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4話 ただいまだぜ!
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「アルトの子どもか!?」
「ちげえよ、ハゲ!」
思わず勇者の頭をはたく。
ペチン!といい音がした。
お前は手紙の何を読んだんだ!
そこに俺が転生して新しい体になったってかかれてるだろうが!
どこをどうしたら目の前の少女を俺の子どもだと思うんだよ!
というか俺に子どもがいるわけねえだろ!
ずっと一緒にいたんだからそれくらい分かれや!
「貴様!勇者様に何をしている!」
思わず勇者を叩いてしまったせいで警備員が怒鳴りながらこちらに来る。
けれどそれを勇者は手で制止する。
そして今度は目を見開きながら、
「アルト?」
と、か細い声でつげた。
「正解。おせえよ」
と答えてやると、勇者の目にはじわりと涙がうかぶ。
「なんで?なんでだよ?」
「だから書いてあるだろう?女神様のおかげだよ。
美少女になってアルト様の新登場だぜ」
と冗談をいったつもりだったのだが、勇者はそんな
おれの渾身のジョークを無視して、
「アルト!」
と俺に抱きついてくるのであった。
「ぎゃ!おい、やめろお!むさ苦しいだろ!
男同士で抱きついて誰が得するんだ!
それに鼻水付いてるだろうが!」
突然の勇者の行動に必死に抵抗をするが、逃げられない。
そのまま勇者にギュ!と抱きしめられた俺は諦めて脱力する。
警備員さんは、何これ?という風に驚愕していた。
・・・あの、勇者?
今他人から見たら、お前少女に泣きながら抱きつく変人だからな?
それと、お前、そういうタイプだったっけ?
こんなに泣かれると反応しずらいんだけど。
まあ、下手に反応してやる必要もないのか。
しずかに勇者の背中をさする。
泣き虫さんめ。
お前は本当に昔からかわらないな。
数時間後。
「アルトおおおおおお!」
未だに勇者は泣いていた。
いつまでお~んお~ん泣いてんだテメエ!
長すぎるので頭をペチペチ叩く。
さすがに長いぞ勇者!
数時間ずっと抱かれ続けてる俺の身にもなれ!
そしてお前の部下が困った顔して後ろで見てきてるだよ!
たぶんあれ、勇者様が帰ってこなくて見に行ったら
少女抱いてガチ泣きしてた!どうしよ!っていう顔だから!
「そんなに泣くもんかね?」
「泣くに決まってる!どんな思いで僕が魔王城から帰ったと思う!
共に帰るという約束を破ったのは君の方じゃないか!」
「しかたねえだろ?あのままだと全滅だったんだから。
おかげでお前らは生き残って、こうして俺も帰ってきたんだ。
世界も平和になったし、十分じゃねえか」
「良くはない!」
勇者はすこし声を荒げて否定する。
泣いたり怒ったり忙しい奴だ。
「あ、あの勇者様?」
さすがに耐えきれなくなったのか、勇者の部下が話しかけてくる。
「お時間が押しております。その方はいったい・・・」
「すべてキャンセルだ。最優先で対処するべき事案が起きた」
勇者は手短に部下に伝えると、再びこちらを向き、
「アルト、帰ろうか。戦士にも、聖女にも、一刻も早く教えてあげたい」
と告げた。
いやここを動けなかったのはお前のせいだからな?
まあいいか。
「あいつらも元気?」
「元気だよ。だが君が生きていると知ればもっと元気になるよ」
勇者はそう言って俺を下ろし手をつないだ。
「おかえり、アルト」
「おう!ただいまだぜ!」
「ちげえよ、ハゲ!」
思わず勇者の頭をはたく。
ペチン!といい音がした。
お前は手紙の何を読んだんだ!
そこに俺が転生して新しい体になったってかかれてるだろうが!
どこをどうしたら目の前の少女を俺の子どもだと思うんだよ!
というか俺に子どもがいるわけねえだろ!
ずっと一緒にいたんだからそれくらい分かれや!
「貴様!勇者様に何をしている!」
思わず勇者を叩いてしまったせいで警備員が怒鳴りながらこちらに来る。
けれどそれを勇者は手で制止する。
そして今度は目を見開きながら、
「アルト?」
と、か細い声でつげた。
「正解。おせえよ」
と答えてやると、勇者の目にはじわりと涙がうかぶ。
「なんで?なんでだよ?」
「だから書いてあるだろう?女神様のおかげだよ。
美少女になってアルト様の新登場だぜ」
と冗談をいったつもりだったのだが、勇者はそんな
おれの渾身のジョークを無視して、
「アルト!」
と俺に抱きついてくるのであった。
「ぎゃ!おい、やめろお!むさ苦しいだろ!
男同士で抱きついて誰が得するんだ!
それに鼻水付いてるだろうが!」
突然の勇者の行動に必死に抵抗をするが、逃げられない。
そのまま勇者にギュ!と抱きしめられた俺は諦めて脱力する。
警備員さんは、何これ?という風に驚愕していた。
・・・あの、勇者?
今他人から見たら、お前少女に泣きながら抱きつく変人だからな?
それと、お前、そういうタイプだったっけ?
こんなに泣かれると反応しずらいんだけど。
まあ、下手に反応してやる必要もないのか。
しずかに勇者の背中をさする。
泣き虫さんめ。
お前は本当に昔からかわらないな。
数時間後。
「アルトおおおおおお!」
未だに勇者は泣いていた。
いつまでお~んお~ん泣いてんだテメエ!
長すぎるので頭をペチペチ叩く。
さすがに長いぞ勇者!
数時間ずっと抱かれ続けてる俺の身にもなれ!
そしてお前の部下が困った顔して後ろで見てきてるだよ!
たぶんあれ、勇者様が帰ってこなくて見に行ったら
少女抱いてガチ泣きしてた!どうしよ!っていう顔だから!
「そんなに泣くもんかね?」
「泣くに決まってる!どんな思いで僕が魔王城から帰ったと思う!
共に帰るという約束を破ったのは君の方じゃないか!」
「しかたねえだろ?あのままだと全滅だったんだから。
おかげでお前らは生き残って、こうして俺も帰ってきたんだ。
世界も平和になったし、十分じゃねえか」
「良くはない!」
勇者はすこし声を荒げて否定する。
泣いたり怒ったり忙しい奴だ。
「あ、あの勇者様?」
さすがに耐えきれなくなったのか、勇者の部下が話しかけてくる。
「お時間が押しております。その方はいったい・・・」
「すべてキャンセルだ。最優先で対処するべき事案が起きた」
勇者は手短に部下に伝えると、再びこちらを向き、
「アルト、帰ろうか。戦士にも、聖女にも、一刻も早く教えてあげたい」
と告げた。
いやここを動けなかったのはお前のせいだからな?
まあいいか。
「あいつらも元気?」
「元気だよ。だが君が生きていると知ればもっと元気になるよ」
勇者はそう言って俺を下ろし手をつないだ。
「おかえり、アルト」
「おう!ただいまだぜ!」
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