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この世には、男と女のいう性の他に、DomとSubという性が存在する。全人口の10%しかいない割と貴重な存在だ。その中でも、特にレアなハイランクのDom、それが榊千鶴だ。

「千鶴ー、週末どっか行かねー?」

「ん、ああ川崎、わり、その日空いてないわ。」

「なに、デート??」

「いや、親の手伝い。」

「はあ、さすが将来を任されてるやつはちげえな。」

「まあ、いつかは継ぐし、やっとくに越したことはないでしょ。」

俺の親は、SAKAKIグループの社長とその秘書。それでも大企業のトップかって言うくらい家ではベタベタしているが、ビジネスとなると、トップレベルのやり手だ。そんなふたりの跡取りだから、こっちもおちおち遊んではいられない。

「千鶴って遊びも勉強もなんも手抜いてないのすごいよねえ。これで彼女なしでしょ?惚れちゃう。」

「えー、愛ちゃんなら大歓迎よ?」

「えへぇー、彼氏とこないだ別れたばっかだし、狙っちゃうぞー!」

「えぇ早くね?愛ちゃんかわいいのに。なあ千鶴?」

「うんうんかわいいかわいい」

「ねえ千鶴雑ー」

「愛ちゃんなんで別れちゃったの?」

「んー、、、物足りなくてっ!」

「、、、何がとは聞かねえけど、やっぱ相性ってあるんだな。俺もDom憧れるわあ。可愛いSub彼女ほしー、、。」



Domへの憧れ。その言葉を聞くたびに内心ため息が出る。別にDomでもいいことなんてこれっぽっちもない。親が企業家で、継ぐための努力をしてても、Domの才能、の一言で片付けられる。おまけにハイランクなせいで期待が大きいだけに、プレッシャーもなかなかのもんだ。

「でも千鶴に彼女がいないの不思議じゃない?顔よし、性格よし、頭よしの三拍子なのに。」

「でしょー?俺も可愛い彼女ほしー。」

過去に寄ってきたSubは金を嗅ぎつけてきたり、俺の見た目とかランクにつられてきたりするやつばっかりで、信頼できたことはあまりない。しかもランクが違うとglareの量も制限しないといけないから、playしてもあんまり自分の欲は満たされないので、結局抑制剤を飲むハメになる。

「千鶴ってどんな子がタイプなのー?」

「えー俺はねぇ、俺のことが大好きで、かわいいこがいいなあー」

それでハイランクのSubで、ちゃんと自分持ってて、頼りにもできて、安心できる懐があったら最高なんだけど。

「千鶴ならすぐに見つかりそうだけどな。」

「だったら困ってないんだけどねー。」

「千鶴が好きぴできたら私が相談乗ってあげるから、なんでも言ってね?」

「あいちゃーん、ありがとな」

「いいよぉー、、わ、みて、高橋くん。今日もケガ作ってる。やっぱりほんとに不良とつるんでるのかな。」

「うわ、Subのやつ怖がらせてるあいつ?まじあぶねぇよな、ほんと何考えてんだか。おんなじDomでも千鶴とは大違いだぜ。愛ちゃん気をつけろよ?」

「うん、、」

「高橋くんねえ」

最近よく耳にする高橋くん。高身長で、吊り目気味ではあるが整った顔。Normalでも一目でわかるザDomって感じのやつ。聞いたところによると、Subのやつらによくglareを出して怖がらせてるらしい。

(おんなじクラスなったことねーからわかんないけど、同意なしでglare出すってどんな根性してんだか。)

ダイナミクス持ちは少ないとはいえ人口の10%はいるわけで、この学校のように、管理体制が整っている、ダイナミクス持ちの生徒全面受け入れの高校に集まってくる。

(一応俺もハイランクだし、Subの子達になんか言われたら、黙ってられねーよな、、)

将来のこともあり、できるだけ揉め事を避けてきたし、これからもできれば関わりたくない。しかしDomを制圧できるのは、ランクが高いDomだけだ。これから起こるかもしれない面倒ごとを考えると思わずため息が出た。
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