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四階 能天使

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 学校からの帰宅途中、急に思い出す。人を本気で好きになるってどういう感情なんだろう。好きって…なんだろう。笑夢は俺に構ってくれるけど、俺はどうなんだろう。う~ん…分からん!!調べてみるか…。
 携帯を取り出して検索する。好きとは、感情が激しく動いた時。画面を見て固まる。だってそうだろう?意味が分からないから。怖い思いをしたとき、それは好き?悲しい思いをしたとき、それは好き?感情って何ですか?
 「はぁ…。」
 「深いため息ですね?どうしました?」
 「ははは、分かってるんでしょ?」
 隣を歩いている笑夢が話しかけてくる。心が読めるのなら、俺の悩みなんて分るだろう。
 「そんなに深く考えなくていいですよ?」
 「ダメなんだ、真剣に考えないと。」
 初めてにして最後の恋になるかもしれないじゃないか。今ここで考えたって大丈夫なはず。寧ろ…ちゃんと答えが出てないのに付き合うとか…ならなくない?
 「そうですかね?年齢によって変わると思いますよ?」
 「年齢…ね。」
 「高校生の時から真剣にお付き合いとか…あんまり居ないと思いますよ?」
 なるほど…?先は長いし、告白されたら付き合うとかあるかもしれない。う~ん…ますます分からない。感情が大きく動く…か。どこで動いているんだろ?
 「真剣に考えてくれるのは嬉しいですけどね?」
 「うん?だってさ、もし恋愛が始まったらこの先ずっと一緒だよね?」
 「まぁ…そうなりますかね?私が女神という立場になりますので」
 だよね。だったらはっきり答えを出したいよ。この先、何百、何千…数えきれないぐらい一緒に居る予定だと思うから。
 「良いですね!!本当に…かっこいいですよ?」
 「はは、ありがとう?」
 甲斐性なしとも言えるかもしれないのに。ポジティブに考えてくれてありがとう。最初に出会ったときには頷いたはずなんだけどなぁ…。今更なんなんだろうな。
 「うん、勢いで付き合ったらきっと別れてしまうでしょうね」
 「そうなのかな?」
 「そこそこ高い確率だと思いますよ?相手を知らないじゃないですか?」
 「うん?」
 「後で嫌なところだけ見えてくるのは、最初には見えていなかったからです」
 なるほど…。いいところのみを見ているから、後で嫌なところが出てくると耐えられない、と?そういうもの…か。じゃあ、俺は大丈夫か。笑夢に嫌だと思ったところはないし。強いて言えばちょっと怖いかな…ってだけで。
 「ちょっと…怖いですか?」
 笑夢は顔を近づけてくる。そういうところが怖いっていうか…。なんていうか。心読まれるのも…怖いし。
 「う~ん…そういうものですか。」
 「そればかりは…ね?」
 「まぁ…いいでしょう。」
 頬を膨らませて不服そうにしているが、何とか納得してくれたようだ。
そうだ…デートだ!どこに行けばいいかな…。夏休みに海に行く予定だし、なんだろう?どこがいいんだ…う~ん。考える事が山ほどあるぞ?!何故だ…。
 「ふふ、いいんですよ?どこでも?」
 「良くないよ?二回目ってね、一回しか来ないんだから」
 一回目も二回目も三回目も、一回しかない。記憶に残るようなデートにしないと。それらは全て記念になるんだ。
 「面白い事を考えますね!人生だって一回きりしかないですからね」
 「うん、だから全力で考えるんだ」
 「肇さんは本当に…面白い人ですね」
 笑夢はうっとりした顔をして俺を見つめている。前を見ていないのに、歩いてくる人をよけ続ける。もはや、そこしか気にならなくなってしまった。
 「ただいま」
 二人で玄関をくぐる。笑夢は台所に行き、食事の準備を始めた。俺はデートの場所をもう一度検索し始めた。
 前にも調べたけど…定番じゃない方がいいかな?いや、定番でもいいけど…二人で興味があるものがいい。でも、二人で興味があるものってなんだ?ん~…。笑夢が興味があるので唯一知っているのが犬なんだよな。犬が好きって事は…動物が好き?
 「動物園とか好きですよ?」
 「わぁ…ご丁寧にありがとう!じゃあ、動物園に行こうか」
 「はい!行きましょう!」
 笑夢の笑顔が輝いて見えた。綺麗な純粋な笑顔。天使ってのは本当にすごいらしい。どうやってなるんだろう。
 「前世で善良な行いをすると、ある日選ばれますよ?」
 「そうなの?!そんなぽんっと決まるものなの?」
 「ええ、私の場合はそうでした。階級も役割みたいなものですからね」
 「へぇ…そうなんだ?」
 「そうですよ、一個ずつ段階を踏んで神に近づいていく形ですね」
 机の上にご飯を並べながら笑夢は話している。でも、それなら尚更…飛び級ってありえない話だよね。どういう基準なんだろう。神って言う存在は意外と曖昧なのかな?
 「かもしれないですね、そうだ、少しばかり居なくなりますね?」
 「な…?!急だね?」
 「ちょっと用事がありまして…この後家を離れないといけないんですよ」
 「そっか…分かった、行ってらっしゃい」
 「はい、行ってきます!」
 ご飯を食べ終えて、天に向かって羽ばたいていく。大丈夫なのかな?あの姿で見られたら、大変な事になるんじゃ。なんて考えていた。
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