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Side 2ーaffairー
2(逢坂蓮)
しおりを挟むここでしっかり結果を出して社長に認められたいと思いながら、憧れの人物を目の前に目を輝かせて話を聞いていると、隣に座る女が太ももの上にスマホを堂々と置いて、スマホアプリのパズルゲームをやっている。
呑気なもので、思うような結果が出ない時は舌打ちをして、ハイスコアが出た時はガッツポーズをしている。
その女は、新入社員でありながらもボブの長さの髪を栗色に染めて、赤色の口紅と口元のホクロが妖艶さを演出している。
隣にいるということは、4大を出た同じ年とうう可能性が高いが、大人びていて、ずば抜けて美人で一言でまとめるととにかくエロい。
が、俺の憧れの人を目の前にスマホを見るのは許せない。
入社式が終わると、「おい、さっきの態度は流石になくない?」と怒り気味に話しかけると、その女は鼻で笑った。
「見た目と違って真面目なんだね」と言いながら俺の首に手を回し、ずれたネクタイを直して俺を見つめた。
その一連の動作に俺は思わず唾を飲んだ。
女豹に食われる・・・・そう思った。
大学でも、飲み会の後に豹変する女は何人かいたけれど、それでも俺が優位に立てていたがこの女は違ったのだ。
退社時刻になり駅に向かって歩く、俺は地方出身のため会社から徒歩10分の駅から、30分電車に揺られて、また駅から30分ほど歩いた都心を離れた住宅街の1Kの狭いアパートを大学時代から借りて住んでいる。
今日の夕飯をどうしようか考えている時に、背中に柔らかいものが押し当てられて、うん、これは間違えなくおっぱい。
耳元で「みーつけた」と甘い声で女の声が囁く。
「え?何?人違いじゃない?」
俺が動揺しながらその女が誰なのかを確認すると、入社式の時に隣に座りスマホゲームをやり込んでいた女だった。
また、彼女は含み笑いを浮かべて俺の目をじっと見つめる。
綺麗な瞳と長いまつげに吸い込まれそうになるところを俺はすぐに目をそらした。
「一緒にご飯食べに行こうよ」
あんなにも妖艶な雰囲気を纏っておきながら、子供のように笑う姿に俺はなぜか釘付けになっていた。
(これがギャップ萌ってやつ?)
食事をするときも、とにかく食べ方が綺麗で育ちのいい子なのだと感じた。
そして彼女の繰り出すトークが面白い。
(ああ、これはどんな男も惚れるよな・・・)
と思った頃には、俺は1Kの狭いアパートの狭いベッドで彼女とキスを交わしあっている。
(いやいやどういう展開・・・今日あったばかりですけど・・・酒を割と飲んだから、半ばノリと勢いだったし、むしろ彼女の方から家に来たいっていったわけだし、俺は何も悪くないよね。普通嫌だったら帰るよね。いや、一回ヤッたら付き合うとかそういう展開?)
まるで、何年も付き合ってきた恋人同士のようにお互いに恥ずかしがることもなく全てをさらけ出した。
そう、普通は順序っていうものがあるわけで相手をちゃんとその気にさせてから行為につなげなければいけないと思うし、強引にしたら嫌われてしまうのではないかと思いながら、ちょっとぐらい強引の方が喜ぶタイプの女もいるわけで探り探りの駆け引きをベッドの上で楽しむものなのに、そんな煩わしい感情を一切振り払うくらいに本能のまま抱き合った。
激しくしたら折れてしまいそうな華奢な体は、俺が突き上げる度に身体中をヒクつかせてそのクールな見た目と相反した可愛いらしい声で喘ぐからまたそれ以上に俺は攻め立ててしまう。
これ以上にどんな反応を見せるのかが興味深かった。お互いに無我夢中で求め合う。
気がつけば裸の彼女を抱きしめながら朝を迎えていた。
暗がりの中で分からなかったけれど、彼女の鎖骨にはいくつかのキスマークがついていた。
しかし、俺は一切つけた記憶がない。
(はいはい、そういうことですか。)
昨晩、俺の腕の中であんなに喘いでおきながら「誰でも良かった」ってやつなのでしょう。
(このビッチめ・・・・)
と心の中で、苛立ちながらも異常に可愛い寝顔に俺は見惚れていた。
大学時代、モテる類だった俺は女に困らなかったといえば嫌味だけれど、彼女が途切れることはなかったし、可愛い彼女、美人な彼女と付き合って来た。
でも、この女は全然違う。
雰囲気もセックスも何もかも。
一緒にいてやけに心地いい。
(そういえば名前知らなかった)
と彼女の寝顔を見ながら考えていると、気だるそうに起き上がった。
「おはよう」とニッコリ笑うと、服を着て「一回、うち帰る。お邪魔しました。また会社で」といって去っていった。
出勤までにまだ時間がある。
男は別に用意は一瞬なのだからもう一度ベッドに倒れこむ。
(さっぱりしてんな~~~)
大体の女は、あんな風に抱き合った次の日の朝は、余韻に浸るように甘えてきたり俺より早く起きて何かしら尽くそうとしたり、例えば朝ごはんが準備されていたこともあった気がする。
それなのに、あの女ときたら起きて速攻帰るって・・・せめて家を出る前にキスぐらいしていってほしかった。
彼女の甘い香水の匂いが残る。付き合う前に、むしろ会ったその日にセックスしたのなんて生まれて始めただ。
あとで、会社で会えるはずなのに俺の脳内は彼女で浸食されていく。
(会いたい・・・)
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