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激闘!帝国武術大会

2 孫、カスミと一緒に修行する!

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「ちょっと……爺ちゃん休憩……」
「ダメだ!キツくなってからが本当の修行ってどっかの山で霊能力の師範が言ってた!」
「ハァハァ……れいのう……なにそれ?」
「ゴーストやゾンビ系の不死属性を持った魔物を狩る人達だな。たぶん」
「多分って……」
「こうあれだ!極楽へ逝かせてやるぜ!みたいなヤツだな!」

 ブンブン!と片手剣を振り回して舞う齢60を越えたお爺ちゃんのくせに、流麗な剣舞を舞う。俺と同じだけ動いているのに汗一つかいていない。
 少しテンションが高まっているのか、口調が若返っている。
 ほんと、バケモノだ。

「しかし……本当に才能ないな。お前本当に俺の孫か?」
「ひどい!」
「ハハハ!冗談だ。そら、カスミと交代して、お前はモニカの方で遠距離スキルの練習を見てもらえ」
「は~い」

 お爺ちゃんに言われて俺がカスミの方へ行くと、カスミは待ってました!と言わんばかりにお爺ちゃんの方へと駆けて行った。
 流石は16才世代トップの脳筋だと思ったが口には出せない。

「お願いします!」
「おう!カスミと訓練するのは6年ぶりくらいか?まぁ、とりあえず今の実力を見せてもらうぞ?」
「はい!」

 ドゴン!と大地を蹴ったカスミがお爺ちゃんに迫り、両手に握った大剣を袈裟斬りに振り下ろす。
 お爺ちゃんは目の前に迫った大剣を、ヒョイッと横に躱したが

「まだまだぁ!」

 カスミは振り下ろしている大剣の軌道を腕力のみで修正し、横薙ぎの振り払いに移行した。
 俺が「なんつー無駄な筋肉してんだよ」と感心している中、大剣が迫ったお爺ちゃんは、華麗な側宙で迫った大剣を飛び越える。

「まだよ!〈ランページサークル〉!」

 カスミは前に見せた高速回転による薙ぎ払いのスキルを発動し、側宙で回避したお爺ちゃんの着地を狙う!

「う~ん……やっぱりそのスキルはスキが多いんだよなぁ」

 お爺ちゃんは大剣が迫る瞬間、身体を沈めて足払いを放った!
 コマのように回っていたカスミは、回転の軸を失い、自分の遠心力で地面をゴロゴロと転がっていってしまった。

「あわわわわ!」

 そうして転がったカスミは、壁に背中を強打して涙目になっている。

「ほら。寝ていると風邪ひくぞ?〈エアトスハンマー〉」

 お爺ちゃんは風を操り、不可視の槌を寝転がったままのカスミに打ち付け、自分の方に吹き飛ばすと、お姫様抱っこでキャッチして優しく降ろしてやっていた。

「イタタ……全然歯が立たないや……」
「サークル系はスキが多いからな。特に大剣は、近距離で出すとああやって足を払われるか、頭を取られて先に潰されちゃうから気を付けないとダメだぞ?」
「はい!」
「ちなみに、最もスキがないのが小太刀やナイフの二刀流で放つバニシングサークルだな」
「どんなやつなんですか?!」
「そうだな……えっと……あったあった。実際に見せよう」

 そう言ってお爺ちゃんはカスミから距離を取ると、アイテムBOXから短剣を2本取り出して、両手を水平に構えた。

「〈バニシングサークル〉!」

 短剣を水平に構えたお爺ちゃんは、ギュギュン!と高速で回転を始めた!

「カスミ!大剣を縦に構えて防御しておけ!」

 お爺ちゃんはそう言うと、かなり離れた位置からスタートしたのにも関わらず、ギュルルン!ともの凄い速さでカスミに迫り、慌てて防御の姿勢を取ったカスミの大剣をガリギリと削る!

 カスミはバックステップでサークルから逃れると、大剣の長さを利用した足払いを放った!
 先程自分のサークルが潰されたお礼をしてやろうと思ったのだろう。

 しかし、お爺ちゃんは高速回転したまま、その大剣をピョン!と軽くジャンプして回避。
 そのまま再びカスミに迫り、薄皮一枚の所でスキルを解除した。

「大剣と違って高速移動が出来るのと、武器が短いから角度の調整が出来て、武器が軽いからジャンプもデキルのが魅力だ。なにより大剣よりも高速回転だから、まさに触れば消滅すると言ってもいいくらい、斬り刻まれる事になる。今回は手加減してたから大剣が折れる事もなかったけどな」
「凄いですね!──でも、私はパパ譲りの大剣技と、ママから貰ったこの大剣で勝負したいんです!」
「──ああ。確かカスミのお父さんは皇太子になる前に大剣技を使ってたなぁ……よく大剣で稽古つけてやったっけな」
「パパも言ってました!コウタさんは凄まじく強かったって!」
「俺は大剣自体は得意じゃ無かったけどな」
「パパも言ってました。大剣苦手だって言いながらもあの強さは卑怯だって!」

 そう言って「ハハハ」と二人は笑い合うのを眺めていると──

「グレイブ!何時までボケッとしてるのさ!さっさとこっち来て、遠距離スキルの練習だよ!」

 モニカお婆ちゃんの怒声に顔を向けた瞬間──パシュン!と俺の全身を水柱が包んだのだった。





 
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