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第一章 催眠の愛
6話 アルシアとの遭遇
しおりを挟む「…」
「アルシア?アルシア?お~い、アルシアってば」
アルシアさんと呼ばれている男性は私を見て惚けている。
どうしたのだろう?
「あれま、アルシアってばもしかしてメイドちゃんに恋をしちゃった?」
「…っ!!」
「図星なんだ。分かる分かる、前髪で隠しているけど…可愛いよな。ってかその前髪切っちゃおうか?」
アーロンさんがチョキを作って指をくっつけると私の前髪がバッサリと切れて。
『う、嘘!?なんで!??』
戸惑っているとアルシアさんは私を見て手で口元をおさえ真っ赤な顔をになっている。
『か、髪をなんて事するんですかアーロンさん!!もう、どうしてこんな事を!!』
「良いじゃん、可愛いよメイドちゃん。それよりアリシア大丈夫?萌え萌え??」
「……あの、メイドさんっ!!」
アルシアさんが突然近づいて来て私の手を掴むと真剣な顔である言葉を言った。
「あなたに一目惚れをしました。どうか俺と結婚して下さい!!」
『えええええええっ!!?』
「あはははっ!あの堅物アルシアがメイドちゃんに、告白とかウケるんだけど。やばい、あはははっ!こんな展開俺でも分からなかったし」
ゲラゲラと笑うアーロンさんを睨もうとするも強い瞳で私を射抜くアルシアさん。
マスターと似た顔に更に動悸がした。
『えっと、あの、ご、御免なさい』
「あはははっ!!もうフラれてるし。どんな展開なんだよ。くくっ、あはははっ!!」
「メイドさん、俺は諦めません。こんな美しく素敵な方を見た事がない。俺は貴方を妻に娶りたいのです」
『えええ!?恋人じゃなくて、妻ですか!?』
「えぇ、どうか妻になって下さい。俺は絶対に諦めません」
戸惑う私に強い眼差しで言い続けるアルシアさん。
さすがに困った私はアーロンさんを見るとニヤリ顔で話だした。
「メイドちゃん、良いんじゃない?アルシアは優良物件だよ。優しいし剣術も長けているし、村でも人気者で次期村長と言われているし、何より顔が良くて頭も良い。言う事は無いんじゃいの?」
『えっと、アーロンさんそんな話をしている訳じゃなくて…。とにかくここから移動をしないと…。アルシアさん?あの私達は村には入っても良いんでしょうか?』
「もちろんです、アーロンさんの知り合いですし、俺の将来の妻になる人なのですから、だから大丈夫ですよ」
優しく説明してくれるアルシアさんに私は少し動悸がした。
マスターが私に言っているみたいだ…。
そう思うと身体中が熱くなった。
「どうしたのメイドちゃん?顔が真っ赤だよ。もしかしてアルシアに惚れちゃった?」
『ち、違います!!』
「所でメイドさんはお名前は何と言うのですか?」
『えっと、…ナナです』
一瞬マスターの真の名前は口にしてはいけないと言う事が頭をよぎったのだ。
「ナナさん、なんて素敵な名前なんでしょう。ナナさん、では俺と一緒に村に来てもらえますか?」
『えっと、はい』
私は野宿がしたくなくて頷くとアルシアさんは嬉しそうに笑っていた。
マスター・フェル様・エイン様とはもう二度と会えない。
それに、催眠の魔法を掛けられていたからあんなに従順だっただけだ、今の私はきっと好きでは無いのだろう。
そう思うと何故か胸が苦しくなった。
◯◯◯◯
村に着く木で出来た家が沢山あった。
今の日本では考えられない生活だ。
マスターと居た時も立派なお屋敷だった。
ついつい、マスター達と全てを比べえてしまう私に嫌気をさしていると、アルシアさんが笑顔で手を握って引っ張ってくれる。
「ナナさん、村長には私から伝えておきますので今日は遅いですから俺の家に泊まって下さい。も、もちろん襲ったりはしませんから」
真っ赤な顔で焦った様に言うアルシアさんが可笑しくて思わず笑ってしまった。
『ぷっ、あはは。大丈夫ですよ、妻にして欲しいと言われた時は驚きましたがそんな事をする人じゃ無いってなんとなく分かりますから。それにアーロンさんがそんな人に私を引き渡したりしないでしょ。あの人勇者の子孫らしいですから』
「うぅ、そこまで言われると逆に男としてちょっと自信を無くします。俺の事好きにはなってくれそうには無いですか?」
真剣な瞳に私は戸惑っているとアーロンさんがアルシアさんの頭にチョップをする。
「またナナちゃんを口説くのはやめなさいって。それに俺もアルシアの所に泊まるから変な事は出来ないよ~。良い?いきなりナナちゃんを襲ったら俺がアルシアを成敗するよ」
「…分かりました。ナナさん、家はこちらです。さぁ行きましょう」
「全く俺の弟子だけじゃなくあのアルシアを本気にさせるなんて、ナナちゃんは凄いね」
『…あの、マスター達は私が居なくなって怒っていないでしょうか?』
私が心配になってアーロンさんに聞くとケロッとした顔で話す。
「ん?大丈夫大丈夫。今は大きな任務中だし。おもちゃの替えなんていくらでもあるでしょ?だから時間が経てばすぐにナナちゃんの事なんて忘れるよ」
『…そう…ですか。そう…ですよね。私はおもちゃなんですから、替えのきく存在ですよね。催眠の魔法が無くなった私になんて必要性は感じないですよね』
「うんそうだね。だから、アルシアみたいな好青年がナナちゃんにはオススメだよ」
『…』
私はマスター達の事は忘れないと…そう思いアルシアさんの後をついていった。
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