99 / 130
99 ダウジング
しおりを挟む
『ダウジング』という言葉を、聞いた事はあるだろうか。
元々は水脈や鉱脈の探索手段に使われたものだが、使用者の潜在能力を引き出して行う占いの一種としても扱われている。
水脈などの探索の際に使われるのは針金で出来た『L字ロッド』という器具だが、占いの際は糸や鎖の先に重しを括り付けた『ペンデュラム(振り子)』を使用する。
子供の頃に糸の先につけた5円玉が、イエスなら時計周りに動き、ノーなら反時計回り(もしくは動かない)という、1人占いをした事はないだろうか?それの本家がそれだ。
友人:ジョウジは、ダウジング占いが得意だ。きっかけは小学生の頃。少年漫画でダウジングの事を知り興味を持ち、試行錯誤を重ね自己流で訓練したという。
「あれって、自分の思いで指先が微妙に揺れて、振り子に伝わるらしいんだよね。だから、誰でもある程度答えを知ってれば、当てる事ができる。でも、ある時から自分が答えを知らない物や事柄でも、当てれるようになった」
そんなジョウジに霊感は無い(ただ、勘は鋭い)。オカルトの知識も霊体験も無い、ごく普通の男性だ。
そして彼はその能力を、私を含めごく一部の友人にしか明かしていない。
ジョウジが得意としているのは、失せ物の捜索だ。地図を使う事もあるが、大体は脳内で質問して、振り子の動きで場所を当てる。
「でも『占い』って言うかな? 『運勢』とかは見れねえよ」
「…うーん。でも相談、のってくれないかな?」
その時、友人が相談したのは、職場のある男性の事だ。
シフトが違うのにやたら顔を合わせる事があったり、同期の男性と仲良く話した日、従業員駐車場に停めていた愛車のワイパーゴムが何故か切れていた事があったという。
「断面見ると劣化では切れてないの。その下のワイパーブレードにも、硬い物で付いた様な傷がフロントガラス側にあったし。あいつかな?」
「うん、そいつだね」
ジョウジはペンデュラムを見つつ、更に続けた。
「理由は…恋。まあ、嫉妬かな。…次は失敗するから、もう終わるよ」
後日。その男性が友人の私物に手をかける場面を上司が目撃し、厳重注意を受けた。男性の執着も終わったという。
ジョウジはこんな話もした。
「前にさ、仲の良い先輩が会社の大事な金庫の鍵を無くして、大騒ぎになったんだ。社長が出張中で、戻るまでに見つけないといけない!
全員で探したけど見つからなくて、『マジどうしよう、責任問題だ』って先輩が半泣きになっちゃって。こっそり男子トイレの個室入って、ダウジングした」
鍵は会社の正面入口にある、と言う結果が出た。でも問題があった。ジョウジが見つけてもいいが、何度も皆が探した箇所だ。
下手を打てば『実はジョウジが持ち出していて、騒ぎになったから自作自演で発見者のフリしてる?』と疑われかねない。
「取りあえず『もう1度念入りに探しましょう!会社の玄関から!』って提案した。みんな『何度も探したよ』ってブーブー文句言ってたけど、先輩が『そう言えば失くした日、雨降りで傘立てがいっぱいだったから、そこちゃんと見てないかも』って言い出して、見に行ったらビンゴ。傘立てと壁の隙間に落ちてた。
社長にバレずに間に合ったし、先輩に焼肉奢って貰った」
ほぼ百発百中の彼ゆえに、そんな悩みもあるという。
履歴書には絶対書けない、ある意味実用的な特技。そんな『超絶技術』を持つ、友人の話。
元々は水脈や鉱脈の探索手段に使われたものだが、使用者の潜在能力を引き出して行う占いの一種としても扱われている。
水脈などの探索の際に使われるのは針金で出来た『L字ロッド』という器具だが、占いの際は糸や鎖の先に重しを括り付けた『ペンデュラム(振り子)』を使用する。
子供の頃に糸の先につけた5円玉が、イエスなら時計周りに動き、ノーなら反時計回り(もしくは動かない)という、1人占いをした事はないだろうか?それの本家がそれだ。
友人:ジョウジは、ダウジング占いが得意だ。きっかけは小学生の頃。少年漫画でダウジングの事を知り興味を持ち、試行錯誤を重ね自己流で訓練したという。
「あれって、自分の思いで指先が微妙に揺れて、振り子に伝わるらしいんだよね。だから、誰でもある程度答えを知ってれば、当てる事ができる。でも、ある時から自分が答えを知らない物や事柄でも、当てれるようになった」
そんなジョウジに霊感は無い(ただ、勘は鋭い)。オカルトの知識も霊体験も無い、ごく普通の男性だ。
そして彼はその能力を、私を含めごく一部の友人にしか明かしていない。
ジョウジが得意としているのは、失せ物の捜索だ。地図を使う事もあるが、大体は脳内で質問して、振り子の動きで場所を当てる。
「でも『占い』って言うかな? 『運勢』とかは見れねえよ」
「…うーん。でも相談、のってくれないかな?」
その時、友人が相談したのは、職場のある男性の事だ。
シフトが違うのにやたら顔を合わせる事があったり、同期の男性と仲良く話した日、従業員駐車場に停めていた愛車のワイパーゴムが何故か切れていた事があったという。
「断面見ると劣化では切れてないの。その下のワイパーブレードにも、硬い物で付いた様な傷がフロントガラス側にあったし。あいつかな?」
「うん、そいつだね」
ジョウジはペンデュラムを見つつ、更に続けた。
「理由は…恋。まあ、嫉妬かな。…次は失敗するから、もう終わるよ」
後日。その男性が友人の私物に手をかける場面を上司が目撃し、厳重注意を受けた。男性の執着も終わったという。
ジョウジはこんな話もした。
「前にさ、仲の良い先輩が会社の大事な金庫の鍵を無くして、大騒ぎになったんだ。社長が出張中で、戻るまでに見つけないといけない!
全員で探したけど見つからなくて、『マジどうしよう、責任問題だ』って先輩が半泣きになっちゃって。こっそり男子トイレの個室入って、ダウジングした」
鍵は会社の正面入口にある、と言う結果が出た。でも問題があった。ジョウジが見つけてもいいが、何度も皆が探した箇所だ。
下手を打てば『実はジョウジが持ち出していて、騒ぎになったから自作自演で発見者のフリしてる?』と疑われかねない。
「取りあえず『もう1度念入りに探しましょう!会社の玄関から!』って提案した。みんな『何度も探したよ』ってブーブー文句言ってたけど、先輩が『そう言えば失くした日、雨降りで傘立てがいっぱいだったから、そこちゃんと見てないかも』って言い出して、見に行ったらビンゴ。傘立てと壁の隙間に落ちてた。
社長にバレずに間に合ったし、先輩に焼肉奢って貰った」
ほぼ百発百中の彼ゆえに、そんな悩みもあるという。
履歴書には絶対書けない、ある意味実用的な特技。そんな『超絶技術』を持つ、友人の話。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
漆黒の夜は極彩色の夢を 〜夢日記ショート·ショート~
羽瀬川璃紗
ライト文芸
作者が見た夢をショートショートで。
主人公:沢木都子【サワキミヤコ(結婚後は神地/カミチ)】は作者の分身。
注意事項のある話は各タイトル欄に記載。
夢なので、年代や状況と文章量が毎回変わります。
1話完結、どの話から読んでも大丈夫です。
ハッピー、バッド、もやもやエンド。
25年1月限定で毎週金曜22時更新。
鳴瀬ゆず子の社外秘備忘録 〜掃除のおばさんは見た~
羽瀬川璃紗
経済・企業
清掃員:鳴瀬ゆず子(68)が目の当たりにした、色んな職場の裏事情や騒動の記録。
※この物語はフィクションです。登場する団体・人物は架空のものであり、実在のものとは何の関係もありません。
※ストーリー展開上、個人情報や機密の漏洩など就業規則違反の描写がありますが、正当化や教唆の意図はありません。
注意事項はタイトル欄併記。続き物もありますが、基本的に1話完結、どの話からお読み頂いても大丈夫です。
25年1月限定で毎週金曜22時更新。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【完結済】昼と夜〜闇に生きる住人〜
野花マリオ
ホラー
この世の中の人間は昼と夜に分けられる。
昼は我々のことである。
では、夜とは闇に生きる住人達のことであり、彼らは闇社会に生きるモノではなく、異界に棲むモノとして生きる住人達のことだ。
彼らは善悪関係なく夜の時間帯を基本として活動するので、とある街には24時間眠らない街であり、それを可能としてるのは我々昼の住人と闇に溶けこむ夜の住人と分けられて活動するからだ。そりゃあ彼らにも同じムジナ生きる住人だから、生きるためヒト社会に溶け込むのだから……。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小さくて不可思議な体験
南悠
ホラー
筆者や友人が出会った小さな不可思議な体験集
本当に体験した小さな不可思議な話です。
全て一話完結ですので 何処から読んで頂いても大丈夫です。
初めての投稿になりますので、文章が拙いですが お許し下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる