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9話 勇者くんさあ~
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夜、ファフニールとの戦いが終わり、勇者の家に戻ってきた。
他のメンバーはファフニールの件について、色々後処理に追われているらしい。
あと俺のが復活したことも報告せにゃならんそうだ。
で、肝心な俺はそういうのは無理なので、すべて他人任せだ。
文字を見ると眠くなるんだ。
だからしかたない、しかたない。
それにこの少女の姿でうろついていると、いろいろ勘違いされて困るのだ。
中身は成人済み男性だというのに。
外見ではなくて魂を見ろよ。
そういう所が人類のいけないところだと思いました。
「ただいま」
しばらく勇者の家でくつろいでいると、勇者が帰ってきた。
「おつかれ、どうだった?」
「君が復活したことにみんな驚いていたよ。あとで顔を見せろとも言っていたよ?」
「うげえ!やだやだ。あんな老人共の前になんて行きたくもねえよ」
老人共というのは王国を統治する国王と、それを補佐する評議会ろいう奴らのことだ。
みんなおじさん、おばさんで、なんか堅苦しいから嫌なのだ。
もっと気楽にいこうぜ?
「ダメだよ?一応僕たちの上司なんだから?」
「え~、権力嫌い!難しいのやだ!殴り合いの方が絶対いいわ!」
「文明を否定しないでよ、アルト」
俺の言葉に困惑しながら返答する勇者をみて少し安心する。
まだ昼間のことでうじうじしていたらどうしてやろうか悩んでいたところだ。
今の所、大丈夫そうでよかったよ。
数時間後。
「アルト~、僕は勇者としてやっていけるかな~」
ふざけてお酒飲ませたらすごいことになっちゃった!?
すっげえダルがらみしてくるんだけど!?
少量だったのに、コイツ下戸なのか。
初めて知ったぞ。
「アルト~」
おい!そして俺に抱きついてくるんじゃねえ!
酒くせえ!酒くせえって!
頭もなでんなあ!
悪かったって!
酒飲ませた俺も悪かったから、正気に戻ってくれ!?
「ずっと寂しかった。君がいなくなって僕はひとりだったんだぞ。
皆の前では気丈に振る舞わないといけないし。なんで魔王と一緒にしんじゃうんだよ~」
勇者は甘えた声を出しながら、顔を俺のお腹に押しつけてくる。
おいやめろ!男にそれされても嬉しくないから!
なんでお前とやんなくちゃいけねえんだよ!
やられるこっちの身にもなりやがれ!
クソ!この体、魔力に全ぶりのせいで筋力がねえ!
引き剥がせねえ!
「僕が代わりに死ねばよかったんだ」
「お前、メンヘラだったのか」
なんか今日の勇者重くない?
気のせいかな?
それだけいつも悩んでいるという証拠なのかも知れない。
そのまま勇者は、ゆっくりと目を閉じ、ソファーで寝てしまった。
スースーと寝息を立てながら、俺を抱いたままの状態で。
抱き枕じゃねえんだぞ?
人を抱いて安眠するんじゃねえよ。
そういえば孤児院の時はこうやってひっついて寝ていたな。
貧乏で、寒い冬でも薄い毛布一枚しかなかったからくっつかないと
とてもじゃないが寝られなかったからだ。
その時の記憶を思い出す。
やっぱコイツ変わってねえわ。
ただおねしょだけはしてくれるなよ?
前にお前が芸術的な世界地図を描いちまったせいで、
一緒に寝ていた俺はひどい目にあったんだからな?
そんなことを考えながら眠りにつく。
まったく、添い寝なら美女が良かったぜ、と愚痴りながら。
朝。
「う!うわあ!」
勇者の叫び声で目が覚めた。
眠い眼をこすりながら目を開けると、勇者がソファーの上から落下し、頭をぶつけたのか床でもだえている。
「なにやってんだ?」
「な、なんで一緒に寝てるんだよ!」
「なんでって、お前が離してくれなかったからだろ?人のせいにしないでもらいたいものだね」
顔を赤らめ動揺する勇者に、ため息をつきながら告げる。
すべて事実だ。まあ、元凶は俺が酒をのませてしまったことのなんだけど。
ウソは言ってないよ?
ただ都合の悪いことを話していないだけさ。
これが大人というものなのだよワトソンくん。
「ほら、騒いでねえで支度をするぞ。予定、入ってるんだろ?」
すでに太陽が昇っている。
タイマーをかけずに寝た弊害だ。
遅刻は確定だから、その分誠意をみせねえと。
「や、やわらかかった・・・」
「?」
やわらかい?何がだ?
何か勇者がつぶやいた気がしたが、無視だ、無視。
いちいち突っ込んでいたら、時間が足りんよ。
「おそようですわ!二人とも!」
「勇者!アルト!いるんだろ!遅刻するぞ!」
玄関を叩く音が聞こえてくる。
どうやら戦士と聖女が来ているようだ。
「ほら、急ぐぞ」
「う、うん」
のろまな勇者の手を引き、玄関の鍵を開ける。
今日も忙しい一日になりそうだ。
他のメンバーはファフニールの件について、色々後処理に追われているらしい。
あと俺のが復活したことも報告せにゃならんそうだ。
で、肝心な俺はそういうのは無理なので、すべて他人任せだ。
文字を見ると眠くなるんだ。
だからしかたない、しかたない。
それにこの少女の姿でうろついていると、いろいろ勘違いされて困るのだ。
中身は成人済み男性だというのに。
外見ではなくて魂を見ろよ。
そういう所が人類のいけないところだと思いました。
「ただいま」
しばらく勇者の家でくつろいでいると、勇者が帰ってきた。
「おつかれ、どうだった?」
「君が復活したことにみんな驚いていたよ。あとで顔を見せろとも言っていたよ?」
「うげえ!やだやだ。あんな老人共の前になんて行きたくもねえよ」
老人共というのは王国を統治する国王と、それを補佐する評議会ろいう奴らのことだ。
みんなおじさん、おばさんで、なんか堅苦しいから嫌なのだ。
もっと気楽にいこうぜ?
「ダメだよ?一応僕たちの上司なんだから?」
「え~、権力嫌い!難しいのやだ!殴り合いの方が絶対いいわ!」
「文明を否定しないでよ、アルト」
俺の言葉に困惑しながら返答する勇者をみて少し安心する。
まだ昼間のことでうじうじしていたらどうしてやろうか悩んでいたところだ。
今の所、大丈夫そうでよかったよ。
数時間後。
「アルト~、僕は勇者としてやっていけるかな~」
ふざけてお酒飲ませたらすごいことになっちゃった!?
すっげえダルがらみしてくるんだけど!?
少量だったのに、コイツ下戸なのか。
初めて知ったぞ。
「アルト~」
おい!そして俺に抱きついてくるんじゃねえ!
酒くせえ!酒くせえって!
頭もなでんなあ!
悪かったって!
酒飲ませた俺も悪かったから、正気に戻ってくれ!?
「ずっと寂しかった。君がいなくなって僕はひとりだったんだぞ。
皆の前では気丈に振る舞わないといけないし。なんで魔王と一緒にしんじゃうんだよ~」
勇者は甘えた声を出しながら、顔を俺のお腹に押しつけてくる。
おいやめろ!男にそれされても嬉しくないから!
なんでお前とやんなくちゃいけねえんだよ!
やられるこっちの身にもなりやがれ!
クソ!この体、魔力に全ぶりのせいで筋力がねえ!
引き剥がせねえ!
「僕が代わりに死ねばよかったんだ」
「お前、メンヘラだったのか」
なんか今日の勇者重くない?
気のせいかな?
それだけいつも悩んでいるという証拠なのかも知れない。
そのまま勇者は、ゆっくりと目を閉じ、ソファーで寝てしまった。
スースーと寝息を立てながら、俺を抱いたままの状態で。
抱き枕じゃねえんだぞ?
人を抱いて安眠するんじゃねえよ。
そういえば孤児院の時はこうやってひっついて寝ていたな。
貧乏で、寒い冬でも薄い毛布一枚しかなかったからくっつかないと
とてもじゃないが寝られなかったからだ。
その時の記憶を思い出す。
やっぱコイツ変わってねえわ。
ただおねしょだけはしてくれるなよ?
前にお前が芸術的な世界地図を描いちまったせいで、
一緒に寝ていた俺はひどい目にあったんだからな?
そんなことを考えながら眠りにつく。
まったく、添い寝なら美女が良かったぜ、と愚痴りながら。
朝。
「う!うわあ!」
勇者の叫び声で目が覚めた。
眠い眼をこすりながら目を開けると、勇者がソファーの上から落下し、頭をぶつけたのか床でもだえている。
「なにやってんだ?」
「な、なんで一緒に寝てるんだよ!」
「なんでって、お前が離してくれなかったからだろ?人のせいにしないでもらいたいものだね」
顔を赤らめ動揺する勇者に、ため息をつきながら告げる。
すべて事実だ。まあ、元凶は俺が酒をのませてしまったことのなんだけど。
ウソは言ってないよ?
ただ都合の悪いことを話していないだけさ。
これが大人というものなのだよワトソンくん。
「ほら、騒いでねえで支度をするぞ。予定、入ってるんだろ?」
すでに太陽が昇っている。
タイマーをかけずに寝た弊害だ。
遅刻は確定だから、その分誠意をみせねえと。
「や、やわらかかった・・・」
「?」
やわらかい?何がだ?
何か勇者がつぶやいた気がしたが、無視だ、無視。
いちいち突っ込んでいたら、時間が足りんよ。
「おそようですわ!二人とも!」
「勇者!アルト!いるんだろ!遅刻するぞ!」
玄関を叩く音が聞こえてくる。
どうやら戦士と聖女が来ているようだ。
「ほら、急ぐぞ」
「う、うん」
のろまな勇者の手を引き、玄関の鍵を開ける。
今日も忙しい一日になりそうだ。
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