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43、隆登sibe〔1〕

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 ふわりとかおる心地よい香り。
 この香りのままに、本能のままに行動できたらどれぼど楽なのか。
 そんなこと分かってる。
 だけど、那央も抗おうとしているものに簡単に屈したくはない。
 その矜持だけでここまで耐えてこられた。
 那珂都「いいかげんに、堕ちろよ?」
「はっ、誰が!」
 遠矢「那珂都、記憶が戻る前からこいつは反抗的だっただろ」
 徠斗「反抗的なのは、記憶がどうこうだからではなく、元からの性格がそういう本質だったということでしょうね」
 こんなふうに、会話をしやがるこいつらには心底腹が立つ。
 フェロモンを俺に集中的に向けてくる。
 そのせいで、俺の周りはアルファのフェロモンだらけ。
 発情期ヒートが今にも来そうになるのを気持ちで抑える。
 あれは一度きたら、頭も何もかもがまわらなくなっておかしくなる。
 徠斗「ふぅ、にしてもなかなか発情期ヒートに入りませんね。
 …もう少しでしょうか?」
 遠矢「本当か?」
 徠斗「ええ、もうすぐですね」
 俺を発情期ヒートに突入させて、俺を囲うこもうとするこいつらのどこが優しいんだか。
 記憶がなくなったあの頃の俺は間違いなく世間知らずで馬鹿な野郎だ。
 クソッ、胸糞悪い!
那珂都「もう一息だな」
 ブワッと、香りが強くなり俺を包む様にまとわりついてくる。
「やめろっ!
 っ俺は発情期ヒートになんかなりたくねぇ!」
那珂都「発情ヒートに入れば俺が相手して楽にしてやるのによ?」
「そんなもんいらん!!
 どうせ、おかしくなった俺を好きなようにするんだろ?
 変態だな」
 はっ、と煽り笑ってやる。
 これで少しでも取り乱してくれれば万々歳だが…
那珂都「変態だと?失礼な」
遠矢「躾がなっていないな。
 コレを機にきちんと躾なければ」
 発情期ヒートに入った奴を襲うバカを変態と言わなくてなんと言うんだ。
「結局は、俺を襲うんだろうが」
徠斗「間違ってはいませんよ。
 ですが、それは最初だけです。
 その後は貴方が我々に媚を売り、強請ってくるはめになるんですから」
 そんなこと、鼻で笑ってやった。
◆◆◆◆
 隆登視点で描いてみました。
 私的には、気弱なイメージがある那央よりも強気で言葉遣いが荒い隆登の方が書くのは楽なんですよね。
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