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八階 智天使

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 結果は…。笑夢と美香の圧勝。分かり切った事でした。智一はふて寝しに行ったし、消灯時間になった。男サイド三人、女サイド二人で別れて眠りについた。
 二日目、バスに乗り込んで今度は戦が行われていたとされる場所に到着する。ここは全く警戒されていない。戦場なのに…?
 「戦場の方が少ないですよ?」
 「そうなの?なんでだろう?」
 「覚悟が出来ている人が多いからだと思います」
 「あ~…そういう事?」
 「たまに居ますけど、ね?」
 歯切れの悪い言い方が怖いんだけど、ね?とりあえず…一周見て見よう。こういうのって、何が目的で見学するんだろうな…?歴史を学ぶため、なのかな?歴史ってそんなに重要な事なのだろうか…。
 「もちろん、重要ですわよ?」
 「わ?!ど、どうして?」
 「同じ過ちを繰り返さないようにしたり、その時の文化のレベルを測ったりしますの」
 「同じ過ち…?」
 「そうですわ、人間同士は手を取り合って生きていく事が大事ですのに、どうして争うんですの?」
 価値観の違いとか?飢餓、災害…要因は色々あるか。助け合えば誰一人死ななかったかもしれないのに、わざわざ争う事を選択する。確かに。何故だろう。
 「そういったことを紐解くのにも必要ですし、得られるものが多いですわよね?」
 「そうか~…。」
 「なんで君たちは真面目な話をしているんだ?」
 智一が不思議そうな顔をして俺ら三人の間に割って入る。あ、三人だと思っていたけど、智一だけが入ってきてなかったみたい。気づけばルトも間に入っていた。
 「何故勉強するのか、が理解できそうじゃない?」
 「勉強なんか必要なのか?」
 「好きな分野を見つけて特化することが仕事を探すことに繋がるでしょ?」
 「うむ…そうなのか?」
 智一は首を傾げている。難しいとは思うけど、やりたいことを探すのは早い段階にしておきたい。そうすれば後で、それに関することをやっていけばいいだけだから。
 「俺は遊ぶことに特化しているな!」
 「どんな?」
 「ゲームが好きだ」
 「ゲーム関係の仕事には色々なスキルが必要じゃない?それをするために勉強すれば苦じゃないよ、きっと。」
 「なるほど、真面目だな」
 「あんまり聞く気ないでしょ?」
 「あるある!ありまくりだ!」
 智一は胸を張って答えた。う~ん…心配だ。でも、とやかく言っている俺もやりたいことってないんだよね…。他人に話すのは出来るけど、自分が何をしたいかって分からないや。
 「歴史から話が逸れたじゃないか!」
 「はは、わりい!」
 話し終わる頃には一周が終わっていた。終わった班から昼食を摂っていて、俺らも昼食を摂る。朝からいっぱい食べた影響か、お腹があまり空いていないかったけど、食べるものは食べた。
 バスの中で智一は悲しそうな顔をしている。まぁ、自分から賭けをしに行ったから…しょうがないよ?隣で天使組は容赦なく食べているけど。なんだろう…悪魔だったのかな?
 「悪魔ではありませんよ、勝負ですからね。仕方ない事です」
 「そうですわよ、わたくし達に向かってなんてことを…。」
 うん、俺が悪かったからさ、ナチュラルに心を読んでそれについて言及するのは辞めよう?!それ、他の人には伝わってないんだから!
 「大丈夫です、聞こえていませんよ…きっと」
 「う~ん…ナチュラル!」
 「チーズですか?」
 「うん、チーズ美味しい!」
 「放棄されました…。」
 「おい、プロセスの方がいいだろ!」
 「なんで?!そこに乗っからない!」
 大変な事になった。そもそもそこまで味変わらないでしょ…。どっちもチーズじゃないか?チーズは美味しいけどさ。
 ていうか、この後どこに向かうんだ…?しおりを読んだら山登りだった。有名な山なんだな?どんぐらいの時間をかけるんだろう?そうだな~三十分~一時間程度だろうか?そんなことを考えていたんだけど…。
 「嘘だろ…これ登るのか?」
 山を見上げて驚く。普通に登山を楽しむレベルの場所。なんなら、目の前には1900mと記載されている。時間は…十三時。これ、行けるか?
 「ロープウェイで行くみたいですよ?」
 「そうか…それぐらいしてくれないと登りきらないよね?」
 「ていうか、ロープウェイで頂上まで行けるんじゃね?」
 「は?!怖すぎじゃない?!」
 本当に書いてあるじゃん。耐久とか高山病とか…問題ないのか?高い山に登ると結構怖いって聞くんだけど…。
「標高2000m超えたら危険ですけどね?」
 「へぇ…そうなんだ?」
 「用心するに越したことはないですよ?一気に登りますし。」
 「どうやって用心するの…?」
 「気合…ですかね?」
 ロープウェイに乗り込んで下を見下ろす。乗り場がもう既に見えなくなっていって…早すぎ!!怖い怖い!なんかグラグラするし、人いっぱい乗ってるし。やばいって!
 「そんなに怖がらなくても大丈夫ですよ?」
 「そ、そうなのかな?」
 「どうかな?意外と行くんじゃねえか?」
 「行く…ってなんだ?」
 「そっちじゃない、逝くんだよ」
 「おい!そんなこと言うなよ!!」
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