隠れSubは大好きなDomに跪きたい

3

「千鶴おはよ」

「おーおはよ」

「昨日大丈夫だった？何もされてない？」

「うん、見ての通り傷一つ」

「なんの用だったんだあいつ？」

「んー、」

(告白って言わない方がいいのか？でもこの二人言わねーと絶対なんか言うしなー。しゃーなし)

「まあ俗に言うとこの告白？」

「「はぁー？？」」

「え、千鶴、高橋くんに告られたの！」

「まあうん」

「マジかよ。で返事は？」

「それはもちろんお断りしたよ。ついでにSubの子達に迷惑かけるなって言った。」

「え、すんなり納得してもらえたの？」

「うん」

「千鶴ー、ありがとう！」

「どういたしまして」

「まあなんもなかったならいいけどよ。」

なんとなくお友達申請のことは黙っておく。

「にしても千鶴モテモテじゃん。まさかDomにまで告られるとはなー。」

「だよね！今までSubの子には結構告られてたけど、Domの人は初めてでしょ？」

「うん、まあね。」

「すごいなあ。」

「でも千鶴が無事で何よりだな！」

「さんきゅ」

とりあえず2人には安心してもらえたし、Subの子達にも負担が減る訳だし一件落着。


そう思ってた。




「なあ、最近高橋くんひどくなってない？」

「それ思った。いっぱいケガ作ってるし、友達も前よりSubの子に当たり強いって。」

「千鶴には本当に納得してくれたんだよな？」

「のはずなんだけど。」

あの告白を受けて、ちょうど2週間が経った。最初の方は、それなりに落ち着いていたらしいが、最近は目立つケガも作り始めて、ピリピリした雰囲気を出してるらしい。これではおともだちになるのも遠い話だ。

(本当にあいつ何考えてるんだ？もっかいちゃんと言わなきゃわかんねーかな。)

「川崎、愛ちゃん。今日先帰って？ちょっと話してくる。」

「ダメだよ千鶴！何されるかわかんないよ？」

「そうだぞ、今回はやめとけ。」

「でも、これは見過ごせないよ。みんなを守るのがハイランクのDomとしての役目だ。大丈夫、無茶しないって誓うよ。」

「千鶴、、、。」

「、、、はぁー。こうなったら千鶴聞かねえからな。わかった。その代わりぜってー無理すんなよ？」


「うん！まかせろ。」



放課後になり、高橋くんのクラスへ行ってみる。覗くとすぐにその姿を見つけた。

「高橋くん！」

「！榊！」

目が合うとすぐに駆け寄ってくる。

「ちょっといい？」

「おう、あ、場所変えるか？」

「うん。」



「学校で榊から話しかけてくれるの初めてだな。どうかしたのか？」

「あのさ、」

仏頂面だが、なんと言うか嬉しさが隠しきれていない。
言いにくいこと極まりないが、仕方がない。

「こないだ告白してくれた時、俺言ったじゃん？Subに迷惑かけないでって。」

「あ、」

「なんか全然わかってくれてなかったんだな。」

「いや、違うんだ！もうちょっと待ってくれ。ちゃんとするから！」

「ちゃんとするって何？ケガも増やしてさ、喧嘩してるのかわかんないけど、それはみんなに関係ないでしょ？周りのことも考えてすぐに改めるとかないの？」

「それは、わかってるんだ。でももうちょっと待ってくれないか。本当に少しなんだ。来週からはちゃんとできるから！」

高橋くんの先延ばしにするような返事に、イライラが募る。

(聞いてくれないなら仕方がない。最終手段だったけど、ちょっと圧かけるか。)

高橋くんに徐々にglareをかける。

「あっ、」

「高橋くん、今すぐやめて。」

「ひゅっ、はぁ、はぁっ」

「いいね？」

「、、、っわかった、悪かった。悪かったからっ！ごめんなさっ、ごめんなさいっ、ごめっなさっ」

「ちょ、高橋くん！！！」

高橋くんは急に謝罪を繰り返しながら、泣き出した。過呼吸気味で倒れてしまいそうだ。

(これはまるでSub dropじゃねーかっ！Domなんじゃないのか！？)

「高橋くん、ごめんね。Look」

「あ、、。」

「高橋くん、君はSubなの？Say」

「さ、Subだ。あ、見た目があんまり良くないのはわかってて、ごめん。」

「Good 答えてくれてありがとう。高橋くんは可愛いよ。」

「あっ。」

さっきまで青ざめていた顔に血の気が戻ってくる。

「高橋くん、どうしてSubなのに、ほかのSubに影響するのか教えて？」

「あ、俺は、ハイランクのSubで、ハイランクのDomのglareじゃないと欲がうまく満たせなくて。っちゃんと発散しようと思って、playバーにも行ってるんだ。ハイランクのDomじゃなくても、playはしてる。でも俺こんな見た目してて暴力的なのがあんまり得意じゃなくて。頑張ってるんだけど、うまくできなくて。だから不安定から抜け出せなくて、それが周りの奴に伝わっちまって。」

まさか高橋くんがハイランクのSubだなんて。自分の軽率な行動に猛省する。黙り込んでしまった俺を見て、高橋くんは急いで言葉を並べる。

「でも、今週の週末はハイランクのDomとplayするって約束してるんだ。ちゃんと耐える。そしたら、迷惑かけねえから！だからちょっとだけ待ってくれないか。できるだけ教室にはいないようにするからっ！」

「高橋くん、落ち着いて。教えてくれてありがとう。急にglare出してごめんね。」

「ん、大丈夫。」

「それと、もうplayバー行っちゃダメだ。そのケガ、Domからされてるんだろ？」

「でもそしたら、榊と友達なれねえから。」

「その代わり俺がplayする。俺もハイランクだから、欲が満たしきれてないんだ。今日から友達。いい？」

「っ榊はそれでいいのか？もっと可愛いSubの方が好きなんじゃねーのか？」

確かに可愛いSubが好みだ。でも

(高橋くんも十分可愛いよ。)

「高橋くんがいいよ。とにかくわかった？」

「ん、わ、わかった。よろしく、、。」

「うん。」

そして今日から、高橋くんはおともだちを飛び越え、仮パートナーになった。