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悪魔
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怪我が完治して、久々に城内を歩いていると、自分に向けられている視線の質が、以前とは明らかに異なっている事に気付いた。
かつては羨望、畏怖、あるいは嫉妬。
今は恐怖、侮蔑、そして憤怒。
どうやら、あの一件は既に王城内に知れ渡っているらしい。
然もありなん。
それが当然の反応だ。
むしろ手放しに褒めちぎる輩がいたら、そっちの方がイカレてるというものだ。
――あれは、勇者の戦い方では無い
――葬送勇者は騎士道というものを知らないのか
――失敗だ
――あんな者を、呼び出すべきではなかった
声が聞こえる。
とんだお笑いぐさだ。
失敗と言うのなら、最初から呼び出さなければよかったのだ。
こっちだって、好きでこの世界に来たわけじゃ無い。
声こそ聞こえてくるが、直接突っかかってくる者はいない。
仮にそうだったとしても、今の俺には誰も敵うまい。
剣技でこそ他の勇者や騎士に劣っているが、俺の身体能力は人間の限界を半分逸脱している。
前からそうだった、と言う訳では無い。
ただあの一件で最後のピースが揃った。
祝福《スキル》『魂喰いH』
殺した人型の生物の魔力どころか、魂まで吸収するこの祝福《スキル》は、雑兵を相手取ることが多い俺と抜群の相性を誇った。
人型の生物のみと言う制約こそあれど、戦場で戦う大半の敵は人間なので、それもあって無いようなもの。
武術で遅れを取ろうとも、敵を殺し続ければその差も容易にねじ伏せられる。
種明かししてしまえば、なんてことは無い。
殺せば殺すほど強くなるスキルと、偉大な騎士とやらの剣技が記録された、不壊の精霊剣。
おまけに現地人より良いステータスを持つ転生者。
こんな最強勇者スターターセットがあって、強くなれない筈が無い。
もしこれでも弱いままだったら、ある意味それも才能の一種と言っていいだろう。
――閑話休題
どんなに罵詈雑言を浴びせ付けられようが、俺はすべて無視を決め込むことにしている――訳が無い。
「……ジメジメうっせえな、オイ」
聞こえるか聞こえないかくらいの陰口が一番むかっ腹がたつ。
しばらくして、声はまったく聞こえなくなった。
死んではいないはずだ。
骨は折れてるだろうが、それくらいどうってことあるまい。
それでも、俺の心は一向に晴れない。
畜生め。
何が悪魔だ、何が失敗だ。
そっちの都合で勝手に祭り上げて、勝手に失望しているだけだろうが。
自業自得もいいところだ。
そんなに失敗失敗言うのならテメェらがやってみろ。
それが出来ないから、俺達を召還するしか無かったんだろうが――
――ぱしゃり
液体を踏んだ感触が、した。
鼻を突くのは、錆びた鉄の臭い。
視線を落とすと、足下に死体が転がっていた。
胸がぽっかり空いている。
即死だ。
確か彼女は、信乃の身の回りの世話を担当していたメイドではなかったか。
理解が追いつかないまま、顔を上げる。
そこかしこに転がっている、肉塊と成り果てた人間達。
灰色の世界の中で、アカだけが鮮明に映り込んでいる――
気が付けば、血みどろになった城内を走り回っていた。
死体、屍体、したい、シタイ――
吐き気がこみ上げてきても、足は止めない。
そのせいで手遅れになる方が、よっぽど恐ろしかった。
「頼む、頼む頼む頼む……!」
そこの角を曲がれば、仲間達の部屋がある。
間に合ってくれ、お願いだから――!
角を曲がった瞬間、足を取られ転倒する。
それでも勢いは止まらず、体が壁に叩きつけられた。
「が、はっ――」
何だ、さっきのは。
さっき自分は何に滑った?
それは嫌と言うほど見てきたもの。
そして絶対に、こには存在してはいけないもの――
見たくない。
引き返せ。
そうすれば、何も知らずに済む。
打ち鳴らされる警鐘。
だが俺の瞳は、目の前に広がる惨状を鮮明に捉えていた。
「あ――」
今度は、血だけでなく人間までも鮮明に見えた。
知らない奴などいない。
1年D組は、壊滅していた。
「あ、ああああああああ――!」
なんでだ。
なんで、こうなる。
こんなの認めない、何かの間違いだとクラスメイト達の名を叫ぶ。
反応は皆無。
その声によって、赤い水面が震えただけだ。
「し、の」
そうだ、信乃は?
折り重なった屍をひっくり返しながら、彼女を探す。
いない、いない、いない――!
見つからないことを嘆くべきか、まだ希望があることを喜ぶべきか。
混濁した感情に揺さぶられていると、視界の隅にぼんやりと立っている幼馴染みの姿を捉えた。
「信乃!」
再び血に脚を捉えられそうになりながらも、信乃の元へ向かう。
最悪の中での唯一の最善、と言うべきか。
ここで何があったのか、なんて二の次だ。
今はただ、刹那の間でも安寧にしがみついていたかった。
そうしたら、背後に広がる地獄も幻のように消えるかも知れない。
そんな根拠無いことを考えながら、少女の体を抱きしめる――
そして
咲いた
紅い屍が
もう一輪
「えぁ――?」
全身を赤く湿らせた口から、奇妙な音がこぼれ落ちる。
体を這いずる傷の全てが、致命傷。
手足は千切れかけ、だらりとさながらマリオネットのように垂れ下がっている。
首はくっついているが、喉元が致命的なまでに抉れていた。
何度も揺さぶった。
何度もその名を呼んだ。
それでも返事は無く、真っ赤な血をたれ流しているだけ。
ああ、どうやら……一番守りたかった人間も、死んでしまったようだ。
「あぁあぁぁぁあああああああああああああああああああああ!」
絶叫しながら、俺の意識は現世へ引っ張り出された。
「――あ?」
仲間達の死体は霞の如く消えていた。
「夢だった、か――クソッなんつー悪趣味な夢だ」
過去の記憶を引っ張り出してみても、あんな場面は一度も無かった。
そもそも、D組の中で死んだのは俺だけ。
まったくあべこべだ。
たまにあの時の夢を見ることがあるが、今回は内容こそ荒唐無稽だったが妙なリアリティがあった。
服がじっとり濡れているのは、悪夢に苛まれたことによって流れ出た冷や汗だろう。
でも待て。
未だに何かを抱きしめているような感覚があるが、これは何によって発生しているのか?
「……おい、さっさと離さぬか愚物め」
つまりはこーゆーことだった。
「あー悪い。気付かなかった」
「とか言いながら離そうとしないのはそなたが末期的な変態っちゅーことで良いんじゃな?」
「俺は極めて健全な変態だ」
「秒で矛盾しとるじゃろ。ちゅーかいい加減離せぇ!」
服に染みこんでいた汗が全て凍り、完全に動きを封じられた。
体を直接凍らされたワケでは無いが、氷の服を着せられているようなものなのでキツい事に変わり無い。
「コレ凍らせちまったらおまえ出られなくね?」
「あ」
「別に俺に抱きしめられたいってのなら構わねーけど」
「ちょっとトイレ言ってくるのじゃ」
「そこまで拒絶するのか!?」
「そなたのツラが平凡じゃったら、とっくに警察に突き出しとるところじゃぞ」
「へいへい、イケメンで良かったよ」
「じゃが、顔というのは遺伝と心象が現れるものじゃ」
「あん?」
「つまりそなたの親は、そなたの産業廃棄物に負けぬくらい顔が整っていたっちゅーことじゃな」
「人の心をゴミ扱いかよ!?」
「たわけい。ゴミ扱いではなくゴミそのものじゃ!」
「何も変わってねえよ! 寧ろ悪化してんじゃねーか!」
「収まるべき所に収まったと言うべきじゃな」
「もしやゴミ箱じゃねえだろうな!?」
「プレス機じゃ」
「もっと先に行ってる!?」
行っているっつーか逝ってしまう。
喜ぶべきか嘆くべきか、俺の場合はその限りでは無いのだが。
「……ふう、やっと落ち着いたのじゃ?」
「あ? な、なんだよ急にトーン変えやがって。」
唐突に瞳を覗き込まれ、やや居心地が悪い。
「先程までのそなたの顔は、お世辞にも見れたものでは無かったからのう」
「さっきまでって……あぁ」
なるほど。
あんな夢を見たのだ。
顔に一つや二つ、歪んでいたっておかしくない。
「ちなみに、どんな顔してたんだ? 俺」
「悲しみと怒りと恐怖がぐっちゃぐちゃになっておった」
試しに思い浮かべてみた。
「……そりゃあ、確かにひでぇツラだったんだろうな」
「おまけに、寝言がうるさいと文句垂れた瞬間抱きついてきたからのう」
それは夢の中で信乃に抱きついた時だろう。
「何か言うことあるじゃろう?」
「おまえ、やっぱりスタイルいいんだな」
「ぶっ殺すぞ愚物が!」
思いっきり距離を取られた。
そして広げられた扇子にはばっちし『性獣』と書かれている。
やれやれ、理不尽なお嬢さんだぜ。
「フツー謝罪じゃろ! 土下座じゃろ! 触って確認とかどんな神経しとるんじゃあ!」
ぶっちゃけ、あれは一種の不可抗力だったろう。
もっとも、これ以上何を言ってもどうしようも無い気がする。
相変わらず沸点が分かんねーなとか思いつつ、テキトーに謝罪をしたら。
「では本を三冊献上せい」
と言われた。
「わーったよ……不本意ながら色々堪能してもらったしな」
「そなたは一辺、地獄に落ちた方がいいと思うのは妾だけかのう?」
――いや、俺もそう思うぜ。
わりかし本気で、そう思った。
かつては羨望、畏怖、あるいは嫉妬。
今は恐怖、侮蔑、そして憤怒。
どうやら、あの一件は既に王城内に知れ渡っているらしい。
然もありなん。
それが当然の反応だ。
むしろ手放しに褒めちぎる輩がいたら、そっちの方がイカレてるというものだ。
――あれは、勇者の戦い方では無い
――葬送勇者は騎士道というものを知らないのか
――失敗だ
――あんな者を、呼び出すべきではなかった
声が聞こえる。
とんだお笑いぐさだ。
失敗と言うのなら、最初から呼び出さなければよかったのだ。
こっちだって、好きでこの世界に来たわけじゃ無い。
声こそ聞こえてくるが、直接突っかかってくる者はいない。
仮にそうだったとしても、今の俺には誰も敵うまい。
剣技でこそ他の勇者や騎士に劣っているが、俺の身体能力は人間の限界を半分逸脱している。
前からそうだった、と言う訳では無い。
ただあの一件で最後のピースが揃った。
祝福《スキル》『魂喰いH』
殺した人型の生物の魔力どころか、魂まで吸収するこの祝福《スキル》は、雑兵を相手取ることが多い俺と抜群の相性を誇った。
人型の生物のみと言う制約こそあれど、戦場で戦う大半の敵は人間なので、それもあって無いようなもの。
武術で遅れを取ろうとも、敵を殺し続ければその差も容易にねじ伏せられる。
種明かししてしまえば、なんてことは無い。
殺せば殺すほど強くなるスキルと、偉大な騎士とやらの剣技が記録された、不壊の精霊剣。
おまけに現地人より良いステータスを持つ転生者。
こんな最強勇者スターターセットがあって、強くなれない筈が無い。
もしこれでも弱いままだったら、ある意味それも才能の一種と言っていいだろう。
――閑話休題
どんなに罵詈雑言を浴びせ付けられようが、俺はすべて無視を決め込むことにしている――訳が無い。
「……ジメジメうっせえな、オイ」
聞こえるか聞こえないかくらいの陰口が一番むかっ腹がたつ。
しばらくして、声はまったく聞こえなくなった。
死んではいないはずだ。
骨は折れてるだろうが、それくらいどうってことあるまい。
それでも、俺の心は一向に晴れない。
畜生め。
何が悪魔だ、何が失敗だ。
そっちの都合で勝手に祭り上げて、勝手に失望しているだけだろうが。
自業自得もいいところだ。
そんなに失敗失敗言うのならテメェらがやってみろ。
それが出来ないから、俺達を召還するしか無かったんだろうが――
――ぱしゃり
液体を踏んだ感触が、した。
鼻を突くのは、錆びた鉄の臭い。
視線を落とすと、足下に死体が転がっていた。
胸がぽっかり空いている。
即死だ。
確か彼女は、信乃の身の回りの世話を担当していたメイドではなかったか。
理解が追いつかないまま、顔を上げる。
そこかしこに転がっている、肉塊と成り果てた人間達。
灰色の世界の中で、アカだけが鮮明に映り込んでいる――
気が付けば、血みどろになった城内を走り回っていた。
死体、屍体、したい、シタイ――
吐き気がこみ上げてきても、足は止めない。
そのせいで手遅れになる方が、よっぽど恐ろしかった。
「頼む、頼む頼む頼む……!」
そこの角を曲がれば、仲間達の部屋がある。
間に合ってくれ、お願いだから――!
角を曲がった瞬間、足を取られ転倒する。
それでも勢いは止まらず、体が壁に叩きつけられた。
「が、はっ――」
何だ、さっきのは。
さっき自分は何に滑った?
それは嫌と言うほど見てきたもの。
そして絶対に、こには存在してはいけないもの――
見たくない。
引き返せ。
そうすれば、何も知らずに済む。
打ち鳴らされる警鐘。
だが俺の瞳は、目の前に広がる惨状を鮮明に捉えていた。
「あ――」
今度は、血だけでなく人間までも鮮明に見えた。
知らない奴などいない。
1年D組は、壊滅していた。
「あ、ああああああああ――!」
なんでだ。
なんで、こうなる。
こんなの認めない、何かの間違いだとクラスメイト達の名を叫ぶ。
反応は皆無。
その声によって、赤い水面が震えただけだ。
「し、の」
そうだ、信乃は?
折り重なった屍をひっくり返しながら、彼女を探す。
いない、いない、いない――!
見つからないことを嘆くべきか、まだ希望があることを喜ぶべきか。
混濁した感情に揺さぶられていると、視界の隅にぼんやりと立っている幼馴染みの姿を捉えた。
「信乃!」
再び血に脚を捉えられそうになりながらも、信乃の元へ向かう。
最悪の中での唯一の最善、と言うべきか。
ここで何があったのか、なんて二の次だ。
今はただ、刹那の間でも安寧にしがみついていたかった。
そうしたら、背後に広がる地獄も幻のように消えるかも知れない。
そんな根拠無いことを考えながら、少女の体を抱きしめる――
そして
咲いた
紅い屍が
もう一輪
「えぁ――?」
全身を赤く湿らせた口から、奇妙な音がこぼれ落ちる。
体を這いずる傷の全てが、致命傷。
手足は千切れかけ、だらりとさながらマリオネットのように垂れ下がっている。
首はくっついているが、喉元が致命的なまでに抉れていた。
何度も揺さぶった。
何度もその名を呼んだ。
それでも返事は無く、真っ赤な血をたれ流しているだけ。
ああ、どうやら……一番守りたかった人間も、死んでしまったようだ。
「あぁあぁぁぁあああああああああああああああああああああ!」
絶叫しながら、俺の意識は現世へ引っ張り出された。
「――あ?」
仲間達の死体は霞の如く消えていた。
「夢だった、か――クソッなんつー悪趣味な夢だ」
過去の記憶を引っ張り出してみても、あんな場面は一度も無かった。
そもそも、D組の中で死んだのは俺だけ。
まったくあべこべだ。
たまにあの時の夢を見ることがあるが、今回は内容こそ荒唐無稽だったが妙なリアリティがあった。
服がじっとり濡れているのは、悪夢に苛まれたことによって流れ出た冷や汗だろう。
でも待て。
未だに何かを抱きしめているような感覚があるが、これは何によって発生しているのか?
「……おい、さっさと離さぬか愚物め」
つまりはこーゆーことだった。
「あー悪い。気付かなかった」
「とか言いながら離そうとしないのはそなたが末期的な変態っちゅーことで良いんじゃな?」
「俺は極めて健全な変態だ」
「秒で矛盾しとるじゃろ。ちゅーかいい加減離せぇ!」
服に染みこんでいた汗が全て凍り、完全に動きを封じられた。
体を直接凍らされたワケでは無いが、氷の服を着せられているようなものなのでキツい事に変わり無い。
「コレ凍らせちまったらおまえ出られなくね?」
「あ」
「別に俺に抱きしめられたいってのなら構わねーけど」
「ちょっとトイレ言ってくるのじゃ」
「そこまで拒絶するのか!?」
「そなたのツラが平凡じゃったら、とっくに警察に突き出しとるところじゃぞ」
「へいへい、イケメンで良かったよ」
「じゃが、顔というのは遺伝と心象が現れるものじゃ」
「あん?」
「つまりそなたの親は、そなたの産業廃棄物に負けぬくらい顔が整っていたっちゅーことじゃな」
「人の心をゴミ扱いかよ!?」
「たわけい。ゴミ扱いではなくゴミそのものじゃ!」
「何も変わってねえよ! 寧ろ悪化してんじゃねーか!」
「収まるべき所に収まったと言うべきじゃな」
「もしやゴミ箱じゃねえだろうな!?」
「プレス機じゃ」
「もっと先に行ってる!?」
行っているっつーか逝ってしまう。
喜ぶべきか嘆くべきか、俺の場合はその限りでは無いのだが。
「……ふう、やっと落ち着いたのじゃ?」
「あ? な、なんだよ急にトーン変えやがって。」
唐突に瞳を覗き込まれ、やや居心地が悪い。
「先程までのそなたの顔は、お世辞にも見れたものでは無かったからのう」
「さっきまでって……あぁ」
なるほど。
あんな夢を見たのだ。
顔に一つや二つ、歪んでいたっておかしくない。
「ちなみに、どんな顔してたんだ? 俺」
「悲しみと怒りと恐怖がぐっちゃぐちゃになっておった」
試しに思い浮かべてみた。
「……そりゃあ、確かにひでぇツラだったんだろうな」
「おまけに、寝言がうるさいと文句垂れた瞬間抱きついてきたからのう」
それは夢の中で信乃に抱きついた時だろう。
「何か言うことあるじゃろう?」
「おまえ、やっぱりスタイルいいんだな」
「ぶっ殺すぞ愚物が!」
思いっきり距離を取られた。
そして広げられた扇子にはばっちし『性獣』と書かれている。
やれやれ、理不尽なお嬢さんだぜ。
「フツー謝罪じゃろ! 土下座じゃろ! 触って確認とかどんな神経しとるんじゃあ!」
ぶっちゃけ、あれは一種の不可抗力だったろう。
もっとも、これ以上何を言ってもどうしようも無い気がする。
相変わらず沸点が分かんねーなとか思いつつ、テキトーに謝罪をしたら。
「では本を三冊献上せい」
と言われた。
「わーったよ……不本意ながら色々堪能してもらったしな」
「そなたは一辺、地獄に落ちた方がいいと思うのは妾だけかのう?」
――いや、俺もそう思うぜ。
わりかし本気で、そう思った。
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