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三階 権天使
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翌日、学校にいつものように登校すると、校門で立っている智一を見つけた。智一は俺らを見つけると、笑顔でこちらに近寄ってくる。何か裏がありそうで怖いな。
「おっす!今日二人とも暇かな?」
「まぁ、放課後の予定はないかな?」
笑夢の方を見ると、笑夢は無言で頷く。そうだよね、いつも別に何かしているわけでもないし。笑夢は家事をしてくれているけど、俺はない。二人で確認してから智一を見ると何故かニコニコしている。えっと…胡散臭いんだけど?
「じゃあ、放課後ちょっといい?」
「怪しい宗教の勧誘?」
「違う違う!幸せになる壺を…」
話を聞き終わる前に二人で智一を置いて歩き出す。智一は「冗談だって!!ボケでしょ?!」と言って追いかけてくる。ボケに乗っかってボケたら本気だと思うでしょうが。
「冗談か、冗談じゃなかったら智一の母さんに言いつける所だったよ」
「う~ん…困っちゃうよ…」
笑夢はしびれを切らしたのか、智一の方を勢いよく見る。
「それで結局なんなんですか?」
「俺、オカルト部なんだけど…」
なんで胡散臭い話の後に胡散臭い話を重ねるんだ?!余計に誤解を生むじゃん!なんて考えていたら、笑夢がきらきらした目で俺を見ていた。興味があるらしい。今まで散々歴史を見てきた天使が今更オカルトに興味持つの?
「放課後にお邪魔します」
「え?本気で?」
「はい、是非ともこの目で見たいかな?と」
「本当か!じゃあ、放課後に!」
智一は終始笑顔で走り去っていった。張り付いた笑顔が余計に…。まぁ、いっか。
「本当に興味あるの?」
「いえ、別にないんですけど…」
笑夢は小声になって俺に話しかけてくる。「たまに本当に呼び出したりすることがあるので見学に」と。
「え…すっごい、行きたくない。」
「多分大丈夫ですけど…どうでしょうかね?」
放課後が最後の時になるかもしれない。今日を精一杯生きよう。精一杯…?結局やることは変わらなくないか?
そうこうしているうちに放課後になった。気乗りしないまま帰り支度を済ませると、教室の前の方から智一が歩いてこちらにやってくる。
「よし、行こうぜ!」
「そんなに好きなんだ?」
「ああ、最近オカルトって楽しいなって思い始めてな!」
智一を笑夢と俺で追いかける。笑夢の「たまに本当に呼び出すので」という言葉が気がかりでしょうがない…本当に出てきたらどうしよう?十字架とかニンニクとか…盛り塩とか?!
「慌てすぎですよ?私が居るんですから、安心してください」
「そ、そうだね。頼もしいよ」
「男性の姿じゃ…能力使えないですけどね?」
「今すぐに戻そう?」
「必要ならば戻しますね?」
「う~ん、帰ろう?」
笑夢はクスクス笑っている。智一は全然こっちを気にせず部室に一直線に向かう。なんなの?この不思議なパーティは?
智一は急にピタリと足を止め「ここだ」と言った。別に普通の教室だし、他と何ら変わらない。何故か校舎の一番端にあって、一番高い所にあるけど。
「普通の空き教室じゃない?」
「いえ、中に人の気配がありますよ?」
「笑夢、もしやお前は忍者の末裔か?!」
「ありえないですね、忍者は居るとは思いますけど…ここまでできるかどうか?」
「余計な事は言わないよ?」
「すいません。」
俺が扉に手を掛けても、扉は施錠されていて開かない。なんだろう?何かするのか?智一は前に出て行ってひそひそ話しかけている。するとガチャリ、という音がして扉が開いた。
「ようこそ、オカルト部へ私が部長の桜花ルト(おうかると)だ」
目の前の人は手を差し出す。なんか、思ってた人と違うな。なんていうか、ローブとか着ていたりするかと思ったけど。美形な顔をしていて、絵本に出てくる王子様みたいな?いかにもモテそうだけど…スカート?すると…女性だったのかな?
「は、初めまして。谷古宇肇です」
「天使笑夢です」
「ははは、そんなに畏まらないでくれ、私も同じ一年生なのだ、仲よくしよう」
一年なのかい?!貫禄ありすぎでしょ。ていうか部員も二人かい!ツッコみどころ満載じゃないか!二人じゃ部として認められないよな…?同好会扱いとかかな?
「じゃあ、さっそく始めようか?」
「えっと…何を?」
「召喚だ!悪魔の召喚をするんだ!」
え?操られている人?そんな大手を広げて天井見つめる大演技する人なんて今時居るのか?なんか…古くないか?笑夢を見ると笑夢は口を押えてプルプル震えている。多分楽しいのだろう。
あらかじめ用意されていたであろうマットを引っ張って持ってくる。ただ円が書いてあって、真っ赤な布。その上に…ぱ、下着?!な、なぜ?!
「何?!これ?!」
「儀式だが?何か変だろうか?」
「下着で悪魔呼べるの?!」
「うん、分からんな。ただ、伝承では純潔な乙女の物なら来ると伝えられているそうだ」
絶対偽物だ…。明らかにダメじゃない?え?合ってるのこれ?なんだ、呼べそうにないな。笑夢が横から出てきて感心したように見つめる。え?男性の姿でそれすると、変態みたいになっちゃわない?笑夢は俺の耳元で「これ、成功しますね、はぁ…面倒な奴を呼びますね…」と呟いた。
「さぁ、出でよ!アスモデウス!」
ここで桜花が動かなくなる。完全に固まっている。俺は動けるのに、なんで?すると笑夢が前に歩いていく。いつのまにやら、天使の姿になっていた。
「はぁ…よりによってアスモデウスを選んでしまうとは。」
「アスモ…え?」
「アスモデウスは自分が気にった女性の純潔を何故か守るんですよ、結婚した夫を何回も殺害してまで」
「じゃあ、出てきちゃうの…これ?」
「おっす!今日二人とも暇かな?」
「まぁ、放課後の予定はないかな?」
笑夢の方を見ると、笑夢は無言で頷く。そうだよね、いつも別に何かしているわけでもないし。笑夢は家事をしてくれているけど、俺はない。二人で確認してから智一を見ると何故かニコニコしている。えっと…胡散臭いんだけど?
「じゃあ、放課後ちょっといい?」
「怪しい宗教の勧誘?」
「違う違う!幸せになる壺を…」
話を聞き終わる前に二人で智一を置いて歩き出す。智一は「冗談だって!!ボケでしょ?!」と言って追いかけてくる。ボケに乗っかってボケたら本気だと思うでしょうが。
「冗談か、冗談じゃなかったら智一の母さんに言いつける所だったよ」
「う~ん…困っちゃうよ…」
笑夢はしびれを切らしたのか、智一の方を勢いよく見る。
「それで結局なんなんですか?」
「俺、オカルト部なんだけど…」
なんで胡散臭い話の後に胡散臭い話を重ねるんだ?!余計に誤解を生むじゃん!なんて考えていたら、笑夢がきらきらした目で俺を見ていた。興味があるらしい。今まで散々歴史を見てきた天使が今更オカルトに興味持つの?
「放課後にお邪魔します」
「え?本気で?」
「はい、是非ともこの目で見たいかな?と」
「本当か!じゃあ、放課後に!」
智一は終始笑顔で走り去っていった。張り付いた笑顔が余計に…。まぁ、いっか。
「本当に興味あるの?」
「いえ、別にないんですけど…」
笑夢は小声になって俺に話しかけてくる。「たまに本当に呼び出したりすることがあるので見学に」と。
「え…すっごい、行きたくない。」
「多分大丈夫ですけど…どうでしょうかね?」
放課後が最後の時になるかもしれない。今日を精一杯生きよう。精一杯…?結局やることは変わらなくないか?
そうこうしているうちに放課後になった。気乗りしないまま帰り支度を済ませると、教室の前の方から智一が歩いてこちらにやってくる。
「よし、行こうぜ!」
「そんなに好きなんだ?」
「ああ、最近オカルトって楽しいなって思い始めてな!」
智一を笑夢と俺で追いかける。笑夢の「たまに本当に呼び出すので」という言葉が気がかりでしょうがない…本当に出てきたらどうしよう?十字架とかニンニクとか…盛り塩とか?!
「慌てすぎですよ?私が居るんですから、安心してください」
「そ、そうだね。頼もしいよ」
「男性の姿じゃ…能力使えないですけどね?」
「今すぐに戻そう?」
「必要ならば戻しますね?」
「う~ん、帰ろう?」
笑夢はクスクス笑っている。智一は全然こっちを気にせず部室に一直線に向かう。なんなの?この不思議なパーティは?
智一は急にピタリと足を止め「ここだ」と言った。別に普通の教室だし、他と何ら変わらない。何故か校舎の一番端にあって、一番高い所にあるけど。
「普通の空き教室じゃない?」
「いえ、中に人の気配がありますよ?」
「笑夢、もしやお前は忍者の末裔か?!」
「ありえないですね、忍者は居るとは思いますけど…ここまでできるかどうか?」
「余計な事は言わないよ?」
「すいません。」
俺が扉に手を掛けても、扉は施錠されていて開かない。なんだろう?何かするのか?智一は前に出て行ってひそひそ話しかけている。するとガチャリ、という音がして扉が開いた。
「ようこそ、オカルト部へ私が部長の桜花ルト(おうかると)だ」
目の前の人は手を差し出す。なんか、思ってた人と違うな。なんていうか、ローブとか着ていたりするかと思ったけど。美形な顔をしていて、絵本に出てくる王子様みたいな?いかにもモテそうだけど…スカート?すると…女性だったのかな?
「は、初めまして。谷古宇肇です」
「天使笑夢です」
「ははは、そんなに畏まらないでくれ、私も同じ一年生なのだ、仲よくしよう」
一年なのかい?!貫禄ありすぎでしょ。ていうか部員も二人かい!ツッコみどころ満載じゃないか!二人じゃ部として認められないよな…?同好会扱いとかかな?
「じゃあ、さっそく始めようか?」
「えっと…何を?」
「召喚だ!悪魔の召喚をするんだ!」
え?操られている人?そんな大手を広げて天井見つめる大演技する人なんて今時居るのか?なんか…古くないか?笑夢を見ると笑夢は口を押えてプルプル震えている。多分楽しいのだろう。
あらかじめ用意されていたであろうマットを引っ張って持ってくる。ただ円が書いてあって、真っ赤な布。その上に…ぱ、下着?!な、なぜ?!
「何?!これ?!」
「儀式だが?何か変だろうか?」
「下着で悪魔呼べるの?!」
「うん、分からんな。ただ、伝承では純潔な乙女の物なら来ると伝えられているそうだ」
絶対偽物だ…。明らかにダメじゃない?え?合ってるのこれ?なんだ、呼べそうにないな。笑夢が横から出てきて感心したように見つめる。え?男性の姿でそれすると、変態みたいになっちゃわない?笑夢は俺の耳元で「これ、成功しますね、はぁ…面倒な奴を呼びますね…」と呟いた。
「さぁ、出でよ!アスモデウス!」
ここで桜花が動かなくなる。完全に固まっている。俺は動けるのに、なんで?すると笑夢が前に歩いていく。いつのまにやら、天使の姿になっていた。
「はぁ…よりによってアスモデウスを選んでしまうとは。」
「アスモ…え?」
「アスモデウスは自分が気にった女性の純潔を何故か守るんですよ、結婚した夫を何回も殺害してまで」
「じゃあ、出てきちゃうの…これ?」
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