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創生の杖

7 孫、妹をハメる!

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 予選の余韻で火照った身体の休憩も終え、俺はルカを連れて城の自室へと帰ると、カスミとサーリアが直ぐに現れた。

「やっと帰って来たな!」
「遅いよおにーちゃん。さてはおねーちゃんを放っておいて、ルカちゃんと大人の遊びしてたんでしょ?」

 部屋に飛び込んでくるや、二人は俺の前へと詰め寄って、カスミは俺の横に、サーリアは俺の正面を陣取って有りもしない濡れ衣を被せてくる。

 俺は、爆弾放りやがって!とカスミの方を見ると、カスミは頭に疑問符を浮かべながら首を傾げているだけである。

 これは……

 俺はニヤリと口を歪ませてサーリアを見れば、サーリアは放った爆弾が不発なのに、あれ?とカスミとは別の意味で首を傾げていた。

 チャンスだな。

 俺はニヤリと歪ませた口を意思の力でむりやり元に戻し、真顔を作ってサーリアに問いかけた。

「サーリア、大人の遊びってなんだ?どんな事をするんだ?」
「え……えっと……相撲とか?」

 俺が至って真面目な表情で、本気で聞いている風に問うと、サーリアは視線をせわしなく動かしながら、なんとかといった様子で誤魔化そうとするが──
 そんな穴だらけの解答なぞ、どうぞ突っ込んで下さいと言っているようなものだぞ?

「相撲なら子供の時に散々やったろ?相撲は文化だ!とかお爺ちゃんが言って以来、格闘技の一つとして栄えちゃったばっかりにさ。なぁサーリア?なんだったらお兄ちゃんが相撲とってやろうか?」
「は?!はぁあ?!」

 俺がそう言うと、サーリアは声を大にして後ろへと飛び退いた。
 見れば顔は茹でたタコのように真っ赤になっている。
 どうやら何かいかがわしいモノを想像したらしい。
 俺はピクピクと痙攣する口角を意思の力で必死に抑え、なんとか真顔を維持してこう続けた。
 
「なんだ?そんなに顔を真っ赤にして。お前の頭の中で、俺とお前はどんな相撲をとっているんだ?」
「グレイブ。相撲ってあの相撲か?組んで投げたり張り倒したりするアレだろ?……大人の遊びではないよな?」
「そもそもスモーってなぁに?」

 至って真顔で首を傾げているだけのカスミと、そもそも相撲をしらないルカに、サーリアの顔色は徐々に悪くなっていく。

 それを見た俺は、ナイスフォローだカスミ!と内心で拍手喝采を送ってやる。
 この辺でそろそろ詰めてやろうか。

「そうだな。その辺を詳しくサーリアに説明してもらわないとな。何か新しい遊びを知っているのかもしれないし」
「なッ?!駄兄!?」
「ほら、なんならカスミとセットで一度手本を見せてくれないか?」
「え?!うええ?!」
「そうだな。サーリア。その大人の遊びの相撲とやらを教えてくれないか?」
「え~?私は~?サーリアちゃん教えてよ~」

 俺は意思の力で抑えていた唇を、ついに三日月に割って、悪い笑みを浮かべながら、サーリアにカスミと手本を見せてくれとせがむと、何も知らないカスミも釣られて頭を下げて教えを請い始めてしまった。
 ルカも仲間はずれは嫌だよー?と言って可愛くおねだりを始めた。

 チラリとサーリアに視線を戻せば、目をグルグルと回し、鼻からは血を噴き出し、のぼせ上がった頭をクラクラと振っていた。
 うん。いい具合に壊れてるな。

「あわ……あわわ……あのでしゅね!おねーちゃんとはしたいんだけど!二人だけでしたいっていうか!」
「ん?グレイブやルカが居るとマズいのか?というか鼻血が」
「え~なんで~?」

 ルカがプー!と頬を膨らませている中、カスミがスッとハンカチを取り出してサーリアの鼻血を拭いてやっていると、サーリアの目の中にはハートマークが浮かび上がる。

「あのあの!あああ!」

 無自覚なカスミの追撃がサーリアのハートを撃ち抜いてしまったらしく、グルグルと回していた瞳は、今や暴走した魔獣のようにギラギラと輝き、今にもカスミに飛び掛かりそうな──って飛びやがった!

 ピョーンと飛び上がったサーリアを慌ててキャッチした俺は、テイッ!と頭部に手刀を落として正気に戻す。 

「カスミ、その大人の相撲は今度時間を作ってじっくり聞こうぜ?今は俺の予選突破祝いをしよう!サーリアもそれでいいよな?」

 な?と俺が低い声でサーリアの耳元で言ってやると、それまで真っ赤に茹だった顔をサ──と青くして行き、コクコクと頷いた。

「そそそ!そうだよおねーちゃん!わーい!おにーちゃん!予選突破おめでとう!ぱちぱちぱち~」
「おおー!サーリアありがとう!お兄ちゃんは嬉しいぞ!」

 俺は冷や汗を流しながら手を叩いているサーリアの耳元で「貸し一つな」と言ってやると、笑いを浮かべた顔をピクピクと痙攣させていた。

「それもそうだな!よし!グレイブの予選突破と優勝の前祝いだ!今日は食べるぞー!」
「ぶー!今度はちゃんとスモーっての教えてよ!約束だからね!」

 そうして、終始青ざめていたサーリアと、陽気にはしゃぐ俺達は夜まで騒ぎまくったのだった。





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