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身勝手な王子様 side ラエル
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「相変わらずすごいですね、ラエル公爵様。あそこに見える御令嬢はみな公爵様目当のようですよ」
苦笑いでそう話すのは、護衛の騎士で友人でもあるカイ・コーラス。代々スカル公爵家に仕える騎士家系の長男だ。
私専属の騎士として昔から仕えてくれている。歳が近いこともあり、なんでも話せる仲でもある。
中庭にあるベンチに腰掛けて休息をとっているところに、どこから聞きつけたのか分からないが気がついたら少し離れたベンチに令嬢が次々とやって来た。
「...放っておけ」
ローズ以外に興味はない。
毎日毎日、飽きないものだな。
うんざりしながらため息をつく。
...ローズはいないだろうか。
淡い期待を持ちながら令嬢集団をチラッと横目で見てみるが、当然だがいるはずもない。
「見てっ、ラエル公爵様がこちらを見てるわ!」
1人の令嬢が私の視線に気が付いたのか騒ぎ立てる。それに続いて、他の令嬢がきゃぁっと声を上げながら身なりを整え始めるのが見えた。
「......カイ、行くぞ」
「はい、かしこまりました」
くすくすと笑いを堪えるようにカイは私についてくる。恐らく私がローズを探している事に気が付いたのだろう。
「今日もローズの迎えの手配をしてくれ」
「またお会いするのですか?毎日毎日、飽きないのはラエル公爵様も同じじゃないですか」
カイは何故か楽しそうだ。
私が正式にローズと婚約した日、誰よりも喜んでくれたのがカイだった。
物心ついた頃から女性に不自由したことがなく、自分の容姿や公爵家という地位がどれほど周りを引き寄せるのか、自覚するまでにそう時間はかからなかった。
にこりと微笑めばどんな相手でも簡単に心を許してくれる。公爵家という地位があると知ればなおのこと。
容姿と地位を利用して散々遊んだ時期もあったが、段々とそれも冷めてきた。
寄ってくる令嬢はみな、私が好きなのではなく、所詮この容姿と地位が好きなのだ。
そんな時だった。カイがいつもと違う雰囲気で私を見て、こう言った。
「ラエル公爵様。恐れながら言わせていただきます。これはあなたの護衛騎士としてではなく、友人としての忠告です。あなたにとって、本当に愛しいと思うお相手が現れたとき、今されていることを必ず後悔する日が来る思います。ですから、いい加減目を覚ましてください」
その言葉は、不思議とストンと胸に入って来た。
父上や母上からも幾度となく注意を受けて来たのだが、この容姿と地位を利用して何が悪いと聞く耳を持たなかったのだ。
剣の訓練や公務に向けての勉強などで忙しくなり、私は両親よりもカイといる時間の方が長くなった。私はカイを一番理解してくれる友人だと思っていた。
その友人から、そう言われたのだ。
...いや、そう言わせてしまったのだ。
これからは公務や剣の訓練に専念しよう。そう決意した矢先、ローズとの婚約話を聞かされたのだった。
「ローズ・ニコラドか...」
下流の伯爵家の娘なんて、父上は一体何を考えているんだ。
父上は昔から爵位を鼻にかけることなく友人関係を広く持ち、人格者として周囲では有名だった。
その中でも1番の友人がニコラド伯爵だった。それにしても、身分が違いすぎる。友人だと言いながらこの公爵家の地位が目的なのではないのか。
今まで会ってきた令嬢たちが思い浮かび、思わず顔をしかめる。
一度会ったことがあるというが、全く覚えがないのだが。
そんな時、ニコラド伯爵の方から会ってもらえないかと話が来た。
『本当に愛しいと思うお相手が現れたとき、今されていることを必ず後悔する日が来る思います。』
この言葉通りになるとは、この時は考えもしなかった。
苦笑いでそう話すのは、護衛の騎士で友人でもあるカイ・コーラス。代々スカル公爵家に仕える騎士家系の長男だ。
私専属の騎士として昔から仕えてくれている。歳が近いこともあり、なんでも話せる仲でもある。
中庭にあるベンチに腰掛けて休息をとっているところに、どこから聞きつけたのか分からないが気がついたら少し離れたベンチに令嬢が次々とやって来た。
「...放っておけ」
ローズ以外に興味はない。
毎日毎日、飽きないものだな。
うんざりしながらため息をつく。
...ローズはいないだろうか。
淡い期待を持ちながら令嬢集団をチラッと横目で見てみるが、当然だがいるはずもない。
「見てっ、ラエル公爵様がこちらを見てるわ!」
1人の令嬢が私の視線に気が付いたのか騒ぎ立てる。それに続いて、他の令嬢がきゃぁっと声を上げながら身なりを整え始めるのが見えた。
「......カイ、行くぞ」
「はい、かしこまりました」
くすくすと笑いを堪えるようにカイは私についてくる。恐らく私がローズを探している事に気が付いたのだろう。
「今日もローズの迎えの手配をしてくれ」
「またお会いするのですか?毎日毎日、飽きないのはラエル公爵様も同じじゃないですか」
カイは何故か楽しそうだ。
私が正式にローズと婚約した日、誰よりも喜んでくれたのがカイだった。
物心ついた頃から女性に不自由したことがなく、自分の容姿や公爵家という地位がどれほど周りを引き寄せるのか、自覚するまでにそう時間はかからなかった。
にこりと微笑めばどんな相手でも簡単に心を許してくれる。公爵家という地位があると知ればなおのこと。
容姿と地位を利用して散々遊んだ時期もあったが、段々とそれも冷めてきた。
寄ってくる令嬢はみな、私が好きなのではなく、所詮この容姿と地位が好きなのだ。
そんな時だった。カイがいつもと違う雰囲気で私を見て、こう言った。
「ラエル公爵様。恐れながら言わせていただきます。これはあなたの護衛騎士としてではなく、友人としての忠告です。あなたにとって、本当に愛しいと思うお相手が現れたとき、今されていることを必ず後悔する日が来る思います。ですから、いい加減目を覚ましてください」
その言葉は、不思議とストンと胸に入って来た。
父上や母上からも幾度となく注意を受けて来たのだが、この容姿と地位を利用して何が悪いと聞く耳を持たなかったのだ。
剣の訓練や公務に向けての勉強などで忙しくなり、私は両親よりもカイといる時間の方が長くなった。私はカイを一番理解してくれる友人だと思っていた。
その友人から、そう言われたのだ。
...いや、そう言わせてしまったのだ。
これからは公務や剣の訓練に専念しよう。そう決意した矢先、ローズとの婚約話を聞かされたのだった。
「ローズ・ニコラドか...」
下流の伯爵家の娘なんて、父上は一体何を考えているんだ。
父上は昔から爵位を鼻にかけることなく友人関係を広く持ち、人格者として周囲では有名だった。
その中でも1番の友人がニコラド伯爵だった。それにしても、身分が違いすぎる。友人だと言いながらこの公爵家の地位が目的なのではないのか。
今まで会ってきた令嬢たちが思い浮かび、思わず顔をしかめる。
一度会ったことがあるというが、全く覚えがないのだが。
そんな時、ニコラド伯爵の方から会ってもらえないかと話が来た。
『本当に愛しいと思うお相手が現れたとき、今されていることを必ず後悔する日が来る思います。』
この言葉通りになるとは、この時は考えもしなかった。
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