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五階 力天使
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ルトが部屋に入ってきて、智一を見るなり「何となくこんな気がしたんだ」と言った。うん、図星。寝てないって言ってたのに海ではしゃいでいたし…起きていられるわけがないんだよ。
「じゃあ…何しようか?」
「夕食まで…トランプでもしますか?」
「そうだね、一番皆が分かりやすいかもしれない」
「うち…あんまりルール分からないよ?」
「う~ん…簡単だと思うんだけどなぁ」
大富豪、ダウト、ブラックジャック、ババ抜き…いろいろあるけど。ババ抜きが無難なのかな?待てよ…笑夢にとってすべてが有利なのでは?!
俺は笑夢の方を勢いよく見る。笑夢はにこやかに頷いた。うん、勝つことは諦めようか。
「じゃあ…一番簡単なババ抜きやる?」
「うん!それならうちでも分かるよ!」
「じゃあ、配りますね?」
こっそり笑夢の傍から離れる。笑夢の隣、要するに笑夢と駆け引きする場所から離れたかった。ゲームでもさ…勝ちたいじゃん?
「順番はじゃんけんで決めるのがいいと思いますので、席を移動しても無駄ですよ?」
「ありゃ…バレた?!」
「あはは!席順で勝敗は変わらないよ?」
ルトは手を叩いて笑っている。知らないんだよ…笑夢の能力を。心を読めるというババ抜きに置いて無敵な能力を…。
「行きますよ?じゃんけんぽん!」
俺パー、二人チョキ。はい、負け。既に勝負に負けました。もう…どうにでもなれい!!そんなこんなでババ抜きがスタートした。手札を見て、揃っているものを捨てていく。はぁ…ちらっと見えました。奴だ、ピエロのマークをしたやつが…居やがる。
「どうぞ」
「はい、じゃあ引きますね」
笑夢は俺の札を引いて行く。うん、そうだよね。ジョーカー持って行かないよね。く…圧倒的不利だ。
しばらくゲームが進んでいき、俺と笑夢の一対一になった…?え?笑夢一番で上がって欲しかったんだけど?!
「よし…!」
俺は札をひょこっと上に出す。その一枚はジョーカーだ。残り手札数は俺二枚で笑夢が一枚。ジョーカーを引いた方が負け!行け!
「上がりです」
「ですよね~。分かってましたとも。」
普通にちゃんと負けた。だ~!!!悔しい。勝てるはずはないと分かっていても最後まで戦ったらちゃんと悔しい。圧倒的に勝ってくれたらよかったのに…!!
「もう一回!」
「次もうちが勝っちゃうよ?」
「次はどうなるかわかりませんからね?」
ルトは悪い顔をして、笑夢は微笑む。なんでそんなバチバチな感じ出すの?!と言うか…能力使ってない感じ?なんだ…なら勝てるかもしれない!
と、思ってました。連敗も連敗、ずっとビリ。俺…弱くない?分かりやすいの?確かにさ、騙すってしたことないし、出来ないけど。
「肇さんは弱いですね?そこもいいところですけど」
「あ…煽ってる?!」
「いえいえ、優しさが邪魔しているのかな?と。」
「くぅ…言い方さえ変えてしまえば気分が良くなってしまうじゃないか」
「ははは!面白いね!」
「うん?面白いかな?」
いつも通りのやり取りだったと思うんだけど。なんか…他の人のツボって分からない。俺らのやり取りを漫才みたいに思っていたりするし。俺ってもしかして、友達欲しいとか言ってたけど他人に興味を持っていなかったって事?!
「一理ありますね」
「あ…そうですか。」
「でも、相手が興味を持ってくれないのにこっちが興味を持っていても気持ち悪がられたりしますからね?」
「難しすぎ!!」
「なんの話?」
「おっと…夕食の時間ですよ?」
「わ!もうそんな時間?」
うまく笑夢がいなしてくれた。いや、まぁ…話してもいいんだけど。友達に関する話ってだけだし。さて…智一を起こすか。寝ている智一の元に行って揺すったり、叩いたり、往復ビンタしたり…水を一滴たらしてみたりした。まぁ、起きなかったけど。
三人で夕食に舌鼓して、解散した。明日は早いわけではないけど、布団も敷いてあるし、電気を消して布団に潜り込む。
「二人で一緒に寝るのは、久しぶりですね?」
「う、うん?そうだね?」
「なんで平気そうなんですか?もっとどぎまぎしてくれてもいいんですよ?」
「ごめん、今は…男性の姿だから。」
ごめんなさい。俺は女性の方が好きです。向かい合っている笑夢の顔が月明かりに照らされる。頬を膨らませて不満そうな顔が目に入ってきた。
「でもさ、ありがとう本当に。」
「何がですか?私は何もしてないですけど…?」
学校生活で男性の姿で居てくれる事は有難い。俺は女性から問い詰められる事もないし。多分…女性姿だったら色々問題が起きていたんだろう。男性から疎まれて、孤立するとか。
「まぁ、そういった面でも男性姿を選択した、と言うのは間違いではないですね」
「だから、ありがとう。今は友達に囲まれて、こうやって合宿とかもできる。」
「ふふ、真面目な顔で言われると…照れますよ?」
「その姿で居る事って大変じゃないの?」
「そうですね…肩が凝るぐらいですかね?」
「代償小さいな?!」
「肇さんをサポートして、一緒に居ることが私の目標なので!」
笑顔で言われる。本当に…ありがとう。
「じゃあ…何しようか?」
「夕食まで…トランプでもしますか?」
「そうだね、一番皆が分かりやすいかもしれない」
「うち…あんまりルール分からないよ?」
「う~ん…簡単だと思うんだけどなぁ」
大富豪、ダウト、ブラックジャック、ババ抜き…いろいろあるけど。ババ抜きが無難なのかな?待てよ…笑夢にとってすべてが有利なのでは?!
俺は笑夢の方を勢いよく見る。笑夢はにこやかに頷いた。うん、勝つことは諦めようか。
「じゃあ…一番簡単なババ抜きやる?」
「うん!それならうちでも分かるよ!」
「じゃあ、配りますね?」
こっそり笑夢の傍から離れる。笑夢の隣、要するに笑夢と駆け引きする場所から離れたかった。ゲームでもさ…勝ちたいじゃん?
「順番はじゃんけんで決めるのがいいと思いますので、席を移動しても無駄ですよ?」
「ありゃ…バレた?!」
「あはは!席順で勝敗は変わらないよ?」
ルトは手を叩いて笑っている。知らないんだよ…笑夢の能力を。心を読めるというババ抜きに置いて無敵な能力を…。
「行きますよ?じゃんけんぽん!」
俺パー、二人チョキ。はい、負け。既に勝負に負けました。もう…どうにでもなれい!!そんなこんなでババ抜きがスタートした。手札を見て、揃っているものを捨てていく。はぁ…ちらっと見えました。奴だ、ピエロのマークをしたやつが…居やがる。
「どうぞ」
「はい、じゃあ引きますね」
笑夢は俺の札を引いて行く。うん、そうだよね。ジョーカー持って行かないよね。く…圧倒的不利だ。
しばらくゲームが進んでいき、俺と笑夢の一対一になった…?え?笑夢一番で上がって欲しかったんだけど?!
「よし…!」
俺は札をひょこっと上に出す。その一枚はジョーカーだ。残り手札数は俺二枚で笑夢が一枚。ジョーカーを引いた方が負け!行け!
「上がりです」
「ですよね~。分かってましたとも。」
普通にちゃんと負けた。だ~!!!悔しい。勝てるはずはないと分かっていても最後まで戦ったらちゃんと悔しい。圧倒的に勝ってくれたらよかったのに…!!
「もう一回!」
「次もうちが勝っちゃうよ?」
「次はどうなるかわかりませんからね?」
ルトは悪い顔をして、笑夢は微笑む。なんでそんなバチバチな感じ出すの?!と言うか…能力使ってない感じ?なんだ…なら勝てるかもしれない!
と、思ってました。連敗も連敗、ずっとビリ。俺…弱くない?分かりやすいの?確かにさ、騙すってしたことないし、出来ないけど。
「肇さんは弱いですね?そこもいいところですけど」
「あ…煽ってる?!」
「いえいえ、優しさが邪魔しているのかな?と。」
「くぅ…言い方さえ変えてしまえば気分が良くなってしまうじゃないか」
「ははは!面白いね!」
「うん?面白いかな?」
いつも通りのやり取りだったと思うんだけど。なんか…他の人のツボって分からない。俺らのやり取りを漫才みたいに思っていたりするし。俺ってもしかして、友達欲しいとか言ってたけど他人に興味を持っていなかったって事?!
「一理ありますね」
「あ…そうですか。」
「でも、相手が興味を持ってくれないのにこっちが興味を持っていても気持ち悪がられたりしますからね?」
「難しすぎ!!」
「なんの話?」
「おっと…夕食の時間ですよ?」
「わ!もうそんな時間?」
うまく笑夢がいなしてくれた。いや、まぁ…話してもいいんだけど。友達に関する話ってだけだし。さて…智一を起こすか。寝ている智一の元に行って揺すったり、叩いたり、往復ビンタしたり…水を一滴たらしてみたりした。まぁ、起きなかったけど。
三人で夕食に舌鼓して、解散した。明日は早いわけではないけど、布団も敷いてあるし、電気を消して布団に潜り込む。
「二人で一緒に寝るのは、久しぶりですね?」
「う、うん?そうだね?」
「なんで平気そうなんですか?もっとどぎまぎしてくれてもいいんですよ?」
「ごめん、今は…男性の姿だから。」
ごめんなさい。俺は女性の方が好きです。向かい合っている笑夢の顔が月明かりに照らされる。頬を膨らませて不満そうな顔が目に入ってきた。
「でもさ、ありがとう本当に。」
「何がですか?私は何もしてないですけど…?」
学校生活で男性の姿で居てくれる事は有難い。俺は女性から問い詰められる事もないし。多分…女性姿だったら色々問題が起きていたんだろう。男性から疎まれて、孤立するとか。
「まぁ、そういった面でも男性姿を選択した、と言うのは間違いではないですね」
「だから、ありがとう。今は友達に囲まれて、こうやって合宿とかもできる。」
「ふふ、真面目な顔で言われると…照れますよ?」
「その姿で居る事って大変じゃないの?」
「そうですね…肩が凝るぐらいですかね?」
「代償小さいな?!」
「肇さんをサポートして、一緒に居ることが私の目標なので!」
笑顔で言われる。本当に…ありがとう。
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