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第1巻 犬耳美少女の誘拐

断章6

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 日は沈み、すっかり暗くなった。
 【聖剣エクスカリバー】の本拠地アジトの居間に、ふたりの影がある。

 他のメンバーはそれぞれの部屋で寝ている頃だ。

「やってくれたね、キミは」

 光を反射しないウィルの赤い瞳。
 その言葉は絶世の美女ヴィーナスに投げ掛けられる。

「あら、なんのことかしら?」

 可憐な声。
 
 居間に彩りをもたらす。

「キミはもう【聖剣アスカロン】まで取り込み、あのアレクサンドロス様までをも支配したのかい?」

「面白いことを言うのね」

 ウィルが直接的に裏切りを言及するのは初めてだ。
 それに対し、ヴィーナスはしらばっくれるような返事をする。

 しかし、本気でわからないフリをしているわけではなかった。

「オーウェンには、キミの【魅惑スキル】が効かなかったんじゃないかい?」

 ウィルの一言に、目を細めるヴィーナス。

「そうね」

 その声は冷たく、冷え切っている。

「貴方にもロルフにも、そしてオーウェンあの子にも、私の超能スキルは通用しないわ。他にそんな男なんていないのに、どうしてかしら?」

「それは僕にもさっぱりだよ」

 居間を照らすのはロウソクの小さな灯火だけだ。

 ウィルの整った顔が不気味に光る。

「キミの目的はなんだい? この都市の最高権力までをも自分の支配下に置いて、それで何がしたい?」

「私の目的は単純――」

 ヴィーナスの唇が艶めく。
 赤みがかった長い金髪は、自然のもととは思えないほどに完璧だ。

「――この神聖都市アレクサンドリアの『愛』を、私が全て支配することよ」









《作者あとがき》
 第1巻を読んでくださった皆様、ありがとうございます。

 裏切り者ヴィーナスとの対決、どうなっていくんでしょうね。
 まだ深堀りされていないキャラにも、秘密があるのかも……。

 少々短いのでは、10万文字で1巻分では、と思った方もいらっしゃると思います。しかし、これはWEB用にテンポ感を重視して、余計な説明や描写を省き、会話文を多くした形式なので、加筆したら簡単に10万文字に到達するかと思います。

 小説家になろうでの総合ポイントが1000ptを超えたら第2巻書こうかなぁーと思っているところです。
 次はハルを落としたいですね。
(ブックマークで2pt、★★★★★評価で10pt)

 その間、たくさんのネタを活かして、新作をじゃんじゃん出していきたいと思っています。
 読者を心から楽しませる作品を作っていきたいです。

 お気に入りユーザ登録も、よろしくお願いします! 以上、エース皇命こうめいでした!



 推しキャラがいたら教えてくださいね♪
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