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三階 権天使
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部活を終えて皆と解散する。解散直後から、笑夢は少し困った顔をしていた。
珍しいな、笑夢がこんな表情を見せるなんて…。何かあったのかな?でも、俺が口を挟んでいいのだろうか?天使関連の話とかだったら、俺にはどうすることも出来ないし。
「何かあったの?」
「いえ、特に何もないですよ?心配ご無用です!」
気丈に振舞って見せているようだけど…。ずっと一緒に居たから分かる。空元気だよなぁ…。
「嬉しいですね、私の事をそこまで思ってくれて…!」
「あぁ、そうだった。友達と話すと笑夢の能力を忘れるよ…。」
「まぁ、心配しなくても大丈夫ですよ?そのうち収まりますから!」
収まる…?何をやらかしたんだ?成績は心配ないでしょ?友達も多いでしょ?後は…なんだ?何かあるか?まさか…天使という立場を使って人を消した…とか?記憶をいじって頭を卵のように爆発させたか?!ついに…やってしまったか…。
「私、仮にも天使ですよ?そんな悪魔の所業するわけないでしょう?」
「だよなぁ…分かってる……うん。」
「何故でしょう?納得してないように見えるのですけれど?」
「超人的な能力って…怖いんだよ?」
最初に言うからだよ。記憶いじるとどうなるか分からないとか…。あ!さては…今日のルトと智一が…危ない?!
「ふふ、その話から離れましょうか?全然大丈夫ですから」
「ふぅ…そっか、二人が無事なら…まぁ?」
「良かったですね?友達が増えて。肇さんの魅力を知る人が増えて行って嬉しいです!」
笑夢は満面の笑みで答えた。人の事でこんなにも嬉しそうに出来るなんて、流石天使だ。俺も少しばかり照れてしまう。
「いやぁ…笑夢のおかげだよ?」
「何を言いますか!肇さんの努力の結晶じゃないですか?」
「中身を重視って言っても、最初は顔から入るじゃない?それと一緒だよ」
「と、言いますと?」
「顔は二の次だって言ってもね、顔が怖いとあらぬ噂が立つから。触らぬ神に祟りなしだね?」
自分で言ってて悲しくなってくるよ。天使を目の前に神の話してるし。もう訳わからん!でも、自分が許容できる範囲の容姿の人の中身を見る。ただそれだけ。顔が本当に重要じゃないって事はないんだ、きっと。
笑夢は腕を組んで顎に手を当てる。笑夢の超能力を俺らみたいな人間が使えるなら、まだチャンスはあるかもしれないけど。
「だからね?笑夢、ありがとう。」
「……はい。」
「何か言いたそうだね?」
「いえ、そんなことはないですよ?」
「本当に?」
「ええ。周りの人は見る目がないんだな、そう思っていました。」
笑夢は空を見上げてポツリと呟いた。俺らとは文字通り違う次元に居るのかな。
「さて、ご飯はどうしましょうか?」
「う~ん…ごめん!なんでもいいかな?笑夢の作ってくれるご飯は美味しいから」
「調子がいいですね!今日は…焼き魚ですかね?」
「それ…いいね!」
次の日、学校の昼休みに何やら笑夢が女子生徒に呼ばれて席を立った。瞬間、智一がこっちに駆け寄ってくる。
「なぁ、あれ見た?」
「見たけど…どうかした?」
「あれ、告白だぜ?」
「……はい?」
告白ってあの告白?好きな人に好きだ!と伝えるあの?都市伝説じゃないのか?!こんな大胆に?
「なぁ、見に行こうぜ?」
「え?!怒られるよ?」
「大丈夫だろ?隠れてれば…行ける!」
うん、普通の人間ならいけるけどね。笑夢は…普通の人間じゃないんだよ?あ!もしかして、昨日の悩みの種は…これか?
「よし、行こう!」
「おぉ?!急に乗り気じゃん?どうした?」
「まぁまぁ、事情は聞かないでよ?」
「あぁ、分かった?」
智一は首を傾げて不思議そうにしていたが、一緒に後を追いかけた。階段を下りて中庭に出ると、笑夢と女子生徒が面と向かって何やら話をしている。
まぁ、そうだよなぁ…。勉強も出来て、運動も出来て、家事も出来る。おまけに眉目秀麗であって、容姿端麗だしね。
物陰に隠れて見ていたら、女子生徒は走り去って行き…笑夢はこちらに迷わず歩いてくる。あぁ…俺の思考でバレた?それとも…智一か?!それか…感知された?!
「肇さん?何をしているんですか?」
「はは…は。ばれてた。」
「え?なんでバレた?!」
思考が読めるし多分感知できるよ。とは言えないなぁ…。本当に機械とかより怖い。
「バレちゃ仕方ない!それで?どうした?」
「どうした…とはどういうことですか?」
「いやいや!あの子、学年で人気の子だろ?」
「そういう事ですか、普通に断りましたよ」
「なん…だと?!」
智一は雷に打たれたように固まる。当然だと思うけど…?いや、待て。どうしてそう言い切れる?俺の事を好きだ、と言ってくれているから?それって…おごりじゃないか?あれ…俺はちゃんと誠実に笑夢の事を考えているのだろうか…?
珍しいな、笑夢がこんな表情を見せるなんて…。何かあったのかな?でも、俺が口を挟んでいいのだろうか?天使関連の話とかだったら、俺にはどうすることも出来ないし。
「何かあったの?」
「いえ、特に何もないですよ?心配ご無用です!」
気丈に振舞って見せているようだけど…。ずっと一緒に居たから分かる。空元気だよなぁ…。
「嬉しいですね、私の事をそこまで思ってくれて…!」
「あぁ、そうだった。友達と話すと笑夢の能力を忘れるよ…。」
「まぁ、心配しなくても大丈夫ですよ?そのうち収まりますから!」
収まる…?何をやらかしたんだ?成績は心配ないでしょ?友達も多いでしょ?後は…なんだ?何かあるか?まさか…天使という立場を使って人を消した…とか?記憶をいじって頭を卵のように爆発させたか?!ついに…やってしまったか…。
「私、仮にも天使ですよ?そんな悪魔の所業するわけないでしょう?」
「だよなぁ…分かってる……うん。」
「何故でしょう?納得してないように見えるのですけれど?」
「超人的な能力って…怖いんだよ?」
最初に言うからだよ。記憶いじるとどうなるか分からないとか…。あ!さては…今日のルトと智一が…危ない?!
「ふふ、その話から離れましょうか?全然大丈夫ですから」
「ふぅ…そっか、二人が無事なら…まぁ?」
「良かったですね?友達が増えて。肇さんの魅力を知る人が増えて行って嬉しいです!」
笑夢は満面の笑みで答えた。人の事でこんなにも嬉しそうに出来るなんて、流石天使だ。俺も少しばかり照れてしまう。
「いやぁ…笑夢のおかげだよ?」
「何を言いますか!肇さんの努力の結晶じゃないですか?」
「中身を重視って言っても、最初は顔から入るじゃない?それと一緒だよ」
「と、言いますと?」
「顔は二の次だって言ってもね、顔が怖いとあらぬ噂が立つから。触らぬ神に祟りなしだね?」
自分で言ってて悲しくなってくるよ。天使を目の前に神の話してるし。もう訳わからん!でも、自分が許容できる範囲の容姿の人の中身を見る。ただそれだけ。顔が本当に重要じゃないって事はないんだ、きっと。
笑夢は腕を組んで顎に手を当てる。笑夢の超能力を俺らみたいな人間が使えるなら、まだチャンスはあるかもしれないけど。
「だからね?笑夢、ありがとう。」
「……はい。」
「何か言いたそうだね?」
「いえ、そんなことはないですよ?」
「本当に?」
「ええ。周りの人は見る目がないんだな、そう思っていました。」
笑夢は空を見上げてポツリと呟いた。俺らとは文字通り違う次元に居るのかな。
「さて、ご飯はどうしましょうか?」
「う~ん…ごめん!なんでもいいかな?笑夢の作ってくれるご飯は美味しいから」
「調子がいいですね!今日は…焼き魚ですかね?」
「それ…いいね!」
次の日、学校の昼休みに何やら笑夢が女子生徒に呼ばれて席を立った。瞬間、智一がこっちに駆け寄ってくる。
「なぁ、あれ見た?」
「見たけど…どうかした?」
「あれ、告白だぜ?」
「……はい?」
告白ってあの告白?好きな人に好きだ!と伝えるあの?都市伝説じゃないのか?!こんな大胆に?
「なぁ、見に行こうぜ?」
「え?!怒られるよ?」
「大丈夫だろ?隠れてれば…行ける!」
うん、普通の人間ならいけるけどね。笑夢は…普通の人間じゃないんだよ?あ!もしかして、昨日の悩みの種は…これか?
「よし、行こう!」
「おぉ?!急に乗り気じゃん?どうした?」
「まぁまぁ、事情は聞かないでよ?」
「あぁ、分かった?」
智一は首を傾げて不思議そうにしていたが、一緒に後を追いかけた。階段を下りて中庭に出ると、笑夢と女子生徒が面と向かって何やら話をしている。
まぁ、そうだよなぁ…。勉強も出来て、運動も出来て、家事も出来る。おまけに眉目秀麗であって、容姿端麗だしね。
物陰に隠れて見ていたら、女子生徒は走り去って行き…笑夢はこちらに迷わず歩いてくる。あぁ…俺の思考でバレた?それとも…智一か?!それか…感知された?!
「肇さん?何をしているんですか?」
「はは…は。ばれてた。」
「え?なんでバレた?!」
思考が読めるし多分感知できるよ。とは言えないなぁ…。本当に機械とかより怖い。
「バレちゃ仕方ない!それで?どうした?」
「どうした…とはどういうことですか?」
「いやいや!あの子、学年で人気の子だろ?」
「そういう事ですか、普通に断りましたよ」
「なん…だと?!」
智一は雷に打たれたように固まる。当然だと思うけど…?いや、待て。どうしてそう言い切れる?俺の事を好きだ、と言ってくれているから?それって…おごりじゃないか?あれ…俺はちゃんと誠実に笑夢の事を考えているのだろうか…?
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