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16、幸せ

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蒼也「やっと、発熱が引いたな」
「うん!嬉しい。
 …それよりも早くご飯ちょうだい!」
蒼也「はいはい、ごめんな」
 蒼也に差し出された唐揚げを挟んでいる箸をパクっと口に含む。
李聖「美味しい?
 はい、お水だよ~」
 口づけで水を与えられる。
「ねぇ、僕にご飯与えるのそんなに楽しい?」
 だってね、皆僕にご飯とかお水を与えるのすっごく楽しそうだもん。
千里「もちろん、すごく楽しいよ」
 えー?面倒くさくない?
 僕だったら面倒くさくてすぐ放り投げそう。
千里「そうだった!
 那央、明後日から学校に行くことになるよ」
 学校!
「今まで通ってた所?」
 どこの学校か思い出せないけど、僕の歳だったら学校に通っていたはず。
蒼也「いや、オメガ専用の学校だ。
 今まで通っていた学校とは違う所だ」
 へぇ~、なんか楽しみだなぁ。
「じゃあ、隆登は?
 隆登には会える?」
李聖「もちろんだよ!
 オメガ専用の学校は友達をつくるためのような場所だからね」
 え?学校は勉強する所じゃないの?
熾「違うぞ。
 普通の学校はそうだが、那央が通うのはオメガ専用の学校だ。
 オメガは社会に出て仕事などする必要がないからな」
 なんで僕の考えたこと分かるの?!
 って、僕仕事しないの?
「僕、仕事しないの?」
熾「那央は仕事をする必要などない。
 那央は俺達が養っていくからな」
「え~、でも」
李聖「でもじゃない」
 むぅ…
「僕は、働くの!仕事するの!」
 絶対仕事するの!
蒼也「なんでそんなに働きたいんだ?」
 だって、だって、皆働いているもん。
 目に熱が集まっていく。
千里「泣かないで、ほら」
 千里がハンカチで涙を拭いてくれた。
熾「那央の仕事は遊ぶことだ」
 ふぇ?
熾「那央がいつも楽しく過ごすことだけで俺達は嬉しいからな」
「なんで?」
千里「那央が幸せであれば番の俺達も幸せだから。
 だから、那央はいつも元気で楽しく過ごしていれば良いからね」
 そうな、の?
李聖「アルファは番のオメガのために存在しているものだから」
 番のため?
蒼也「そう、那央のためにいるんだ。
 涙止まったか?」
 あ、いつの間に…
熾「ほら、ベット行くぞ」
 僕は自室に連れて行かれ、今はベットの中にいる。
 僕のベットは天蓋付きなんだぁ。
千里「那央にプレゼントがあるんだ」
 そう言って、どこからかたくさんのクマやうさぎなどの動物の人形を持って来た。
「クマさん!」
 僕はね、小さい頃から可愛い人形が好きなんだ。
千里「クスッ
 そうだね、他にもいろんな人形があるから。
 那央一人にはこの部屋やベットは大きすぎるでしょ?
 それに、那央の部屋なんだから那央の好きな人形や可愛いものを置いて那央の部屋っぽくしなきゃね」
 僕の部屋…
 確かに僕にとってこの部屋は広すぎる。
 それに置いてある家具は水色とかピンクで可愛いけど、置いてあるのは家具だけで僕の好きな可愛いものは置いてない。
「うんっ!千里ありがとう。
 でも、何かお礼したい…」
千里「そう?嬉しいな。
 じゃあ、キスしてくれるかな?」
 キス?
「なんで?」
千里「那央が自分からキスしてくれるのは嬉しいから。
 これからは、俺達へのお礼はキスで返してね?」
「…う、うん」
 なんかハメられた気がする。
 そして、千里のほっぺたに唇が触れるだけのキスをする。
 そうしたら、顔が熱くなっていく。
 多分赤くなっている…
 布団の中に潜り込んで顔を隠す。
千里「フフッ
 ありがとう、那央。
 おやすみ」
 今まで黙っていた皆が愚痴を言い出す。
熾「はぁ?ずるいぞ千里」
李聖「そうだよ!
 那央に自分からキスしてもらうなんて!」
蒼也「抜け駆けは駄目だ」
千里「那央にプレゼントを渡したお礼として俺は頬にキスをしてもらったんだ。
 何もプレゼントしていない君たちに愚痴は言われたくないね」
 布団に潜っているから合ってるか分かんないけど、多分千里は誇っているんだろうな。
 あぁ、幸せだなぁ。
◆◆◆◆
 那央君は今の生活が幸せそうですね。
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