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八階 智天使
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修学旅行も最終日。後は、帰るだけとなった。智一は昨日から拗ねているのか、魂が抜けているのか、ボケーっとしている。でも、帰ったら今度は合宿の相談をしないと。忙しいよ…。
皆受験対策とかもうしてるのかな?そうしたらちょっと忙しい時期になっちゃうかな?いや、それ以前に…滑るっていいのか?なんか、もう敏感になっていてもおかしくないような。
「考えすぎか?」
「どうでしょうね?」
「今から気にすることではないかな?」
「それは本人たちに聞いてみないと分からないですね!」
「本人には聞けないよ?!」
「じゃあ、気にしなくて大丈夫ですよ!大体、気にしているなら行こう、とは言いませんから」
それもそうか。結君は元気だろうか…。彼も友達が居なくてこの部活に入った訳だし…。というか、全然結君の事知らないな~。クラスではどんな感じで居るんだろうか?
「帰ったら、見て見よう」
「肇様がクラスに来たら大変な事になりますわよ?」
「そうかな?どうやって様子を見たらいいと思う?」
「そうですわね…わたくしが聞いておきますわよ?」
「様子を知るのに、聞いたらなんとも言えなくない?」
何かいい方法はないだろうか。あ!今日とか良いんじゃないか?一年と三年は普通に授業が行われているはずだし…!
一行を連れたバスは学校に到着する。現地解散になっていたため、俺は結君のクラスを見学しに行く。どんな感じだろうな…。横目でちらちら確認してみたら、結君は何故か囲まれていた、女子に。
「わぁ…これは男子から妬まれるだろうな…。」
「好き好んでなった訳ではないから余計かもしれませんね?」
「?!」
いつの間にやら隣に笑夢が居た。上げそうになった声を自分の口の中に押し込む。ねぇ、怖いって。俺、途中まで一人だったよね?そうだよね?
「ええ、こそこそしていたので着いてきました!」
「なるほどね。何とかしてあげられないかな?」
「なるようになるんじゃないですか?」
「それ、放棄してる?」
「こちらから構いに行くとそれはそれで良くないですよ」
「なのかな…?」
初めてできた後輩を助けてあげたいと思うんだけど…。方法がな~…。俺が出て行ってもしょうがないし。確かに笑夢の言った通りではある。連絡だけ入れてあげよう。
校舎の外に出ると、智一とルトと美香が俺らを待っていた。何やら智一はいつも通りに戻っている。なんだ?あんなに魂の抜けた顔していたのに。
「肇、帰るぞ!」
「どこに?」
「お前の家だろ?!」
「あ、ああ。元気になったようで何よりだよ」
「ひひ、そうだな!」
何を企んでいるのやら。悪い顔をして悪い笑い方をしている。なんだ?!ついにヒールになったのか…?本当に…なんだ?!
「ああ、このまま家に行けば二人の時間を邪魔できると思っているんですね?」
「な、何の事やら?」
あからさまに口笛を吹いてごまかそうとしている。う~ん…俺は別に構わないけど。いつでも笑夢に会ってるし。皆を邪魔だと思ったことはないんだけど。
「無駄だと思いますわよ?」
「俺らとの時間の方が楽しいと思わせる事に無駄はないだろ!!」
「いや、普通に楽しいよ?」
「ほ、本当か?!そのうち彼女との方が楽しいからそっちに行く、とかないよな?」
「こっちを削ることはないと思うし、望まないと思うからね」
「二人して…聖人か何かなのか?!」
聖人…か。言いえて妙だよな。だって手本となる天使だからなぁ。俺は違うかもしれないけど。
「まだ決まってない事があるじゃない?」
「スキーか?」
「そうそう、あれ決めようよ」
「合宿と修学旅行と…目白押しだな!」
「うん、もう修学旅行は終わったけどね」
「そうなんだよな…はぁ。」
智一は明らかに残念そうにしている。楽しかった記憶がなくなるわけじゃないんだから。そんなに残念そうにしなくてもいいのに。永遠に続いたらいい、とか聞くけど。多分永遠に続いたら、そんな楽しい時間ではないと思う。
「いま、この一瞬だから楽しいんだと思うよ?」
「ま、それもそうだな!」
自宅に着いて、皆で作戦会議をしようとするが、結君が居ない事に気づく。一人だけ通常授業だからなぁ…。
「どうしよう?うちは皆で決めた方がいいと思うけど…」
「気長に待とうか~!」
「おい、気になってることがあるんだが?」
「ん?何が気になるの?」
「肇の彼女とは、どこで出会ったんだ?」
う~ん…天から降って来た。言えないなぁ。どこで会うかね?食パン加えて走ってたらぶつかったとかがいいか!
「食パン加えて走ってたらぶつかったんだよ」
「んなわけあるか!!」
「なんで?」
「な、なんで?そんな漫画みたいな展開あるのか?」
「食パン加えて歩いてみれば?」
「う、うん?そうか、俺が悪いのか?」
智一は首を傾げて動かなくなる。信じられないよね。まぁ、嘘なんだけど。本当の事は言えないし。
皆受験対策とかもうしてるのかな?そうしたらちょっと忙しい時期になっちゃうかな?いや、それ以前に…滑るっていいのか?なんか、もう敏感になっていてもおかしくないような。
「考えすぎか?」
「どうでしょうね?」
「今から気にすることではないかな?」
「それは本人たちに聞いてみないと分からないですね!」
「本人には聞けないよ?!」
「じゃあ、気にしなくて大丈夫ですよ!大体、気にしているなら行こう、とは言いませんから」
それもそうか。結君は元気だろうか…。彼も友達が居なくてこの部活に入った訳だし…。というか、全然結君の事知らないな~。クラスではどんな感じで居るんだろうか?
「帰ったら、見て見よう」
「肇様がクラスに来たら大変な事になりますわよ?」
「そうかな?どうやって様子を見たらいいと思う?」
「そうですわね…わたくしが聞いておきますわよ?」
「様子を知るのに、聞いたらなんとも言えなくない?」
何かいい方法はないだろうか。あ!今日とか良いんじゃないか?一年と三年は普通に授業が行われているはずだし…!
一行を連れたバスは学校に到着する。現地解散になっていたため、俺は結君のクラスを見学しに行く。どんな感じだろうな…。横目でちらちら確認してみたら、結君は何故か囲まれていた、女子に。
「わぁ…これは男子から妬まれるだろうな…。」
「好き好んでなった訳ではないから余計かもしれませんね?」
「?!」
いつの間にやら隣に笑夢が居た。上げそうになった声を自分の口の中に押し込む。ねぇ、怖いって。俺、途中まで一人だったよね?そうだよね?
「ええ、こそこそしていたので着いてきました!」
「なるほどね。何とかしてあげられないかな?」
「なるようになるんじゃないですか?」
「それ、放棄してる?」
「こちらから構いに行くとそれはそれで良くないですよ」
「なのかな…?」
初めてできた後輩を助けてあげたいと思うんだけど…。方法がな~…。俺が出て行ってもしょうがないし。確かに笑夢の言った通りではある。連絡だけ入れてあげよう。
校舎の外に出ると、智一とルトと美香が俺らを待っていた。何やら智一はいつも通りに戻っている。なんだ?あんなに魂の抜けた顔していたのに。
「肇、帰るぞ!」
「どこに?」
「お前の家だろ?!」
「あ、ああ。元気になったようで何よりだよ」
「ひひ、そうだな!」
何を企んでいるのやら。悪い顔をして悪い笑い方をしている。なんだ?!ついにヒールになったのか…?本当に…なんだ?!
「ああ、このまま家に行けば二人の時間を邪魔できると思っているんですね?」
「な、何の事やら?」
あからさまに口笛を吹いてごまかそうとしている。う~ん…俺は別に構わないけど。いつでも笑夢に会ってるし。皆を邪魔だと思ったことはないんだけど。
「無駄だと思いますわよ?」
「俺らとの時間の方が楽しいと思わせる事に無駄はないだろ!!」
「いや、普通に楽しいよ?」
「ほ、本当か?!そのうち彼女との方が楽しいからそっちに行く、とかないよな?」
「こっちを削ることはないと思うし、望まないと思うからね」
「二人して…聖人か何かなのか?!」
聖人…か。言いえて妙だよな。だって手本となる天使だからなぁ。俺は違うかもしれないけど。
「まだ決まってない事があるじゃない?」
「スキーか?」
「そうそう、あれ決めようよ」
「合宿と修学旅行と…目白押しだな!」
「うん、もう修学旅行は終わったけどね」
「そうなんだよな…はぁ。」
智一は明らかに残念そうにしている。楽しかった記憶がなくなるわけじゃないんだから。そんなに残念そうにしなくてもいいのに。永遠に続いたらいい、とか聞くけど。多分永遠に続いたら、そんな楽しい時間ではないと思う。
「いま、この一瞬だから楽しいんだと思うよ?」
「ま、それもそうだな!」
自宅に着いて、皆で作戦会議をしようとするが、結君が居ない事に気づく。一人だけ通常授業だからなぁ…。
「どうしよう?うちは皆で決めた方がいいと思うけど…」
「気長に待とうか~!」
「おい、気になってることがあるんだが?」
「ん?何が気になるの?」
「肇の彼女とは、どこで出会ったんだ?」
う~ん…天から降って来た。言えないなぁ。どこで会うかね?食パン加えて走ってたらぶつかったとかがいいか!
「食パン加えて走ってたらぶつかったんだよ」
「んなわけあるか!!」
「なんで?」
「な、なんで?そんな漫画みたいな展開あるのか?」
「食パン加えて歩いてみれば?」
「う、うん?そうか、俺が悪いのか?」
智一は首を傾げて動かなくなる。信じられないよね。まぁ、嘘なんだけど。本当の事は言えないし。
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