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4章 天使と悪魔と運営と
15 鈴木、布教される!
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「それにしても、流石はナツキだな。気が付けば圧倒してたもんな」
「そこは年季の差じゃないですか?彼は精々金神装備に変更して半年も経ってないんじゃないですかね。あと、ダンジョンばかりで対人戦をあまりして来なかったんじゃないですか?」
「なるほど……俺達は対人の比率の方が多かったもんな!」
「そういう事です。まぁ、勿論ダンジョンも行きましたけどね。圧倒的な経験値の差というやつですね」
俺とナツキは通路を駆けながら、先程のフロウとの戦闘を振り返っていた。
ナツキは武器の不利をものともせず、手持ちの防具スキルだけでほぼ圧倒したのだから彼のプレイヤースキルは素晴らしいの一言だ。
「あの凄まじい突きで逝ったと思ったらキッチリ護符の範囲で収めてんだからなぁ」
「即死に繋がる頭部と心臓付近は避けましたからね。なにより護符を貼り付けているかどうかは対人戦の読み合いでは基礎中の基礎です」
「あいつ、ニートで無課金だからなぁ。回復ドリンクとかで節約して護符なんて持って無かったんだろうな」
「対人戦中にドリンク飲む余裕なんてないくらい、わかりそうなもんですけどね」
「そこはほら、ニートの頂きさんだからじゃない?」
「ハハッ!自称24時間勤務だったらしいですけどね!」
「ブフッ!止めろよな。あんまり言うと全国の自宅警備員さん達を敵に回しちゃうぞ?」
「それは怖いですね!ぜひ自宅警備員の方々はダンボールかビニールハウスに再就職して頂きたいですね!ブハハッ!」
そう走りながら器用にゲラゲラ笑うナツキ。こいつもこの世界に来て随分と素が出てきたな。
「お前……万が一元の世界に戻ったら世界チャットで今のログ流してやるからな~」
「止めてくださいよ!僕のクールでお金持ちなイケメン御曹司のイメージが崩れますって~」
ニヤリと悪い笑みを浮かべてそう言うと、ナツキは「え~」と嫌そうな顔をして「止めてよ~」と言う姿に、イケメンでクールな御曹司なイメージは沸かないね。だってJSが嫁だし。
よし!もう少しからかってやろう!
「何を言ってるんだこのJSマニアが!月刊わたしの義兄ちゃんを毎月5冊も買いやがって!」
「なッ!何故それを!」
「……え?!」
「え?!……」
前にネットでたまたまニュースになっていた雑誌の名前を適当に言って話はでっち上げただけなのに……なにこの反応!思わず「え?」って声が出ちゃったよ!
ナツキも俺の驚いた顔に混乱しちゃってるし!しかし、それにしたって……
「適当に言ったのに当たってるのかよ!この犯罪者予備軍め!」
「なんですって?!月刊わたしの義兄ちゃんは二次元だからいいんですよ!ちなみに、5冊の内訳は使用鑑賞予備!そして予備の予備と布教用です!もし戻ったらスズキくんにも差し上げますよ」
「いやーロリコンにされてしまうー」
開き直ったナツキは獲物を見つけた肉食獣のような笑みを浮かべて俺に迫る!このままでは俺までロリコンになってしまう!あ、実年齢35で18・19の嫁さん貰うあたり俺も立派なロリコンだったわ。うはははは。
そんな和気藹々と話しながらも、実はかなりの数のエンカウントがあったのだが、どれも大したことがなく、俺のワンパンで壁にめり込んだり、ナツキの剣で一瞬にして首無しデュラハンにされたりと歯牙にもかけず、ひたすら走っていたのだが──
「ようやっと次の部屋だな」
「通路を走ってて気が付いたんですけど、僕達は下へ下へと移動させられているみたいですよ」
「マジか!階段とか無かったのにな」
「通路を曲がる度に少しずつ床が斜めになってましたよ」
「まぁ……地下でもなんでもいいさ。俺はブァアミリオンをブチのめせればね」
俺はそう言って扉に手をかける。
内開きの扉を押して俺達は中に滑り込む。
「暗いな……」
「明かりくらいないんですかね」
真っ暗の部屋でもプレイヤーである俺とナツキは薄っすらとだが一応周囲を見る事が可能だが、部屋の中はかなり広いらしく、先まで見通す事が出来ない。
そう二人でキョロキョロとしていると、カッ!と天上から眩い光が降り注いだ。
「眩しッ!」
「くッ!」
俺とナツキが急な明るさに目を眩ませていると、部屋の奥からカツ……カツ……と人が歩いて来る音が聞こえる。
「プレイヤーよ。よくぞここまで辿り着いたと褒めてやろう」
その声に、明かりに眩んだ目を向けると、GM[魔王ブァアミリオン]がゆっくりと歩いて来るのが見えた。
「やっと黒幕のお出ましか……」
「百万馬鹿!僕を元の世界の召喚された時間に返しなさい!」
「ひゃく?!……口の効き方がなってないですね!」
歯を剥き出しにして睨み付けるナツキを、ブァアミリオンは片手をスッと振り下ろす。
「ガッ──」
「なッ?!」
奴が手を振り下ろした瞬間、ナツキが地面に倒れ込んだのだった!
「そこは年季の差じゃないですか?彼は精々金神装備に変更して半年も経ってないんじゃないですかね。あと、ダンジョンばかりで対人戦をあまりして来なかったんじゃないですか?」
「なるほど……俺達は対人の比率の方が多かったもんな!」
「そういう事です。まぁ、勿論ダンジョンも行きましたけどね。圧倒的な経験値の差というやつですね」
俺とナツキは通路を駆けながら、先程のフロウとの戦闘を振り返っていた。
ナツキは武器の不利をものともせず、手持ちの防具スキルだけでほぼ圧倒したのだから彼のプレイヤースキルは素晴らしいの一言だ。
「あの凄まじい突きで逝ったと思ったらキッチリ護符の範囲で収めてんだからなぁ」
「即死に繋がる頭部と心臓付近は避けましたからね。なにより護符を貼り付けているかどうかは対人戦の読み合いでは基礎中の基礎です」
「あいつ、ニートで無課金だからなぁ。回復ドリンクとかで節約して護符なんて持って無かったんだろうな」
「対人戦中にドリンク飲む余裕なんてないくらい、わかりそうなもんですけどね」
「そこはほら、ニートの頂きさんだからじゃない?」
「ハハッ!自称24時間勤務だったらしいですけどね!」
「ブフッ!止めろよな。あんまり言うと全国の自宅警備員さん達を敵に回しちゃうぞ?」
「それは怖いですね!ぜひ自宅警備員の方々はダンボールかビニールハウスに再就職して頂きたいですね!ブハハッ!」
そう走りながら器用にゲラゲラ笑うナツキ。こいつもこの世界に来て随分と素が出てきたな。
「お前……万が一元の世界に戻ったら世界チャットで今のログ流してやるからな~」
「止めてくださいよ!僕のクールでお金持ちなイケメン御曹司のイメージが崩れますって~」
ニヤリと悪い笑みを浮かべてそう言うと、ナツキは「え~」と嫌そうな顔をして「止めてよ~」と言う姿に、イケメンでクールな御曹司なイメージは沸かないね。だってJSが嫁だし。
よし!もう少しからかってやろう!
「何を言ってるんだこのJSマニアが!月刊わたしの義兄ちゃんを毎月5冊も買いやがって!」
「なッ!何故それを!」
「……え?!」
「え?!……」
前にネットでたまたまニュースになっていた雑誌の名前を適当に言って話はでっち上げただけなのに……なにこの反応!思わず「え?」って声が出ちゃったよ!
ナツキも俺の驚いた顔に混乱しちゃってるし!しかし、それにしたって……
「適当に言ったのに当たってるのかよ!この犯罪者予備軍め!」
「なんですって?!月刊わたしの義兄ちゃんは二次元だからいいんですよ!ちなみに、5冊の内訳は使用鑑賞予備!そして予備の予備と布教用です!もし戻ったらスズキくんにも差し上げますよ」
「いやーロリコンにされてしまうー」
開き直ったナツキは獲物を見つけた肉食獣のような笑みを浮かべて俺に迫る!このままでは俺までロリコンになってしまう!あ、実年齢35で18・19の嫁さん貰うあたり俺も立派なロリコンだったわ。うはははは。
そんな和気藹々と話しながらも、実はかなりの数のエンカウントがあったのだが、どれも大したことがなく、俺のワンパンで壁にめり込んだり、ナツキの剣で一瞬にして首無しデュラハンにされたりと歯牙にもかけず、ひたすら走っていたのだが──
「ようやっと次の部屋だな」
「通路を走ってて気が付いたんですけど、僕達は下へ下へと移動させられているみたいですよ」
「マジか!階段とか無かったのにな」
「通路を曲がる度に少しずつ床が斜めになってましたよ」
「まぁ……地下でもなんでもいいさ。俺はブァアミリオンをブチのめせればね」
俺はそう言って扉に手をかける。
内開きの扉を押して俺達は中に滑り込む。
「暗いな……」
「明かりくらいないんですかね」
真っ暗の部屋でもプレイヤーである俺とナツキは薄っすらとだが一応周囲を見る事が可能だが、部屋の中はかなり広いらしく、先まで見通す事が出来ない。
そう二人でキョロキョロとしていると、カッ!と天上から眩い光が降り注いだ。
「眩しッ!」
「くッ!」
俺とナツキが急な明るさに目を眩ませていると、部屋の奥からカツ……カツ……と人が歩いて来る音が聞こえる。
「プレイヤーよ。よくぞここまで辿り着いたと褒めてやろう」
その声に、明かりに眩んだ目を向けると、GM[魔王ブァアミリオン]がゆっくりと歩いて来るのが見えた。
「やっと黒幕のお出ましか……」
「百万馬鹿!僕を元の世界の召喚された時間に返しなさい!」
「ひゃく?!……口の効き方がなってないですね!」
歯を剥き出しにして睨み付けるナツキを、ブァアミリオンは片手をスッと振り下ろす。
「ガッ──」
「なッ?!」
奴が手を振り下ろした瞬間、ナツキが地面に倒れ込んだのだった!
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