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激闘!帝国武術大会

20 孫、サーリアの強さの秘密を知る!

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 明日に準決勝と決勝を控え、俺たち三人は城のサロンでささやかではあるが、ベスト4進出祝いの食事を楽しんでいた。

「にしても、カスミはともかく、ルカまで生き残るとは思わなかったよ」
「えへへ~。盛子さんと一緒に山篭りしたカイがあったよ!」
「これはカスミも大変だな。サーリアに万が一勝っても、決勝にはルカが居るんだもんな」
「万が一って何よ?」
「いやいや、サーリアまた強くなって来てるし、万が一も勝ち目が有るって言ってるだけ身内贔屓だと思うのだが?」

 俺達が、そうやって明日の為に鋭気を養うようにワイワイと騒ぎながら食事をしていると、お爺ちゃんがやって来た。

「ついに明日だな~」
「お爺ちゃん!」
「やっほー!」
「盛子まで!」

 お爺ちゃんと一緒に現れた盛子は、お爺ちゃんに胸を押し付けるように腕を絡ませていた。

「カスミ。食事中悪いが、お前の能力を底上げしようと思ってな……少しいいか?」
「え?!それってどういう……」
「なぁに……サーリアも数年前に済ませた儀式をカスミにもと思ってな」
「まさか?!サーリアって!」
「そうだ。グレイブ。お前と同じ、プレイヤーとしての能力を与えている」

 お爺ちゃんのその言葉に、なんだって?!と俺が驚いているのを見ても、なんの事か分からないカスミはただ首を傾げている。

「プレイヤー?」
「サーリアが強いわけだ……」
「なんの事?一体どういう事なの?」
「サーリアはお爺ちゃんに、自分の中に眠った力を解放されているってことさ」
「ますます意味が分からない……」
「元々サーリアには素養があったからな。メルと相談して、サーリアが物心着いた時から毎日訓練を施していたんだ」

 その話を聞いた俺は、まるでサーリアがお爺ちゃんの後継者のようだと内心嫉妬を覚えるが、そんな俺の心境を読んだかのように、お爺ちゃんは俺の頭を優しく撫で

「お前は強くなる。今はまだ、たいして強くは無いが、修行次第ではお前が一番俺を超える可能性を秘めているからな……」

 頑張れよ。と優しい目で俺を見て、お爺ちゃんはカスミの方に向き直った。

「カスミ。今からお前の潜在能力の一部を解放する。少しだけ痛いから覚悟しておけよ?」
「だからお爺ちゃん。プレイヤーだの潜在能力だの、お伽話のような事言っててもさ……って?!どっから取り出したのその兜!」

 お爺ちゃんは、俺にもやったように、アイテムBOXから例の三日月の飾りが付いた兜を取り出して、頭に被ると

「ぬぅぅん!」

 飾りの三日月をバキッ!と取って、カスミに向かって投げつけた!

「え?!ちよっと?!」

 カスミは突然のお爺ちゃんの行動に、驚愕して身を固くして、バチン!と三日月の飾りをその身に受ける。

「ちょ!何これ!動けなッ!」
「よし!これから改造手術を行う!」

 そう言って、お爺ちゃんはビビビビビ!となにやら怪しい怪光線をカスミに向かって飛ばすと、カスミは激しい痛みに悲鳴を上げている。

「カスミ!痛いだろうが我慢しろ!俺も、サーリアもソレに堪えている!」
「クッ!ぅぅぅぅぅ!」

 俺の声にカスミは歯を噛み、痛みに耐えるように目を吊り上げている。

 お爺ちゃんを見れば、とても楽しそうに独り言を呟いていた。

「改造手術ってバッタやてんとう虫の能力を付与するのが一般的だよな~。でも魔物は居てもジョージは居ないからなぁ……じょじょじょ~」
「ひぃぃ!私バッタにされちゃうの?!ジョージってなにぃぃぃ!」 
 
 お爺ちゃん。カスミが顔を青褪めさせてるんですけど……
 時々お爺ちゃんってわけのわからない事を言うからなぁ……

「ほら、カスミ。大丈夫だから我慢しろ。ほれ。お尻撫でてやるから」
「グレイブ!そこはせめて頭を撫でるべきでしょ!」
「いやいや。だって今は脳改造の真っ最中だし?頭は不味いだろ」
「だからってお尻を撫でないでよ!イタタタタ!」

 結局、お爺ちゃんの怪しい光線が収まるまでの間、俺の手は幸せに包まれまくった訳だが……

「もう!いくら婚約者でも限度があるわよ!分かったの?寝てんじゃないわよ!この変態!」

 その後、散々顔面をボコボコに殴られて気絶した俺を、ブンブンと振り回すカスミを止めるのに苦労したって同じく顔面をボコボコに腫らせたお爺ちゃんが言ってたな。





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