41 / 61
六階 主天使
(7)
しおりを挟む
はぁ…最近すごい疲れるな。色々非現実的な事が起きているからかな?それとも思考を巡らせているからかな?どれも全部か…。
今までは帰り道が一人だった。それが二人になり、三人になり。自分以外は天使なんだけど。
「何か悩みがありまして?」
「うん、二人の事なんだけどね?」
「私も入ってるんですか?!」
「そうだよ…?」
二人のおかげであり、二人の所為でもある、複雑だ。別に拒否したいわけじゃないのに、拒否をしなくちゃいけないのだから。
「まだ悩んでらしたんですの?」
「いや?決まってはいるよ?心苦しいというか…心労が…。」
「新郎になるから心労がかかっていると?」
「うまい!……違う!そういう事じゃなくて!」
断らなきゃいけないという負担が大きい。かといって…二人同時は無理だ。好きと言ってくれるのを断るのは…俺が一生引きずりそうだ。
「気にしないでくださいまし?」
「え?」
「肇様には選ぶ権利があった、それだけですの」
「そうですね、私もそう思いますよ?」
二人は笑顔で俺を見ている。そっか…長引かせているのも相手を思えば良くないか。元々笑夢との未来しか考えていなかったわけだし。
「わたくしが一歩遅かっただけですの…」
美香は悔しがって、ハンカチを齧っている。ははは、感情豊かだな。見ていて本当に面白い。
「それでは、ごきげんよう」
「うん、また明日」
俺は美香の後ろ姿に声を掛けた。美香はそのまま飛んで…行った。ああ、見えないんだっけ。忘れちゃうよな…。
「嵐が過ぎ去ったみたいですね?」
「すごい強風だったよね」
二人で笑いあう。そういえば…告白ってどこでするのがいいんだろう?何か噂ではロマンチックな所がいいとか…じゃないと振られるとか?!なんとか…。
「どこでも大丈夫ですよ?」
「でもさ…きっと一生に一度だよ?」
「そうですか…そこまで考えてくれるならお任せしますね?」
笑夢は恥ずかしそうにしている。責任重大だ…。どうする…?どうするか。
寝ても覚めても告白事を考える。気づけばテストも終わり、終業式が終わり…明日が新年。まだ場所も決まらず、言葉も決まっていない。意気地なしめ…。
ロマンチック…。待てよ?この家で始まったのなら…この家でもう一度新たなスタートをするのもいいか。言葉は…新年に合わせて…。よし、決めた!
「決まった!」
「え?何がですか?」
リビングでテレビを見ていた笑夢は驚いた顔でこっちを見てくる。新年に向けてカウントダウンが進む。10…9……2…1。
「新年あけましておめでとう、好きです。今年も、これからもずっと一緒に居てください。」
「あはは…それじゃあプロポーズじゃないですか?」
「だって、ずっと一緒に居てくれるんでしょ?付き合ってっておかしな感じじゃない?」
笑夢は涙を浮かべて頬を赤らめる。始まりも一旦の区切りも。新たなスタートも。全てこの家で。最善だったと思うんだ。どう…だろうか。
「はい!喜んで!」
「はぁ…緊張した。」
「本当ですか?全然そんな風に見えませんでしたよ?」
「照れ隠し…?」
「神隠しだ、酒を持ってきたぞ!祝いだ!」
「どっから湧いたんだ?!」
気づけば隣に神が居た。この神…レギュラーみたいに現れてくる。ていうか…酒くさ!もう飲んでるな…?!
「ははは!恋愛小説みたいだったぞ?」
「そうか…これ見たかったんだ…。」
「それもそうだが、誰かの幸せを応援するのも神の仕事だからな!」
「酒を飲むのは…?」
「神にはな?集まりがあるのだ、酒は欠かせない!」
酒瓶を片手に酒を煽る。神には神の事情があるみたいだ。と言うか…ムードぶち壊したな?本当に…。
「ムード?なんだ?何かしようとしていたのか?」
「いや?何もないけど…?」
「そういえば、笑夢への褒美はどうした?」
「ほう……び?」
褒美…?ああ、俺の事を庇ってくれた?すっかり忘れていた…。もう、告白の事で精一杯だったよ…。
「あれは良いのです、もう…もらいましたから」
「おお、そうか?これで良かったのか?」
「はい!これは…永遠の愛です!」
「すごい…その言葉って体現できるんだ?!」
永遠の愛とか…体現出来ないと思っていた。それこそ、寿命の問題で。永遠ではなく…長くても70年程度。
「私達は神と天使だぞ?不可能はない!」
「そういえば俺の面接終わった?」
「最終審査はクリアだな」
「どこでクリアした?!」
「ん?二人を娶ろうとするなら、蹴落としてやるつもりだったぞ?」
「うわぁ…まじか。」
「そうだろう?お前の考えた通りだ。優しさだけでは何も出来ないのだ」
まぁ…妥当だ。ていうか用事もないのに降りてきたのか。いや…待てよ?最終審査クリアって事は…そういう事?
「そうだぞ?お前を迎えに来た。」
「……え?今?」
「ああ、今だ。」
聞いてない、何それ。展開早すぎでしょ。ああ、天界だから?シャレにならんって!!
今までは帰り道が一人だった。それが二人になり、三人になり。自分以外は天使なんだけど。
「何か悩みがありまして?」
「うん、二人の事なんだけどね?」
「私も入ってるんですか?!」
「そうだよ…?」
二人のおかげであり、二人の所為でもある、複雑だ。別に拒否したいわけじゃないのに、拒否をしなくちゃいけないのだから。
「まだ悩んでらしたんですの?」
「いや?決まってはいるよ?心苦しいというか…心労が…。」
「新郎になるから心労がかかっていると?」
「うまい!……違う!そういう事じゃなくて!」
断らなきゃいけないという負担が大きい。かといって…二人同時は無理だ。好きと言ってくれるのを断るのは…俺が一生引きずりそうだ。
「気にしないでくださいまし?」
「え?」
「肇様には選ぶ権利があった、それだけですの」
「そうですね、私もそう思いますよ?」
二人は笑顔で俺を見ている。そっか…長引かせているのも相手を思えば良くないか。元々笑夢との未来しか考えていなかったわけだし。
「わたくしが一歩遅かっただけですの…」
美香は悔しがって、ハンカチを齧っている。ははは、感情豊かだな。見ていて本当に面白い。
「それでは、ごきげんよう」
「うん、また明日」
俺は美香の後ろ姿に声を掛けた。美香はそのまま飛んで…行った。ああ、見えないんだっけ。忘れちゃうよな…。
「嵐が過ぎ去ったみたいですね?」
「すごい強風だったよね」
二人で笑いあう。そういえば…告白ってどこでするのがいいんだろう?何か噂ではロマンチックな所がいいとか…じゃないと振られるとか?!なんとか…。
「どこでも大丈夫ですよ?」
「でもさ…きっと一生に一度だよ?」
「そうですか…そこまで考えてくれるならお任せしますね?」
笑夢は恥ずかしそうにしている。責任重大だ…。どうする…?どうするか。
寝ても覚めても告白事を考える。気づけばテストも終わり、終業式が終わり…明日が新年。まだ場所も決まらず、言葉も決まっていない。意気地なしめ…。
ロマンチック…。待てよ?この家で始まったのなら…この家でもう一度新たなスタートをするのもいいか。言葉は…新年に合わせて…。よし、決めた!
「決まった!」
「え?何がですか?」
リビングでテレビを見ていた笑夢は驚いた顔でこっちを見てくる。新年に向けてカウントダウンが進む。10…9……2…1。
「新年あけましておめでとう、好きです。今年も、これからもずっと一緒に居てください。」
「あはは…それじゃあプロポーズじゃないですか?」
「だって、ずっと一緒に居てくれるんでしょ?付き合ってっておかしな感じじゃない?」
笑夢は涙を浮かべて頬を赤らめる。始まりも一旦の区切りも。新たなスタートも。全てこの家で。最善だったと思うんだ。どう…だろうか。
「はい!喜んで!」
「はぁ…緊張した。」
「本当ですか?全然そんな風に見えませんでしたよ?」
「照れ隠し…?」
「神隠しだ、酒を持ってきたぞ!祝いだ!」
「どっから湧いたんだ?!」
気づけば隣に神が居た。この神…レギュラーみたいに現れてくる。ていうか…酒くさ!もう飲んでるな…?!
「ははは!恋愛小説みたいだったぞ?」
「そうか…これ見たかったんだ…。」
「それもそうだが、誰かの幸せを応援するのも神の仕事だからな!」
「酒を飲むのは…?」
「神にはな?集まりがあるのだ、酒は欠かせない!」
酒瓶を片手に酒を煽る。神には神の事情があるみたいだ。と言うか…ムードぶち壊したな?本当に…。
「ムード?なんだ?何かしようとしていたのか?」
「いや?何もないけど…?」
「そういえば、笑夢への褒美はどうした?」
「ほう……び?」
褒美…?ああ、俺の事を庇ってくれた?すっかり忘れていた…。もう、告白の事で精一杯だったよ…。
「あれは良いのです、もう…もらいましたから」
「おお、そうか?これで良かったのか?」
「はい!これは…永遠の愛です!」
「すごい…その言葉って体現できるんだ?!」
永遠の愛とか…体現出来ないと思っていた。それこそ、寿命の問題で。永遠ではなく…長くても70年程度。
「私達は神と天使だぞ?不可能はない!」
「そういえば俺の面接終わった?」
「最終審査はクリアだな」
「どこでクリアした?!」
「ん?二人を娶ろうとするなら、蹴落としてやるつもりだったぞ?」
「うわぁ…まじか。」
「そうだろう?お前の考えた通りだ。優しさだけでは何も出来ないのだ」
まぁ…妥当だ。ていうか用事もないのに降りてきたのか。いや…待てよ?最終審査クリアって事は…そういう事?
「そうだぞ?お前を迎えに来た。」
「……え?今?」
「ああ、今だ。」
聞いてない、何それ。展開早すぎでしょ。ああ、天界だから?シャレにならんって!!
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる