6 / 61
二階 大天使
(2)
しおりを挟む
「お前って面白いんだな!」
「もっと喧嘩ばっかで怖いのかと思ってたよ!」
え、だから何?!怖いんだけど?また…笑夢が何かした?もしかして記憶とかいじっちゃった?笑夢と俺は何故か輪の中心に居る。笑夢、後で何したか教えてもらえるかな?笑夢は俺の顔を見て頷いた。
「二人は仲がいいの?」
「良いですよ、とてもとても!」
「う~ん?そうなのかな?」
「ひどいじゃないですか!あんまりですよ!」
でもさ、良く考えてみてよ?何回でも言うよ?昨日今日知り合った仲だよ?まだまだだと思うんだけどなぁ…。クラスメイトは漫才でも見ているかのように笑っている。確かにね、笑夢様様ではあるけど。
「二人の事なんて呼べばいいかな?」
「肇と笑夢でいいですよ?」
え、俺も?なんか転校生みたいな扱いになってる!!元々居たのに!いや、名前を覚えようとしてくれるだけ有難いか。谷古宇の名前はきっと悪い意味で一人歩きしているだろうし。
始業のチャイムが鳴り、教師が教団に立って声を張り上げる。笑夢は急ごしらえだから教科書とか持ってないよな。俺は席をくっつけて笑夢にさりげなく教科書を見せる。笑夢はにっこりしながら頭を下げて「ありがとうございます」と呟いた。
放課後になり、笑夢は部活動の見学に連れていかれる。何故か、俺もセットで。お子様ランチに付いてくるおもちゃみたいな感覚なんだろうな。色々な部活動を見て回るが、なかなかしっくりこない。
「う~ん…」
「ダメですかね?友達を作るチャンスではありますよ?」
「これがやりたいって感じじゃないからね、迷惑かな?って」
笑夢は口元に手をやって考えている。部活動が一番手っ取り早いのかな?どうも部活動に対してのイメージは青春の汗を流す!という感じがする。う~ん、難しいな。
「帰ってじっくり考えようか?」
「それもそうですね!夕飯の支度をしないとです、あ!明日からお弁当を作りましょう!」
「え?そんなに負担してくれて大丈夫なの?」
「はい!死なないので!」
「ブラックジョーク…?!」
「そうでしょうか?」
嫌じゃん、過労死とか騒がれてる世の中だよ?死なないから無茶するとかはできるだけやらないでほしいな。でも…何かしてくれるって本当に嬉しいんだよな…。笑夢の方を見ると首を傾げていた。
「ならいいじゃないですか?」
「うん…?いいのかな?」
「はい!肇さんを好きじゃないとやらないので!」
「う…うん。」
照れるな…。面と向かってしっかり告白されるのは…。俺も帰って準備を整えないと…デートは週末に行くとして…何処がいいだろうか。高校生のデート…?遊園地、映画館、ショッピング…水族館。そんなに案が出ないや。
笑夢と一緒に駅まで歩いていく。駅は閑散としていて、誰もいる気配がない。別に田舎って訳じゃないと思うんだけど。笑夢は「性別替えてきます」と言ってトイレの方へ行った。パワーワードが聞こえたような気がしたけど。待ち時間にスマホを使ってデートについて調べていた。
「万物を知る者に喜んでもらえるデート…?」
無理じゃない?映画はネタバレされ放題、水族館は全ての生き物を知っているし、ショッピングってもはやいつも通りだし、笑夢は姿を自由に変えられるし。遊園地…か?テーマパークでもいいかもしれない。
「お待たせしました、悩んでますね!」
「うん…想像以上に難しいよ…」
「良いですよ、テーマパーク!人込みは大丈夫ですか?」
「まぁ大丈夫だよ、笑夢が居れば」
「嬉しいですね!ずっと隣に居ますよ!」
「その言葉は流石にまだ重たいよ~。」
「でも、天界に来てくれるって言ったじゃないですか?」
「そう…だね?」
確かに…言った。ノリと勢いなんて言うつもりはない。少なくとも俺には魅力的に思えた。人間と話すよりも、最初から好意を持ってくれる天使の方がいいし。でもまだ、気持ちの整理がつかないよ。
「どう?伝わったよね?」
「はい、そうかもしれないですね!多少なりとも気持ちは動いてくれている、と。」
「かもしれないね」
目の前に来たガラガラの電車に乗り込む。家の方に帰る頃には少しだけ暗くなっていた。隣を歩いていた笑夢は途中で「あ、そうですよ」と言うと俺の方を向く。
「買い物しないと!」
「え、ああ、じゃあ行こうか」
「はい!」
笑夢は女性姿で制服のままスーパーに寄って、食材を調達する。スーパーに到着して中に入ると、何やら噂になっていたようで店長が挨拶に来た。昨日の笑夢の行動で、売れ残りが減って喜んでいたらしい。
「それは良かったです!捨てられる食材なんて、本来はあるはずないのですから」
「そうですな、耳が痛い話です。良ければまたしていただけますかな?」
「ええ、いいでしょう!」
胸を張る笑夢。店長はニコニコ笑顔で俺らに「貴方たちの事は従業員に話しますので、会計を割引いたしますぞ」と言ってくれた。恐るべし、天使効果。良い事をすると、返ってくるんだな。
笑夢と買い物を終える。またしても、俺らの後はレジが混雑していた。多分…従業員にとっては厳しい事になるだろうな。
「そうはならないですよ?」
「え?!な、なんで?」
「従業員は時給アップだそうです」
「はぇ…笑夢効果は凄いね」
「そんな、褒めても何も出ませんよ?」
色々出てるよ?買い物は安くなるし、学校での好感度は上がるし、家事もしてくれる。本当に、ありがとう。
「もっと喧嘩ばっかで怖いのかと思ってたよ!」
え、だから何?!怖いんだけど?また…笑夢が何かした?もしかして記憶とかいじっちゃった?笑夢と俺は何故か輪の中心に居る。笑夢、後で何したか教えてもらえるかな?笑夢は俺の顔を見て頷いた。
「二人は仲がいいの?」
「良いですよ、とてもとても!」
「う~ん?そうなのかな?」
「ひどいじゃないですか!あんまりですよ!」
でもさ、良く考えてみてよ?何回でも言うよ?昨日今日知り合った仲だよ?まだまだだと思うんだけどなぁ…。クラスメイトは漫才でも見ているかのように笑っている。確かにね、笑夢様様ではあるけど。
「二人の事なんて呼べばいいかな?」
「肇と笑夢でいいですよ?」
え、俺も?なんか転校生みたいな扱いになってる!!元々居たのに!いや、名前を覚えようとしてくれるだけ有難いか。谷古宇の名前はきっと悪い意味で一人歩きしているだろうし。
始業のチャイムが鳴り、教師が教団に立って声を張り上げる。笑夢は急ごしらえだから教科書とか持ってないよな。俺は席をくっつけて笑夢にさりげなく教科書を見せる。笑夢はにっこりしながら頭を下げて「ありがとうございます」と呟いた。
放課後になり、笑夢は部活動の見学に連れていかれる。何故か、俺もセットで。お子様ランチに付いてくるおもちゃみたいな感覚なんだろうな。色々な部活動を見て回るが、なかなかしっくりこない。
「う~ん…」
「ダメですかね?友達を作るチャンスではありますよ?」
「これがやりたいって感じじゃないからね、迷惑かな?って」
笑夢は口元に手をやって考えている。部活動が一番手っ取り早いのかな?どうも部活動に対してのイメージは青春の汗を流す!という感じがする。う~ん、難しいな。
「帰ってじっくり考えようか?」
「それもそうですね!夕飯の支度をしないとです、あ!明日からお弁当を作りましょう!」
「え?そんなに負担してくれて大丈夫なの?」
「はい!死なないので!」
「ブラックジョーク…?!」
「そうでしょうか?」
嫌じゃん、過労死とか騒がれてる世の中だよ?死なないから無茶するとかはできるだけやらないでほしいな。でも…何かしてくれるって本当に嬉しいんだよな…。笑夢の方を見ると首を傾げていた。
「ならいいじゃないですか?」
「うん…?いいのかな?」
「はい!肇さんを好きじゃないとやらないので!」
「う…うん。」
照れるな…。面と向かってしっかり告白されるのは…。俺も帰って準備を整えないと…デートは週末に行くとして…何処がいいだろうか。高校生のデート…?遊園地、映画館、ショッピング…水族館。そんなに案が出ないや。
笑夢と一緒に駅まで歩いていく。駅は閑散としていて、誰もいる気配がない。別に田舎って訳じゃないと思うんだけど。笑夢は「性別替えてきます」と言ってトイレの方へ行った。パワーワードが聞こえたような気がしたけど。待ち時間にスマホを使ってデートについて調べていた。
「万物を知る者に喜んでもらえるデート…?」
無理じゃない?映画はネタバレされ放題、水族館は全ての生き物を知っているし、ショッピングってもはやいつも通りだし、笑夢は姿を自由に変えられるし。遊園地…か?テーマパークでもいいかもしれない。
「お待たせしました、悩んでますね!」
「うん…想像以上に難しいよ…」
「良いですよ、テーマパーク!人込みは大丈夫ですか?」
「まぁ大丈夫だよ、笑夢が居れば」
「嬉しいですね!ずっと隣に居ますよ!」
「その言葉は流石にまだ重たいよ~。」
「でも、天界に来てくれるって言ったじゃないですか?」
「そう…だね?」
確かに…言った。ノリと勢いなんて言うつもりはない。少なくとも俺には魅力的に思えた。人間と話すよりも、最初から好意を持ってくれる天使の方がいいし。でもまだ、気持ちの整理がつかないよ。
「どう?伝わったよね?」
「はい、そうかもしれないですね!多少なりとも気持ちは動いてくれている、と。」
「かもしれないね」
目の前に来たガラガラの電車に乗り込む。家の方に帰る頃には少しだけ暗くなっていた。隣を歩いていた笑夢は途中で「あ、そうですよ」と言うと俺の方を向く。
「買い物しないと!」
「え、ああ、じゃあ行こうか」
「はい!」
笑夢は女性姿で制服のままスーパーに寄って、食材を調達する。スーパーに到着して中に入ると、何やら噂になっていたようで店長が挨拶に来た。昨日の笑夢の行動で、売れ残りが減って喜んでいたらしい。
「それは良かったです!捨てられる食材なんて、本来はあるはずないのですから」
「そうですな、耳が痛い話です。良ければまたしていただけますかな?」
「ええ、いいでしょう!」
胸を張る笑夢。店長はニコニコ笑顔で俺らに「貴方たちの事は従業員に話しますので、会計を割引いたしますぞ」と言ってくれた。恐るべし、天使効果。良い事をすると、返ってくるんだな。
笑夢と買い物を終える。またしても、俺らの後はレジが混雑していた。多分…従業員にとっては厳しい事になるだろうな。
「そうはならないですよ?」
「え?!な、なんで?」
「従業員は時給アップだそうです」
「はぇ…笑夢効果は凄いね」
「そんな、褒めても何も出ませんよ?」
色々出てるよ?買い物は安くなるし、学校での好感度は上がるし、家事もしてくれる。本当に、ありがとう。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる