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六階 主天使
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翌日、学校に向かうと何やら不穏な空気が漂っている。なんだろう?何かしたかな?いや、普通の生活をしているだけだし…本当になんだろう?
何故か生徒が俺の顔を怪訝な目つきで見てくる。気にせずに笑夢と一緒にクラスまで歩く。教室に入ると、またしても智一が俺の元に走ってくる。もう、いつも見る光景だ。
「お前何したんだ?!」
「いや…?特に何も?」
「変な噂が流れてるぞ?!」
「何…変な噂って?」
ああ、それで朝から変なものを見る目で見られたわけだ。それにしても…別に何もしてないけどな?また喧嘩とかの噂とか?でも、皆そんなに気にしてる様子はなかったからな…流石に異常か?
「何やらお前が全裸で走り回った?とかなんとか?」
「はぁ…?それって、信じている人が一定数いるの?」
「多分?俺らのクラスだけが信じてないんじゃないか?」
そうなの?いつもなら疑うような…?皆の顔を見て見ると口々に「そうだそうだ!」「信じてないぞ!」と何故か一致団結している。有難いけど…何?戦争でも起こすの?
「何?本当に…ていうか何が原因なんだろ?」
「とある情報によると…美香ファンクラブなんじゃないか?って」
「あ~…なるほどね。」
「肇さん…やはり良い事なんて無かったじゃないですか?」
「う…ごめんって…」
「過ぎた事は仕方ないですけど…かなり大きな噂になってるようですね?」
先生が現れて俺が呼び出しされる。なんで?こんなしょうもない情報に踊らされるかね?
先生にねちねち説教される。やってないって言っても、信じてもらえず。と言うか、自分の請け負った生徒が全裸で走り回るのを否定しないの?俺全裸で走り回っちゃったの?そんなことしないでしょ…
教室に帰り、自分の席に座る。昨日転校してきてさ、昨日の今日でもう嫌がらせしてくるの?結構行動力あるんだな…。
「感心している場合じゃないですよ?」
「ん?人の噂も七十九日と言うじゃない?」
「私は許しませんけどね…。」
見ると笑夢の額に青筋が立っている。待て待て!!世界を滅ぼしそうな顔してるって…。怒ってくれるのは凄く嬉しいけどさ、なんか地球に穴開けたりしないでね?
「わたくしも…許せませんわね。」
やばい…二人してとんでもなく怒ってる。人間で本人の俺よりも怒ってくれてる…嬉しい!って言ってる場合じゃない!
「ま、落ち着いて?二人とも…一度ティータイムでも挟んで…」
「言ってる場合ですか?!」「言ってる場合ですの?!」
怒られた…俺まで。美香と笑夢は二人で顔を見合わせて頷き、部屋を出て行った。おいおいおい…まずいって!!俺も後を追いかける。
どんどん進んでいって空き教室にたどり着いた。授業始まるよ?何?ここに居るの?授業出なよ…勉強しな?
二人が入っていくと、何やら「美香様だ!」「おいでくださった!」と言う黄色い悲鳴が聞こえる。中を覗くと、複数人…7人ぐらい居た。一人ひとり順番に何かされている…ん?なんか書き換えてるのか?
「ねぇ…何してるの?」
「はい?書き換えですわね?」
「そうですね、記憶の書き換えです」
「それ…人格変わったりは…?」
「多少するんじゃないですか?」
「そうですわね?」
「テセウスの船…」
「見た目は変わらないので中身が変わってもその人ですよ?」
「寧ろ良い行いをする人になりますわ?」
ひぃ…二人の目が笑ってない。すっごい…怖い。笑夢と一緒に長く居るけどここまで怒った所を見るのは初めてかもしれない。
「当たり前です!肇さんの日常に支障が出るんですよ!!」
「そ、そっか」
「自分に無頓着すぎますよ!」
「ご、ごめんなさい…」
「はぁ…すいません。言いすぎました。」
笑夢は視線を作業している手の方へ戻す。無頓着なのかな…多分慣れてしまったんだろうな。人から何を言われても何も感じないように。
「これで終わりですかね?」
「そうですわね」
「噂の方はどう処理しましょうか?」
「新しい噂を流すしかないですわ」
「新しい噂?」
「肇さんの噂…何がいいでしょうか?」
「流行りそうな噂がいいですわよ?」
「肇さんは“おしゃれ”とかどうですか?」
「良いですわね、そういたしましょう!」
「や…やめてくれ~!!」
「良いじゃないですの?おしゃれなのは良い事ですわよ?」
「俺…着る服なんか気にしたことないよ!!」
「これは…罰でもありますよ?」
ご、ごめんなさい!!俺の所為ではないと思うんだけど…俺まで罰を受けるのか…。
「そうですね、ちょっとの間だけですから」
「“七十九日”だけですわよね?」
「本当に…すいませんでした!!」
「噂と言うのは人格形成にかかわる大変な問題なんです」
「と言うと…?」
「もし、その人が“おしゃれ”と言う噂が広まれば、その人はおしゃれじゃないといけないという認識が発生しますよね?」
「うん?」
「すると、自分の中で形成されたものが変化してしまう可能性があります」
「自分が自分で無くなっちゃうって事?」
「そういう事です」
人から決められた物を身に着ければ“おしゃれ”なのか、自分の意見を押し通して着たい服を着るのが“おしゃれ”なのか。そういう事か。なるほど…。
何故か生徒が俺の顔を怪訝な目つきで見てくる。気にせずに笑夢と一緒にクラスまで歩く。教室に入ると、またしても智一が俺の元に走ってくる。もう、いつも見る光景だ。
「お前何したんだ?!」
「いや…?特に何も?」
「変な噂が流れてるぞ?!」
「何…変な噂って?」
ああ、それで朝から変なものを見る目で見られたわけだ。それにしても…別に何もしてないけどな?また喧嘩とかの噂とか?でも、皆そんなに気にしてる様子はなかったからな…流石に異常か?
「何やらお前が全裸で走り回った?とかなんとか?」
「はぁ…?それって、信じている人が一定数いるの?」
「多分?俺らのクラスだけが信じてないんじゃないか?」
そうなの?いつもなら疑うような…?皆の顔を見て見ると口々に「そうだそうだ!」「信じてないぞ!」と何故か一致団結している。有難いけど…何?戦争でも起こすの?
「何?本当に…ていうか何が原因なんだろ?」
「とある情報によると…美香ファンクラブなんじゃないか?って」
「あ~…なるほどね。」
「肇さん…やはり良い事なんて無かったじゃないですか?」
「う…ごめんって…」
「過ぎた事は仕方ないですけど…かなり大きな噂になってるようですね?」
先生が現れて俺が呼び出しされる。なんで?こんなしょうもない情報に踊らされるかね?
先生にねちねち説教される。やってないって言っても、信じてもらえず。と言うか、自分の請け負った生徒が全裸で走り回るのを否定しないの?俺全裸で走り回っちゃったの?そんなことしないでしょ…
教室に帰り、自分の席に座る。昨日転校してきてさ、昨日の今日でもう嫌がらせしてくるの?結構行動力あるんだな…。
「感心している場合じゃないですよ?」
「ん?人の噂も七十九日と言うじゃない?」
「私は許しませんけどね…。」
見ると笑夢の額に青筋が立っている。待て待て!!世界を滅ぼしそうな顔してるって…。怒ってくれるのは凄く嬉しいけどさ、なんか地球に穴開けたりしないでね?
「わたくしも…許せませんわね。」
やばい…二人してとんでもなく怒ってる。人間で本人の俺よりも怒ってくれてる…嬉しい!って言ってる場合じゃない!
「ま、落ち着いて?二人とも…一度ティータイムでも挟んで…」
「言ってる場合ですか?!」「言ってる場合ですの?!」
怒られた…俺まで。美香と笑夢は二人で顔を見合わせて頷き、部屋を出て行った。おいおいおい…まずいって!!俺も後を追いかける。
どんどん進んでいって空き教室にたどり着いた。授業始まるよ?何?ここに居るの?授業出なよ…勉強しな?
二人が入っていくと、何やら「美香様だ!」「おいでくださった!」と言う黄色い悲鳴が聞こえる。中を覗くと、複数人…7人ぐらい居た。一人ひとり順番に何かされている…ん?なんか書き換えてるのか?
「ねぇ…何してるの?」
「はい?書き換えですわね?」
「そうですね、記憶の書き換えです」
「それ…人格変わったりは…?」
「多少するんじゃないですか?」
「そうですわね?」
「テセウスの船…」
「見た目は変わらないので中身が変わってもその人ですよ?」
「寧ろ良い行いをする人になりますわ?」
ひぃ…二人の目が笑ってない。すっごい…怖い。笑夢と一緒に長く居るけどここまで怒った所を見るのは初めてかもしれない。
「当たり前です!肇さんの日常に支障が出るんですよ!!」
「そ、そっか」
「自分に無頓着すぎますよ!」
「ご、ごめんなさい…」
「はぁ…すいません。言いすぎました。」
笑夢は視線を作業している手の方へ戻す。無頓着なのかな…多分慣れてしまったんだろうな。人から何を言われても何も感じないように。
「これで終わりですかね?」
「そうですわね」
「噂の方はどう処理しましょうか?」
「新しい噂を流すしかないですわ」
「新しい噂?」
「肇さんの噂…何がいいでしょうか?」
「流行りそうな噂がいいですわよ?」
「肇さんは“おしゃれ”とかどうですか?」
「良いですわね、そういたしましょう!」
「や…やめてくれ~!!」
「良いじゃないですの?おしゃれなのは良い事ですわよ?」
「俺…着る服なんか気にしたことないよ!!」
「これは…罰でもありますよ?」
ご、ごめんなさい!!俺の所為ではないと思うんだけど…俺まで罰を受けるのか…。
「そうですね、ちょっとの間だけですから」
「“七十九日”だけですわよね?」
「本当に…すいませんでした!!」
「噂と言うのは人格形成にかかわる大変な問題なんです」
「と言うと…?」
「もし、その人が“おしゃれ”と言う噂が広まれば、その人はおしゃれじゃないといけないという認識が発生しますよね?」
「うん?」
「すると、自分の中で形成されたものが変化してしまう可能性があります」
「自分が自分で無くなっちゃうって事?」
「そういう事です」
人から決められた物を身に着ければ“おしゃれ”なのか、自分の意見を押し通して着たい服を着るのが“おしゃれ”なのか。そういう事か。なるほど…。
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