Sub侯爵の愛しのDom様

Dom/Sub

この世界には、男女の性別とは異なるもう一つの性がある。
ダイナミクスと呼ばれるそれは、『Dom』と『Sub』と呼ばれ、その性を持たない者は『Normal』と呼ばれた。
人口の約七割はダイナミクス性を持たず、残りの三割はDomかSub性に分類される。
ダイナミクス性とは、簡単にいえば『支配する者』と『支配される者』だ。
ただそれは、相手を虐げてもいいという訳でもなければ、相手にすべてを捧げるという意味でもない。

支配という名の庇護者となり、信頼を得ることで安心感を抱く者。
支配という名の庇護の元、信頼を伝えることで安心感を抱く者。

信頼関係の上で成り立っている調教と、躾、仕置きを互いに望み、望まれる───深い愛情があって初めて生まれる関係だ。

どちらかが優れている訳でも、劣っている訳でもない。
互いに相手を尊重し、求め合い、『このSubを支配したい』という欲と『このDomに支配されたい』という欲が絡み合う同等な関係だ。

Domだから偉いということはないのだ。
Subだから軽んじてもいいということはないのだ。

ましてや、持って生まれたその『性』を、自身の物差しで測り、価値観を押し付け、否定するなど、あってはならないのだ───…