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一話
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「酷い有り様だのう。」
「古典の教本通りの~300年前の戦をやろうとしていました。あれでは、勝てません。」
「逃げるに委せる様だの。」
「殲滅戦ナゾ~やる意味も、必要もありません。速やかに、道を空けさせる方が大事です」
「逃げる隊と、前進する隊がかち合って~同士討ちを始めておるぞ~」
「勝手に、兵を磨り減らしていますね。陣を立て直して~待ち伏せを仕掛け~」
「あの烏合の衆に出来るのかえ?『大将の首』を差し出して~目敏く生き残ろうとする輩は出るかもしれぬが~のう。」
戦場には場違いな~おかっぱ頭・宮廷衣装に身を包んだ人物が~なげやりに呟く。一歩下がって、話し相手を勤めていた、同年代らしき少年~表情を強張らせ~年嵩の「部下」に手早く指示を飛ばす。それが終わるや~向き直り
「お上。旗棹から判断しますに~先陣を勤めているのは~私の義兄達です。この曲輪山に攻め上がって来ることは、あり得ません。が~冷静さを失った東の跳ねっ返りが~御上の仰る理由で、此方に向かう恐れがあります。如何でしょう~お上に投降~イヤさ御降臨いただければ~義兄達は、歓喜して迎えてくれます。『君側の奸を討ち滅ぼす』為に、はるばる兵を進めたのですから~」
「~そして、朕の投降を察知した、君側の奸の元締めは~母上を人質にすべく、行動するであろうな。そのために、朕を、この場に置いたのだからな。」
『お上』の指摘に~押し黙る少年。~南の筆頭宿老家の嫡男~『軍略』を叩き込まれて育ち~年上の部下達を纏めている。が~『政略』の血の沼を産湯に育った『お上』から見たら~『子供の理屈』の使い手に過ぎない。現に、少年の叔父である、南の太守は『当代最強の武人』の誉れも高かったが~不可解な死を遂げた。攻め上がって来た軍は~その詰問を名目としていた。
「三郎。南の本陣は~あの、紅い旗棹かえ?」
主君である南の太守。実父である南の筆頭宿老~それ以外で~ただ一人、三郎を公の場で呼び捨てに出来る存在~『西の主上』が問う。猛烈に嫌な予感がするも~三郎に『答えない』という選択肢は無かった。廻りの『部下達』にも『嫌な予感』は伝わっている様である。そこかしこで息を飲む気配を感じる
「三郎?」
自分が返答したら~『お上』がどの様な『勅命』を下すか~判りきってはいた。が~『三郎』は返答した。
「あの紅い旗印は~『一姫』従姉様です。隣の旗棹は~私の長姉と次姉です。」
聞かれてもいないことを付け加え~ひょっとしたら『お上が、考えを変えてくれる』事に、一縷の望みを掛けるも~
「三郎の義兄と姉が揃っての参陣~か。南は精兵総出で~この戦に臨んだわけだの。」
三郎の言わんとすることを、キチンと理解してくれた『お上』。臣下達には一瞥もくれずに戦況を眺めていた『お上』は~初めて振り返り~戦場を背に、『勅命を下す』
「朕に続け。一姫とやらを捕縛する。」
三郎は、天を仰いだ。
「古典の教本通りの~300年前の戦をやろうとしていました。あれでは、勝てません。」
「逃げるに委せる様だの。」
「殲滅戦ナゾ~やる意味も、必要もありません。速やかに、道を空けさせる方が大事です」
「逃げる隊と、前進する隊がかち合って~同士討ちを始めておるぞ~」
「勝手に、兵を磨り減らしていますね。陣を立て直して~待ち伏せを仕掛け~」
「あの烏合の衆に出来るのかえ?『大将の首』を差し出して~目敏く生き残ろうとする輩は出るかもしれぬが~のう。」
戦場には場違いな~おかっぱ頭・宮廷衣装に身を包んだ人物が~なげやりに呟く。一歩下がって、話し相手を勤めていた、同年代らしき少年~表情を強張らせ~年嵩の「部下」に手早く指示を飛ばす。それが終わるや~向き直り
「お上。旗棹から判断しますに~先陣を勤めているのは~私の義兄達です。この曲輪山に攻め上がって来ることは、あり得ません。が~冷静さを失った東の跳ねっ返りが~御上の仰る理由で、此方に向かう恐れがあります。如何でしょう~お上に投降~イヤさ御降臨いただければ~義兄達は、歓喜して迎えてくれます。『君側の奸を討ち滅ぼす』為に、はるばる兵を進めたのですから~」
「~そして、朕の投降を察知した、君側の奸の元締めは~母上を人質にすべく、行動するであろうな。そのために、朕を、この場に置いたのだからな。」
『お上』の指摘に~押し黙る少年。~南の筆頭宿老家の嫡男~『軍略』を叩き込まれて育ち~年上の部下達を纏めている。が~『政略』の血の沼を産湯に育った『お上』から見たら~『子供の理屈』の使い手に過ぎない。現に、少年の叔父である、南の太守は『当代最強の武人』の誉れも高かったが~不可解な死を遂げた。攻め上がって来た軍は~その詰問を名目としていた。
「三郎。南の本陣は~あの、紅い旗棹かえ?」
主君である南の太守。実父である南の筆頭宿老~それ以外で~ただ一人、三郎を公の場で呼び捨てに出来る存在~『西の主上』が問う。猛烈に嫌な予感がするも~三郎に『答えない』という選択肢は無かった。廻りの『部下達』にも『嫌な予感』は伝わっている様である。そこかしこで息を飲む気配を感じる
「三郎?」
自分が返答したら~『お上』がどの様な『勅命』を下すか~判りきってはいた。が~『三郎』は返答した。
「あの紅い旗印は~『一姫』従姉様です。隣の旗棹は~私の長姉と次姉です。」
聞かれてもいないことを付け加え~ひょっとしたら『お上が、考えを変えてくれる』事に、一縷の望みを掛けるも~
「三郎の義兄と姉が揃っての参陣~か。南は精兵総出で~この戦に臨んだわけだの。」
三郎の言わんとすることを、キチンと理解してくれた『お上』。臣下達には一瞥もくれずに戦況を眺めていた『お上』は~初めて振り返り~戦場を背に、『勅命を下す』
「朕に続け。一姫とやらを捕縛する。」
三郎は、天を仰いだ。
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