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星のかけらを追いかけて
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空は、どこまでも続いていました
ずっとずっと
下から見上げていたお星さま
真っ暗な闇の中で
星はキラキラと夜空に散らばって
闇を照らすかけらのようでした
少年は言いました
「どこまで行けば、お星さまに手が届くの?」
暗闇は答えました
「お星さまに手が届くことはないんだよ」
「どうして?」
「目には見えても、届く存在ではないからさ」
「ふぅん?よく分からないや」
少年はその答えに不服そうな表情を浮かべました
夜空はいつものようにお星さまがキラキラと輝いています
少年はほうっとその光景を眺めていました
「お星さまに触りたいかい?」
暗闇が少年に尋ねました
「うん!でも、出来ないんでしょう?」
「触ることはできないんだ。だけど、ここよりも少しだけお星さまに近づける方法がある」
「本当!?」
少年の表情がパァッと明るくなりました
暗闇は言いました
「ただし、一度その方法を試すとすぐにはここに戻ってくることはできないよ。それでも良いのかい?」
「うんっ!だってここ、退屈なんだもん」
「…そうか。辛いことや悲しいことがあるかもしれないよ?」
「よく分からないけど、大丈夫だよ!」
「楽しいことも、嬉しいこともあるかもしれない」
「それは、ここと同じだね」
「辛くて辛くて、この場所に帰ってきたいと思うこともあるかもしれない」
「それはよく分からないけど、それはきっとないはずさ」
「戻りたいと思っても、一度この方法を試してしまえばすぐに戻ってくることは不可能だ」
「もうっ、だから僕は大丈夫!」
少年はウンザリしたように暗闇を睨みました
暗闇はわかった、わかったと少年をなだめて言いました
「一度きりだ。一度きり、君に星に近づく機会を与えよう。どんなに辛くても悲しくても、ここに戻ってこようとしてはいけないよ。それは私が決めることだ。いいかい?」
「うん!」
「では…」
暗闇は少年にふぅっと息を吹きかけました
その瞬間、少年の体がふわっとその場から浮き上がり、上へ上へと昇っていきます
ついに、お星さまに近づけるんだ!
少年の心は踊っていました
暗闇が言いました
「きっと君は、私の言葉を忘れてしまうだろう。だけど、もう一度言うよ。どんなことがあってもこの場所に戻ってこようとしてはいけないよ。それは私が決めることだ」
少年は睡魔に襲われ、気がつくと深い眠りについていました
どんどん体は上へと昇っていきます
暗闇は、パァッと光り輝く存在へと変化し、少年を温かい光で照らしました
「…一度きりだ。精一杯、楽しんで戻ってくるんだよ」
….おぎゃぁっ、おぎゃぁっ
「頑張りましたね!元気な男の子ですよ」
*****
ある夜の日に、少年は夜空を見上げていました
なんだかよくわからないけれど、どことなく懐かしい気持ちになったのです
「はぁ、しんど」
少年は、いつになく落ち込んでいました
ここから逃げ出したい
辛い
そう思いながら地面を見つめていたはずの視線が、気がつくと上を向いていたのです
「綺麗だな」
キラキラと輝く星空を見ていると、なんだか今の悩みが少しだけ軽くなったような気がしました
「よし、….頑張るか」
*****
星空のずっとずっと上の方
暗闇は別の少年を見つめて言いました
「ここよりも少しだけ、星に近づける方法がある。ただし、これだけは忘れないでくれ。どんなことがあってもこの場所に戻ってこようとしては行けないよ。それは私が決めることだ」
….きっと、忘れてしまっているだろうけれど
ずっとずっと
下から見上げていたお星さま
真っ暗な闇の中で
星はキラキラと夜空に散らばって
闇を照らすかけらのようでした
少年は言いました
「どこまで行けば、お星さまに手が届くの?」
暗闇は答えました
「お星さまに手が届くことはないんだよ」
「どうして?」
「目には見えても、届く存在ではないからさ」
「ふぅん?よく分からないや」
少年はその答えに不服そうな表情を浮かべました
夜空はいつものようにお星さまがキラキラと輝いています
少年はほうっとその光景を眺めていました
「お星さまに触りたいかい?」
暗闇が少年に尋ねました
「うん!でも、出来ないんでしょう?」
「触ることはできないんだ。だけど、ここよりも少しだけお星さまに近づける方法がある」
「本当!?」
少年の表情がパァッと明るくなりました
暗闇は言いました
「ただし、一度その方法を試すとすぐにはここに戻ってくることはできないよ。それでも良いのかい?」
「うんっ!だってここ、退屈なんだもん」
「…そうか。辛いことや悲しいことがあるかもしれないよ?」
「よく分からないけど、大丈夫だよ!」
「楽しいことも、嬉しいこともあるかもしれない」
「それは、ここと同じだね」
「辛くて辛くて、この場所に帰ってきたいと思うこともあるかもしれない」
「それはよく分からないけど、それはきっとないはずさ」
「戻りたいと思っても、一度この方法を試してしまえばすぐに戻ってくることは不可能だ」
「もうっ、だから僕は大丈夫!」
少年はウンザリしたように暗闇を睨みました
暗闇はわかった、わかったと少年をなだめて言いました
「一度きりだ。一度きり、君に星に近づく機会を与えよう。どんなに辛くても悲しくても、ここに戻ってこようとしてはいけないよ。それは私が決めることだ。いいかい?」
「うん!」
「では…」
暗闇は少年にふぅっと息を吹きかけました
その瞬間、少年の体がふわっとその場から浮き上がり、上へ上へと昇っていきます
ついに、お星さまに近づけるんだ!
少年の心は踊っていました
暗闇が言いました
「きっと君は、私の言葉を忘れてしまうだろう。だけど、もう一度言うよ。どんなことがあってもこの場所に戻ってこようとしてはいけないよ。それは私が決めることだ」
少年は睡魔に襲われ、気がつくと深い眠りについていました
どんどん体は上へと昇っていきます
暗闇は、パァッと光り輝く存在へと変化し、少年を温かい光で照らしました
「…一度きりだ。精一杯、楽しんで戻ってくるんだよ」
….おぎゃぁっ、おぎゃぁっ
「頑張りましたね!元気な男の子ですよ」
*****
ある夜の日に、少年は夜空を見上げていました
なんだかよくわからないけれど、どことなく懐かしい気持ちになったのです
「はぁ、しんど」
少年は、いつになく落ち込んでいました
ここから逃げ出したい
辛い
そう思いながら地面を見つめていたはずの視線が、気がつくと上を向いていたのです
「綺麗だな」
キラキラと輝く星空を見ていると、なんだか今の悩みが少しだけ軽くなったような気がしました
「よし、….頑張るか」
*****
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「ここよりも少しだけ、星に近づける方法がある。ただし、これだけは忘れないでくれ。どんなことがあってもこの場所に戻ってこようとしては行けないよ。それは私が決めることだ」
….きっと、忘れてしまっているだろうけれど
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