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異世界ハッカー
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これまた予想通りだ。
助手がいりゃ、CPUにほうじ茶オレをぶっかけるなんて大ポカも未然に防げていただろうな。
しかしミシルに弟子入りするような奴だ。
マトモな感性を持っているのか極めて疑わしいね。
「なんなら千草さんがどうです? 丁度新しいモルモッ……実験台が欲しかったところですとも!」
「言い直した意味ねーだろコラ。誰がやるかってんだそんなリスク特盛りの仕事」
「時給一万マニーでどうでしょう?」
……
「……やるわけねーだろ」
いかんいかん。
少しばかり魅力的な提案だったが、そこで悪魔に魂を売り渡すほど俺も愚物じゃ無いぜ。
エテルノとシャイタはラボにある物すべてが新鮮だったようで、目を輝かせながら探索を開始している。
「さーて、そろそろ話してもらうぜ」
「何をですか?」
「おまえが何者かってことだよ。ここにある物の殆ど、この世界のものじゃないよな?」
ところで、雰囲気は中世のこの世界だが、技術自体はそこまで俺達の世界と大差ない。
電灯もあるしインフラも整っている。
水洗トイレも普通にあると知ったときは、膝から崩れ落ちそうになったもんだ。
穴掘って地面にするってのはカンベンだったからな。
それらはほとんど魔法の恩恵なんだそうだ。
このまま発達していったら、ヘタすりゃ俺達の世界よりも優れた文明を築き上げるんじゃなかろうか。
おっと話が逸れた、閑話休題。
「再現可能な奴もあるにはあるけどな、コンピューターなんてこの世界にはまだ無いし、デスクトップパソコンなんて論外だろ」
パソコンOSはご丁寧にもWindowsときたもんだ。
「おまけにこの世界じゃ銃は魔法の劣化版扱いで発展してないって聞いたけど、あれブリーチャーだよな?」
興味深そうにエテルノが銃口をのぞき込んでいるブツを指差した。
レミントンM870ブリーチャー
俺達の世界にあるソードオフショットガンの代表格だ。
甚太の奴に暑苦しく解説されたもんだから、無駄に知識は付いてる。
「分かりませんよ? レミントン・アームズ社がこっちに進出しているだけかもしれませんとも!」
「グローバルすぎるわ! 国境どころか世界線まで越えちゃってんじゃねえかよ!」
「浪漫があっていいじゃないですか!」
「確かにそうだけど、それじゃあ俺達が戦った一年はなんだったんだよってことになんないか!?」
「人生はそんなもんですとも……」
何スカしてやがる。
いい加減こっちの質問に答えやがれってんだ。
「エテルノやシャイタにはもう話しましたが、ミシルの祖父は転生者でしてね。ミシルはその孫ってことになりますとも。異系三世ってヤツですね」
てっきり転生者そのものだと思ったら、まさかのお孫さんだった。
まあ転生者だって結婚するだろうし、そういうのもあり得ない話じゃないか。
「これらのオリジナルはこの世界のものではありません。異世界に存在するデータベース……インターネットを介して入手した設計図を元に祖父やミシルが作った物ですとも」
「……そりゃまた、随分とぶっとんだものが出てきたな」
驚きを通り越して呆れるぜ。
だってそうだろ?
設計図を手に入れたからって、それを完全再現できることなんて凡人が成せる技じゃあない。
俺?
入学早々文系に生きようと決意した俺ができると思うか?
「完全再現って言うと語弊がありますけどね。足りないところもちょいちょいありますし。まあそれは魔法でカバーできるから問題ナシなんですけどね!」
そこら辺はさすがファンタジーだな。
「基本的にあっちの世界は電気魔法がメジャーになってるみたいですね。他の属性の魔法の方が良いところでも電気魔法を使うから結構コスパが悪いこともあるんですとも」
「ほーん……つまり俺達の世界にも魔法はあるってことか?」
「科学と呼ぶか魔法と呼ぶかの違いですね。本質的には違いはありませんとも!」
「魔法など非科学的だってーのは馬鹿丸出しのセリフって訳か」
「ははっ違いありませんとも!」
もっとも俺は、科学も魔法もトンチンカンなんだけどな。
どっちが馬鹿なのかと問われればトントンってとこか?
「しかしネットね……よく繋がったもんだな」
アレか、転生者にありそうな異世界チートってやつか。
「いえいえ。お祖父ちゃんがこの世界に来た時の荷物にノートパソコンがありましてね。それと魔法を組み合わせて何年もかけて繋いだんですとも……最初に繋がったのは七年前でしたね。いやあ、あの時の興奮は今でも覚えていますとも! 興奮のあまり鼻血出してぶっ倒れたましたとも!」
祖父との思い出を回想するミシル。
七年でここまでのラボを作ることってできるモンなのかね?
「このラボは仮の住まいですから、一年くらいで作りましたとも!」
もー何も驚かんぞ俺は。
天才だからこそ成せる技ってヤツか。
……ところで、俺はさっきっから気になってしゃーないことが二つある。
まず一つ目、
「……ミシル。おまえっていくつなんだ?」
「二十六ですけど?」
やっぱ外見ってアテになんねえ。
ロリババアと言うにはいやに現実的な年齢だぜ。
「確かに、三桁はいってないとロリババアと言う表現はしっくりこないですよねー。ロリババア枠はどちらかと言うとエテルノじゃないですか?」
「年齢的にはそうかもしんねーが、あいつは外見よりも幼く見えるんだよな」
先程からルンバっぽいロボに追いかけ回され涙目になっているエテルノからは、老成したような雰囲気
はまるで感じられない。
それはさておき、まだミシルに聞いておくべきことがあった。
ていうか、こっちの方がメインだ。
これからの俺の身の振り方を大きく左右するレベルのな。
「ネットが繋がってるってことは、ツイッターにもアクセスできんのか?」
「もちろんですよ。ミシルも使ってますから。これがミシルのアカウントで――」
言い終わる前に、俺はキーボードに指を走らせていた。
キーが沈む懐かしい感触を味わう暇も無く、メアドとパスワードを入力して、
「……は?」
ログインに失敗した。
メアドは合っている。
パスワードも間違っていない。
何度も打ち込んでみても、結果は同じ。
試しに信乃や誠のアカウント名を打ち込んでも見つからなかった。
ここがら導き出されることはただ一つ。
「このネットが存在する世界と、俺がいた世界は違うってことか……」
「ええ。ですが、限りなく近い世界です。違いと言えば、千ヶ崎千草、四宮信乃、氷室誠、鹿山甚太……彼らが元から存在しないってことですとも」
なんつーピンポイントな。
「ともあれ、これで希望も潰えた訳か……別の異世界のネットにアクセスはできないのか?」
「異世界はそれこそ星の数程存在しますからねー。一発で引き当てるなんて幸運、宝くじの一等を十回連続当ててもまだ足りませんとも。一つの世界にアクセスするだけでも途方の無い時間と労力がかかりますしね」
聞くだけでも気の遠くなる話だ。
うまくいったとしても、その時俺はヨボヨボのじじぃになっていることは想像に難くない。
いや、逆行時計があるからそうはならねーのか?
「ま、ネットでアプローチっつーのは無理だってことは分かったぜ。そろそろあのバカを救出しに行くか」
「ち~ぐ~さ~。助けてたも~」
哀れ、ラボの隅に追い詰められたエテルノは、げしげしとルンバの連続タックルを食らっていた。
助手がいりゃ、CPUにほうじ茶オレをぶっかけるなんて大ポカも未然に防げていただろうな。
しかしミシルに弟子入りするような奴だ。
マトモな感性を持っているのか極めて疑わしいね。
「なんなら千草さんがどうです? 丁度新しいモルモッ……実験台が欲しかったところですとも!」
「言い直した意味ねーだろコラ。誰がやるかってんだそんなリスク特盛りの仕事」
「時給一万マニーでどうでしょう?」
……
「……やるわけねーだろ」
いかんいかん。
少しばかり魅力的な提案だったが、そこで悪魔に魂を売り渡すほど俺も愚物じゃ無いぜ。
エテルノとシャイタはラボにある物すべてが新鮮だったようで、目を輝かせながら探索を開始している。
「さーて、そろそろ話してもらうぜ」
「何をですか?」
「おまえが何者かってことだよ。ここにある物の殆ど、この世界のものじゃないよな?」
ところで、雰囲気は中世のこの世界だが、技術自体はそこまで俺達の世界と大差ない。
電灯もあるしインフラも整っている。
水洗トイレも普通にあると知ったときは、膝から崩れ落ちそうになったもんだ。
穴掘って地面にするってのはカンベンだったからな。
それらはほとんど魔法の恩恵なんだそうだ。
このまま発達していったら、ヘタすりゃ俺達の世界よりも優れた文明を築き上げるんじゃなかろうか。
おっと話が逸れた、閑話休題。
「再現可能な奴もあるにはあるけどな、コンピューターなんてこの世界にはまだ無いし、デスクトップパソコンなんて論外だろ」
パソコンOSはご丁寧にもWindowsときたもんだ。
「おまけにこの世界じゃ銃は魔法の劣化版扱いで発展してないって聞いたけど、あれブリーチャーだよな?」
興味深そうにエテルノが銃口をのぞき込んでいるブツを指差した。
レミントンM870ブリーチャー
俺達の世界にあるソードオフショットガンの代表格だ。
甚太の奴に暑苦しく解説されたもんだから、無駄に知識は付いてる。
「分かりませんよ? レミントン・アームズ社がこっちに進出しているだけかもしれませんとも!」
「グローバルすぎるわ! 国境どころか世界線まで越えちゃってんじゃねえかよ!」
「浪漫があっていいじゃないですか!」
「確かにそうだけど、それじゃあ俺達が戦った一年はなんだったんだよってことになんないか!?」
「人生はそんなもんですとも……」
何スカしてやがる。
いい加減こっちの質問に答えやがれってんだ。
「エテルノやシャイタにはもう話しましたが、ミシルの祖父は転生者でしてね。ミシルはその孫ってことになりますとも。異系三世ってヤツですね」
てっきり転生者そのものだと思ったら、まさかのお孫さんだった。
まあ転生者だって結婚するだろうし、そういうのもあり得ない話じゃないか。
「これらのオリジナルはこの世界のものではありません。異世界に存在するデータベース……インターネットを介して入手した設計図を元に祖父やミシルが作った物ですとも」
「……そりゃまた、随分とぶっとんだものが出てきたな」
驚きを通り越して呆れるぜ。
だってそうだろ?
設計図を手に入れたからって、それを完全再現できることなんて凡人が成せる技じゃあない。
俺?
入学早々文系に生きようと決意した俺ができると思うか?
「完全再現って言うと語弊がありますけどね。足りないところもちょいちょいありますし。まあそれは魔法でカバーできるから問題ナシなんですけどね!」
そこら辺はさすがファンタジーだな。
「基本的にあっちの世界は電気魔法がメジャーになってるみたいですね。他の属性の魔法の方が良いところでも電気魔法を使うから結構コスパが悪いこともあるんですとも」
「ほーん……つまり俺達の世界にも魔法はあるってことか?」
「科学と呼ぶか魔法と呼ぶかの違いですね。本質的には違いはありませんとも!」
「魔法など非科学的だってーのは馬鹿丸出しのセリフって訳か」
「ははっ違いありませんとも!」
もっとも俺は、科学も魔法もトンチンカンなんだけどな。
どっちが馬鹿なのかと問われればトントンってとこか?
「しかしネットね……よく繋がったもんだな」
アレか、転生者にありそうな異世界チートってやつか。
「いえいえ。お祖父ちゃんがこの世界に来た時の荷物にノートパソコンがありましてね。それと魔法を組み合わせて何年もかけて繋いだんですとも……最初に繋がったのは七年前でしたね。いやあ、あの時の興奮は今でも覚えていますとも! 興奮のあまり鼻血出してぶっ倒れたましたとも!」
祖父との思い出を回想するミシル。
七年でここまでのラボを作ることってできるモンなのかね?
「このラボは仮の住まいですから、一年くらいで作りましたとも!」
もー何も驚かんぞ俺は。
天才だからこそ成せる技ってヤツか。
……ところで、俺はさっきっから気になってしゃーないことが二つある。
まず一つ目、
「……ミシル。おまえっていくつなんだ?」
「二十六ですけど?」
やっぱ外見ってアテになんねえ。
ロリババアと言うにはいやに現実的な年齢だぜ。
「確かに、三桁はいってないとロリババアと言う表現はしっくりこないですよねー。ロリババア枠はどちらかと言うとエテルノじゃないですか?」
「年齢的にはそうかもしんねーが、あいつは外見よりも幼く見えるんだよな」
先程からルンバっぽいロボに追いかけ回され涙目になっているエテルノからは、老成したような雰囲気
はまるで感じられない。
それはさておき、まだミシルに聞いておくべきことがあった。
ていうか、こっちの方がメインだ。
これからの俺の身の振り方を大きく左右するレベルのな。
「ネットが繋がってるってことは、ツイッターにもアクセスできんのか?」
「もちろんですよ。ミシルも使ってますから。これがミシルのアカウントで――」
言い終わる前に、俺はキーボードに指を走らせていた。
キーが沈む懐かしい感触を味わう暇も無く、メアドとパスワードを入力して、
「……は?」
ログインに失敗した。
メアドは合っている。
パスワードも間違っていない。
何度も打ち込んでみても、結果は同じ。
試しに信乃や誠のアカウント名を打ち込んでも見つからなかった。
ここがら導き出されることはただ一つ。
「このネットが存在する世界と、俺がいた世界は違うってことか……」
「ええ。ですが、限りなく近い世界です。違いと言えば、千ヶ崎千草、四宮信乃、氷室誠、鹿山甚太……彼らが元から存在しないってことですとも」
なんつーピンポイントな。
「ともあれ、これで希望も潰えた訳か……別の異世界のネットにアクセスはできないのか?」
「異世界はそれこそ星の数程存在しますからねー。一発で引き当てるなんて幸運、宝くじの一等を十回連続当ててもまだ足りませんとも。一つの世界にアクセスするだけでも途方の無い時間と労力がかかりますしね」
聞くだけでも気の遠くなる話だ。
うまくいったとしても、その時俺はヨボヨボのじじぃになっていることは想像に難くない。
いや、逆行時計があるからそうはならねーのか?
「ま、ネットでアプローチっつーのは無理だってことは分かったぜ。そろそろあのバカを救出しに行くか」
「ち~ぐ~さ~。助けてたも~」
哀れ、ラボの隅に追い詰められたエテルノは、げしげしとルンバの連続タックルを食らっていた。
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