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Side 1ーOne way loveー
8(今泉翠)
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突然の告白に私は気持ちを整理できずにいた。
「俺のこと本当に忘れちゃった??」
瀬戸口は、再びメガネを外してボサボサの髪を手櫛でセットする。
「合同説明会の後、カフェでナンパしたんだけどな~」
私は記憶を手繰り寄せて、合同説明会の日を思い出す。あの日はひどく疲れていて甘いものを補給したいとカフェに入りせっかく落ち着いたと思ったらイケメンが声をかけてきて気まずくなって、席を立って…
私はもう一度、瀬戸口の顔をしっかり見た。
「え~~~~」
言われればその時の彼によく似ている。
「あと、毎朝ずっと同じバスだった。ギャル時代も知ってんだからな。
今より化粧濃かった時も、いつも友達が来るまでの間、勉強してるのも。
地味メガネの男と付き合っていた時あったよね。」
「ちょっと、ちょっと待って・・・怖い怖い」
淡々とと私の過去を話す瀬戸口が怖い。
一体彼は何者なのだろう。
「うん。怖いでしょ。ずっと翠のこと好きだったから・・・それなのに今日この時まで何も言えなかった。」
「え・・・そもそもなんでそんなわざと変な髪型とメガネしてたの」
「だって、翠はイケメンだと目を合わせてくれないし、恋愛対象にしてくれないんでしょ?程よい顔で、真面目そうな男がいいんでしょ?元彼みたいにさ!だからずっと真面目な同期を演じてた。でも、翠はあの商社マンに夢中になりだしたからもうやめて一気に口説き落とそうと思って・・・」
私の中で穴の空いたピースが綺麗に埋まって行く。
カフェでナンパしてきたイケメンも瀬戸口で
ずっと私の相談乗ってくれたのも瀬戸口で、今告白してくれたのも瀬戸口で・・・
「もう、明日からどう接していいかわからないじゃん・・・」
「俺は、結婚前提で翠と付き合いたいと思っているし、最初で最後の男になりたい。」
もう10年以上片思いしてるんだからいくらでも待つよ。待つけど・・・他の男に取られるのだけは絶対に嫌だ。」
瀬戸口は、また今までとは違う表情(男の顔)で私を見つめる。
私を抱き寄せて、顎に手を添えて深いキスをする。歴代の男たちがこんな風にその先を期待させるようなキスをしてはくれなかった。私をいつも腫れ物のように扱って「嫌われないように」と無難キスをするのに対し、私はときめくこともなく、流れ作業のように受け答えていた。
しかし、瀬戸口は私の全てを見透かしていて、私の求める全てを知っているような気がして怖い。
唇が離れてしまうのが恋しい。
「抵抗しないってことは俺のこと嫌いではないって解釈するよ」
突き放すことができなかった。
きっとどこかに好意があったから。
ずっと瀬戸口を恋愛対象としてみてこなかったのは、瀬戸口が私を恋愛対象としてみていないと思っていたからであって、私がそう見ないように蓋をしていたのだ。
彼はあくまで仕事仲間なのだから。
(瀬戸口が彼氏?ないない…)
と心でつぶやいてみるけれど、私はこの目の前にいる男に惹かれている。
キスをされたからとか、キスがうまかったとかそういう話ではないのだと思う。
ずっと、「男」だと思っていなかった「同期」が「男」であることを知ってしまった時、私の心の奥底に眠っていた感情が動き出す。
(もしかして、本当はずっと瀬戸口のことが好きだったんじゃ…)
「待って・・・今は頭がごちゃごちゃで・・・」
目も合わさずに、そんな返答しかできなかった。
「うん。驚かせてごめん。今日は家まで送る」
そういって、優しく頭を撫でた。いつものボサボサ頭のメガネではなく顔立ちの整った清潔感のあるイケメンが。
私の一番落ち着く聞き慣れた声のトーンと優しい言葉で。
「手だけ繋いでもいい?」
瀬戸口が甘えるような声で言う。
私は、手だけならばと瀬戸口の差し出した手を優しく握り返した。
杉原さんとはちがう男らしいゴツゴツとした指先が私の手を包み込む。
「こうやって制服デートするの憧れてた。俺男子校で学ラン着てたんだからね。いや~~翠の制服姿可愛かったな~~~」
子供のようにはしゃぐ瀬戸口に私はふと高校時代を思い出す。
「俺のこと本当に忘れちゃった??」
瀬戸口は、再びメガネを外してボサボサの髪を手櫛でセットする。
「合同説明会の後、カフェでナンパしたんだけどな~」
私は記憶を手繰り寄せて、合同説明会の日を思い出す。あの日はひどく疲れていて甘いものを補給したいとカフェに入りせっかく落ち着いたと思ったらイケメンが声をかけてきて気まずくなって、席を立って…
私はもう一度、瀬戸口の顔をしっかり見た。
「え~~~~」
言われればその時の彼によく似ている。
「あと、毎朝ずっと同じバスだった。ギャル時代も知ってんだからな。
今より化粧濃かった時も、いつも友達が来るまでの間、勉強してるのも。
地味メガネの男と付き合っていた時あったよね。」
「ちょっと、ちょっと待って・・・怖い怖い」
淡々とと私の過去を話す瀬戸口が怖い。
一体彼は何者なのだろう。
「うん。怖いでしょ。ずっと翠のこと好きだったから・・・それなのに今日この時まで何も言えなかった。」
「え・・・そもそもなんでそんなわざと変な髪型とメガネしてたの」
「だって、翠はイケメンだと目を合わせてくれないし、恋愛対象にしてくれないんでしょ?程よい顔で、真面目そうな男がいいんでしょ?元彼みたいにさ!だからずっと真面目な同期を演じてた。でも、翠はあの商社マンに夢中になりだしたからもうやめて一気に口説き落とそうと思って・・・」
私の中で穴の空いたピースが綺麗に埋まって行く。
カフェでナンパしてきたイケメンも瀬戸口で
ずっと私の相談乗ってくれたのも瀬戸口で、今告白してくれたのも瀬戸口で・・・
「もう、明日からどう接していいかわからないじゃん・・・」
「俺は、結婚前提で翠と付き合いたいと思っているし、最初で最後の男になりたい。」
もう10年以上片思いしてるんだからいくらでも待つよ。待つけど・・・他の男に取られるのだけは絶対に嫌だ。」
瀬戸口は、また今までとは違う表情(男の顔)で私を見つめる。
私を抱き寄せて、顎に手を添えて深いキスをする。歴代の男たちがこんな風にその先を期待させるようなキスをしてはくれなかった。私をいつも腫れ物のように扱って「嫌われないように」と無難キスをするのに対し、私はときめくこともなく、流れ作業のように受け答えていた。
しかし、瀬戸口は私の全てを見透かしていて、私の求める全てを知っているような気がして怖い。
唇が離れてしまうのが恋しい。
「抵抗しないってことは俺のこと嫌いではないって解釈するよ」
突き放すことができなかった。
きっとどこかに好意があったから。
ずっと瀬戸口を恋愛対象としてみてこなかったのは、瀬戸口が私を恋愛対象としてみていないと思っていたからであって、私がそう見ないように蓋をしていたのだ。
彼はあくまで仕事仲間なのだから。
(瀬戸口が彼氏?ないない…)
と心でつぶやいてみるけれど、私はこの目の前にいる男に惹かれている。
キスをされたからとか、キスがうまかったとかそういう話ではないのだと思う。
ずっと、「男」だと思っていなかった「同期」が「男」であることを知ってしまった時、私の心の奥底に眠っていた感情が動き出す。
(もしかして、本当はずっと瀬戸口のことが好きだったんじゃ…)
「待って・・・今は頭がごちゃごちゃで・・・」
目も合わさずに、そんな返答しかできなかった。
「うん。驚かせてごめん。今日は家まで送る」
そういって、優しく頭を撫でた。いつものボサボサ頭のメガネではなく顔立ちの整った清潔感のあるイケメンが。
私の一番落ち着く聞き慣れた声のトーンと優しい言葉で。
「手だけ繋いでもいい?」
瀬戸口が甘えるような声で言う。
私は、手だけならばと瀬戸口の差し出した手を優しく握り返した。
杉原さんとはちがう男らしいゴツゴツとした指先が私の手を包み込む。
「こうやって制服デートするの憧れてた。俺男子校で学ラン着てたんだからね。いや~~翠の制服姿可愛かったな~~~」
子供のようにはしゃぐ瀬戸口に私はふと高校時代を思い出す。
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