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食事を終えた僕は、VR機器をセットし再び黄色の本を開く。
『ようこそYLoへ』
そう機械音声が聞こえると同時に、僕はチュートリアルを受けた大樹の草原に突っ立っていた。
どうやらログインをすると最初に飛ばされるのがここみたいだ。
辺りを見回せば、数時間前と同じような風景。そして……
「やあやあ帰ってきてくれて嬉しいワン。おかえり! あっ、ログインする前に連絡事項がいくつかあるから聞いて欲しいワン!」
当然のように燕尾服を着た犬、タッキーもいた。
「お、数時間ぶり! 連絡事項ってなに?」
「仕様変更のお知らせだワン。スキルの表記が見にくいって声が多く寄せられたからスキルを統合して表記するようにしたワン見て見るワン!」
「ああ確かにあれ不便だったよね。」
早く戻りたい気持ちもあるけど、そう頷きながら僕は「ステータス」と呟やく。
見てみると、確かに魔法や弓のスキル等が統合されていて見やすいことに気付いた。
「それに伴ってスキルレベルというものが実装されたワン。使い続けるとレベルが上がって新しいスキルを手に入れることができるようになるワン」
「へー……てことは魔法使いジョブを無くした僕でも、新しい魔法を手に入れることができるようになったってこと?」
「そうなるワン! でもジョブを持っている人より、成長率が低いから注意するワン!」
「なるほど! ありがと! 他には何かある?」
「今の所はもう無いワン! でもまだリリースしたばっかり……変更は多くなると思うワン! その時はご迷惑をお掛けするワン……。さ、また君の冒険を始めるワン! また転送魔法で街へと送ってあげるワン!」
「あっ、ありがとうね! 行ってきます!」
再び僕の体を光が包み……刹那目を開 けた時には、最後にログアウトをした冒険者ギルドの前に立っていた。
この街に流れる風が、数時間離れただけなのにとても懐かしく感じる。
さぁ、今日中にやらなくちゃいけない事がある。氷鴉を倒すための準備だ。
さっき進化して成長したジョブのレベルを上げて、更に強いスキルを手に入れなければならない。
氷鴉だって、前世からみたらそこまで強い敵でもない。悪魔なんかとは比べるまでもなくて、やっぱりこの体の弱さを感じる。
「死なないこと、アイツをぶち倒すこと…… これをやらないことには前世の続き、冒険の続きには成り得ない…… 」
狂気にも近い想いを抑え込みつつ、足を進める、と……
「あれー? ライト! やっほ~!」
ふいに名前を呼び止められ、振り返ると赤い髪の女の子が。
「あっ、ホノカ! 塾終わったの?」
「うん! 疲れたよー…… あっ、ライト色変わったよね? 綺麗な蒼色ー 」
「あぁ、また進化したんだ! 」
「もう進化したの!? はっや! 掲示板とかでも進化の情報とか聞かなかったけど……」
やっぱり驚かれてしまった。初日から飛ばしすぎて、廃人だって思われちゃったかな……? なんだかモヤモヤして、早口で返事をする。
「あー……実入りのいい戦闘があって。ジョブのレベルも上がっちゃったから、今からまたレベリングしに行くんだ。……あー、また一緒に行く?」
あっ、またレベリングとか……ずっとゲームしてるみたいじゃないか。ずっとゲームしてるけども。
「え、いいの!? 私は全然大丈夫だけど、足手まといにならない? 」
「全然大丈夫だよ! ホノカのバフはありがたいし、それに一緒にやってて楽しい……し……」
ポッと顔が赤くなる。会って一回遊んだばっかの人に対して何言ってるんだ僕は……
「え、あ……私も楽しい! 本当にいいの? それじゃあ着いてくよ?」
「うん、行こっか!」
さっきまでのモヤモヤは消えて、頭がスッキリとする。
心は暖かい。
新しいパーティーメンバーと一緒に……さぁ、レベリングだ!
『ようこそYLoへ』
そう機械音声が聞こえると同時に、僕はチュートリアルを受けた大樹の草原に突っ立っていた。
どうやらログインをすると最初に飛ばされるのがここみたいだ。
辺りを見回せば、数時間前と同じような風景。そして……
「やあやあ帰ってきてくれて嬉しいワン。おかえり! あっ、ログインする前に連絡事項がいくつかあるから聞いて欲しいワン!」
当然のように燕尾服を着た犬、タッキーもいた。
「お、数時間ぶり! 連絡事項ってなに?」
「仕様変更のお知らせだワン。スキルの表記が見にくいって声が多く寄せられたからスキルを統合して表記するようにしたワン見て見るワン!」
「ああ確かにあれ不便だったよね。」
早く戻りたい気持ちもあるけど、そう頷きながら僕は「ステータス」と呟やく。
見てみると、確かに魔法や弓のスキル等が統合されていて見やすいことに気付いた。
「それに伴ってスキルレベルというものが実装されたワン。使い続けるとレベルが上がって新しいスキルを手に入れることができるようになるワン」
「へー……てことは魔法使いジョブを無くした僕でも、新しい魔法を手に入れることができるようになったってこと?」
「そうなるワン! でもジョブを持っている人より、成長率が低いから注意するワン!」
「なるほど! ありがと! 他には何かある?」
「今の所はもう無いワン! でもまだリリースしたばっかり……変更は多くなると思うワン! その時はご迷惑をお掛けするワン……。さ、また君の冒険を始めるワン! また転送魔法で街へと送ってあげるワン!」
「あっ、ありがとうね! 行ってきます!」
再び僕の体を光が包み……刹那目を開 けた時には、最後にログアウトをした冒険者ギルドの前に立っていた。
この街に流れる風が、数時間離れただけなのにとても懐かしく感じる。
さぁ、今日中にやらなくちゃいけない事がある。氷鴉を倒すための準備だ。
さっき進化して成長したジョブのレベルを上げて、更に強いスキルを手に入れなければならない。
氷鴉だって、前世からみたらそこまで強い敵でもない。悪魔なんかとは比べるまでもなくて、やっぱりこの体の弱さを感じる。
「死なないこと、アイツをぶち倒すこと…… これをやらないことには前世の続き、冒険の続きには成り得ない…… 」
狂気にも近い想いを抑え込みつつ、足を進める、と……
「あれー? ライト! やっほ~!」
ふいに名前を呼び止められ、振り返ると赤い髪の女の子が。
「あっ、ホノカ! 塾終わったの?」
「うん! 疲れたよー…… あっ、ライト色変わったよね? 綺麗な蒼色ー 」
「あぁ、また進化したんだ! 」
「もう進化したの!? はっや! 掲示板とかでも進化の情報とか聞かなかったけど……」
やっぱり驚かれてしまった。初日から飛ばしすぎて、廃人だって思われちゃったかな……? なんだかモヤモヤして、早口で返事をする。
「あー……実入りのいい戦闘があって。ジョブのレベルも上がっちゃったから、今からまたレベリングしに行くんだ。……あー、また一緒に行く?」
あっ、またレベリングとか……ずっとゲームしてるみたいじゃないか。ずっとゲームしてるけども。
「え、いいの!? 私は全然大丈夫だけど、足手まといにならない? 」
「全然大丈夫だよ! ホノカのバフはありがたいし、それに一緒にやってて楽しい……し……」
ポッと顔が赤くなる。会って一回遊んだばっかの人に対して何言ってるんだ僕は……
「え、あ……私も楽しい! 本当にいいの? それじゃあ着いてくよ?」
「うん、行こっか!」
さっきまでのモヤモヤは消えて、頭がスッキリとする。
心は暖かい。
新しいパーティーメンバーと一緒に……さぁ、レベリングだ!
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