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前回に引き続き、『象徴的な物が夢に出現する場合、自覚している物と無意識に検知した物のどっちなのか』に関する別の話。
実家の近所に、コイデさんという一家が住んでいる。
私が小学生の頃、コイデさんちの旦那さんは、サラリーマンの傍ら少年野球チームの監督をしていた。
時に旦那さんが、早朝や夕方などに自宅の庭でバッティング練習を自主的にやるのが見え、『この人、本当に野球が好きなんだな』と、私は思っていた。
私が結婚して間もないくらいの頃、こんな夢を見た。
実家に居たら、誰かに『近所で火事だ』と教えられ家の外に出ると、火元はコイデさんの家だった。炎は見えないが、リビングの窓の隙間から、物凄い量の煙が溢れ出ている。
『家人は在宅なの?』『中に人は?』と、ご近所さんで大騒ぎになる。そういう夢だった。
母と顔を合わせた際に、その夢の話をすると、母は複雑そうな顔をした。
「コイデさんちね、別居していたおばあちゃん(コイデ氏の実母)が介護が必要になったらしくて、少し前から呼び寄せて同居しているんだって」
「へえ」
「どの程度介護が必要なのかは知らないけど、主に介護してるだろうコイデさんの奥さんが、見る度やつれて顔色が悪くなってるの。みんな心配してるよ」
「いまどき施設入れないんだね。嫌なのかな」
「ううん、おばあちゃんが浪費家で預貯金ほぼ無いんだって。特養は順番待ちだし、家で見るしかないって状況」
夢占いにおいても、『炎の見えない火事』はもめ事や争いごとなどの凶意が強い。
「介護に金の問題に同居ってなったんなら、そりゃあ家の中は大荒れでしょうね」
もし見た夢が100%現実を模したとしたなら、コイデ氏がどの程度介護に携わってるかも、何となく想像がつく。
次に母が以前見た夢の話。
末弟が幼稚園に入園して間もない当時、肝っ玉母さん風なクロダさんと、都会の奥様風なシラトリさんというママ友と知り合った。
ある時、こんな夢を見た。
母は散歩でシラトリさんちの前を通りかかった。玄関前に白鷺の様な、真っ白でほっそりした鳥が佇んでいた。鳥は、通行人が通りかかると、ついばんだり脚で蹴るなど攻撃をしていた。
(うわ、凶暴な鳥だ)
母はシラトリさんちを避け、クロダさんちへ向かって歩いた。
クロダさんちの玄関前には、黒くて大きいカラスが居た。
(大きいな。つつかれたら嫌だな)
だが、意に反してカラスは大人しく、人が近づいても何もしてこなかった。そんな夢だった。
それからしばらくして、シラトリさんが別のママ友とトラブルになった。
通常の会話や立ち振る舞いからは想像出来ないが、とにかく理詰めで相手を追い詰める様な、激しい一面がある人だったそうだ。
母は幼稚園に通ってる間、シラトリさんとは程よい距離を置く付き合いに徹したらしい。
「クロダさんってああいう見た目だけど、すごくシャイでね。性格もおとなしいというか、常に一定というか」
家の前の鳥は、家庭内における社交家である奥様の、本来の性格を表したのか。
外に漏れないように隠していても、『夢』によって暴かれる場合もあるかもしれません、という話。
実家の近所に、コイデさんという一家が住んでいる。
私が小学生の頃、コイデさんちの旦那さんは、サラリーマンの傍ら少年野球チームの監督をしていた。
時に旦那さんが、早朝や夕方などに自宅の庭でバッティング練習を自主的にやるのが見え、『この人、本当に野球が好きなんだな』と、私は思っていた。
私が結婚して間もないくらいの頃、こんな夢を見た。
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『家人は在宅なの?』『中に人は?』と、ご近所さんで大騒ぎになる。そういう夢だった。
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「へえ」
「どの程度介護が必要なのかは知らないけど、主に介護してるだろうコイデさんの奥さんが、見る度やつれて顔色が悪くなってるの。みんな心配してるよ」
「いまどき施設入れないんだね。嫌なのかな」
「ううん、おばあちゃんが浪費家で預貯金ほぼ無いんだって。特養は順番待ちだし、家で見るしかないって状況」
夢占いにおいても、『炎の見えない火事』はもめ事や争いごとなどの凶意が強い。
「介護に金の問題に同居ってなったんなら、そりゃあ家の中は大荒れでしょうね」
もし見た夢が100%現実を模したとしたなら、コイデ氏がどの程度介護に携わってるかも、何となく想像がつく。
次に母が以前見た夢の話。
末弟が幼稚園に入園して間もない当時、肝っ玉母さん風なクロダさんと、都会の奥様風なシラトリさんというママ友と知り合った。
ある時、こんな夢を見た。
母は散歩でシラトリさんちの前を通りかかった。玄関前に白鷺の様な、真っ白でほっそりした鳥が佇んでいた。鳥は、通行人が通りかかると、ついばんだり脚で蹴るなど攻撃をしていた。
(うわ、凶暴な鳥だ)
母はシラトリさんちを避け、クロダさんちへ向かって歩いた。
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(大きいな。つつかれたら嫌だな)
だが、意に反してカラスは大人しく、人が近づいても何もしてこなかった。そんな夢だった。
それからしばらくして、シラトリさんが別のママ友とトラブルになった。
通常の会話や立ち振る舞いからは想像出来ないが、とにかく理詰めで相手を追い詰める様な、激しい一面がある人だったそうだ。
母は幼稚園に通ってる間、シラトリさんとは程よい距離を置く付き合いに徹したらしい。
「クロダさんってああいう見た目だけど、すごくシャイでね。性格もおとなしいというか、常に一定というか」
家の前の鳥は、家庭内における社交家である奥様の、本来の性格を表したのか。
外に漏れないように隠していても、『夢』によって暴かれる場合もあるかもしれません、という話。
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