくて、緊張しながら袖を通した。
案の定、王城内では多くの視線を感じたし、職場ではあからさまに驚いた顔をされてしまったが、誰も何も言わないので、よほど酷い有様で、その話題に触れることすらできないのだろう、と思っていたのだが…

(似合ってる、のか…)

そう思ってくれるのは、ルノーだけだと思っていた。
勿論、ただのお世辞かもしれない。それでも『ルノーからの贈り物を身に着けている自分』を褒めてもらえるのが嬉しかった。
極自然に、それが当たり前のことであるかのように馴染んでいる自分を不思議に思いながら、これがDomに支配されているが故の精神の安定なのだろうかと、自身の状態に意識を向けた。




『え……?』

デートを終えた帰りの馬車の中、ルノーから突然とんでもないことを言われた。

『ベルの自慰行為を禁止したいのですが…いかがでしょう?』

「いかがでしょう?」と問われて、なんと答えればいいのか。
直接的な発言に羞恥と混乱が入り混じる中、隣に座る彼を凝視すれば、彼が眉を下げて笑った。

『いきなりで驚かせてしまいましたね』
『う…う、ん』
『決してベルに苦痛を与えたい訳ではありません。これも躾の一貫です』

曰く、自分好みのSubに育てる為の『躾』なのだと、ルノーは言った。

『ベルはもう僕のものですから、ベルだけで気持ち良くなるのはいけません。自慰行為がしたくなったら、必ず僕に“お願い”して下さい。そうしたら、僕があげます。僕の知らないところで、勝手に体を慰めるのは禁止です。勿論、言い付けを守れなければお仕置きです。…と言っても、これは僕の我が儘ですから、ベルが嫌だと思うことならしません。どうでしょう? お嫌ですか?』

あくまで『躾』を行うか否かの主導権はこちらにある。そう告げるルノーだが、裏を返せば、それは『躾』を自ら望むことになる訳で───気づいた瞬間、じわりと体温が上昇した。
正直、自慰行為は生理現象を処理する程度で最低限しか行っていないので、禁じられること自体に負担はない。ただ、それを『してはいけないこと』として禁じられるのは別だ。
ましてや、性を発散する術を制限され、管理されるだなんて、恥ずかしくて堪らないのだが…

(……嫌、ではない)

恥ずかしいが、嫌ではないのだ。
それが答えであり、自分の本心であることに気づき、カァッと頬が染まった。

『ベル?』
『……いいよ』
『…いいんですか? 勝手に自慰行為をしたら、お仕置きされちゃうんですよ?』
『ッ…』

重ねて聞かれ、更に顔が熱くなるが、キュッと唇を喰むと、コクリと頷いた。

『…嬉しいです、ベル。今日から言い付けを守って、良い子でいて下さいね』
『……ん』

了承の返事をすれば、ルノーがふわりと微笑んだ。
それが嬉しくて、もう一度小さく頷けば、結んだ唇を解くように、柔らかな口づけを受けた。




それが五日前の話。あの日から、自慰行為は行っていない。
元々性処理に対して淡白だったこともあり、特に何事もなく、普段通り過ごしていた。
だが『自主的に行わないこと』と『制限されて行えないこと』は似て非なるもので、やんわりと精神と肉体を縛られているような感覚を生んだ。
常に緩く拘束されている状態はひどく甘く、心地良い窮屈さはとても気持ちが良かった。

(こういった感覚が、顔に出ているんだろうか?)

心身の調子が良い自覚はあるが、傍目から見ても分かるほど変化があるとは驚きだ。そんなに違うのだろうか…と頬に手を添えれば、フラメルが首を傾げた。

「どうかしたかい?」
「あ、いえ、なんでも…」
「ベルナール様」

言葉を遮るように、耳に馴染んだ声が自身の名を呼んだ。

「すみません。お待たせ致しました」
「え…?」
「おや、メリアくんと待ち合わせていたのかい?」
「ええ。ベルナール様にお話したいことがありまして」
「おっと、それなら僕はお邪魔だね。それじゃあベルナールくん、メリアくん、良い休日を」
「あ、はい。良い休日を…」

軽やかに立ち去っていくフラメルの背を見送りながら、チラリとルノーに視線を送る。

(特に約束はしていなかったと思うんだけど…)

フラメルとの会話をルノーに遮られたのは明白だ。何かあったのだろうか、と隣に立つルノーを見下ろせば、同時にこちらを見上げた金色と目が合った。

「ベルナール様、帰りましょう?」
「…うん」

微笑む顔はいつもと同じで、だからこそ妙な引っ掛かりを覚えつつ、了承の返事を返した。


互いに支度を整え、馬車へと向かう。いつもと変わらない彼との帰り道。他愛もない会話をしながら並んで歩く中、ふとあることに気づく。

(そういえば、明日の休みはどこかに出掛けたりするのかな?)

ルノーからは、特に何も言われていない。まぁ、恋人だからと言って、休日を必ず共に過ごすということもないだろう。彼にだって予定があるはずだ。
少し寂しいが、明日は大人しく屋敷で過ごそうか…そんなことを考えている内に、あっという間に迎えの馬車の前に辿り着いた。

「それじゃあ、メリアくん。また休み明けに…」

別れを告げ、馬車に乗り込もうとすれば、細い指にそっと手を握られた。

「ベルナール様、今日はうちの馬車で一緒に帰りませんか?」
「え?」
「お話ししたいことがあるので…」

そういえば、フラメルにもそんなことを言っていたことを思い出す。てっきり何かの口実だと思っていたのだが、本当に話があったようだ。

「ご都合が悪かったでしょうか?」
「いいや、大丈夫だよ」

眉を下げるルノーを安心させるように笑みを返しながら、迎えの馬車にはそのまま帰ってもらう。ついでに少しだけ帰りが遅くなる旨の言付けもすると、メリア家の馬車にルノーと共に乗り込んだ。

「急なことを言って、申し訳ありませんでした」
「予定も無かったし、気にしなくていいよ」

実際、用事も予定も無いのだ。それならば、短い時間だろうとルノーと一緒に過ごせる方が嬉しい。自然と緩む頬で答えれば、ルノーも表情を和らげた。

「ありがとうございます、
「!?」

呼び方が変わった。刹那、空気が圧倒的なDomのオーラに染まった。

「仕事で毎日お会いしてますが、こうして二人きりになれるのは、久しぶりですね」
「あ……う、うん…」
「毎日僕が贈った服を着てくれて、とても嬉しいです」

緩やかに走り出した馬車の中、隣に座ったルノーの手が、自身の片手に重なる。
ルノーからは「今日のお召し物もとても素敵ですね」と毎日褒められていたが、「嬉しい」と言われ、喜びの花がパッと胸に咲いた。

「その…ル、ルゥくんから、もらった物だから、ちゃんと、着たいなって…」
「ふふ、ありがとうございます」

言葉と共に手を取られ、指先にキスが落ちる。
一気に強まった恋人同士の雰囲気にドキドキしていると、ルノーと間近で目が合った。

「ベル、あれから言い付けはきちんと守っていますか?」

唐突な問いに、ドキンと心臓が跳ねた。
あの日から、そのことについて触れられることは一切なかった。突然のことに動揺しながら、コクコクと頷けば、ルノーがゆっくりと瞳を細めた。

「本当に? 一人でエッチなことをしていませんか?」
「し、してない…」
「良い子ですね。…自慰行為をしたかしてないか、それについて僕が確認できる術はありません。例えベルが嘘を吐いても、僕には分かりません」
「嘘なんて…!」
「ええ、ベルは良い子ですから、嘘なんて吐かないですよね。だから、僕から逐一確認することはしません。その代わり、もしも言い付けを破ったら、ベルから『言い付けを破った悪い子にお仕置きして下さい』って、ちゃんと言うんですよ?」
「…!」

お仕置きされたくなったら、いつでも悪い子になって下さいね───そう言わんばかりの響きに、ゾクリと腰が疼き、体が悦んでしまった。
直後、ふるりと身が震え、快感の火が灯ったのが分かった。

「ぁ…」
「ベル、お返事は?」
「は、はい…」
「…どうしました? お顔が赤くなっていますよ?」
「っ…!」

ああ、彼はきっと自分の変化に気づいている。
脈打つ胸の鼓動が落ち着かなくて、咄嗟に顔を背ければ、それを咎めるように、頬に白くすべらかなルノーの手が添えられた。

「あっ、ぅん…っ」

ルノーに向き直った瞬間、唇が重なった。性急さを孕んだ口づけは、まるで触れ合えなかった時間を取り戻そうとするかのように深く、乱暴で、その荒々しさがルノーの飢えを表しているようで、嬉しくなってしまう。
熱い舌に咥内を蹂躙されながら、ゆっくりと座席に押し倒され、背に走る馬車の振動が伝わった。

「ふ…、ぅ…っ」

次第に咥内から水音が響き始め、息苦しさから目尻に涙が浮かぶ。
それでも覆い被さる体を押し返そうという気は微塵も起きず、彼の体に手を添えているだけに留めていると、シュルリという衣擦れの音と共に、首の締め付けが和らいだ。

「んぅっ!?」

服を脱がされている。
キスをしながら、片手で器用にタイを解き、シャツのボタンを外していくルノーにギョッとする。
慌てて止めようとするも、上顎を舌先で舐め上げられ、ゾクゾクとした震えから体に力が入らない。
そうしている間もルノーの片手はボタンを外し、深いキスは続く。どちらも止められない中、勢いよく服の前を開けられ、外気に晒された素肌に堪らず首を振った。

「うぅっ、むぅぅ…っ!」

これまでのキスの終わりのように、反射的に口の中に溜まった二人分の唾液を飲み下せば、重なっていた唇が糸を引いて離れていった。

「ぷあっ、はぁっ、はぁ…っ、ル、ルゥくん…?」
「…ベルは本当に可愛いですね」
「あ、やっ」

はだけた胸を探るように、ひやりとした手の平が肌の上を滑り、首筋を濡れた舌が這う。それだけで、狭い密室の中に性の香りが充満した。

「ま、まって…! 馬車の中で、こんな…!」
「ベル、あの日からずっと、僕も我慢してたんです。…大きな声を出さなければ、僕達がいやらしいことをしてるなんて、誰にも分からないですよ」
「…!」
「ねぇ、ベル。少しだけだから、いじめさせて?」
「ひっ…」

耳元で囁かれ、ぞわりと肌が粟立つ。あの日の彼を思い出す口調は、体を芯から揺さぶり、思考回路を焦がした。
愛しいDomから求められている。そう意識した途端、抵抗する気持ちは跡形もなく消えてしまった。

「……な、に…」
「ベル?」
「なに…するの…?」
「…怖がらないで。これ以上、服は脱がしません。をいじめてあげるだけですよ」
「アッ…」

『ここ』と言いながら、胸の粒を緩く指先で撫でられ、勝手に声が漏れた。慌てて両手で口元を覆えば、クスリと笑う声が耳朶を擽った。

「ねぇ、いじめていいですか?」

ああ、なんて狡い子だろう。
甘い声で優しく囁かれ、「いじめてあげる」と言わんばかりのDomのオーラを浴びて、断れるはずがないのに…
くぅ…と唸りながら、恥ずかしさを堪えて小さく頷けば、ルノーが嬉しげに破顔した。

「ありがとうございます、ベル。とっても嬉しいです。……本当に、ずっとずっと、堪らなかったんです」
「え? …あっ、やっ、うそ…!?」

うっとりと呟かれた声に疑問符を浮かべるも、ルノーの動きを目で追っていた脳は次に訪れる衝撃を察知し、体は無意識の内に強張った。

「待って! 待ってくれ! ルゥく…っ」
「…美味しそう」
「やっ、ダメ…ッ」

熱い吐息が、素肌を撫でる。
刹那、柔らかく湿った舌に胸の粒を優しく潰され、背がのけ反った。

「ひっ、あぁぁ…っ!」

チュウッと音を立てて、乳輪に柔らかな唇が吸い付く。
ルノーが自身の乳首を舐めている───眩暈がしそうなほど恥ずかしい現実は、同時に信じられないほど気持ち良くて、快感が一気に背筋を駆け抜けた。
熱く厚い舌の上で、ゆっくり、じっくりと乳首を転がされ、そのたびにゾクリとした波が押し寄せる。
湧き上がるようなそれは、指で弄られている時の気持ち良さとは異なる快感で、途切れることがない。

「うそ…っ、だめ…っ、ルゥくん…!」
「ベル、声を抑えていないと、外にいやらしい声が漏れてしまいますよ?」
「ッ!?」

その言葉に、心臓がバクンッと大きく跳ねた。
慌てて口を閉じれば、視界の端、自身の胸の突起を舐めながら妖艶に微笑むルノーと目が合い、羞恥で目の前が真っ赤に染まった。

「…良い子」
「はっ、ぁ…っ、ぅんんっ」

「ご褒美」と言わんばかりに、再び舌で乳首を愛撫され、必死に声を抑える。
口の中で優しく粒を転がされ、徐々に肌が唾液にまみれていく。ぬるぬるとした感触が強くなるほど、声を抑えられなくなり、息が上がった。

「くっ、ふ…っ、あっ!? やっ、だめ、ルゥくん…!」

片側の突起を舐められながら、もう片側を指先でクリクリと弄られ、いよいよ我慢ができなくなる。
同時に、股間にもじわじわと熱が集まり始め、焦りが生まれた。

「ルゥくん、まって、まって…! あっ、いぁっ」

ルノーの体を押し返そうと、細い肩に手を添えるも、叱るように優しく乳首を噛まれ、ビリリとした痺れが走った。
痛くはない。それでも、固く腫れ上がり、敏感になった粒には刺激が強すぎて、股間に更に熱が集まった。

「やだ…っ、やだぁ…、ルゥくん…!」
「ベル、声を抑えて」
「んうぅ…っ」

低く呟かれた声に、じわりと涙が滲む。
嫌な訳じゃない。怖い訳じゃない。でももう、我慢ができなかった。
押し返そうと肩に置いていた手で、胸に吸い付くルノーの頭を包み込むと、動きを封じるようにその身を抱き締めた。

「イッちゃ…から、もうやめてくれ…!」
「───」

ふわふわとした髪の毛に指を絡ませ、ぎゅうっと抱き締めれば、乳首を食んでいた口が離れ、ルノーの動きがピタリと止まった。

「ルゥくん…っ」
「……ベル、もうしませんから」

ふっと笑うような吐息と共にルノーが顔を上げた。そのまま彼の愛らしい顔が視界いっぱいに映り、反射的に目を閉じれば、チュッという可愛らしい音と共に啄むような口づけを受けた。

「ん…」
「気持ち良かったですか?」
「…うん」
「乳首舐められて、イキそうになっちゃったんですね」
「……ぅん」
「ふ…、ベルは本当に、素直でエッチな子ですね」
「あっ、ひゃめ…っ、んん…!」

キスを受けながら、指先で優しく粒を転がされ、喘ぐのを止められない。

「ルゥくん…っ、ほんとに、イッちゃうからやめて…!」

イヤイヤと必死に首を振れば、苦笑と共に乳首を弄っていた指先がそっと離れていった。

「それじゃあ、ここまでにしましょうね」
「ふっ…、ふ…」

そう言いながら、ルノーが乱れた服をテキパキと整えていく。終わった…そうホッとしたのも束の間、ズクン、ズクンと脈打つ股間に今度は意識が集中してしまい、腰が揺れた。
達することもなく、中途半端に火照ったままの肉体は、貪欲に次の刺激を欲し、「もっと」と強請るように愛撫を求めていた。

(…どうしよう…)

熱を持て余す肉を衣服で包まれ、布が肌を擦る感覚にすら体が反応してしまう。
それでもどうすることもできず、気づけばきっちりと服を着せられ、見た目には何事も無かったかのような状態に戻った。

「ル、ルゥくん…」
「はい」
「あ……あの…」

膨らんだ股間が落ち着かなくて、恥ずかしくて、もじもじと体を揺らせば、ルノーが瞳を細めて笑った。

「…おちんちん、勃っちゃいましたね?」
「!?」

あまりにも直接的な言葉に、ボッと顔が熱くなる。

「ね?」
「あ……ぅ…、ルゥくん…こ、これ…」
「ベル、自慰行為は禁止ですよ」
「っ…!」

自分で慰めてはいけない。それはつまり、ルノーにこの熱をどうにかしてもらうしかないということだ。
ぐるぐると思考が巡る中、堪らないほどの羞恥をなんとか飲み込むと、意を決して口を開いた。

「あの、ルゥくん…」
「はい。どうしました」
「その……、え、えっちなこと、して下さい…!」

誘い方など知らない。ただ自分に言える精一杯の言葉で望みを告げれば、ルノーが僅かに目を見開いた後、解けるように表情を和らげた。

「エッチなこと、してほしいんですか?」
「う…うん…」
「ふふ、上手にお願いできましたね」

褒めてもらえた。途端に湧いた喜びと安堵からホッと気が緩むも、続いた言葉に思考が停止した。

「でも、明日まで我慢して下さい」
「………え?」

ニコリと微笑むルノーに手を取られ、指先に二度目のキスが落ちる。


「明日は屋敷で一日中、二人っきりのデートを楽しみましょう。気持ち良いこともたくさんしてあげますから……明日まで、エッチなことは我慢しましょうね?」


にこやかに告げられた無慈悲な言葉に、愕然とする。
それでも、ルノーの色に染まり始めた本能は、彼の言葉に縛られ、いじめられることを馬鹿みたいに悦んでいて、与えられた『躾』に酔い痴れるまま、コクリと頷き返すのだった。
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