α様に囲われて独立が出来ません！

45、何もしたくない

　嫌でもやってくる朝。
　外から入る眩しい光とは正反対に僕の心はどん底だ。
　逃げ出したい。
　だけど彼女の、成の話が脳裏に引っかかりなかなか踏み出せない。
　すでに彼女と同じようなことをしているのだ。
　いつどうなってもおかしくはない。
　もし、また逃げ出して捕まったら…
　考えただけで背筋が凍ってしかたない。
李聖「那央～、おはよう」
　ご機嫌な様子で入ってくる李聖の手元にはご飯が乗ったトレーがあった。
「いらない」
李聖「いらないじゃないよ。
　食べないと元気になれないよ」
　元気になんてなりたくない。
李聖「ほら、起きるよ」
　運命の番というものがそうさせるのか、彼らのフェロモンを嗅ぐと彼らの言う通りになり気味だ。
　抵抗はできる。
　でも、その後に待つのは途方もない疲労感だ。
　その疲労感でしばらくは何もできなくなる。たった一つのことに抵抗しただけなのに…
　まるで、まるで…
　これ以上考えたところで虚しいだけ。
　であれば、思考を放棄しよう。
「食べればいいんでしょ、食べれば」
　少しづつだが、口に運んで食す。
　こんな状況で食べるものなど無味も同じ。
　しかし、食べ物に罪はない。
　これはエネルギー補給。
　そう考えて完食した。

◆◆◆◆

　久しぶりの投稿です。
　読んでくださりありがとうございます。