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5 暁の神殿
7 鈴木、食い付かれる!
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「それにしても、この屋敷の設備は凄いですね」
「まぁ……モニカには手加減するなと伝えてあるからな」
カチャリとティーカップを置いたシャルロッテ姫。
紅茶を口にして、ようやく落ち着きを取り戻したらしい。
俺のペロペロ脳もペロ脳にまで落ち着いてきている。
「お風呂に入った時の衝撃は凄かったです!撚るとお湯が出る細い鉄、また別の突起を捻れば雨粒のような細かなお湯が際限なく出てくる細かな穴付きの棒!」
「ははは。帝都にある屋敷の風呂はもっと凄いぜ。ブクブクと泡が湧き上がる湯船にスケベ椅子完備だ」
「泡の湧き上がるお風呂ですか?!」
「浸かっていると泡が腰やら肩やらに当たって気持ちいいのなんの……ってスケベ椅子はスルーの方向ですかそうですか」
ふわぁ~──とシャルロッテはまだ見ぬ泡風呂へ想いを馳せ……
「そうそう。イザベラなんかは風呂上がりに世界樹と呼ばれる大樹から取れる霊薬、ユグドラシルの葉を漬け込んだ化粧水でお肌を保湿してたりしたっけな……ここには無いのか?」
「流石にユグドラシルの葉は他国に置いておけないでしょ~。どっかの青タヌキみたいにポンポンだしてましたけど、あれって性能だけなら齧るだけで市販のポーションがゴミに感じるレベルの薬草なんですよ?というか私……まだ貰ってないんですけど?」
「でもアレを使うと胸が育つじゃん?」
「えッ?!」
「まぁ……育つ才能があれば育つんでしょうけど~。というか私の話はスルーですか?貰ってないんですけど?下さいよ!」
胸が育つというキーワードに、超反応を見せたシャルロッテ姫は、未だぎゃあぎゃあと喚き、同時にぶるんと揺れるモニカのたわわな胸を凝視した。
「ッ──決めました!私!帝国の子になります!」
「姫さま?!」
「スズキ様!そのユグなんちゃらの化粧水を使えば胸が!私の慎ましやかな胸が育つんですよね?!」
なんという食い付きだ!
これを釣りで例えるなら、竿が持ってかれそうになる程の勢いだ……大物なだけに。
「……確証はないけどね。俺の三番目の嫁さんは田舎の農村の出で、出会った当時は肌は水仕事でカサカサ、ソバカスも多くて野暮ったい感じの女の子だったんだけど、ユグドラシルの葉を使った水を毎日使っていたらソバカスが消えて肌がツルツルスベスベのペロペロになったって言ってたよ?」
「メルさんですよね?ペロペロって……彼女、今じゃイザベラ様より美人で、どっちが王女か分かんないくらいの神々しさですよね~……チッ」
モニカもどうやら俺の作戦に気が付いたのか、話を盛る盛る!最後の舌打ちなんてもう『美女は爆ぜろ!』という思いが伝わってくる程だ!……演技だよな?
「ぐぬぬ……神々しいまでの美人……羨ま妬ましいですね……」
「ほんと……田舎娘如きが空前絶後の玉の輿ですもんね~……チッ」
「強くて権力も有ってお金も持ってて、その上見たこともない技術もある旦那様……」
「師匠は変態だけど顔と能力だけなら一級品だし~もうほんと……チッチッ」
シャルロッテもギリリと歯を食いしばり、モニカと反メル同盟なんていうものを結び始めている。
モニカは素だったのか……
どうしてこうなった……
ほら見ろよ二人共……騎士のストラーダが真っ青な顔でガクブルしてるぜ?
「まぁあのさ……姫さんの亡命話は一先ず置いておいてさ……」
「置いておいたら化粧水くれますか?!」
「いや……やらんけども……」
「チッ……」
こらお姫様!モニカの舌打ちが移ってるから!止めなさい!
「依頼は王国の北東にある山脈に出現した神殿の調査だったよな?な?ストラーダ?」
「あ……ああ!そうだともスズキ殿!」
「それじゃ俺は早速行ってくるからさ!モニカを残しておけば王都も安泰だし!」
「なんと!モニカ殿も実は凄い使い手なのですか?!」
「ああ。そりゃあもう!遠距離からチキンな攻撃させたら中々どうして凄いもんだぜ!」
「チッ……」「チッ……」「チッ……」
あるぇ?
「大きな胸をお持ちな方は能力も素晴らしいのですな!……チッ」
おいストラーダよ……なぜそこでお前も舌打ちをするのか?
まぁ部屋の空気もかなり険悪になってきた事だし……三十六計逃げるが勝ちだ!
「よし!しからば出発するよ!」
あばよとっつあ~ん!と言った具合に立ち上がり、スタコラサッサと部屋を飛び出そうとした矢先
「スズキ様。お待ちになってください!」
シャルロッテに手を掴まれた!
嫌だ!これ以上修羅場に同席したくない!
帝都の嫁ーズも中々の頻度で修羅場を作るもんだから、正直王国への遠征だって、いい気晴らしになるな~なんて軽い気持ちだったのに!
なんて俺の隠された本音は伝わる事もなく──
「神殿の調査にはストラーダも同行させてください」
「「ファッ?!」」
あれだけ仄暗いオーラを漂わせてチッチッと舌打ちしていたJCが、急に真面目な顔で言った言葉に俺とストラーダの声が重なった。
「姫さま?!私は姫さまのお側を離れる訳には──「モニカさん強いって言うし、ならストラーダは居ても居なくても一緒でしょ!」ぇぇぇぇ……」
おいおいこの姫様本気かよ?!
あんたの騎士は居ても居なくても一緒って言われてべそかいてるよ?!
「まぁ……モニカには手加減するなと伝えてあるからな」
カチャリとティーカップを置いたシャルロッテ姫。
紅茶を口にして、ようやく落ち着きを取り戻したらしい。
俺のペロペロ脳もペロ脳にまで落ち着いてきている。
「お風呂に入った時の衝撃は凄かったです!撚るとお湯が出る細い鉄、また別の突起を捻れば雨粒のような細かなお湯が際限なく出てくる細かな穴付きの棒!」
「ははは。帝都にある屋敷の風呂はもっと凄いぜ。ブクブクと泡が湧き上がる湯船にスケベ椅子完備だ」
「泡の湧き上がるお風呂ですか?!」
「浸かっていると泡が腰やら肩やらに当たって気持ちいいのなんの……ってスケベ椅子はスルーの方向ですかそうですか」
ふわぁ~──とシャルロッテはまだ見ぬ泡風呂へ想いを馳せ……
「そうそう。イザベラなんかは風呂上がりに世界樹と呼ばれる大樹から取れる霊薬、ユグドラシルの葉を漬け込んだ化粧水でお肌を保湿してたりしたっけな……ここには無いのか?」
「流石にユグドラシルの葉は他国に置いておけないでしょ~。どっかの青タヌキみたいにポンポンだしてましたけど、あれって性能だけなら齧るだけで市販のポーションがゴミに感じるレベルの薬草なんですよ?というか私……まだ貰ってないんですけど?」
「でもアレを使うと胸が育つじゃん?」
「えッ?!」
「まぁ……育つ才能があれば育つんでしょうけど~。というか私の話はスルーですか?貰ってないんですけど?下さいよ!」
胸が育つというキーワードに、超反応を見せたシャルロッテ姫は、未だぎゃあぎゃあと喚き、同時にぶるんと揺れるモニカのたわわな胸を凝視した。
「ッ──決めました!私!帝国の子になります!」
「姫さま?!」
「スズキ様!そのユグなんちゃらの化粧水を使えば胸が!私の慎ましやかな胸が育つんですよね?!」
なんという食い付きだ!
これを釣りで例えるなら、竿が持ってかれそうになる程の勢いだ……大物なだけに。
「……確証はないけどね。俺の三番目の嫁さんは田舎の農村の出で、出会った当時は肌は水仕事でカサカサ、ソバカスも多くて野暮ったい感じの女の子だったんだけど、ユグドラシルの葉を使った水を毎日使っていたらソバカスが消えて肌がツルツルスベスベのペロペロになったって言ってたよ?」
「メルさんですよね?ペロペロって……彼女、今じゃイザベラ様より美人で、どっちが王女か分かんないくらいの神々しさですよね~……チッ」
モニカもどうやら俺の作戦に気が付いたのか、話を盛る盛る!最後の舌打ちなんてもう『美女は爆ぜろ!』という思いが伝わってくる程だ!……演技だよな?
「ぐぬぬ……神々しいまでの美人……羨ま妬ましいですね……」
「ほんと……田舎娘如きが空前絶後の玉の輿ですもんね~……チッ」
「強くて権力も有ってお金も持ってて、その上見たこともない技術もある旦那様……」
「師匠は変態だけど顔と能力だけなら一級品だし~もうほんと……チッチッ」
シャルロッテもギリリと歯を食いしばり、モニカと反メル同盟なんていうものを結び始めている。
モニカは素だったのか……
どうしてこうなった……
ほら見ろよ二人共……騎士のストラーダが真っ青な顔でガクブルしてるぜ?
「まぁあのさ……姫さんの亡命話は一先ず置いておいてさ……」
「置いておいたら化粧水くれますか?!」
「いや……やらんけども……」
「チッ……」
こらお姫様!モニカの舌打ちが移ってるから!止めなさい!
「依頼は王国の北東にある山脈に出現した神殿の調査だったよな?な?ストラーダ?」
「あ……ああ!そうだともスズキ殿!」
「それじゃ俺は早速行ってくるからさ!モニカを残しておけば王都も安泰だし!」
「なんと!モニカ殿も実は凄い使い手なのですか?!」
「ああ。そりゃあもう!遠距離からチキンな攻撃させたら中々どうして凄いもんだぜ!」
「チッ……」「チッ……」「チッ……」
あるぇ?
「大きな胸をお持ちな方は能力も素晴らしいのですな!……チッ」
おいストラーダよ……なぜそこでお前も舌打ちをするのか?
まぁ部屋の空気もかなり険悪になってきた事だし……三十六計逃げるが勝ちだ!
「よし!しからば出発するよ!」
あばよとっつあ~ん!と言った具合に立ち上がり、スタコラサッサと部屋を飛び出そうとした矢先
「スズキ様。お待ちになってください!」
シャルロッテに手を掴まれた!
嫌だ!これ以上修羅場に同席したくない!
帝都の嫁ーズも中々の頻度で修羅場を作るもんだから、正直王国への遠征だって、いい気晴らしになるな~なんて軽い気持ちだったのに!
なんて俺の隠された本音は伝わる事もなく──
「神殿の調査にはストラーダも同行させてください」
「「ファッ?!」」
あれだけ仄暗いオーラを漂わせてチッチッと舌打ちしていたJCが、急に真面目な顔で言った言葉に俺とストラーダの声が重なった。
「姫さま?!私は姫さまのお側を離れる訳には──「モニカさん強いって言うし、ならストラーダは居ても居なくても一緒でしょ!」ぇぇぇぇ……」
おいおいこの姫様本気かよ?!
あんたの騎士は居ても居なくても一緒って言われてべそかいてるよ?!
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