11 / 35
8.5 それぞれの思い
しおりを挟む(さる高貴なお方ーーゲオルグ視点)
「ハハ!見てくれ、今朝も勃ったぞ!」
あの日以来、毎朝勃ち上がる股間が誇らしくて侍従のヨナタンに見せつけると、
「ゲオルグ様、それは誠に喜ばしいことではございますが、流石にそろそろそのように見せつけるのはおやめくださいませ」
と眉を寄せて注意されてしまった。
「何を言うヨナタン、お前ならわかるだろう?僕のココは今まで全く反応したことがなかったのだから・・・ああ、あの女神様にもう一度お会いしたいなぁ」
僕は目を閉じて、あの晩、僕を死の苦しみから解き放ってくれた美しき女神のお姿を思い浮かべる。
彼女の小さく柔らかい手のひらが、僕の胸を這い回る感触・・・
僕のコレを握りしめながら恥じらうお顔・・・
ああ、思い出すだけでまた達してしまいそうだよ。
「ゲオルグ様、それは魔女の見せた夢だと何度も申し上げているではありませんか」
ヨナタンはウンザリした顔で言う。しかし何度そう言われても、僕は納得できないのだ。
「よし、もう一度あの店に行ってみよう」
「なりません」
「なぜ?」
「それは・・・そう、ゲオルグ様の夢を壊すような現実が待ち受けているからです」
・・・ヨナタンは何か隠しているな?
あの日、僕が朦朧とする意識の中で覚えているのはあの麗しき女神様のことだけ。目覚めたらすでに屋敷まで運ばれていたからな。
なおさらその魔女に会って話を聞かなくては・・・
◇◇◇ ◇◇◇
(騎士クルト視点)
どうしてこうも気になるのか。
コジマが泣いているのを初めて見た。
当たり前か、これまでロクに彼女の顔を見てこなかったのだから。
『私は私なのに、本当の顔が見えるようになったからってなんでそんなに態度変えるの?』
たしかに、その通りだ。
コジマが怒るのも無理ないよなぁ。
はぁ・・・
「おいおい、お前まだマッサージに行ってないのか?」
水飲み場で項垂れていると、またヨハンに声をかけられた。
思わずヨハンの顔をじぃーっと見つめる。
「なっ、なんだよ、気色わりぃな」
「いや、お前って意外と綺麗な顔をしていると思ってな」
「あ?嫌味か?嫌味だな。っていうか、今更かよ。何年一緒にいると思ってんだ」
たしかにな、寄宿学校へ入ってからずっとだから、もう10年以上の付き合いだな・・・
「で、なんで行かないんだ、マッサージに・・・?」
ヨハンは言いながら自身の目の下を撫でる。
ああ、クマが出てるんだろ?知ってるさ、あまり眠れてないからな。
「彼女を怒らせてしまってな・・・」
「は?彼女って?」
「いや、だからコジマだよ」
俺がそういうと、ヨハンはわかりやすく固まった。
「え、コジマってあれだよな?あの、サル顔の・・・?」
「あー・・・・・・まぁな」
一瞬、サル顔ではないと否定しそうになり、口をつぐんだ。
コジマの本来の姿を見るためには、あの魔法を解くだけの関係を築いてからでないと不公平だからな・・・
教えてやるもんか。
「え、まさか惚れたとか?」
「いやっ、バカか、そんなんじゃ・・・」
とか言って否定しつつ、柄にもなく顔が熱くなるのを止められなかった。
「おいおい、マジかよ・・・」
口をポカンと開け、呆れ顔で俺を見るヨハンは「もうなんて声を掛けたらいいのやら」ってブツブツ言っている。
「俺は彼女のことを・・・?」
「知らねーよ!ってかそうなんじゃないの、その顔だとさ」
今度マッサージに行って、俺はどんな顔でコジマに会えばいいんだろうか。
「彼女、何が好きなんだろうな?」
「ってか、マジか・・・お前、めちゃくちゃモテるのになぁ・・・よりにもよって人外かぁ・・・」
呆れ果てて俺を見るヨハンに、言ってやりたい。
コジマは、本当は可愛くて美しい女性なのだと・・・
いやだめだ。
やはり試練を乗り越えて、自らの手で魔法を解くものにしか見れない喜びと驚きがあるのだから・・・
って、そういえばあの男。
鍛治職人のコンラートだったか?
あいつ、コジマにしつこく付き纏っていたな・・・つまり、あいつも知ってるってことだろう?
ウラ婆がいるから変なことはできないだろうが、コジマを泣かしたのはアイツだよな。
なんか、ムカつくな・・・
ムカつくと言えば、もう1人。
コジマの本命って、誰だ?
ああ、なんかモヤっとする。
ちらりと隣に座るヨハンを見たら、
「なんだよ、嫌だよ」
「まだ何も言ってないが、まぁ遠慮するな」
俺はヤツの首根っこを引っ掴んで立ち上がった。
「ぎゃー、勘弁してー」
とか言ってるが、構うもんか。
俺はヨハンを引っ張って、また鍛錬場へと戻った。
0
お気に入りに追加
200
あなたにおすすめの小説
完結 貞操観念と美醜逆転世界で薬師のむちむち爆乳のフィーナは少数気鋭の騎士団員を癒すと称してセックスをしまくる
シェルビビ
恋愛
前世の名前は忘れてしまったが日本生まれの女性でエロ知識だけは覚えていた。子供を助けて異世界に転生したと思ったら17歳で川に溺れた子供を助けてまた死んでしまう。
異世界の女神ディアナ様が最近作った異世界が人手不足なので来て欲しいとスカウトしてきたので、むちむち爆乳の美少女にして欲しいとお願いして転生することになった。
目が覚めると以前と同じ世界に見えたが、なんとこの世界ではもやしっ子がモテモテで筋肉ムキムキの精悍な美丈夫は化け物扱いの男だけ美醜逆転世界。しかも清楚な人間は生きている価値はないドスケベ超優遇の貞操観念逆転世界だったのだ。
至る所で中出しセックスをして聖女扱いさせるフィーナ。この世界の不細工たちは中出しを許されない下等生物らしい。
騎士団は不人気職で給料はいいが全くモテない。誰も不細工な彼らに近づきたくもない。騎士団の薬師の仕事を募集してもすぐにやめてしまうと言われてたまたま行ったフィーナはすぐに合格してしまう。
本日をもって、魔術師団長の射精係を退職するになりました。ここでの経験や学んだことを大切にしながら、今後も頑張っていきたいと考えております。
シェルビビ
恋愛
膨大な魔力の引き換えに、自慰をしてはいけない制約がある宮廷魔術師。他人の手で射精をして貰わないといけないが、彼らの精液を受け入れられる人間は限られていた。
平民であるユニスは、偶然の出来事で射精師として才能が目覚めてしまう。ある日、襲われそうになった同僚を助けるために、制限魔法を解除して右手を酷使した結果、気絶してしまい前世を思い出してしまう。ユニスが触れた性器は、尋常じゃない快楽とおびただしい量の射精をする事が出来る。
前世の記憶を思い出した事で、冷静さを取り戻し、射精させる事が出来なくなった。徐々に射精に対する情熱を失っていくユニス。
突然仕事を辞める事を責める魔術師団長のイースは、普通の恋愛をしたいと話すユニスを説得するために行動をする。
「ユニス、本気で射精師辞めるのか? 心の髄まで射精が好きだっただろう。俺を射精させるまで辞めさせない」
射精させる情熱を思い出し愛を知った時、ユニスが選ぶ運命は――。
私が美女??美醜逆転世界に転移した私
鍋
恋愛
私の名前は如月美夕。
27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。
私は都内で独り暮らし。
風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。
転移した世界は美醜逆転??
こんな地味な丸顔が絶世の美女。
私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。
このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。
※ゆるゆるな設定です
※ご都合主義
※感想欄はほとんど公開してます。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
完結 R18 媚薬を飲んだ好きな人に名前も告げずに性的に介抱して処女を捧げて逃げたら、権力使って見つけられ甘やかされて迫ってくる
シェルビビ
恋愛
ランキング32位ありがとうございます!!!
遠くから王国騎士団を見ていた平民サラは、第3騎士団のユリウス・バルナムに伯爵令息に惚れていた。平民が騎士団に近づくことも近づく機会もないので話したことがない。
ある日帰り道で倒れているユリウスを助けたサラは、ユリウスを彼の屋敷に連れて行くと自室に連れて行かれてセックスをする。
ユリウスが目覚める前に使用人に事情を話して、屋敷の裏口から出て行ってなかったことに彼女はした。
この日で全てが終わるはずなのだが、ユリウスの様子が何故かおかしい。
「やっと見つけた、俺の女神」
隠れながら生活しているのに何故か見つかって迫られる。
サラはどうやらユリウスを幸福にしているらしい
騎士団長の欲望に今日も犯される
シェルビビ
恋愛
ロレッタは小さい時から前世の記憶がある。元々伯爵令嬢だったが両親が投資話で大失敗し、没落してしまったため今は平民。前世の知識を使ってお金持ちになった結果、一家離散してしまったため前世の知識を使うことをしないと決意した。
就職先は騎士団内の治癒師でいい環境だったが、ルキウスが男に襲われそうになっている時に助けた結果纏わりつかれてうんざりする日々。
ある日、お地蔵様にお願いをした結果ルキウスが全裸に見えてしまった。
しかし、二日目にルキウスが分身して周囲から見えない分身にエッチな事をされる日々が始まった。
無視すればいつかは収まると思っていたが、分身は見えていないと分かると行動が大胆になっていく。
文章を付け足しています。すいません
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる