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5 暁の神殿
23 鈴木、厨二心を満たす!
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俺は何度も噛んだ舌がヒリヒリするのを耐えながら、柱からひょっこりしている鎌を指さして再び説明をする。
「ちなみに、あの左の赤い鎌が姉のエヘカトゥルで青い鎌が妹のエヘカトゥルだな」
「どっちも同じ名前なのだが?わたしの聞き間違いか?」
俺の説明に的確なツッコミを入れてくれる女騎士。
そのジト目が癖になるぜ。
「いや、間違ってないぞ。名前が同じなのは開発が手を抜いた結果だ」
「かいはつ?……お前はそうやって適当な事を言ってまた私を嵌めようと思ってるんだろ?」
そう言って俺を見る彼女のジト目のレベルが一段上がる。
ジトからジト~といった具合だ。
俺は彼女の誤解を解くために両手を広げ、彼女の両肩に優しく置く。
そして、これでもかも言わんばかりの優しげな瞳で見つめ、諭すような声色で言葉を投げかける。
「それはひどい誤解だよストラーダ。俺はそんな事ちっとも思ってない。ただ────」
「ただ……なんだ?」
ストラーダはどこか期待するような眼差しで俺の目をグッと見てくる。
なるほど……やはりこれは待っているに違いない!
「お前の期待に応えようとしているだけだ!ストラーダキャノン発射ぁァ!」
一瞬前まで優しく置いていた肩の手に力を込め、横に力一杯のスピン!
そいやっ!と姉カトゥルの鎌目掛けて投げ飛ばした!
「やっぱり嵌めてるんじゃねーかぁぁァァあ!」
「嵌めるなよ?嵌めるなよ?!っていうフリだろ?みなまで言うな」
脚からぶっ飛んだストラーダは、姉カトゥルの鎌を上手いこと蹴り飛ばして着地。
それを横で見ていたであろう妹カトゥルが青い鎌を振り下ろすが
ガンッ!と鈍い音を立てて鎌は高く弾かれる!
「ボスが2対で女騎士を狩るってのはかっこ悪くないか?」
俺は手のひらを前に突き出し、エアトスハンマーを発射した体勢でそう言うと、そのまま手のひらをひっくり返し、クイクイッと手招きをする。
顎をシャクって蔑むような視線もセットというサービス付きだ。
「イヒヒヒヒ────」
どうやら俺の挑発はしっかりと妹の興味を引けたのか、鎌を構えなおして嬌声を上げながら突っ込んでくる!
「ストラーダ!一匹は相手をしておいてやる!」
「ふざけんな!こっちのも持っていけ!」
「わはははは!年増はノーサンキュー!」
怒るストラーダを無視して俺はさっさと身を引く事で妹カトゥルを壁端まで釣り上げる。
「さてさて、残念だけど出会って間もない俺達はもう別れの時間みたいだぜ」
俺は壁を背に、キラン!と歯を光らせながら、迫る妹カトゥルの鎌を飛んだり半身になったりと、ヒラリヒラリと躱しまくる。
「イヒヒヒヒ──」
「いい感じに運動したし……そろそろ行くぞ?うおおおお!」
振り下ろされた鎌を高く、高く蹴り上げて妹カトゥルの体勢を崩す!
同時に俺は足元から白い靄を立ち昇らせる!
「しんッきぃぃ!かいッほぉぉぅ!グレート!エアトスブレぇぇェェドッ!」
天高く突き上げた腕に出現させた高圧縮の風の刃。
MPを消費の倍以上に注ぎ込み、肥大化し、暴風をむりやりに刃の形に押し込めた凶悪無比な一振りが天井に届かんばかりに伸びる!
「真っ向!幹竹割りぃぃぃぃ!」
超巨大な剣に成型した暴風の刃は必死に体勢を立て直した妹カトゥルを正面から真っ二つに両断した。
「金の装備にコインを乗せて!轟け課金のガチャアイテム!正義の傭兵スズキコウタ!悪は決して許しはしない!はーっはっはっはっはぁ!」
黒い塵となって消えた妹カトゥルの居た場所には何個かのアイテムが落ちている。
高らかに勝ち名乗りを上げて、俺の厨二心も大満足だぜ!と余韻に浸っていると、大変素晴らしい怒りのオーラがビシバシと伝わってくる。
オーラの先は、先程発射されたキャノンさん。
「お前はッ!余裕があるなら助けろよッ!あぶっ!」
ストラーダは必死に鎌を潜り抜けつつもガンガンと拳を叩きつけているが────
「イヒヒヒヒ──」
まるで効いている様子がない。
「あ~……この辺からボチボチ金魔装備じゃ厳しくなっていくところだよなぁ」
暁の神殿1Fの最奥への道を守護するカトゥル姉妹。
コイツ等、実は神殿2Fの雑魚と同じくらいには強いのだ。
そう聞くと2Fのインフレパネーっ!って思うところなのだが……
そもそもゲーム時代は1Fにひたすら、それはもう一月も二月も籠もって、必死にドロップを集めて暁装備という上位装備を造り、それ等を強化して、ようやっと2Fの雑魚との戦闘が許されるレベルに到達出来る……
という無課金勢の時間つぶしと課金勢の課金を促す為に実装されたダンジョンだから仕方がないのだ。
そして1F入場時の推奨レベルは60~……ストラーダはギリギリだ。
装備も金魔装備というレベル50~装備可能な防具を装備している……一応攻略可能な条件はギリギリ揃ってはいるのだが、それはあくまでも同程度の装備にレベルを持ったパーティーが長時間かけてようやくクリア出来るというもの。
「ッ────きゃぁぁぁ!」
そうやって暢気に考え事をしている俺の目の前で、横薙ぎに振るわれた鎌を何とか篭手を滑らせる事で回避を狙ったストラーダだったが、動きを読まれたのか、鎌が逸らされる一瞬、姉カトゥルは鎌を横薙ぎから鎌を捻って床を強打!
爆発した床の石と同時にストラーダは宙を舞っていた……
「ちなみに、あの左の赤い鎌が姉のエヘカトゥルで青い鎌が妹のエヘカトゥルだな」
「どっちも同じ名前なのだが?わたしの聞き間違いか?」
俺の説明に的確なツッコミを入れてくれる女騎士。
そのジト目が癖になるぜ。
「いや、間違ってないぞ。名前が同じなのは開発が手を抜いた結果だ」
「かいはつ?……お前はそうやって適当な事を言ってまた私を嵌めようと思ってるんだろ?」
そう言って俺を見る彼女のジト目のレベルが一段上がる。
ジトからジト~といった具合だ。
俺は彼女の誤解を解くために両手を広げ、彼女の両肩に優しく置く。
そして、これでもかも言わんばかりの優しげな瞳で見つめ、諭すような声色で言葉を投げかける。
「それはひどい誤解だよストラーダ。俺はそんな事ちっとも思ってない。ただ────」
「ただ……なんだ?」
ストラーダはどこか期待するような眼差しで俺の目をグッと見てくる。
なるほど……やはりこれは待っているに違いない!
「お前の期待に応えようとしているだけだ!ストラーダキャノン発射ぁァ!」
一瞬前まで優しく置いていた肩の手に力を込め、横に力一杯のスピン!
そいやっ!と姉カトゥルの鎌目掛けて投げ飛ばした!
「やっぱり嵌めてるんじゃねーかぁぁァァあ!」
「嵌めるなよ?嵌めるなよ?!っていうフリだろ?みなまで言うな」
脚からぶっ飛んだストラーダは、姉カトゥルの鎌を上手いこと蹴り飛ばして着地。
それを横で見ていたであろう妹カトゥルが青い鎌を振り下ろすが
ガンッ!と鈍い音を立てて鎌は高く弾かれる!
「ボスが2対で女騎士を狩るってのはかっこ悪くないか?」
俺は手のひらを前に突き出し、エアトスハンマーを発射した体勢でそう言うと、そのまま手のひらをひっくり返し、クイクイッと手招きをする。
顎をシャクって蔑むような視線もセットというサービス付きだ。
「イヒヒヒヒ────」
どうやら俺の挑発はしっかりと妹の興味を引けたのか、鎌を構えなおして嬌声を上げながら突っ込んでくる!
「ストラーダ!一匹は相手をしておいてやる!」
「ふざけんな!こっちのも持っていけ!」
「わはははは!年増はノーサンキュー!」
怒るストラーダを無視して俺はさっさと身を引く事で妹カトゥルを壁端まで釣り上げる。
「さてさて、残念だけど出会って間もない俺達はもう別れの時間みたいだぜ」
俺は壁を背に、キラン!と歯を光らせながら、迫る妹カトゥルの鎌を飛んだり半身になったりと、ヒラリヒラリと躱しまくる。
「イヒヒヒヒ──」
「いい感じに運動したし……そろそろ行くぞ?うおおおお!」
振り下ろされた鎌を高く、高く蹴り上げて妹カトゥルの体勢を崩す!
同時に俺は足元から白い靄を立ち昇らせる!
「しんッきぃぃ!かいッほぉぉぅ!グレート!エアトスブレぇぇェェドッ!」
天高く突き上げた腕に出現させた高圧縮の風の刃。
MPを消費の倍以上に注ぎ込み、肥大化し、暴風をむりやりに刃の形に押し込めた凶悪無比な一振りが天井に届かんばかりに伸びる!
「真っ向!幹竹割りぃぃぃぃ!」
超巨大な剣に成型した暴風の刃は必死に体勢を立て直した妹カトゥルを正面から真っ二つに両断した。
「金の装備にコインを乗せて!轟け課金のガチャアイテム!正義の傭兵スズキコウタ!悪は決して許しはしない!はーっはっはっはっはぁ!」
黒い塵となって消えた妹カトゥルの居た場所には何個かのアイテムが落ちている。
高らかに勝ち名乗りを上げて、俺の厨二心も大満足だぜ!と余韻に浸っていると、大変素晴らしい怒りのオーラがビシバシと伝わってくる。
オーラの先は、先程発射されたキャノンさん。
「お前はッ!余裕があるなら助けろよッ!あぶっ!」
ストラーダは必死に鎌を潜り抜けつつもガンガンと拳を叩きつけているが────
「イヒヒヒヒ──」
まるで効いている様子がない。
「あ~……この辺からボチボチ金魔装備じゃ厳しくなっていくところだよなぁ」
暁の神殿1Fの最奥への道を守護するカトゥル姉妹。
コイツ等、実は神殿2Fの雑魚と同じくらいには強いのだ。
そう聞くと2Fのインフレパネーっ!って思うところなのだが……
そもそもゲーム時代は1Fにひたすら、それはもう一月も二月も籠もって、必死にドロップを集めて暁装備という上位装備を造り、それ等を強化して、ようやっと2Fの雑魚との戦闘が許されるレベルに到達出来る……
という無課金勢の時間つぶしと課金勢の課金を促す為に実装されたダンジョンだから仕方がないのだ。
そして1F入場時の推奨レベルは60~……ストラーダはギリギリだ。
装備も金魔装備というレベル50~装備可能な防具を装備している……一応攻略可能な条件はギリギリ揃ってはいるのだが、それはあくまでも同程度の装備にレベルを持ったパーティーが長時間かけてようやくクリア出来るというもの。
「ッ────きゃぁぁぁ!」
そうやって暢気に考え事をしている俺の目の前で、横薙ぎに振るわれた鎌を何とか篭手を滑らせる事で回避を狙ったストラーダだったが、動きを読まれたのか、鎌が逸らされる一瞬、姉カトゥルは鎌を横薙ぎから鎌を捻って床を強打!
爆発した床の石と同時にストラーダは宙を舞っていた……
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