23 / 35
装備屋へ
しおりを挟む
『さぁ、装備更新だ! 』
などと息巻いては見たものの、僕はホノカがどうやって生産のための設備を手に入れるのか知らなかった。
僕と同じく、ホノカはゲームを初めてまだ数時間。
その間の大体の時間は僕と一緒にレベリングをしていた。
彼女から溢れる引っ張り力はどこから溢れているのだろうか。
「ねぇ、ホノカ? 生産って言ってもそれどこでやるの?」
「あぁ、それなら考えてあるよ!」
良かった。ちゃんと計画があったみたいだ。
「さっき歩きながら掲示板を見てたらね、生産職用のミニクエストがあるらしくって! 今そこに向かってるよっ! 」
へぇ、掲示板とかあるんだなぁこのゲーム。あとで僕も見てみようっと。
そんなことを考えていたら、どこからかいい匂いが。
「あっ、ライト! プリンの屋台だって! 美味しそー」
「ほんとだ! お金もあるし…… 寄ってく? おごるよ」
「えっ、本当!? ありがとう! 絶対いい装備作るよー」
報酬は僕の方が多くもらったから、軽い気持ちで奢ると言ってみたら結構喜んでくれた。
「お兄さん、プレーン一つと…… ホノカ、イチゴとプレーンどっちがいい?」
「うーん、私もプレーンでっ!」
「お兄さんごめん、プレーン二個ね」
「ん、あまーい! おいっし!」
僕たちは、プリンを食べながら目的の場所へと歩く。卵の味が濃いこのプリンは長時間の戦闘で疲れた体と脳を急速に癒していく。
「ほんっとリアルと遜色ない味がするね…… ていうか今まで食べたプリンのなかで一番美味しいかも!」
ホノカも喜んでパクついている。
「良ければまた今度一緒に来ない? 僕イチゴ味も気になるんだよね!」
「いいね、来よう来よう!」
そして石畳の道を歩くこと数分。
「生産職を持ってる人がね、そのお店に行くと…… ほらここっ!」
ホノカが立ち止まった。鎧を背景に、ハンマーと剣がクロスした渋い看板が大きな建物に掛けられている。
「鍛冶屋、かな? 」
金属の懐かしい匂いがした。
故郷ではユミとライアンの武具、それに僕の短剣のメンテナンスをしてくれる鍛冶のおっちゃんがいて、彼の店にここはよく似ていた。
「正確には装備屋さんだね。 鍛冶工房と革工房、そして木工工房が併設されてるらしいの! 冒険者の装備を一括お任せって謳い文句でやってるって!」
「へー、それは興味深いね。ここにこれば装備が揃うっていうのはすっごく便利だね!」
前世では、フルプレートメイルを使っていたライアンと、革鎧で済ませていた僕とで装備を購入する場所が違っていた。
別に大きく不便だった訳じゃないけれど、便利なのは良いことだ。
「それでね、それでねライト! ここに生産職の見習いジョブを持ってる人が訪ねると……」
ホノカは木で出来た重厚な扉を開け店の中に入る。
すると……
「いらっしゃーい。……うん? おっと! まだどの分野にも染まっていない見習いのお嬢ちゃん! ご購入かい? それとも……入門かい? 」
顔面を髭で溢れさせた小柄なおじさんが、勢いよくそうまくし立てた。
……その毛ちょっとはラドーに分けてあげればいいのに。
などと息巻いては見たものの、僕はホノカがどうやって生産のための設備を手に入れるのか知らなかった。
僕と同じく、ホノカはゲームを初めてまだ数時間。
その間の大体の時間は僕と一緒にレベリングをしていた。
彼女から溢れる引っ張り力はどこから溢れているのだろうか。
「ねぇ、ホノカ? 生産って言ってもそれどこでやるの?」
「あぁ、それなら考えてあるよ!」
良かった。ちゃんと計画があったみたいだ。
「さっき歩きながら掲示板を見てたらね、生産職用のミニクエストがあるらしくって! 今そこに向かってるよっ! 」
へぇ、掲示板とかあるんだなぁこのゲーム。あとで僕も見てみようっと。
そんなことを考えていたら、どこからかいい匂いが。
「あっ、ライト! プリンの屋台だって! 美味しそー」
「ほんとだ! お金もあるし…… 寄ってく? おごるよ」
「えっ、本当!? ありがとう! 絶対いい装備作るよー」
報酬は僕の方が多くもらったから、軽い気持ちで奢ると言ってみたら結構喜んでくれた。
「お兄さん、プレーン一つと…… ホノカ、イチゴとプレーンどっちがいい?」
「うーん、私もプレーンでっ!」
「お兄さんごめん、プレーン二個ね」
「ん、あまーい! おいっし!」
僕たちは、プリンを食べながら目的の場所へと歩く。卵の味が濃いこのプリンは長時間の戦闘で疲れた体と脳を急速に癒していく。
「ほんっとリアルと遜色ない味がするね…… ていうか今まで食べたプリンのなかで一番美味しいかも!」
ホノカも喜んでパクついている。
「良ければまた今度一緒に来ない? 僕イチゴ味も気になるんだよね!」
「いいね、来よう来よう!」
そして石畳の道を歩くこと数分。
「生産職を持ってる人がね、そのお店に行くと…… ほらここっ!」
ホノカが立ち止まった。鎧を背景に、ハンマーと剣がクロスした渋い看板が大きな建物に掛けられている。
「鍛冶屋、かな? 」
金属の懐かしい匂いがした。
故郷ではユミとライアンの武具、それに僕の短剣のメンテナンスをしてくれる鍛冶のおっちゃんがいて、彼の店にここはよく似ていた。
「正確には装備屋さんだね。 鍛冶工房と革工房、そして木工工房が併設されてるらしいの! 冒険者の装備を一括お任せって謳い文句でやってるって!」
「へー、それは興味深いね。ここにこれば装備が揃うっていうのはすっごく便利だね!」
前世では、フルプレートメイルを使っていたライアンと、革鎧で済ませていた僕とで装備を購入する場所が違っていた。
別に大きく不便だった訳じゃないけれど、便利なのは良いことだ。
「それでね、それでねライト! ここに生産職の見習いジョブを持ってる人が訪ねると……」
ホノカは木で出来た重厚な扉を開け店の中に入る。
すると……
「いらっしゃーい。……うん? おっと! まだどの分野にも染まっていない見習いのお嬢ちゃん! ご購入かい? それとも……入門かい? 」
顔面を髭で溢れさせた小柄なおじさんが、勢いよくそうまくし立てた。
……その毛ちょっとはラドーに分けてあげればいいのに。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
アルケミア・オンライン
メビウス
SF
※現在不定期更新中。多忙なため期間が大きく開く可能性あり。
『錬金術を携えて強敵に挑め!』
ゲーム好きの少年、芦名昴は、幸運にも最新VRMMORPGの「アルケミア・オンライン」事前登録の抽選に当選する。常識外れとも言えるキャラクタービルドでプレイする最中、彼は1人の刀使いと出会う。
宝石に秘められた謎、仮想世界を取り巻くヒトとAIの関係、そして密かに動き出す陰謀。メガヒットゲーム作品が映し出す『世界の真実』とは────?
これは、AIに愛され仮想世界に選ばれた1人の少年と、ヒトになろうとしたAIとの、運命の戦いを描いた物語。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
嫌われ者の悪役令息に転生したのに、なぜか周りが放っておいてくれない
AteRa
ファンタジー
エロゲの太ったかませ役に転生した。
かませ役――クラウスには処刑される未来が待っている。
俺は死にたくないので、痩せて死亡フラグを回避する。
*書籍化に際してタイトルを変更いたしました!
聖女戦士ピュアレディー
ピュア
大衆娯楽
近未来の日本!
汚染物質が突然変異でモンスター化し、人類に襲いかかる事件が多発していた。
そんな敵に立ち向かう為に開発されたピュアスーツ(スリングショット水着とほぼ同じ)を身にまとい、聖水(オシッコ)で戦う美女達がいた!
その名を聖女戦士 ピュアレディー‼︎
くたばれ重課金 VRMMO『ヘルヴァス』というクソゲーの話
夏野かろ
SF
VR型のMMORPG『ヘルヴァス』で起きた三つのエピソードたちを収めた作品です。
つまり短編集。『くたばれ重課金』、『死ねよ初心者狩り』、『あばよ課金ゲー』の三つが入っています。
まぁ読んでいってください。
CombatWorldOnline~落ちこぼれ空手青年のアオハルがここに~
ゆる弥
SF
ある空手少年は周りに期待されながらもなかなか試合に勝てない日々が続いていた。
そんな時に親友から進められフルダイブ型のVRMMOゲームに誘われる。
そのゲームを通して知り合ったお爺さんから指導を受けるようになり、現実での成績も向上していく成り上がりストーリー!
これはある空手少年の成長していく青春の一ページ。
アルビオン王国宙軍士官物語(クリフエッジシリーズ合本版)
愛山雄町
SF
ハヤカワ文庫さんのSF好きにお勧め!
■■■
人類が宇宙に進出して約五千年後、地球より数千光年離れた銀河系ペルセウス腕を舞台に、後に“クリフエッジ(崖っぷち)”と呼ばれることになるアルビオン王国軍士官クリフォード・カスバート・コリングウッドの物語。
■■■
宇宙暦4500年代、銀河系ペルセウス腕には四つの政治勢力、「アルビオン王国」、「ゾンファ共和国」、「スヴァローグ帝国」、「自由星系国家連合」が割拠していた。
アルビオン王国は領土的野心の強いゾンファ共和国とスヴァローグ帝国と戦い続けている。
4512年、アルビオン王国に一人の英雄が登場した。
その名はクリフォード・カスバート・コリングウッド。
彼は柔軟な思考と確固たる信念の持ち主で、敵国の野望を打ち砕いていく。
■■■
小説家になろうで「クリフエッジシリーズ」として投稿している作品を合本版として、こちらでも投稿することにしました。
■■■
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+でも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる